北奥法律事務所

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04日

ウォシュレットがつくるアジアの平和と日本の役割~シンガポール編④

長期シリーズですいませんが、今回も、シンガポール旅行の感想編です。

先日、盛岡北RCのHさんから「弁護士だから毎年のように海外に行っているもんだと思ってたよ」と言われましたが、シンガポール編の第1回でも述べたとおり、海外に来たのは平成22年の日弁連の韓国視察を別とすれば、新婚旅行以来(10年以上ぶり)となります。

残念ながら田舎の普通の町弁が恵まれた時代は震災前に終了しており、現在は(他の弁護士さん達はともかく、私自身は事務所固有の事情もあって)生活費を賄うのに精一杯で、今回は、諸事情から今こそどうしても同国に行きたいと思い立ち、昔の蓄えを取り崩して無理にやってきたというのが正直なところです。

そんなわけで、久方ぶりの海外に来て強く感じたのは、「(修習生の頃に訪ねた非先進国らと異なり)こんなに華やかなシンガポールなのに、どこにもウォシュレットがない」という点でした。

私はアトピーでこそないものの全般的に皮膚が弱く、ウォシュレットの登場までは洋式ではきちんと拭けないとの理由で和式派でしたが、今では洗浄できないと耐えられない、という感覚になっています。

そこで、リバーサファリで日本語ガイド(前回投稿を参照)のノーラさんに「ウォシュレットは知ってますか、この国には無いんですか」と尋ねたところ、存在は知っているようでしたが(使ったことはなさそうでした)、自分は必要だと思ったことはない、回教徒(イスラム教)はホースを使った洗浄をするので、それで足りてるんじゃないか」などと、些か要領を得ない回答しかいただけませんでした。

なお、その際の私と同じく「ホース」が何のことかよく分からないという方は、こちらのサイトなどをどうぞ。ネット情報ではマレーシアなどで普及しているそうですが、私が新婚旅行でエジプトに行ったときには見かけた記憶がありません。
http://www.geocities.jp/hashimnakamura/experience/13th.html

あと、余談ついでに、この国の日本語ガイドさん達は全員、どういうわけかイスラムと言わず回教と言うので、何を言っているか理解できてない安直日本人旅行客も多数いたと思います。

結局、帰国後に調べたところでも、シンガポールではウォシュレットが全く普及していないとのことで、ネットで調べたら現時点では最高級ホテルのうちごく一部にしか設置されていないようです。

私も、馴染むまでは「和式で十分」と思っていましたので、利用経験のない?ノーラさんが不要と思う気持ちはよく分かりましたが、それだけに「ぜひ日本に来て、とことんウォシュレットを使ってみて下さい。外国に来れば誰しも下痢は避けて通れませんし、日本で買って帰る中国人に限らず、その良さが泣きたいくらい分かりますよ」と力説せずにはいられませんでした。

ともあれ、ウォシュレットの良さを広めるには、日本政府ないし日本企業が、多少の出費をしてでも東南アジアにウォシュレットを自ら設置して、その良さを地元に広めるほかないのではないかと思います。もちろん、日本以上に節電や蓋を閉めずに立ち去る大馬鹿者対策も必要でしょうが、そうしたことも含めたスマートなマナーの醸成も伴ってくれればと思います。

或いは、賠償問題は解決済みとお叱りを受けるかも知れませんが、「かつて迷惑をかけた分だけ、今こそ快適さを伝えたい」などと銘打って、ODA予算?か何かで、日本企業(TOTOとかリクシルとか)がサービス価格で受注するとの前提で、シンガポールをはじめアジア諸都市に無償(或いは補助金などを通じた半額以上の負担)でウォシュレットを設置してはいかがでしょう。

とりわけ、国際空港や日本人(の富裕層ではない旅行者やビジネス人、現地邦人など)が多く使用する施設やホテルなどに設置するのなら邦人のためという面も強く出ますので、納税者の理解も得られると思います。

で、アジア諸国の経済発展と共に、「自宅に必ずウォシュレット」との認識がアジア全域に広まれば、爆発的な需要が生まれますので、(汎用品の供給はすぐに現地企業に取って代わられるかもしれませんが)ITを駆使した最新優良製品を欲しい層は日本から輸入するといった形でリターンもあるでしょうし、何より、「日本の技術と知恵で、身体に新たな快適を得た(これまでの不快感から解放された)」という経験自体が、アジア平和の礎になることは申すまでもありません。

そうした意味でも、アジアの最重要拠点都市の一つであり国民一般の所得も高いシンガポールには、一刻も早く我が国をあげてウォシュレットの普及に努めるべきではないか、と建ち並ぶ高層公共マンション群を見ながら感じずにはいられないものがありました。

ネットで少し調べてみると、ウォシュレットは清潔な水道水(軟水)を利用できることなどが条件になっているとのことで、水の供給が泣き所となっているシンガポールでは一筋縄ではいかないかもしれませんが、その点も含む総合的なインフラ開発・輸出ができれば良いのではと思います。

それこそ、前回の投稿の続きで言えば、国内需要を超えて大量生産されている?日本の町弁達とウォシュレットは、諸外国にこそ活路があるのではという点で、似たような面があるのかもしれません。

そういえば、10年以上前にお邪魔したエジプト旅行でお会いしたガイドさんに同国の法制度を少し尋ねた際、エジプトはナポレオン時代からフランス法の影響が強く、同国憲法はフランス憲法と同じような仕組みになっている(ので大統領制だ)などと言われたような記憶があります(但し、肝心の私が仏国憲法のことを全然分かってませんが)。

そうした話を伺う楽しみという点でも、語学能力に欠ける私のような者は、この年になれば、無理にバックパッカーを気取らず、日本語ペラペラなガイドさんと上手く話ができる環境を作り、彼我の社会や文化の違いをよく聞いて学ぶことに留意すべきだと思いました。

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