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産院取り違えから50年後に「そして親子になった」事件

産院取り違えから50年後に「そして親子になった」事件

産院での子の取り違えを、6年後に告げられた2組の親子の物語を描いた「そして父になる」という映画は、多くの方がご存知だと思います。
残念ながら、まだ拝見する機会に恵まれていないのですが、ちょうど、産院での子の取り違えが生じて後日に訴訟になった例を見つけました。

といっても、6年後に病院から告げられたのではなく、約50年ほど実の親子と同然の関係を築いた後、戸籍上の両親が亡くなり、その両親の実の子である「戸籍上の弟達」と相続紛争になったところ、どのような経緯かはよく分かりませんが、その時点になって初めて、弟側が、「兄は実の子でないから相続権は認められない」と主張し、親子関係不存在確認訴訟を提起してきたという事案です。

1審は弟の主張を認めたのですが、2審は「長期間、実の親子同然の関係があったのに、遺産争いを直接の契機として訴訟を提起したという性質や現時点で親子関係を否定することで生じる弊害など諸々の事情に照らし、権利濫用だ」として弟の請求を退けています(東京高判H22.9.6判タ1340-227)。
裁判長は業界では著名な方で、独特な説示をして、当事者の協議による相続問題の解決を促して判決を締めくくっています。

長期間、実の親子同然の関係を築いた場合、その関係そのものを法的に保護しようとする例は他にもあり、そのような前例を踏まえての判断であったと思われます。

また、「戸籍上の親子関係と実際の親子関係とが齟齬する場合に、権利濫用を理由に当事者の利害の調整をした例」としては、妻が夫に対し、「夫と法律上の親子関係があるが、婚姻中に夫以外の男性との間にもうけた子」の養育費を請求したケースで、その子も夫にとっては嫡出子なので原則として支払義務ありとしつつ、そのケースでは権利濫用にあたるとした例(最判H23.3.18)もあります。

いずれも事例判断なので、権利濫用と評価できるに足る事実関係を、どれだけ説得的に積み上げることができるか、更に言えば、そうした実質判断を重視する裁判官に巡り会えるかが勝負の分かれ目ということになるかもしれません。

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