北奥法律事務所

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04月

野党合併論争と「階議員と達増知事が対決する日」

先般より、国民民主党(旧・民進党の中道派?の方々)と自由党(現在の小沢氏勢力)が、岩手1区選出の階議員が反対する中で合意されたとの報道がなされています。
https://www.sankei.com/politics/news/190426/plt1904260009-n1.html

階議員は、もともと達増知事が岩手1区から知事選に出馬した際に達増氏の後継者として見出され、達増知事らの強力な支援のもと当選を続け、当初は、各所で小沢氏の応援演説をなさっていました(私も、弁護士会の会合など複数の場で聞いたことがあります)。

が、その後は民主党分裂騒動の際に小沢氏と袂を分かったのを振り出しに、民主党岩手支部の財産管理を巡り小沢氏勢力と訴訟闘争を余儀なくされたり選挙でも小沢氏勢力(希望党候補となった達増知事の奥方)と対決を経験するなどしており、その後に親分として担いだ細野議員に希望党騒動が生じたことも含め、旧民主党系の現職議員の中では激動の政治家人生を歩んだ方の一人と言えるでしょう。

報道では、支援者との協議次第では離党の可能性もありうるとのことですが、階議員が、今後、政治家としてどのような道を進まれるのだろうか、そして、それに対し周囲の政治状況がどのように反応するのかという点については、選挙区民ならずとも興味深く感じるところではと思います。

残念ながら、当方は事情通の類では全くありませんので、次のような劇的な展開になったら、大変おもしろ・・もとい、岩手1区内で政治や政策のあり方を巡り深い議論がなされるのでは妄想しないこともありません。

①階議員があくまで合併反対を貫き、同志と共に離党。

②参院選は、さしあたり無所属で「岩手の旧民進党勢力」の方々と共に黄川田氏を擁立。

③参院選は、野党票が割れて平野氏(自民系候補)が当選。

④それが自民党に事実上、恩を売った形となり、自民寄りの無所属議員として「将来の入党」を目指す。

⑤その延長で、細野氏と統一会派を結成。会派名「れいわ民主党」

⑥それらへの落とし前として、岩手の最強候補こと達増知事が、ついに次回の衆院選で岩手1区から「階議員への刺客」として出馬。

⑦自民党岩手県連もこれまで選挙で敗れ続けた達増知事を追い落とす千載一遇のチャンスとばかりに階議員の自民入党を了解・支援し、自民党候補となった階議員と野党系統一候補たる達増知事の一騎打ちが実現。なお、現職の高橋議員とは比例優遇または参院・県知事選出馬?などを通じて円満解決し、両者とも必勝の態勢を整える。

かくして、達増夫人との選挙戦(仮称・いわて保元の乱)に続く階議員と達増家の宿命の対決・第二幕の結果やいかに!

などという展開になってくれれば、少なくとも現時点では、どちらが勝つのか全く見通せませんので、1区であれ他の選挙区であれ「投票日前から結果が見えていて、投票所に行く気力も失せる選挙」ばかりが続く岩手の選挙史上、かつてない稀有な戦いが期待できるのではと、政治家の方々とはご縁のないノンポリ無党派層としては、野次馬根性を逞しうせずにはいられません。

ともあれ、選挙に身を委ねなければならない方々の大変さに敬意を表しつつ、国民主権の内実を高めるような質の高い営みがなされることを願っています。

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R01.5.19追記

先日の報道で、階議員が国民民主党を離党しつつ黄川田氏の擁立は断念するとの報道があり、残念ながら?②が外れてしまいましたが、他勢力の支援が得られない中で予測される結果からすれば、現実的な判断と言わざるを得ないのでしょう。

ともあれ、階議員が「小沢氏と袂を分かちつつ、自民に与するわけでもない」状態では、達増知事も「落とし前」の名分が立ちにくく、このままでは「階議員vs達増知事」という宿命?の対決は実現しそうにありません。

しかし、選挙で厳しい戦いを勝ち上がることは政治家にとって何よりの求心力になるでしょうから、お二人がそれぞれ「影響力のある国政政治家」でありたいと希望なさるのであれば、そうした戦いが実現することこそ、お二人のために良いことなのでは?と思っています。

石川知裕君の健闘と北海道知事選の先にある「道民の魂」の深化を願って

明日に投票が行われる北海道知事選には、以前にも書いたことがありますが、私の高校1年時のクラスメートである石川知裕君が出馬されています。

彼にとっては申し分のない乾坤一擲の大舞台として健闘を大いに讃えたい一方で、様々な経緯から野党統一候補として擁立され、師匠格であり強い信頼関係で結ばれていた鈴木宗男氏や松山千春氏とも袂を分かった形で選挙戦を余儀なくされたこと、彼自身は本質的には野党色の強い方ではなく党派色のない「道民全体を代表したい」との意識の強い方であろうことなどから、心中いかばかりかと察せずにはいられません。

それはさておき、高校3年間、北海道のよそ者として全道各地から集まってきた若者を拝見する中で、「蝦夷の国」こと北東北との異同を感じたり考えるなどしてきた身としては、彼が「北海道独立宣言」なるスローガンを掲げていることには、強い関心を抱くと共に、議論の深まりを大いに願うところはあります。

今回の選挙戦は、与野党の党派対決という見方をするのなら、現政権が現在のところ大きな失政批判も受けずに運営していることなどから、世間の関心もさほど高まらないのもやむを得ない、という感じがしますが、北海道内の本質的な路線対立の闘いという見方をするのであれば、非常に意義のある選挙だと言えるはずです。

大前提として、私もさほど勉強したわけではありませんが、北海道は、極端な「札幌一強(富や権力、人口その他の札幌集中)社会」であることは間違いありません。隣の韓国は極端なソウル一極集中社会ですが、その点では日本で最も韓国に近い社会経済構造になっているのではないかと思います。

日本全体に「東京(首都圏、或いは大都市圏)的なるもの」と「非東京的なるもの」の路線や利害の対立があるように、北海道は「札幌的」な都市住民と「非札幌的」な田舎在住者との間で社会経済生活や意識などの分断・疎遠さがあり、両者は、あたかも「自分達は一つのクニ(北海道)の住民として、アイデンティティを共有しているのだろうか(そうしたものを共有しない、違うクニの住民同士になっているのでは)との様相を呈していると感じる面があります。

東北でも、震災後、猛スピードで一極集中(いわば「札幌化」)が進む仙台と他の地域とで、同種の現象が出てきているでしょうし、岩手でも、規模は遙かに小さいでしょうが「盛岡圏(や花北圏などの一部)とその他圏」との間で同じような分断が一定程度、生じているように感じます。

独立宣言なる石川候補のスローガンは、ご自身が足寄(十勝の田舎)の出身であり議員時代などに道東の農業等従事者の利害代弁を強く意識してきたことからも示されるように、北海道における田舎(地方)の人々の意識を代弁する面が強いように感じますし、そのことは、「ラストベルトの代弁者としてのトランプ氏」に類する面があるのかもしれません。

余談ながら?高校も「北海道の田舎の秀才が集まる高校(札幌や旭川の方は、南高・北高など地元のトップ校に進学されるので、ラ・サールには来ません)」で寮生活を過ごしていますので、その点でも道内の都市的なものよりも田舎的なものの方に親和性があると言えそうです。

これに対し、相手方の鈴木氏は、ご自身が東京出身(元都庁職員)という点もさることながら、破綻した北海道の田舎(夕張)を国家ないし東京的なるものの強い影響のもと(時に現場に様々な疲弊も生じさせつつ?)苦労して再建する事業に携わり、現在も中央政府=自民党政権の強い支援下で選挙選に従事されていることなどから、ご自身のお気持ちなどはどうあれ、否応なく「東京・札幌=都市的なもの」の価値観(バックグラウンド)を体現する候補としての色合いがあるように思われます。

要するに、鈴木氏vs石川氏という対決は、「北海道の都市的なものと田舎的なもの」という路線対立の意味合いがあるように思われるのですが、それは、北海道においては、「東京的なもの」との関係性をどのように捉えるかという点で、東北とはまた違った彫りの深さがあるように感じます。

高校時代、私の学年では東京方面の人は全くおらず、本州では北東北勢と関西方面の方しか見かけませんでしたが、道内から集まってきた面々を見て、この人達は標準語(ひいては東京的なるもの)にコンプレックスを持っており、北海道弁に愛着を示しながらも、それが、標準語よりも表だって言いにくい言語で、なるべく標準語で話さなければならないとの意識を持っているのではと感じるところがありました。

より露骨に言えば、彼らに「一番偉いのは(ここに東京の人がいないのに)標準語、次は北海道弁、関西弁は異世界なので良くも悪くも別格、東北弁は下位カースト」という無意識の姿勢があるのではと感じるところがありました。

少なくとも、関西勢は、声や態度の大きい人も僅かながらいたせいか、言語として弾圧されることはなく寮内で遠慮なく関西弁を通していたのですが、北東北勢は、私に限らず個人のキャラの問題もあったのか、肩身の狭い思いを余儀なくされ、少なくとも「地元の言葉(訛り)では話しにくい」という雰囲気は明確にありました。

余談ながら、私は大学に進学して東京に出てきたとき、「東北の人なのに全然訛ってないね」と何度も言われたことがありますが、良くも悪くも高校時代(大部屋たる高1寮)の経験が強く影響したのだと思っています。

で、何のためにこの話を書いたかと言えば、東北(とりわけ北東北)の民が、「長年に亘り中央政府とは異なる文化や歴史を紡いだ蝦夷のクニの末裔」という意識(プライド)を持ちやすく、それが東京的なるものとの距離感を持つ上で時に役立つ面があるのに対して、北海道は、良くも悪くも明治初期の移民・開拓政策を中心に出来上がった社会であり(それゆえに、最大母体であろう東北のアイデンティティが失われたのは、残念なことだと言わざるを得ないところはありますが)、東北よりも物心両面で東京的なるもの=中央政府との距離感が近く、悪く言えば「東京的なるもの」に依存・従属しやすい面があるように感じるのです。

であればこそ「北海道独立宣言」という石川候補のスローガンは、そうした北海道のアイデンティティを改めて見つめ直し、その上で道民のプライドを再構成しようではないか、というメッセージのようにも読み取ることができますし、ご本人もさることながら、多くの道民(受け手)が、そのような観点で議論を活性化させることができれば、そのことは、今回の選挙で個別の争点として掲げられた事項(原発、IR、JRなど)に負けず劣らず意義のあることではないかと思っています。

北海道の出自やアイデンティティをどのように考えるかという問題は、江戸期から明治初期に北海道に進出した多くの和人を「困難な開拓を生き抜いた誇りある素晴らしい人々」と称賛すべきか「アイヌから土地と文化を奪った悪い奴ら」と糾弾すべきなのか、難しい面も有していると思います。

いわば、北海道は日本で唯一と言ってよい、米国、豪国などと同じ十字架を背負った土地であり、そうであればこそ、我が国で、北海道だけが体現、実現できる価値があるとも感じます。

道民ではない私には、選挙戦そのものについてコメントできる立場ではありませんが、結果はどうあれ石川君の「他の誰にも体現できない数奇な闘い」は今後も数十年に亘り続いていくのでしょうから、それが社会にとって意義のあるものになると共に、ご自身やご家族のますますのご健勝を強く祈念しています。