北奥法律事務所

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見ず知らずの遠方の弁護士に仕事を頼むリスクと専門性を謳う広告だけによる弁護士選びの怖さ

先般「岩手県内の交通事故の被害で東京のA弁護士に依頼しているが、加害者側損保の言いなりとしか思えないような納得できない対応を受けている」と仰る方の相談を受けました。

要するに、特定の損害の支払を損保側に全面拒否されており、受任弁護士がそれに応じて欲しいという話をしてきたが、それが正しいとは思えないので、私にセカンドオピニオンを聞きたいというものでした。

で、その件では特殊な事情が生じているものの、全面拒否は絶対におかしい、このような考え方をすれば、当方の希望額の全額となるかはともかく、相応の額が認められるべきではないか(それが実務一般の考え方に沿うと思われる)と説明しました。

相談者の方は、A弁護士がインターネットでは「交通事故が専門だ」と標榜していた(検索で上位に出てきた)ので頼むことにした(が、その論点に限らず、残念な対応があった)という趣旨のことを述べていました。

少し調べたところ、確かにそのような標榜をしているものの、かなり若い弁護士さんで、Webで確認できる経歴その他に照らしても、その御仁が業界人としての優位性を喧伝するほどの内実が伴っているのか疑問を感じざるを得ない面もありました。

以前にも、似たような話でブログ記事を書いたことがあり、詳細は書けませんが、色々な意味で今回はこの記事に近い話ではないかと感じると共に、我が業界は病院など他業界と比べても、情報開示・品質保証機能をはじめ色々な意味で制度も利用者の認識なども熟度が低く、ミスマッチや消費者被害的な光景が生じているのではないかと残念に感じました。

まあ、私自身が逆の立場であれこれ言われることのないよう努めるほかありませんが・・

最近、東京など遠方の弁護士に電話と郵便のやりとりのみで事件依頼をする方が珍しくないようですが、残念な展開に至ったという話を聞くこともありますし、容易に会いに行けない遠方の弁護士に依頼しなければならない事件は滅多にあるものではありません。

現状では、途中から代理人たる弁護士の仕事に不満を感じるようになったとしても、相当に業務が進行した時点で解任等を求めるのは様々なリスクがあることは確かです。

それだけに、誰に頼むにせよ、最低でも1回は面談して互いの人となりを把握したり、ご自身が特にこだわっている点をきちんと伝えて見通しの説明を受けたり、多少とも不安に感じる(しっくりこない)点があれば、何人かに面談して最も信頼できる(相性も合う)と感じた弁護士に依頼するなど、最初の段階から適切な工夫を考えていただきたいところです。

また、Webサイトやチラシなどで専門性(他の弁護士と比べた優位性)を謳う宣伝があれば、本当に、ご自身を担当する弁護士がその内実を伴っているのか、サイトの内容は言うに及ばず、最初の面談時などに色々と質問をするなどして、きちんと確認することが望ましいと思います。

交通事故の不正被害者?の油断が裁かれる光景

Y運転の自動車に接触して負傷したXが、左膝打撲・左足捻挫等の傷害で病院や整骨院に半年ほど通院し、Yに慰謝料等として143万円強を請求しました。と、そこまでは、交通事故の実務ではごくありふれた話です。

ところが、その事件では、裁判所は「Xは2週間程度で完治した=その後も通院を続けてYに治療費等を支払わせたのは被害者の誠実申告義務(信義則上の義務)違反だ」と判断し、Xの請求は8万円強しか認めなかったばかりか、「2週間以後にY側でXのため支払った治療費等の合計70万円強を返せ(Yに賠償せよ)」と命じました(広島地判H29.2.28判タ1439-185)。

賠償実務に携わる者からすれば驚愕の判決ですが、裁判所は証拠をもとに、Xが、事故翌日や半月後、3ヶ月後などに自身が所属する草野球チームの投手兼打者として出場し、セーフティバントでダッシュし出塁する等の活躍をしたり3月後もランニングをしていることなどを認定したことを主要な根拠としており、それらの事実からは首肯できる話です。

で、昔であれば、Yが探偵に高額な費用を払って素行調査でもしたのか?ということになりそうですが、判決をよく読むと、今どきやっぱりというか、ご本人がfacebookで、ご活躍ぶりを自ら投稿なさっていたようです。

さすがに、私の「友達」の方のFB投稿に関して、そうした光景を拝見したことはありませんが、投稿にせよ行動にせよ、様々な立場の方が見ているという視点は大切にしていただければと思います。

まあ「投稿で墓穴を掘らないか心配な方は、弁護士と顧問契約してチェックしてもらって下さい」などと余計なことを書いても、「お前自身の投稿は大丈夫なのか」と言われてしまいそうですが・・

ロータリー卓話~交通事故を巡る賠償実務の「きほんのき」~

昨年の話ですが、盛岡北RCの幹事さんから、「明日の卓話の担当者が急なキャンセルになった。すまないが、急遽、引き受けて欲しい」との要請があり、交通事故の賠償実務に関する基礎的な説明をしたことがあります。

RCの卓話は、例会場で20~30分弱の「ミニ講話」を行うものですが、私の場合、弁護士業務に関する話題を取り上げるのを通例としています。

過去に担当した卓話では、①相続、②中小企業の法務(同族間の経営権紛争)、③夫婦(不貞・離婚)に関する話題を取り上げたので、今回は、上記3つを含めた町弁の「主要な取扱業務」の一つである、交通事故(に伴う賠償等の問題)を取り上げることにした次第です。

一晩で準備する必要もあり、過去に多く扱ってきた論点、事項を取り上げることとしましたが、抽象的に話してもつまらないでしょうから、幾つかの論点を含む架空の事故を想定し、それをもとに解説しました。

ここでは、その際に用いた事例(設問)と、解説の項立てのみご紹介することにします。もし、盛岡市内・岩手県内の方で、「交通事故に関する賠償問題の基本について、30分~1時間程度でセミナー等をして欲しい」とのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出いただければ幸いです。

ちなみに、この少し後に、某損保さんから代理店の方々に向けて、事故被害者の保護に関する対応の基礎や弁護士費用特約の意義についてミニセミナーをして欲しいとのご依頼をいただき、この事例(設問)をアレンジする形で対応させていただいたこともありました。

(事例)
盛岡市内の某ロータリークラブの会員であるX(50歳。会社勤務)は自車を運転してホテルニューウィング前の交差点から開運橋方面に向かって直進しており、開運橋西袂の交差点を通過し盛南大橋方面に向かうつもりであった。

ところが、第2(右)車線を直進して開運橋西袂の交差点を通過中に、反対方向から進行してきたY運転の高級外国車が突如、交差点内でX車めがけて右折してきたため、X車は交差点内でY車との衝突を余儀なくされた。

この事故で、Xは全身に強い打撲傷を負うなどして盛岡市内の病院に1ヶ月ほど入院し、退院後も7ヶ月ほどの通院を余儀なくされた(退院後の実通院日数120日)。また、頸椎捻挫、腰椎捻挫などによる痛みが完治せず、医師から後遺障害診断書の発行を受けており、後遺障害の認定申請を検討している(レントゲンなどでは異状は確認されていない)。

Xの怪我の治療費については、事故直後からYが加入する任意保険A社が対応して支払等を行っているが、事故から半年ほど経過した時点で担当者が「これ以上の通院の必要はないでしょう。今後は通院を続けても治療費を支払いませんよ。」などと言うようになり、やむなく通院継続を断念したなどの事情も生じ、XはAに不信感を抱いていた。

また、X車(平成18年式の国産大衆車)は大きく破損し修理代の見積は150万円にも達しており、やむなく事故直後に廃車を決断せざるを得なかった。

ところで、X自身は青信号の状態で交差点に進入したとの認識であるが、Yは「自分が右折を開始した時点で、すでに赤信号になっていた(ので、X側信号も赤のはずである)」と主張し、Xにも相応の過失があるとして、Yの損害を賠償するようXに要求するようになった。

Yは事故による怪我はなく、Y車(平成2年式)は左端周辺に破損ができた程度の被害に止まっているが、

この車両は高級車であり、被害部分の板金塗装だけでは、他の部分と色合いが違ってしまう。だから、破損部分の修理とは別に、100万円以上をかけて車体全部の塗装を行う必要がある」とか

この車は市場で手に入らないレアもので、愛好者には2000万円で売れるものだ。事故歴が付くと売値が安くなるので、その損害(評価損)として500万円を支払え」とか

これは自分が10年以上乗りこなしている愛車で、これまで一切の破損等がなかったのに、この事故で傷物になったことで精神的に強いショックを受けて眠れない日々を過ごした。相応の慰謝料を払って欲しい」と主張し、Xの勤務先等に押しかけんばかりの気勢を示している。

以上の状況下でXから相談、依頼を受けた弁護士としては、Xの損害の賠償を請求すると共にYからXに対する賠償請求に対処するため、どのようにXに説明し代理人として行動すべきか。

交通事故の裁判で被害者が加害者に謝罪の認識を尋ねるのは異議の対象になるのか?

交通事故に基づく損害賠償請求の裁判に関する当事者双方の尋問の際のことについて、狭義の法律論とは違ったところで、少し考えさせられたことがありましたので、そのことについて書きたいと思います。

その件は、交差点内の直進車(当方=原告)と右折車(先方=被告)の事故で、先方には人身被害がなく当方は神経症状を中心に大怪我を負ったため、当方が訴訟提起したという事案です。

この種の事故態様の過失割合は「2:8」が原則(基本割合)ですが、特殊な事情から当方は過失ゼロ(0:10)だと主張していました。

そして、私の主張立証の賜物かどうかはさておき、裁判官からも幸いに同様の和解勧告を受けていたのですが、先方(被告代理人ないし被告側損保)が基本割合でないとイヤだと拒否したため、判決のため尋問を行うこととなったものです。

で、先に原告本人の尋問を行い、休憩を挟んで被告本人の尋問を行ったのですが、主尋問や尋問までの休憩時間などの際、被告から原告に対しお詫びの言葉(挨拶)をするやりとりが全くなかった(休憩中も被告は自身の代理人と談笑し続けていた)ので、それでいいのだろうか、何か被害者の気持ちが置き去りにされていないだろうかという気持ちが涌き上がり、最後に、「改めて原告に詫びる考えはないのですか」と質問しました。

原告から「被告と会ったのは事故の10日後の双方立会の実況見分の場のみで、その後に接触はない(謝罪等は受けていない)」と聞いたこと、被告自身の主尋問の様子でも殊更に原告に敵意を持っているわけではなく自身の不注意のみを淡々と述べているに止まっていた(そのため過失相殺の主張も加害者本人でなく損保側の方針に過ぎないと感じられた)ことも、そうした質問をすべきではと感じた理由の一つでした。

すると、被告代理人が、間髪入れずに「意見を求める質問だからダメだ」と猛然と異議を述べてきました(尋問のルールを知らない方は民事訴訟規則115条を参照)。

私が「現在の謝罪姿勢の有無も慰謝料の斟酌事由にはなるでしょう」と実務家としては今イチな反論を述べると「そんなことはない」などと強烈に抵抗し、こちらも納得いかないので代理人同士はギャーギャー言い合う非常に険悪な雰囲気になったのですが、裁判官が「言いたくなければ言わなくてもいい」と答えたところ、ごく一般的な(悪く言えば通り一遍の)お詫びの言葉があり、私もそれ以上の質問はせず、そこで終了となりました。

結局、結審後に当方が退席する際も被告が当方を呼び止めて挨拶するということはなく、1年半以上を経て再会した加害者が被害者に対しお詫びの言葉を向けるというやりとりは、その一言だけとなりました。

被告代理人が猛然と異議を述べてきた理由は、被告側が過失相殺を主張しているため、「本人が詫びる=当方の無過失を認めたことになる」というイメージがあったのかもしれません(それとも、単純に異議が好きだとか、私個人に含むところがあったのか等、他の理由の有無は分かりません)。

ただ、被告がその場で原告に対し通り一遍のお詫びの言葉を述べたからといって、そのことで過失の有無や程度が定まるわけではなく、争点との関係では、自分で言うのもなんですが、慰謝料額も含めて判決の結果には影響しない、ほとんど意味の無い質問だと思います(だからこそ、相手方代理人はこの種の尋問は放置するのが通例でしょう)。

それでも質問せずにはいられないと思ったのは、1年半以上を経て久しぶりに会った加害者が、長期の入通院などの相応に深刻な損害を与えた被害者に対し、一言のお詫びもする場のないまま法廷(参集の機会)が終わって良いのか、それは、裁判云々以前に人として間違っているのではないか?という気持ちが昂ぶったからでした。

もちろん、私も殊更に被告を糾弾したかったわけではなく、たとえ通り一遍のものでもお詫びの言葉があれば、それだけで被害者としては救われた気持ちになるのではないか(そうした質問を被告や原告の代理人が行って謝罪の場を設けるのは、地味ながらも一種の修復的司法の営みというべきではないのか)という考えに基づくものです。

とりわけ、少なくとも刑事法廷であれば、(通常は被害者が在廷していませんが)加害者=被告人が被害者への謝罪を述べるでしょうから、なおのこと被害者が在廷する場で加害者が一切のお詫びを述べないというのは異様としか思えません(私が加害者代理人なら主尋問の最後に謝罪の認識を簡潔に求める質問をすると思います)。

だからこそ、「謝る気持ちはないのですか(その気持ちがあれば、簡単でも構わないので一言述べて欲しい)」という質問に被告代理人が最初から強硬に拒否的態度を示してきたことに、私としては、加害者代理人が加害者本人に謝るなと言いたいのか?それって人として間違っていないか?と、思わざるを得ませんでした。

もちろん、そうした事柄で糾弾ありきの執拗な質問になった場合は異議の対象になることは当然だと思いますが、私の質問がそのようなものでなかったことは前述のとおりです。

被告代理人としては、ご自身の立場・職責を全うしたということになるのかもしれませんが、東京の修業時代に加害者代理人(某共済の顧問事務所)として多くの事案に携わっていた際、尊敬する先輩に「被害者救済と適正な損害算定のあるべき姿を踏まえて、よりよい負け方をするのが加害者代理人の仕事の仕方だ」と教えられて育った身としては、本件のような「当事者同士は敵対的・感情的な姿勢は示しておらず損保の立場などからこじれたタイプの事件」で被告代理人から上記のような対応があったことに、いささか残念な思いを禁じ得ませんでした。

ともあれ、華々しい法廷技術は優れた弁護士さんに及ばないかもしれませんが、今後も、代理人としての職責をわきまえつつ、そうした地味なところで当事者や事件のあるべき解決の姿について気遣いのできる実務家でありたいと思っています。

ちなみに、その裁判(1審)では尋問後も被告側が和解案を拒否して判決となり、和解案と同じく当方の過失をゼロとし認容額も和解勧告より若干の上乗せになっていました。

主婦の年収に関する裁判実務(交通事故など)の考え方とその将来

「専業主婦の妥当な年収が幾らか」というアンケート記事がネットで取り上げられており、男性の回答の1位が「ゼロ円」などという、兼業主夫として激務に勤しむ私に言わせれば、情けないと言いたくなる結果が取り上げられていました。
http://woman.mynavi.jp/article/160513-6/

この問いに対する答えは、個人の信条のほかご家庭の状況等に応じて様々な考え方があるでしょうが、裁判実務では「専業主婦が事故の被害者になった場合の休業損害や逸失利益の算定の基礎」としての「年収」は、賃金センサスの女子労働者の全年齢平均の賃金額(産業計・企業規模計・学歴計)とするのが通例(多数派)とされ、平成26年の統計では364万円強となっています(交通事故で弁護士が用いる算定表に記載された数値です)。

なお、平成26年の男性は480万円弱であり、平成21年比で女性は約15万円、男性は約10万円増加しています。

ちなみに、賃金センサス(平均賃金)に満たない少額の収入のある「兼業主婦」も賃金センサスで計算し、「専業主夫」も女子の賃金センサスで計算するのが通例とされています。

このように賠償額算定における基礎収入の場面で「主婦=平均賃金」とする考え方は、昭和49年や50年の最高裁の判決に基づくとされています。

他の従事者(賃金労働者・自営業者など)が、賃金センサスを下回る年収しか得ていない場合には、その実収入により休業損害等を計算するのが通例ですので(実収入がある人は、それに基づき算出するのが本則とされ、賃金センサスを考慮する方が例外的と言えます)、それとの比較で言えば、主婦(夫)ひいては被害者たる主婦(夫)のいる世帯を優遇する考え方という面があると言えます。

そうした意味では、税制における配偶者控除と少し似ているのかもしれません。

ただ、一億層中流社会と言われ、「企業勤務の夫と専業主婦の妻、子供は概ね2人の核家族」が当たり前とされた、これまでの日本社会では、「主婦」を一括りにして賃金センサスで計算することについて違和感なく受け止められてきたと思いますが、専業主婦の割合が低下し共働きが当たり前になっているほか非婚者も激増し、さらには一億層中流幻想が崩壊し格差が広がる一方と目されている現代の社会で、裁判所がこの考え方を今後も維持していくのか、やがて何らかの形で変容されることがあるのか、興味深く感じます(民法だけでなく憲法のセンスも関わる問題だと思います)。

そのような意味では、引用の記事に対して「賃金センサスのことに触れないなんて不勉強だ」などと軽々に批判することもできないのかもしれません。

近時の交通事故事件に関する取扱や実績と営業活動の今昔

ここしばらく普段取り扱う仕事についての投稿をしていませんでしたので、たまには触れてみたいと思います。

債務整理のご依頼がめっきり少なくなる一方で、今もコンスタントに一定のご依頼をいただいている分野の筆頭格が交通事故であり、基本的には被害者側でお引き受けするのが中心となっています(お世話になっている損保会社さんがあるため、加害者側での受任も若干はあります)。

5年以上前に比べてご依頼の件数が多くなっているのは、ネットでアクセスいただく方が年に何人かおられるということもありますが、弁護士費用特約の普及という面が大きいことは確かだと思います。

私の場合、平成12年に東京で就職した事務所が、タクシー共済(タクシーの事故の賠償問題に対応する共済)の顧問事務所だったので、独立までの4年半は概ね常時10件前後の事件に従事していたほか、岩手での開業後は主に被害者側の立場で様々な交通事故の事件を扱ってきました。

ですので、交通事故なら自分が岩手で一番などと虚偽?の吹聴をすることはできませんが、様々な事案・類型の取扱経験の質量という点では、この世代の弁護士としては有数といって良いのではと自負しているつもりです。

以前は、死亡事故や後遺症認定1~3級などの重度障害に関する事案も何度か取り扱いましたが、ここ1、2年はご縁がなく、神経症状が中心で治癒又は後遺障害が非該当のものや物損のみの事故が多く、14級や12級の事案が幾つか存するという程度です。

それでも、人身事故に関しては、加害者側の損保会社が最初に提示した額の倍以上(時に3倍くらい)で解決(示談又は訴訟上の和解)する例が珍しくありません。後遺障害が関係すると、その差は数百万円にも上ることがあり、昨年末に裁判所で和解勧告がなされた例や、先週に示談(訴訟前の交渉)で決着した事案なども、そのような形で解決しています。

どの段階で弁護士に依頼するのが賢明かは一概には言えず、損保側の提示が出た段階で十分という例も多いとは感じていますが、やはり、提示がなされた段階で、一旦は、相応に交通事故実務の知見等を有する弁護士に相談なさった方がよいと思います。

特に、介護問題が伴う重度事案などでは、損害項目が多様・複雑になりやすいので、ご自身でも今後どのような出費等(損害)が生じるかご検討の上、相談先の弁護士がそれに応えるだけの十分な知見を有するかも見極めて、依頼先を選定いただくのが賢明でないかと思います。

その意味では、最近は事故直後からご依頼を希望されるケースも増えてきてはいるのですが、損保の提示がなされた時点で、複数の弁護士に損害の見積と説明を求めた上で依頼先を決めるというのも賢明な対応ではないかと考えています。

交通事故は、重篤後遺障害の事案でなくとも、被害者にとっては「鉄の塊に激しく衝突され、あと少し違っていれば、もっと深刻な被害があり得た」という強い被害者意識(トラウマ)を持ちやすく、加害者や損保会社に対して、強い不満感を抱いたり、相手方に邪悪な加害的意図があるかのように感じてしまう例も時にみられます。

そのように「強い不信感を抱かざるを得ないので加害者側と接点を持つことが気持ちの問題として苦しい」という方が、事故後間もない段階からご依頼を希望するというケースが多いように感じています。

この点は、相手に迎合する必要はないにせよ、相手の「立場」を見極めた方が賢明な場合があります。加害者本人は「高い保険料を払って任意保険を契約しているのだから、こうしたときこそ保険会社にきちんと対応して欲しい」と思うことが多いでしょうし、加害者の損保側も「少しでも賠償金を減額させ、そのことで自社の収益もさることながら加入者全体の保険料を抑制させたい」という立場的な事情に基づいて交渉しているのでしょうから、「先方は先方なりの立場がある」と割り切った上で、感情的にならず先方の対応に誤りがあれば淡々と正すような姿勢を大事にしていただければと思っています。

一般論として、弁護士が代理人として前面に登場した時点で、相手方が身構える(一種の戦闘モードになり警戒レベルが格段に上がる)面はありますし、ご本人が強く申し入れることで、時に法律上はあり得ない有利な条件が示されることもあるように感じますので、ある程度の段階までは弁護士が相談等の形で後方支援し、「ご本人が相対しているからこそ得られる譲歩や情報」が概ね得られた時点で代理人が登場するというのも時には賢明なやり方ではないかと感じることもあります。

結局は、当事者(被害者・加害者・損保担当者)の個性や被害の状況などに応じて異なってくるはずで、一義的な正解がないことが多いでしょうから、今後も悩みながらご相談やご依頼に誠実に相対していきたいと思っています。

余談ながら、先日、あるベテランの先生とお話をしていた際、「昔、交通事故の記事が出ると、記事に表示されていた住所をもとに手紙を送って自分への依頼を働きかけていた弁護士がいた。今も登録しているが老齢のため現在もそのようなことをしているかは分からない」とのお話を伺いました。

私の認識では、事故で被害を受けた方に弁護士がダイレクトメールを送付して勧誘するのは、いわゆる「アンビュランスチェイサー」として昔から弁護士倫理(弁護士職務基本規程)で禁止されている(規程10条、日弁連解説書21頁)と考えていますが、その「年配の弁護士の方」がそうしたことを本当に行っていたのか、行っていたとして、弁護士会などは知っていたのか(黙認していたのか)等、あれこれ考えてしまうところはあります。

詰まるところ、弁護士が少なく司法サービスが県民に行き届いていなかった時代では、そうしたことも黙認されていたのかもしれませんが、現時点ではアウトとして懲戒などの対象になる可能性が高いとは思います。

「岩手日報に重大な被害記事が出た途端に、県内どころか全国の弁護士達からDMが殺到する」などという類の事態は論外というべきですが、被害者の方が適切な形で弁護士のサービスにアクセスでき合理的な選択権も行使できるような実務慣行・文化も形成されるべきことは申すまでもありません。

現在ネットで氾濫する在京弁護士や実体も明らかでない団体等の宣伝サイトの類ではなく、法教育的なことも含め、より良質な「リーガルサービスに関する情報提供のあり方」について関係者の尽力を期待したいものです。

保険金請求訴訟とモラルリスク

お世話になっている損保会社さんから、事故に伴う保険金請求の相談を受けている事案で、「故意による事故(自殺・自死など)の疑いがあるので、調査会社が調べた事実関係などを分析して、保険金請求の当否について意見書を提出して欲しい」と要請され、作成して提出したことがあります。

保険金請求を巡っては、被保険者・契約者・受取人などが意図的に保険金支払事由となる事故を生じさせた疑いがある事案(モラルリスク事案)の発生が避けられず、その主張立証責任に関する争いなども含めて、多数の判例等が生じています。

この点については、昨年に判例タイムズ1397号などに掲載された「保険金請求をめぐる諸問題(上・下)」が大いに参考になります。

この論考では、①傷害保険、②生命保険、③火災保険、④自動車保険の4類型について、最高裁判例などに基づく主張立証責任の構造が明らかにされた上で、多数の裁判例などをもとに、保険金請求の当否に関する考慮要素及びそれらに関する裁判所の考え方などが述べられ、現在のところ、基本文献と言ってよいのではないかと思います。

少し具体的に述べると、傷害保険については、偶然性など(偶然な外来の事故)について、保険金の請求者に主張立証責任があるとされ(但し、立証責任の軽減の問題はあります)、それ以外の保険類型では、請求者は保険事故の存在等を明らかにすれば良く、保険会社側が、故意重過失などの免責事由を主張立証しなければならないとされています。

傷害保険に関しては、自動車保険契約に付帯する人身傷害補償特約の保険金給付の当否を巡って問題となった裁判例が幾つか公表されています。

そして、「偶然性」や「故意・重過失」など、モラルリスク事案における保険金請求の当否に関する判断は、次の4項目を総合的に検討し判断すべきものとされています。

①事故の客観的状況(運転方法の異常性をはじめ事故態様などに偶発性を疑わせるだけの要素がどれだけ備わっているか、自殺の手段として合理性があるか、自殺以外の事故原因が指摘・説明できるか等)、

②被保険者等の動機、属性等(借金などの経済状態、疾病、精神状態、家庭状況など)、

③被保険者等の事故前後の言動等(事故直前の普段と異なる不審な行動や事故現場への不自然な接触、自殺等を仄めかす言動の有無等)、

④保険契約に関する事情(締結の経緯、時期や契約内容等にに関する不自然な事情の有無)

保険金を請求する側であれ、される側(保険会社)であれ、保険金請求の当否が問題となっている事案では、詳細な事実関係の調査がなされることを前提に、弁護士が過去の裁判例などを踏まえた適切な分析をすることで、よりよい解決を図ることができるケースが多数あるのではないかと思われます。

膨大な事実関係を丹念に検討するのが、「地味で地道な仕事ぶりだけが取り柄?の町弁の持ち味」だと思っていますので、そうした事案に直面した方は、どちらの立場であれ、当事務所にもご相談いただければ幸いです。

 

交通事故(損害賠償請求)の訴状提出と個人情報

私は、数年前から、交通事故の被害者側で訴状を作成して裁判所に提出する際は、事故証明書など、双方が共通認識を持つべき基本的な資料のみを提出し、それ以外の資料(特に、治療状況の詳細や被害者の収入等に関する資料)は、加害者の代理人弁護士が選任された後、その弁護士に送付することにしています。

そもそも、交通事故のような「不法行為等に基づく損害賠償請求訴訟」では、賠償請求の原因となる加害行為やそれに基づく損害の内容について、被害者が全面的に主張立証責任を負うのが原則ですので、訴訟でも、自己が支払を求める損害の内容等について、詳細に資料を提出して事情を説明しなければなりません。よって、人身傷害事故で治療費や休業損害などを請求する場合、診断書やレセプト、収入に関する資料などを色々と提出する必要があります。

ただ、これらは個人情報そのもの(特に、収入などは典型的なセンシティブ情報)なので、被害者にとっては社会生活上、無関係の相手というべき加害者に、それらの情報の開示を余儀なくされるというのは、疑問の余地がないわけではありません(人によっては二重被害だという見方もあるかもしれません)。

また、それらの資料は、裁判所が証明の程度を判断し事実認定をする上では必要なものですし、加害者の代理人や任意保険(損保会社)にとっても同様の判断や反論等をする上で必要なものですが、加害者本人にとっては、目にしなければならない資料という訳ではありません。

任意保険に加入せず代理人弁護士の選任もせず、加害者自ら訴訟に対応するというのであればやむを得ませんが、そのような例外的な場合でなければ、被害者側(被害者側代理人)にとっては、賠償請求のためとはいえ、加害者本人に被害者の個人情報が詳細に記載された資料を見せる必要は微塵もないと思います(滅多にあることではないと思いますが、加害者本人だと目的外使用の不安もないわけではありません)。

そこで、小手先レベルと言われるかもしれませんが、私の場合、せめてもの対応ということで、訴状では損害に関する事実関係の詳細を記載するものの、その裏付けとなる書証(治療や収入等に関する資料)を出さず、事故証明書や事故態様に関する書証のみを提出することとしています。そして、訴状等が加害者本人に送達され、それが損保会社を経由して同社の顧問又は特約店の弁護士に交付され、加害者の代理人として裁判所に届出がなされた後で、裁判所とその代理人弁護士に交付する形をとっています。

私の知る限り、加害者側代理人の場合、損保会社にはコピーを送りますが、加害者本人には送付しないことが通例と理解していますので、こうすれば、(殊更に損保会社が加害者本人にコピーを送るのでもない限り)被害者の様々な資料が加害者本人の目に触れることはありません。

もちろん、訴状には休業損害等の計算の関係で、収入額等を書かない訳にはいきませんので、訴状には提出予定書証の番号を書いています(裁判所に手持ち資料の存在を説明する点で、証拠説明書を添付するか留保するかは悩みますが)。

さほど沢山の件数を手掛けた訳ではないものの、今のところ、この方法で裁判所等からクレームを受けたことはありません。

これだけ個人情報保護(個人情報に関する資料等の取扱の慎重さ)が強く叫ばれるようになった時代なのに、「損害賠償請求訴訟」に限っては、「被害者が全面的に損害の主張立証責任を負う」とのお題目のもと、様々な自身のセンシティブ情報の開示を、(よりによって被害者が加害者に)強いられるというのは、かなり違和感を感じるところがあります(そうした意味では、究極的には民事訴訟法の改正なども視野に入るような話なのかもしれません)。

この点、加害者が任意保険に加入している方であれば、加害者ではなく損保会社に対し訴訟提起するという方法も考えられますが、この方法の当否については議論もあるようですし、やはり、加害者本人の責任を明らかにしたいというのが一般的な被害者の心情ではないかと思います。

裁判制度を巡る様々な現代的課題の中では、ごく些細な事柄というべきなのかもしれませんが、業界関係者には思考の片隅に置いていただいてもよいのではと感じています。

自転車の保険義務化条例と後遺障害認定

先日、兵庫県議会で、自転車の使用者に保険加入を義務づける趣旨の条例が可決されたとの報道がなされていました。

私自身は、自転車が加害者となる事故(以下「自転車事故」といいます。)の処理を受任したことはありませんが、10年ほど前、岩手県民生活センターの交通事故相談員を務めていた際、自転車同士の衝突事故について相談を受けたことがあります。

その事故では、相談者である被害者の方に一定の後遺障害が残る事故でしたが、加害者は事故の賠償責任を対象とする任意保険に加入しておらず、支払能力も無いと思われる方で、回収困難と見込まれました。

他方で、当事者間では事故態様や過失割合に争いがあり、被害者の方は訴訟などを行ってでも相手の責任を問いたいとの希望はあったのですが、被害者の方も、ご自身の被害を填補する保険(人身傷害補償特約付きの自動車保険契約など)に加入しておらず、まして、訴訟費用等の支給を受けることができる保険(弁護士費用特約付の保険契約)にも加入されていませんでした。

そのため、相談者の方は、それらの事情が難点になり加害者に訴訟等の手段で賠償請求をすることを断念したと記憶しており、その際、自転車にもせめて現在の自賠責(自動車)並みの責任保険を強制する法律又は条例(まずは購入時の上乗せから始めたり任意保険加入者は免除するなど、引用ニュースの条例と同じようなもの)を制定すべきではないかと強く感じたのですが、センターの専属相談員の方に考えを伝えた程度で、他に働きかける機会等もないまま終わってしまいました。

その後、ここ10年で自転車事故がクローズアップされるようになり、引用の条例をどこかが制定するのも時間の問題だと数年前から思っていました。

ただ、このニュースを見る限りでは、保険加入の義務付けしか記載がないのですが、適正な賠償を実現するための手続という点では、賠償実務に携わる者の目から見れば、それだけでは不十分です。

最大の問題は、自転車事故での後遺障害の認定制度の不存在です。

すなわち、自動車が加害者となる事故の場合、後遺障害の可能性があれば、自賠責保険(損害保険料率算出機構、自賠責損害調査事務所)を通じて後遺障害の有無や等級について審査を受け、認定を受けることができます。この審査は、所定の診断書の提出などを別とすれば、費用負担がありません。

民事訴訟(賠償請求訴訟)では、裁判所は特殊な例を除き原則として自賠責の後遺障害認定等級を尊重しますので、被害者にとっては自賠責の後遺障害認定を受けることは、立証の負担という点で強い力を発揮します。逆に言えば、自賠責の認定制度がなければ、被害者は後遺障害の有無や程度について重い立証負担を負い、適正な認定を受けることができないリスクが高くなると言えます。

そのため、自動車以外の被害でも、自賠責の後遺障害認定制度を利用できる仕組みの整備が急務だと考えます。この点は、上記の算出機構を動かす必要がありますので、自治体の条例だけでは対応が困難で、法律改正が望ましいのですが、迅速な導入が困難ということであれば、例えば、熱意のある自治体が損保会社などの支援を得て機構と協定を結ぶような仕組みがあれば良いのではと考えます。

後遺障害認定の問題は、自転車事故に限らず、他の事故や暴力事件など後遺障害が生じる被害一般に当てはまる問題であり、訴訟外の方法で簡易に認定を受けることができる仕組みが広く求められていると考えます。

また、被害救済(賠償)の確保という点では、自転車では加害者・被害者とも保険加入していない人が多いでしょうから、加害者が任意保険に加入していない事案でも、重大な後遺障害が生じた場合などの被害者の最低限の救済として、自賠責に準ずる一定額の保険金が支出される仕組みを作るべきだと思います。

ネットで検索したところ、東京都が自転車にナンバープレート(登録制)の導入を検討しているとの記事を見ましたが、登録時に一定の金額を徴収すれば、そうした保険金の原資となるでしょうし、また、ナンバー制度を設けることで、警察が事故証明書を作成する際に人違い(や虚偽申告等による責任逃れ)を防止でき、また、車両の所有者を特定し事故ないし賠償責任の当事者を特定することが容易になりますので、私自身は導入に賛成です。

また、自転車事故は、事故態様(過失割合)を巡って当事者間で事実関係の説明が強く争われ易く、事故直後に第三者(端的に言えば、警察官)の協力を得て実況見分を行い、調書を作成しておく必要があります。この点は、私自身が自転車事故についてさほど相談等を受けたことがないため実務の実情を存じませんが、自転車事故が原則として過失致傷罪(罰金のみ)に止まることを理由に実況見分がほとんど行われていないのだとすれば、改める必要があると思われ、まずは警察実務の実情を把握したいところです。

余談ながら、最近は弁護士費用保険の普及で、少額事案を含め、物損のみの事故に関する賠償請求訴訟が増えていますが、この種の事案では事故態様や過失割合に関する紛争が生じるものの、物損事故では実況見分が行われないため、正確な事実関係の把握に難儀することが少なくありません。

そういう意味では、物損事故でも、警察が当事者の希望で有料で実況見分を行うものとし、その料金は任意保険加入者であれば保険で賄うことができるという仕組みを作っても良いのではないかと思います。

ちなみに、物損事故では損保会社の依頼で調査会社が実況見分調書に類する図面を作成することがありますが、事故から大幅に期間を経過した後に一方当事者の主張のみに基づき作成されることが通例なので、誰が作るにせよ、なるべく事故直後に双方立会の上で作成されるのが望ましいと考えます。

ともあれ、私自身も自転車は日常的に使用していますし、いざという場合に備えてご自身やご家族が自転車を使用できるようにするためにも、加害者向けの賠償責任保険はもちろん、被害者向けの人身傷害補償特約や弁護士費用特約が付された保険契約には、ぜひ加入していただきたいところです。

また、それと共に、自転車が少しでも歩行者や車両との事故のリスクを軽減し、当たり前の運転方法で安心して走行できるための道路づくりや交通法規のルールを整備していただきたいところです。

高速道路の事故と責任

先日、岩手県内の高速道路上で走行中の車両の炎上事故があり、乗車中のご家族が死傷するという大変残念なニュースがありました。

特異な事故で、当初はタイヤの破裂の影響を仄めかす記事だったと思いますが、その後、他の車両の部品がガソリンタンクに刺さっているのが分かり、それが摩擦で発火したのではないかという報道があり、恐らくは、どのような経緯でその部品が刺さったのか(道路上に落ちていたのを踏んだのか、他の原因か)を警察が調べている最中なのではないかと思います。

事情が全く分かりませんので憶測で物は言えませんが、前方を進行する車両が物を落として、その直後にそれを踏んだということであれば、内容次第では、その車両の責任を検討すべき余地があるでしょうし、一定時間、危険な状態で路上に放置されていた部品を避けきれずに踏んだということであれば、道路の設置管理の瑕疵を理由とする高速道路の運営企業への責任追及という論点もありうるのかもしれません。被害車両に部品が積まれていた可能性もあるとの記事ないし投稿も読んだ記憶があり、いずれにせよ事実関係の解明が待たれるところだと思います。

ところで、全くの余談になりますが、1年ほど前に、高速道路を走行中に、進路前方に突如、布団を巻いたような物体が出現したことがあり、避けきれずに正面衝突してしまったことがあります。

その際には、第2車線を走行中に進路前方の車両が突如、進路変更をしたところ、目の前(視界)に上記の布団が突如出現し、私も第1車線に進路変更したかったのですが、併走している車両がいた上、第2車線のすぐ後方にも走行中の車両がおり、いわば逃げ場のない状態で、避けきれずに布団に衝突してしまいました。

幸い、視界に入った範囲では、布団に人が入っているなどという事情はないと思われ、また、跳ねた布団はそのまま第1車線と第2車線の間で止まったように見えましたので、その後は、他の車両に迷惑をかけることもなく、高速道路の管理会社側で撤去したのではいかと思われます。

恐らく、引越等のため布団を巻いて運んでいる方が走行中に落としたのではないかと思われますが、当時は、「ヤクザ等が、関係者を轢死させるためグルグル巻きにして高速道路上(の後続車が避けきれない混雑状態の場所)で路上に放り投げたなどという話でもあったらどうしよう」と、少し不安がないこともありませんでした。幸い、報道の類は一切なく、杞憂だったのではないかと思われます(そう信じたいです)。

高速道路上の事故を含む大半の事故類型では、裁判所が刊行する過失割合の基準(別冊判例タイムズと呼ばれる書籍)をもとに、責任や過失の程度に関する判断を行うことになります。

今回の被害者の方もそうですが、高速道路上の事故は、県外の方が当事者となることも多いせいか、私自身はあまりご縁がない(受任するのは一般道や駐車場等の事故が圧倒的で、高速道路上の事故は過去に1、2件程度かもしれません)のですが、大きな被害が生じる事故では、賠償額算定上の論点が多数生じますので、残念ながら被害に遭われた方は必ず相応の力量を持った弁護士に相談等していただければと思います。