北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

〒020-0021 岩手県盛岡市中央通3-17-7 北星ビル3F

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事務所全般等

平成31年の年頭のご挨拶

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年も、地域の中小企業や個人の方々の様々な法的問題の対処、解決に従事しましたが、争点が多岐に亘る建築関係の訴訟や担保権付不動産の処分に関して難しい法律上の争点に加え多数の利害関係者の調整が必要となった事案など、苦心の末に良好又は穏当な成果を挙げることができた受任事件が幾つもありました。

本年も交通事故や家庭内の問題、債務整理など日常的に取り扱う類型から行政の重要な経済政策が争われている訴訟など規模の大きい事件まで、個々の受任事件に懸命に取り組むことなどを通じて、ささやかながらも社会のお役に立てればと願っております。

皆様におかれましても、変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

ところで、31日の夜から1日未明にかけて、「エクソシスト7」と「8及び9」というタイトルが付された夢を見ました。

人類が世界各地で悪魔に敗北し多くの人々が禍々しい姿に転じて闇夜で狂宴を繰り広げる中、最後にマコーレ・カルキン風(ホーム・アローンより)の少年が巨大な魔女と対峙し何某かの対話(議論)を繰り広げた末、魔女が悪魔達を引き連れて去り、人々が元の姿に戻っていくと共に闇夜に天から光がさして終幕を迎える、というものでした。

法的紛争も時には禍々しい何かが憑依したような様相を呈することもありますので、そうした状態の解決に今後も多少なりとも役立つことができればと思っています。

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平成29年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成29年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争や離婚後の面会交流の拒否に伴う間接強制を巡る紛争など、親子間の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い、穏当な和解による解決に努めています。

成年後見の選任も増加傾向にあり、後見人のほか保佐人・補助人として選任される例もあります。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

昨年は、意思疎通には問題がないものの家庭内に複雑な事情を抱えたご年配の方から財産管理に関するご依頼を受け、福祉関係者と協議しながら家庭内の問題への対処を含む様々な対応を行った案件もあります。

相続分野では、遺産分割を巡り当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去直前に親族に財産の一部を贈与する趣旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの、贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり、他の親族も巻き込んで複雑な展開となった事案)などを手がけており、必要な主張立証を尽くした上で、裁判所の和解勧告などに踏まえて解決しています。

また、身寄り(配偶者や子、両親)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行っている事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

他にも、相続登記が放置されたため多数の相続人が生じている不動産の権利関係の処理に関し、他の相続人への交渉が必要となった事案や、相続財産管理人として受任し共有物分割請求訴訟に対処する事案なども担当しています。

離婚・親子・相続などに関しては、以前にセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった多数の方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を、自治体(岩手県)の代理人として受任しています。

本年3月末に1審判決があり主要争点で当方(県)の主張を全面的に認める勝訴判決をいただいており(報道でも大きく取り上げられた「サケ刺網訴訟」です)、相手方(県が必要やむを得ない規制として定めた事項に不服のある一部の漁業者の方々)の控訴に伴い、今後も解決に向け対応を続けていく予定です。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、窃盗や詐欺、傷害、覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの事件(大半は国選事件ですが私選のご依頼もありタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けており、起訴前に示談し不起訴となった事案も幾つかありました。

中には、逮捕時に被疑者宅に多頭崩壊とみられる猫の大量残置などの問題が判明し、動物保護の関係者と協議しながら適正な対応を図った事案もありました。

少年審判(未成年者に関する刑事事件)についても、試験観察を経て保護観察(社会内処遇)が定められた事案など複数の事案も受任しています。

その他の業務としては、岩手県民生活センターが主催する消費者向け相談岩手県総合福祉センターの高齢者・障碍者向け相談など幾つかの相談事業を担当しているほか、東北厚生局の訟務専門員として保険診療の不正受給問題への対処のお手伝いをしています。

平成29年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成29年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

昨年も交通事故被害者側での受任事件が多数あり、ほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案のほか、過去には、死亡事故重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案も含め、幅広く取り扱っています。

事故直後など加害者側の示談案提示前の時期から受任して後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、神経障害に関する後遺障害(14級9号など)をはじめ、幾つかの後遺障害につき認定を受けるための調査や医療機関への照会などを行いました。

交通事故以外でも、スキー場のゲレンデで転倒事故に遭った方が、運営企業の管理責任を問うた賠償請求訴訟(責任の有無が争点になり一定の勝訴的和解で解決)や犯罪被害に遭った方の賠償請求(実務上相当とみられる額で示談)を担当したり、介護施設での転倒事故に関して責任の所在などを検討するなど、交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

昨年も、交通事故などについては弁護士費用特約により自己負担なく依頼をなさる方が多くありました。自動車保険などでは、必ずこの特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

昨年も個人間の貸金に関する紛争、不動産の登記(古い登記の抹消など)に関する訴訟、不動産の賃貸借を巡る紛争(明渡、立退問題ほか)など、多くの事件を手がけています。

不動産の登記を巡る紛争では、訴訟上の争点となった消滅時効の成否だけでなく対象となる不動産の売却とそれに伴う納税などの問題が複雑に絡み合い、法的な主張立証のほか多くの関係者と様々な利害調整が必要になった事案なども担当しています。

明渡請求に関しては、建物が簡易なプレハブで未登記であるなどの事情(また、相手方の行方不明の問題など)から、訴訟での請求内容や強制執行にあたり様々な配慮を要した事案なども担当しました。

他にも、弁護士会の「精神保健当番弁護士制度」により、精神科病院に医療保護入院中の方から退院請求の手続について依頼を受けた事案があります。本人の症状や関係者への聴取などから退院が認められるのは困難な事案であり、請求そのものは退けられましたが、精神科医療の実情や制度などについて知見を深めることができた面がありました。

また、震災無料相談制度を通じ多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件など生活上の様々なトラブルに関するご相談や簡易な交渉対応などに応じています。

平成29年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。例年、2月前後に業務実績を顧問先に送付し、時間を置いてブログに掲載することとしていますが、諸事に追われブログへの掲載の方がかなり遅くなりました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

平成29年も、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などについて、様々な分野の紛争解決や法的処理のご依頼をいただきました。

ここ数年は①と②の受任が多くなっていますが、③も自己破産や個人再生の受任が増加傾向にあります。企業の取引や内部紛争などに関するご依頼は件数こそ多くないものの、昨年も、大規模な事案を含む様々な事件の解決やご相談の対応に注力しました。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

企業取引に関する紛争の例としては、商業店舗の土地建物の賃貸借に関し問題が生じ、借主が貸主に賠償請求している事案を担当しています。

少し具体的に述べると、商業店舗を営むX社がY社から建物を賃借し店舗経営していたところ駐車場用地の一部がY社ではなく第三者(以前に当該建物を所有していた企業の関係者A)の所有になっており、そのことをYが把握しないまま、Aが当該土地を隣地所有者Bに売却し、BがXに当該土地(駐車場用地)の明渡を請求をしたため、Xはこれに応じざるを得なくなりました。

そのため、Xは、駐車区画の大幅減少を強いられ集客に必要な駐車場用地が確保できず契約目的(店舗経営)が達成できないとして、賃貸借契約を解除し他所に店舗を移転し、移転経費や移転期間中の逸失利益についてYに契約違反を理由に賠償請求をしました。

当方(X)に対しYは「移転の必要はなかった」などと主張し全面的に請求を争っており、現在も裁判が続いています。

他にも、建築瑕疵の是非などを巡り複雑な争いがある建築紛争を建設会社側で受任した事案もあります。

企業の内部紛争に関しては「NPO法人αがA町から大規模な震災復興事業を受託した際、α自身が高額資産の所有者になることができないという行政のルールに起因して、事業の受皿企業としてβ社を設立し、αがAから送金された受託費をリース料名目でβに送金し、βの名義で資産購入とαへの貸与などを行っていたところ、αが破産し、管財人Xが『その資産の所有者はβではなくαだ』と主張し、βに対し資産の引渡しなどを求めた(が、β代表者γ氏には直ちにこれに応じることができない事情があり一定の交渉が必要となった)」という事件(協力関係にあった企業間の財産の帰属を巡る紛争)につき、β社から依頼を受けて対処する案件を担当しました。

これは補助金の巨額不正使用などで世間を震撼させた「大雪りばぁねっと」事件を巡る民事紛争であり、様々な偶然(ややこしい事情)から民事裁判の開始後間もなくγ氏(大雪の代表者ではありません)より依頼を受け、管財人の適正な業務に協力しつつ、γ氏として法律上正当な権利ないし利益の確保(利害調整)を目指すことになりました。

そして、膨大な関連事務を経て主戦場となった事件では1審で勝訴したものの2審で裁判所の勧告に従い和解で終了、という展開を辿りました。

大雪事件では民事・刑事で様々な弁護士が事件に関与していましたが、管財人や大雪の代理人をはじめ、民事事件を担当していたのはほとんどが東京の弁護士の方で、民事事件に関与していた岩手の弁護士は実質的に私だけでしたので、依頼者の正当な利益を図りつつ地元の弁護士として事件の適正解決に貢献するとの気持ちで取り組んでいました。受任から完了まで約2年半を要し、学ぶところの多い事件でもありました。

企業の内部紛争に関しては、他にも、未払賃金などの労使紛争、企業の役員の不正行為が発覚し責任追及をした事件などで代理人として対応しています。企業取引に関しては、中小企業庁の「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者に対する売掛金請求や発注者の不当対応への対処についてご相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は数年前に比べて僅かなものとなっていますが、近時は「総債務額がさほど大きな額ではない(100~200万円未満)ものの僅かな収入しかない又は無収入ゆえ自己破産をせざるを得ない方」「複数の銀行などに300~400万円程度の借入があり、他にも住宅ローンがあるため、住宅を維持しつつ債務を圧縮するため、個人民事再生の手続を利用する方」、「銀行に数十万円の借入があり、リスケジュールのため任意整理を希望する方」からのご依頼が増えています。

また、10年以上前に借り入れた債務を滞納していた方が「債権譲渡を受けた」と称する企業から最近になって請求を受け消滅時効などにより解決を求める事案も増えています。

過払金訴訟は時代の変化に伴い依頼を受けることがほぼなくなりましたが、債権譲渡を含む特殊な対応が必要となる事案の依頼があり、業者側も多数の論点について全面対決の姿勢を示しているため、適正解決のため懸命に取り組んでいます。

企業倒産(破産管財)に関しては、平成27年に管財人を拝命した製材等を営む会社に関し、訴訟や原発ADR、原状回復などの事務処理や法的手続が必要となり、平成28年に受任した建設関係の会社についても、多数の不動産の任意売却や不動産利用を巡り錯綜していた権利関係の整理、労働債権の対応など、様々な法的対応に負われました。

また、金融機関に巨額の債務がある一方で他にほとんど負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)から廃業支援の依頼を受け、金融機関に一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で定める額(99万円)よりも多い個人資産を手元に残した状態で破産せず債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)による解決を実現するため、不動産の任意売却などを含め、2年ほど交渉を続けた事案で、昨年に特定調停により自宅マンション(無担保)を処分せず残存させるなど当方の希望に沿う解決を実現することができました。

個人の方の破産管財についても、破産手続以前に親族への無償譲渡行為があり否認権を訴訟で行使し配当を実現した例や個人事業主の方など、幾つかの事案を担当しています。

平成30年の年頭のご挨拶

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年も交通事故や家庭、中小企業や個人の様々な法的問題の解決に関する業務が中心でしたが、2~3年かけて多くの関係者との間で複雑な利害調整と膨大な事務作業に追われた末にようやく解決・決着した印象深い事件も幾つかありました。

例えば、定年後に銀行から巨額の借入をして起業したものの収支が好転せず資金繰りが行き詰まる前に相談された方について、事業の停止による混乱を極力回避しつつ、銀行との長期の交渉により、無担保のままとなっていた自宅を処分せず存続させた上で、多額の債務免除を伴う解決を実現した事案(経営者保証ガイドラインによる債務整理)がありました。

また、震災復興に絡む巨額の補助金の不正利用が露見し全国を震撼させた「大雪りばぁねっと事件」の民事上の処理に関する主要事件に平成26年から携わり、3年かけて裁判上の和解により決着をつけたこともあります。

全ての事案で依頼主の希望する結果を勝ち得たとは言えないでしょうが、大半の事件では、主張立証を尽くした上で、裁判所の勧告をはじめ事案の性質に即した穏当な解決を了解いただいたのではないかと思います。

上記の自宅確保の例のように、交渉で望ましい成果を挙げることができた案件も相応にありますので、こうした経験を今後に生かすことができればと思います。

現在も、「高齢の方の財産管理や相続に絡んで家庭内に難しい問題があり信託による解決を模索せざるを得ない事案」をはじめ、幅広い検討と多様な関係者との折衝を要する事件のご依頼も多く、悪戦苦闘の日々を送らせていただいております。

開設から14年目を迎えた当事務所では今後も時代に適合する良質なリーガルサービスを提供すべく研鑽を重ねて参りますので、変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

主要地銀も認めた「北東北=北奥」というブランディングと当事務所の魂

4月5日の日経新聞に、北東北の主要3地銀(岩手銀行、青森銀行、秋田銀行)が「北奥 HOKUOU 北東北の味とカタチ」と題する観光小冊子を共同で刊行したとのニュースが出ていました。
http://www.claska.com/news/2017/03/do_hoku-ou.html

主に、女性の周遊客の獲得を狙って全国展開しているようで、ネットで調べた限り、タイトルを「北奥」とした理由を見つけることはできませんでしたが、女性観光客にこの地域を「オシャレ」にPRするには、「北東北」という言葉ではなく、「北奥」と名付けた方が適切だと判断したものと思われます。

せっかく、そうした雑誌を出すなら、当事務所にも一声かけて欲しかったというか、それはさておき、北東北の主要3行が「北奥」という言葉(概念)に「北東北」の言葉にはない魅力や価値があると感じていることの表れなのでしょうから、一過性のものとせず、「北奥」という言葉を、北東北を象徴する概念として多くの方・企業などに用いていただければと思います。

ところで、私は平成16年に東京を引き払って岩手に戻る際、北東北の社会と人々のために生きる弁護士というコンセプトのもと、それを体現する言葉として「北奥」という企業名(事務所名)を考案し、以来、当事務所のアイデンティティとして掲げています。

もちろん、「北東北法律事務所」などはネーミングセンスが悪い(また、北東北の三県全部に店舗展開しているならまだしも、ちっぽけな個人商店に過ぎないのだから、雅称を拝借するに止めておくべきだ)、という判断があったことは言うまでもありません(他にも色々と候補名はありましたが、ここで挙げるのは遠慮します)。

最初は、他所で使われていたものを拝借したのではなく自分なりに思いついた言葉でしたが、全くのオリジナルよりは、多少とも歴史などの重みがある由緒ある言葉を使いたいという欲があり、少し調べてみると、「北奥」という言葉は滅多に見かけないものの、全く使われていないわけではなく、歴史関係の書籍で北東北を一括りに論じようとする際に、稀に使われていることが分かり、それが決め手になっています。

以前にも書いたことがあるかもしれませんが、「東北(地方)」という言葉は、基本的に明治以後に成立した言葉ないし概念と理解しており、それ以前から存在している「奥州(陸奥・出羽)」という概念と比べて、歴史の重みを欠くというか、私自身はあまり好きではありません。

wikiによれば「東北」は幕末頃に使われるようになった言葉で、明治期に西南=勝者たる薩長土肥に対抗・抵抗する「民権(反官)の牙城ないし象徴」といったニュアンスで、この地を表す概念として広まったようです。

しかし、私に言わせれば、東北(奥州)は、明治政府(薩長土肥)の敵役であることが本質(地域のアイデンティティ)ではなく、戊辰戦役は「政見の異同」に過ぎないわけで、東北という言葉に縛られる(「ありき」で考える)のは、「この地が何者であり、どこから来て、どこに行くのか」という本質的な考察を失うことになりかねないと思います。

その上で、私自身は、この地の本質(固有の特徴)は、日本列島(北海道を除く本州)では弥生人(大和国家)の征服が遅れたことで縄文人の文化が最後まで残った地域であり、縄文人の末裔たる蝦夷(奥州人)がアイヌ(北海道人)と大和国家(弥生人)の双方と交流を持ちながら独自の文化・社会を維持していた(が、最終的に平安朝から鎌倉期にかけて大和国家に呑み込まれる形で同化した)という点にこそ求めるべきではないかと考えており、そのような理由から、必ず言われる「辺境性」と共に、異質な文化・民族が交わる結節点(融合点)的性格(地域的な事柄だけでなく、人的役割などを含め)を掘り下げる視点があってよいのではと考えます。

そうした意味では、大和朝廷に名付けられたものとはいえ、奥州という、何か得体の知れぬ異形の存在が潜んでいるかようなニュアンスを含む言葉を私自身は大いに気に入っており、この地域の人々は、もっと大切にしなければならないのでは?と思っています。

だからこそ、大和国家との同化の程度が強く「奥州人」としてのアイデンティティが現代ではほとんど消失している南東北と異なり、同化の程度が低く(遅れて)、抵抗と闘いの歴史や独自性の強い文化を擁している北東北の人々には、そのことへのこだわりを全国・世界に正しく表現して欲しいと思っています。

平成10年頃に「道州制」が盛んに語られていた際は、北東北三県の統合なども話題にされていたと思いますが、人口減少という大きな社会変化に伴い、改めてそうした議論が盛んになってくるかもしれません。

その際の「統合された地域の組織のあり方や名称」は、行政の都合で役所を統合するだけといった話ではなく、この地のアイデンティティを掘り下げ、地域の一体化に相応しい統合の哲学や言葉を探して欲しいと思いますが、「北奥」はそれに相応しい概念・言葉というべきで、地銀さん達に限らず地域の方々に広く使っていただきたいと思います。

現在は、当事務所の職員が電話口で事務所名を説明する際に「奥様の奥です」などと話している(しかも、県内の方に向かって・・)のを聞く都度、「せめて、みちのくの奥かムツノクニの奥と言って欲しいんですけど・・」と愚痴ばかりの日々というのが正直なところですが、いつの日か、「北奥州」の輝かしい成立の光景?を見届けることができればと地域の片隅で願っています。

平成28年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚請求や関連紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、様々な立場の方から多数のご相談・ご依頼を受けています。被害者側の受任事案で、加害配偶者側が不貞を争ったものの、携帯電話の会話記録などを整理して不貞の事実を立証して賠償金が認められた例もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争離婚後に生じた子の引渡や親権の変更を巡る紛争など、親子の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い穏当な和解による解決に努めています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、遺産分割を巡って当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去の直前に親族に財産の一部を贈与する旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり長期化した事案)などを手がけています。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、相続財産管理人やそれらの一貫として遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行った事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、急速に増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが紛争やトラブル発生の防止のため望ましいことが多いと思われますので、遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め、早期の対策などをご留意・ご検討下さい。

離婚・親子・相続などの問題に関しては、昨年中は幾つかのセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を自治体側の代理人として受任しています。

詳細は差し控えますが、その分野に関する長年の政策的な積み重ねの当否などが争点とされている事案であり、担当の方から様々なお話を伺うと共に、行政訴訟に関する基本的な法律論(取消訴訟の主張立証のあり方や行政裁量の問題など)の検討も積み重ねており、大変しんどい裁判ですが、固有のルールが複雑に重なる行政訴訟を手がける上では、学ぶところの多い事件となっています。

他にも、区画整理に伴う損失補償の問題に関する事件を手がけたこともあります。

刑事弁護については新人弁護士の増加により受任件数は多くありませんが、被疑者段階を含め、窃盗や覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

また、私選での少年審判の受任もあり、事件の背景や今後のあり方など少年の更生環境を検討したりご家族とお話しする機会がありました。

その他の業務としては、昨年に引き続き被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。数年に亘り大船渡の法テラス気仙など沿岸での相談を担当してきましたが3月に担当を外れ、本年は内陸部での相談が主となります。

平成28年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

争点としては、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案が多く、過去には死亡事故や重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案など、幅広い類型を取り扱っています。

事故直後など加害者側の示談案提示前の時期から受任し後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、実務では非常に多い「レントゲン等による所見が確認されない神経障害に関する後遺障害(14級9号)の成否」などについて、幾つかの例を通じ知見を深めることができた1年だったと思います。

また、本年は学校で生じた生徒間の事故に伴う賠償請求訴訟(後遺障害の評価が主な争点となったもの)、若年者間のスポーツ事故に関する賠償責任や関係者間の求償(加害者側と施設管理者の責任割合など)につき検討を要した事案など、加害者(損保)側の立場での検討を含め交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

他にも、福島第一原発の事故に基づく東京電力に対する賠償請求(県内企業が受けた被害の賠償を求めるもの)を手掛けており、特殊な事情から長期化したものの、先般、原子力紛争解決センター(ADRの手続)で相当な解決案が示されて無事に終了できました。

現在のところ弁護士費用特約は保険料も低廉でご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

個人間の貸金に関する紛争(授受の当事者双方が死去して貸主相続人が借主相続人に返済を求めたものの、相続人は双方が貸金に関与しておらず、領収書などの直接証拠が乏しく立証に課題のあった事件)、不動産の登記(古い登記の抹消など)に関する訴訟、労働審判(労働者側)など、多くの事件を手がけています。

不動産の賃貸借の紛争では、契約終了に伴う貸主からの借主への目的物返還や賃料などの請求を貸主代理人として扱った案件が幾つかありますが、中には、「貸主の相続人が借主に明渡等を求めたところ、借主が、被相続人から目的物を(廉価で)譲り受けたと主張し、被相続人と借主との間で売買契約が締結されたかどうかが争点となった例」もありました。

「被相続人(ご両親など)と相手方との間で何らかの問題が潜在し、相続の際にそれが噴出して相続人が法的対応を余儀なくされ、被相続人の真意や生前の協議内容などを巡る事実の立証などが問題となる事案」は、昔から非常に多くあります。ご高齢のご両親などが多くの権利関係を有するのでしたら、ご親族内部に相続紛争などの問題がなくとも、対外的に問題が生じる可能性があることも踏まえて、ご両親から事情を確認していただくなど適切な対応・ご準備を考えていただければと思います。

また、多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件など生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じており、大半の方が震災無料相談制度を通じて費用負担なくご相談いただいています。

(以下、次号)

平成28年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。例年、1月か2月頃に業務実績を顧問先にお送りして、その後にブログに掲載することとしていますが、諸事に追われブログへの掲載の方がかなり遅くなりました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

平成28年も、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などについて、様々な分野の紛争解決や法的処理のご依頼をいただきました。

全般的には、①②は件数も多く論点も様々で、③④⑤は件数こそ多くないものの作業量や問題となる点が多い大型案件の解決に力を注いだ1年になりました。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

①旧所有者による廃棄物の不法投棄に伴う撤去費用を請求した事件

A氏が建物の建築目的で岩手県内の某土地を不動産業者Bから購入しC社に建築工事を発注したものの、着工後まもなく土地の地下にコンクリートガラや廃材などの廃棄物が埋設されているのが発覚したのでC社が調査したところ、10年以上前に同土地でD社がコンクリート製の建物を建築して営業しており建物解体の際に不法投棄された疑いが濃厚だとして、D社の責任を求めたいという相談を、C社(A氏から相談を受けて被害解決の窓口役を担当)から受けたという事件があります。

直接の被害者はA氏ですが、瑕疵担保責任などの事情からA氏に土地を売却したB社にも被害が生じ、最終的にC社にも様々な損失が生じるおそれがあった事案で、実質的にはB・C社vsD社側の様相を呈しました。

様々な検討の結果、D社側に賠償責任を問うべき案件として請求したところ、D社は「残置物は自分達の建物の解体物ではなく埋設もしていない」などと全面的に争ってきたため、D社側を相手に賠償請求しました。

D社側が全面対決の姿勢を示し「埋設された物はどこから来たのか、どうしてその土地の地下にあるのか、個別の埋設物とD社建物との結びつきはどうか」などの様々な問題について広範な主張立証を余儀なくされたほか、撤去費用の相当性なども争点になり、2年以上を経てようやく裁判所から和解勧告が出て、完全な満足ではないものの埋設物がD社建物から生じたものであるとの前提でD社側が相当の費用(解決金)を支払うという当方の主張を十分に酌んだ内容の勧告をいただき、協議がまとまりました。

膨大な労力を投入せざるを得ず、消耗の大きい事件でもありましたが、不法投棄問題に関しては日弁連の活動を通じ廃棄物処理法のルールを多少は存じており、その知見を活かすこともできたので、その点は何よりでした。

②業務委託契約で途中で問題が発覚し頓挫した後、報酬や損害の負担が争われた例

A社がB社から受注した業務の委託料などを請求する訴訟をA社代理人として対応し、当方の請求を認める判決をいただき無事に回収して終了したものがあります。

受注した事業に関する行政手続上の不備(Aが事業のため用意した設備に関するもの)で事業が途中で頓挫したため、Bは「契約時のAの説明に問題があった」と主張して支払義務を争い、Aに賠償請求しましたが、契約の締結から事業の破綻までにいたる事実経過を丹念に説明し、双方の尋問結果も踏まえ、Aの対応に特段の問題はなかったとして、Bの主張が退けられました。

ただ、A側も事業の準備のため多額の経費を投じたものの経費を賄うだけの売上を得られたわけではなく、両社痛み分けに終わった面もないわけではありません(A側にも見通しの甘さなどの反省点はあったと思います)。

この件のように受発注の対象となった事業の継続性に何らかのリスクが内在する場合は、リスクの発現時に責任の所在を巡り泥沼的な紛争が生じることが非常に多くあります。

事前にリスクを予め検討して明確化すると共に、そのリスクが現実化した場合の負担を誰がどのような形で負うのかを予め契約書などで明示しておくことで、裁判等による紛争の長期化、高負担化を避けることができます。

契約前にそれらのリスクや不安を具体的に弁護士に説明いただければ、それに見合った文言などを整備し紛争に備えると共に、問題が生じる可能性や生じた場合の帰結を互いに意識しておくことで、リスク発生を防ぐよう互いに努力する契機とすることもできますので、事業者の方々におかれては、「ご自身が従事する事業に内在するリスクの確認と対処(弁護士への相談を含め)のあり方」を強く留意いたきたいところです。

③その他の紛争としては、「Bビルに入居していたA社が短期間でCビルに転居した際に、Bビルの入居時に差し入れた敷金の返還(破損部分の修繕を除いた残金)を求めたところ、AB間の契約書に壁紙やカーペットなども全面的に取り替える趣旨の特約(通常損耗負担特約)が含まれていたため、Bがそれらの交換費用等を理由に敷金全部の返還を拒否し、Aが納得できないとして返還請求した訴訟」をA代理人として対応しています。

事業者間の紛争であるため消費者契約法が適用されないものの、敷金に関し過去に積み上げられた議論や最高裁判決の趣旨などを踏まえ、本件では通常損耗を借主に負担させる合意は成立していないと主張し、それを前提とした勝訴的な和解勧告をいただき解決しています。

他に、中小企業庁が行う「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者の不当対応についてご相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は数年前に比べて僅かなものとなっていますが、近時は、「総債務額が極端に大きな額ではない(100~200万円未満)ものの、僅かな収入しかない又は無収入ゆえ自己破産をせざるを得ない方(生活保護の方を含め)」からの依頼が増えており、社会で広く言われている格差や貧困の問題を実感させるものとなっています。

企業倒産(破産申立)に関しては、約10年前に民事再生の手続の依頼を受けていた会社さんが様々な事情から法律上の問題が顕在化し、それらの整理・解決のため本年になって自己破産の申立を余儀なくされたという事案があります。

企業に関する破産管財業務では、平成27年に管財人に就任した製造業を営む会社に関し、訴訟や原発ADR、原状回復作業などの事務処理や法的手続が必要となり、本年に受任した建設関係の会社についても多数の不動産の任意売却や賃借関係の処理、労働債権の対応など様々な法的対応に負われました。

また、金融機関に巨額の債務がある一方で、それ以外にほとんど負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)から廃業支援の依頼を受けて、金融機関に一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で認められた額(99万円)よりも多い個人資産を手元に残した状態で破産せずに債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)による解決を実現すべく、現在も交渉している案件があります。

他に、個人の方の破産管財人を受任した事案で、破産手続前に親族への無償譲渡行為があり、否認権を行使すると共に、債権者への配当原資の確保のため様々な工夫を行ったケースなどがあります。

(以下、次号)

平成29年の年頭のご挨拶と新聞雪崩警報の先にあるグローバル社会の今後

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

例年は年末に妻の実家に帰省するのですが、今年は事情により正月を自宅で過ごし、その後に若干の休暇をいただく予定です。

そのため、大晦日の夜は、年末に済ませることができなかった「面倒な作業や論点が山積みの企業倒産(管財)事件における労働債権(論点多数)の弁済表と裁判所向けの検討レポート及び元従業員の方々への通知書面」の作成で過ぎてゆき、気がつくと、新年の6時頃には恒例の事務所ソファの寝袋で初日の出を見ながら昼まで初夢気分という、この上ない素晴らしい正月になりました。

昔は、深夜3時か4時くらいには仕事を切り上げて、残りの時間で溜まった日経新聞を一気読みするのが習慣だったのですが、根気が続かない老骨へと堕してしまったのか4ヶ月以上も山積みになるばかりの有様で、先日ようやくお盆の頃の「トランプ氏が失言で支持急落」などという記事を見て、おぉ、ヒラリー逃げ切りかなどと微笑ましい感想を抱いている次第です。

司法改革に伴う町弁業界の荒波と迷走は止まるところを知らず、社会正義のやりとりをする法曹界も今や大規模な弱肉強食の時代に突入していますが、群れに馴染めず権威にも束縛する権力者にもご縁がない田舎のしがない一匹狼の町弁として、ドラマではなく現実に存在する危機的な裁判実務の穴埋めに役立てるよう、今後も精進して参りたいと思います。

今年も町弁の基本である「①中小企業法務、②家事(男女・親子・相続等)全般、③交通事故などの賠償問題、④倒産・債務整理全般、⑤その他の民事上の法律問題・各種紛争」の5分野が業務の基軸になると思いますが、成長著しい若い世代をはじめ県内の他の先生方に負けることのないよう、研鑽を積んで法律家としての地力を高めると共に、一定分野・類型での特色やアドバンテージをより強調できればと考えています。

昨年の最後の投稿になった前回のブログでは、「平成という時代は個人の多様性と尊厳(に対する社会の包容力)という日本国憲法の最高規範(根源的価値)がようやく日本社会に浸透していく過程を描いた時代だったのではないか」、「次の時代は多様性の深化が進む一方、それを拒絶し既存のスタンダードの墨守を求める勢力との抗争が強まる時代になるのではないか」という趣旨のことを書いていました。

すると、本日の日経新聞の「私の履歴書」で登場したカルロス・ゴーン氏が「現代に大切なのは、アイデンティティを失わずに多様性を受け入れることだ。自分の人生がまさにそのようなものであった」という趣旨のことを仰っているのを見つけ、我が意を得たりと思わずにはいられませんでした。

アイデンティティと多様性という二つの核は、時に激しく対立する要素を有している一方、人間(個人)の尊厳(憲法13条)という触媒を通してこそ最もよく結びつき、輝くものでもあろうと思います。

そうした理念を掲げた武器(法)をもって闘う存在たる我々法律実務家の社会での役割は、ますます深化されるべき面があるはずで、そのことも視野に入れながら、良質な研鑽に努めて参りたいと思います。

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