北奥法律事務所

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学校・施設などの事故

組体操事故に関する損害賠償請求

ここ最近、大阪をはじめ組体操に関する事故の多発が報道でとりあげられることが多くなっていますが、先日、岩手でも、最近の4年間に100件も発生し、7割近くが小学校であるとか、全体の30%(約30件)で児童や生徒が骨折したとの報道がなされていました(残念ながら、すでに閲覧不能のようです。NHKの地元ニュースは貴重なものも多いので、いち受信料負担者としても、可能な限り、長期間の保存や閲覧ができるようにしていただきたいものですが)。

過去に勉強した判例を調べたところ、平成21年に名古屋地裁で110万円の支払を市に命じた判決(判例時報2090-81)が見つかったほか、判例秘書でも複数の裁判例が見つかり、確認できた限りでは、いずれも被害者の請求が認められているようで、中には、重篤な後遺障害が生じた高額な認容例もありました。

大阪の三木秀夫先生のブログに詳細がまとめられており、後日の参考にさせていただきたいと思っています。

また、運動会や体操がらみの事故では、他にも騎馬戦や跳び箱などで生じた事故に関する前例もあるようです。

確約は適切ではないとしても、組体操事故は、賠償請求が認められる可能性が高い類型であることは確かと思われ、骨折等の被害を受けたのに学校側から適切な賠償を得られていないという方がおられれば、損害額の計算のあり方なども含め、ぜひ弁護士に相談していただければと思います。

私も、組体操であれ何であれ、骨折等の危険が相応にある運動を、とりわけ小学校や中学校で行う意義があるとは微塵も思われず、「集団行動を学ぶ云々」は別の形で訓練すればよいのではということで、安全重視で行っていただければと思います。

先日、某小学校の組体操を拝見しましたが、3段に止まっており、私はそれで十分では(それが見応えがなくて嫌だというなら、やらなければよい)と思いました。

私が子供の頃は、組体操を行ったとの記憶が全くなく、運動会などで危険な目に遭った記憶はありません。唯一の経験として、小学5年のときに体育のバスケットボールの授業で同級生に激突され眼鏡が壊れた(壊された)ことがあり、顔を合わせるたびに、弁償しろよなどと冗談交じりに軽口を叩いていたことだけは覚えています。

個人的には、掃除の時間に窓枠の高いところに上って窓拭きするなど、結構、危険なことも好んで行っていた面もあるのですが、良くも悪くも「人に強制されて行うのではなく、純然たる自己責任で行う」という意識だったせいか、「ここまでで止める」という線引きは出来ていたように思います。リスクのある行為については、極力、他者が命じるよりも、個々人で線引きを考えて行動させる方が、子供にとってもしっくりくるのかもしれません。

乳幼児の窒息事故・無呼吸状態と保育園の賠償責任

登園時間中の園児が睡眠中に無呼吸状態となり、心肺停止の結果、死亡や重篤な障害が生じた場合に施設側の賠償責任の有無が問われた裁判例が、幾つか公表されています。

最近の例として、「未認可保育園で睡眠中の幼児X1(1歳2月)が、一時無呼吸状態となり、低酸素性虚血性脳症(障害等級1級)という重篤な後遺障害を残したため、X1及び両親X2・X3が、保育園の経営者Yに対し1億3000万円強の賠償を請求した例」が紹介されています(横浜地裁川崎支判H26.3.4判時2220-84)。

判決では、X1の心肺停止の原因は不明で、X側で主張した態様(窒息)とは認め難いこと、Yに保育上の注意義務違反や救護義務違反が認められないことを理由にXらの請求を全面的に棄却しています(但し、控訴中とのこと)。

解説によれば、乳幼児の窒息に関する前例の多くは、原因不明として保育士らの過失が否定されているものの、一部に乳幼児突然死症候群との医学的所見を排して保育士らの過失を認めた例もあるそうです。

予防こそが最も大切な事柄ではありますが、より深刻な事態を防止するためにも、保育事業に携わる方やお子さんを預けている方々に、保育上の事故や登園中の重篤な病気に関する裁判例を通じて、どのような状況下で事件が起きているか、事件が起きたとき関係者がどのように行動しているか、それらについて裁判所がどのように評価=賠償責任の有無等を判断しているか、学んでいただき、予防等に活かしていただく機会があってよいのではと感じています。

 

復興特需に伴う労災の多発と安全配慮義務

岩手では、半年ほど前から、震災復興の関係で沿岸各地で大規模かつ大量に行われている各種の土木、建設関係の工事などで、労災事故が多発しているとの報道をよく見かけるようになりました。

ご紹介の記事にもあるように、沢山の工事が同時進行で行われているため、人手不足や工期などがタイトになり、その結果、個々の従事者が、過重労働を余儀なくされていることなどが、原因として挙げられているようです。
http://www.morioka-times.com/news/2014/1406/19/14061901.htm

ところで、労災=業務上の負傷、疾病等に該当すれば、労災保険から治療費や休業損害が支給されますが、労災に起因する損害の全てを填補するわけではなく、例えば、労災保険からは慰謝料が支給されることはありません。

しかし、雇用主等に何の落ち度もないというのであればまだしも、企業側が、労災を必然的に招かざるを得ないような過酷な労働環境を強いるなどという事情があれば、労災保険とは別に、企業側の責任を問うことができます。

すなわち、そのような事情がある場合には、雇用主等に、従業員に基本的な安全を確保した労働環境を提供する義務(安全配慮義務)の違反があるとして、労災保険では対象外である慰謝料なども含めて、賠償請求をすることができます。

ただ、少なくとも私に関しては、震災復興に関する業務の従事について労災保険の適用や企業への賠償責任の問題が生じたというご相談を受けたことは、まだありません。

この種のニュースは見落とさないようにしているつもりですが、報道でも、その種の訴訟が起きたという話は(少なくとも岩手県内では)聞いたことがありません。また、主に若手の先生が従事している沿岸部での無料相談事業について、弁護士会のMLで相談内容(テーマ)の情報が流れてくるのですが、そこでも、この種の相談を目にした記憶がありません。

この種の労災(安全配慮義務違反)の問題は、工事に関する事故に限らず、人手不足や被災地対応の高ストレスに伴う精神疾患や過労死、過労自殺などについても当てはまる話であり、以前に、沿岸部の自治体に派遣されていた公務員の方に関する痛ましいニュースもあったと思いますが、それらの問題で労災保険や安全配慮義務違反(雇用主側の賠償責任)を巡って県内で裁判等が生じたという話も、聞いた記憶がありません。

もちろん、訴訟等に至る以前に、適切に被害補償を受けるなどして解決されているというのであれば、特に申し上げることもないのですが、果たして、本当にそうなのか、疑問がないわけではありません。

震災を巡っては、闇雲に法律相談事業を立ち上げる一方で、本当に弁護士のフォローが必要な事柄に、ちっとも手が届いていない(その結果、復興予算の無駄遣い等が放置されるなどの問題が生じた)という話を色々と聞くこともあり、そうしたチグハグさを解消し、真に支援が必要な人々のために弁護士がお役に立てる機会が、もっと設けられて欲しいと感じています。

例えば、この種の問題について弁護士会が自治体や業界団体?などと提携し広報活動をしてもよいのではと思うのですが、万年窓際会員の身分では、何の影響力もなく、お恥ずかしい限りです。

学校等での不祥事(被害事件の発生)と被害者側への調査報告義務

「学校でいじめが生じて被害者(生徒・児童)が自死に及んだ後、遺族が加害者側や学校に対して賠償請求する例」は、判例雑誌などで時折見かけることがあります。

当事者(加害者)に社会通念上容認しがたい「いじめ行為」があったという具体的な事実が判明すれば、加害者本人はもとより、その親権者や学校側が監督責任としての賠償義務を負うことがあり、裏を返せば、そのような事実が解明できなかった場合には、立証不十分で遺族の請求は棄却される可能性が高いと言えます。

もとより、遺族には事件発生(子の自死)に至るまでの事実関係を解明するのは容易でなく、学校に対し事実の調査、解明を行って欲しいと期待するのは当然やむを得ないことと言えます。

そのため、学校が当初から不誠実な対応に終始するなど、事案の解明や報告に取り組まなかった場合には、いじめ行為への監督云々とは別に、それ自体(調査報告の懈怠)が違法行為(義務違反)に当たるとして、遺族への賠償義務がみとめられることがあります。

例えば、「私立中の生徒が自殺し両親が後になって全容解明を希望し徹底調査を求めたものの学校が拒否したケースで、学校に調査報告義務違反ありとし慰謝料の支払を命じた例」があります(高知地判H24.6.5判タ1384-246)。

事案と判旨は次のとおりです。

『Y1学園が経営する私立中の1年生Aが自殺した。両親Xらは当初、自殺の事実を伏せたいと考え、Y1もそれに沿う対応をしていたが、後日、Aがクラブ内・教室内でいじめ・嫌がらせを受けていた事実が判明したため、XらがY1に徹底調査を求めた。

ところが、Y1は、一部の者のみの簡易な聴き取りのみを行いXが求めた全校調査等を拒否したため、Xらは、「Y1は自殺の原因を調査しXらに報告すべき義務あるのに怠った」と主張し、クラス担任Y2及びクラブの顧問Y3を含め、総額800万円(Y1にX1・X2各250万円、Y1・Y2連帯でXら各100万円、Y1・Y3連帯でXら各50万円)を請求した。

判決は、Y1にXらに各80万円、Y1・Y2に連帯でXらに各15万円の支払を命じ、Y3への請求は棄却(総額190万円を認容)。

裁判所は、Y1が、本件自殺が学校生活上の問題に起因する疑いがあることを真摯に受け止め原因が構内にあるか調査しXらに報告すべき必要性は相当程度高かったのに、消極的な姿勢でその調査等を行わなかったと判断し、自殺から2年以上が経過した判決時には当該解明は事実上不可能になってしまったことなどを重視し、義務違反を認めた。但し、Yに有利となる事情も斟酌し、賠償は上記の金額に止めた。』

また、「いじめ」以外でも、小学5年生の児童が自死した件で、遺族が担任の指導(学校内での接し方)に問題がある(児童へのパワハラ的な行為があった)と主張し、学校に調査、報告を求めたのに、学校がこれを怠ったとして賠償請求した件で、担任の指導に違法な点はなかったものの、学校に調査、報告義務違反があるとして、その点を理由とする賠償請求が認容(総額110万円)された例もあります(札幌地判H25.6.3判時2202-82)。

このように、「生徒・児童に深刻な被害が生じた場合に、学校生活にその原因となる事情が存すると疑われる相当な理由がある場合には、本人・家族の求めにより学校が相当な調査、報告をする義務を負い、これを果たさないと賠償の対象となる」ということは、裁判所の一般的な認識として、認められているということができるのではないかと思います。

そして、このような考え方は、一定の応用が利くのではないかとも思われます。すなわち、企業に勤務している方に深刻な被害(例えば過労や職場内のいじめ等による自死など)が生じた場合に、その原因が企業での勤務状況にあると疑われる相当な理由がある場合には、本人・家族の求めにより勤務先が相当な調査・報告をする義務を負い、これを果たさないと賠償の対象となる(被害そのものに責任がなかったとしても、判明後の対応の不備を理由に慰謝料等を賠償しなければならない場合がある)」と考えることができるのではないでしょうか。

また、こうした話は、労働契約に限らず、介護施設を利用している方に関し自死や重大な事故が生じた場合(入院中の事故など医療機関を含む)など、様々な形で応用範囲が広がってくる可能性があります。

この点、上記の札幌地裁判決では、調査・報告義務の根拠を就学契約に求めているとのことで、生徒・児童の「利用者」という面を強調するのであれば、労働契約のような場合には応用の範囲は限られてくるかもしれませんが、それでも、こうした視点を持っておくことは、利用者(従事者)等と企業側の双方にとって、重要なことではないかと考えます。

とりわけ「見える化」などという言葉が広く用いられるなど、説明義務的な発想を広く認め、そのことにより社会の透明性や様々な意識(職業意識や規範意識など)の向上を図っていくことが現在の社会の潮流になってきていると思われ、そうした面も意識する必要があると考えます。

ただ、上記の「調査報告義務違反」で認められる金額は大きなものではなく、それのためだけに裁判を行うというのは、受任する弁護士に相当な費用を要する可能性が高い(その種の事案の性質上、膨大な作業を必要とする可能性が高いため)ことに照らせば、被害者側の権利行使の機会(利益)の保護という面からは、なお不十分という印象は否めません。

そのため、こうした問題を射程に入れた弁護士費用保険の開発や普及(適切な運用や審査制度等も含め)が求められるところだと思っています。

商業施設等の滑りやすい場所で転倒した場合の賠償問題

みずほ銀行の支店出入口の足拭きマットが滑り転倒、負傷したとして、被害者が同行に損害賠償を求めた訴訟で、銀行の責任を認めつつ被害者に4割の過失相殺をして、約100万円弱の賠償を認めたという判決が報道されていました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140313-00000154-jij-soci

この判決を見て、盛岡地裁の判決で、「岩手県内の温泉ホテルの大浴場の階段で滑って転倒し怪我をした日帰り入浴客に対し、ホテルの賠償責任(転倒防止措置の不備)を認め、過失相殺を4割とした例」があったのを思い出しました(盛岡地判H23.3.4判タ1353-158)。

引用のニュースも、転倒事故で施設運営企業の賠償責任を認めつつ過失相殺4割ということで共通しており、商業店舗等の滑りやすい状態になっている場所で起きた転倒事故の賠償問題を考える場合に、責任の成否や過失相殺の見通しを考える上で、相場観的なものや企業側に要請される予防措置なども含め、参考になると思われます。

 

子を虐待した親が、その子の死亡で巨額賠償を得た判決と立法論

子Aが、両親Xらに虐待されている疑いがあるとして、Aの入院先の病院Y1の通告により、一時保護のため児童相談所に入所した後、児相職員のミスでアレルギー物質を含む食べ物を口にした直後に死亡した場合に、両親が児相を運営する市Y2にXの損害等として数千万円の賠償請求を認めた裁判例を少し勉強しました。
横浜地裁平成24年10月30日判決・判タ1388-139です(Y2市が控訴中とのこと)。

事案と判決の概要は次のとおり。

X1・X2の子であり当時3歳のAは、H18.6当時、Y1(独法・国立成育医療研究センター)が開設する病院に入通院して治療を受けていた。

Y1は、XらがAに適切な栄養を与えておらず必要な治療等を受けさせていない(いわゆるネグレクト)として、Y2(横浜市)が設置する児童相談所(以下「児相」)に対し、児童福…祉法25条に基づく通告をした。

児相の長は、7月にAを一時保護する決定(同法33条)をした。
Aは、卵アレルギーを有していたが、保護先の児相職員が約3週間後、Aに対し誤って卵を含むチクワを食べさせてしまい、Aはその日に死亡した。

XらはY1に対し、自分達は虐待していないのにY1が虚偽の通告をしたとして、慰謝料等各275万円を請求した。

また、Xらは、Y2に対し、①本件一時保護決定等が違法であり、Aに面会等させなかったことを理由に慰謝料各150万円、②Aの死亡に関し、死亡の原因が卵アレルギーによるアナフィラキシーショックによるもので、チクワを食べさせた児相職員に過失があるとして、Aの損害約6400万円の相続及びXら固有の慰謝料各500万円などの支払を請求した。

Yらは、Xらに虐待行為があったので、Y1のY2への通告やY1の一時保護等は適法と主張し、Aの死亡についても、アナフィラキシーショックではない他の原因によるものとして、因果関係を争った。

判決は、XらのY2に対する請求は計5000万円強(1人2500万円強)を認容し、Xらの対Y1請求は棄却した。

まず、Y1のY2への通告(が違法か)については、XらがAに必要な栄養を与えておらず、Aにくる病(栄養不足等による乳幼児の骨格異常)を発症させ、適切な時期に必要な治療等を受けさせていなかったと認定し、通告は必要かつ合理的で適法とし、対Y1請求を棄却。

次に、Y2の一時保護決定等についても、上記事実関係やY1の医師がAの検査等をしようとしてもXらが同意せず治療等をさせなかったとして、同様に適法とした。

他方、Aの死亡(卵入りチクワの提供)については、本件では、摂取から発症・死亡までの時間が通常よりも多少の開きがあるが、発症までの時間はアレルギー物質が吸収される時点によっても異なり、本件では吸収が相当程度遅くなった可能性があるとして、Aの死因が当該チクワの摂取によるアナフィラキシーショックによるもので、Y2職員の過失も認められるとして、Y2にXへの賠償責任があるとした。

損害額については、近親者慰謝料(Xら各200万円)を含め、上記の金額の限度で賠償を認めた。

判例タイムズの解説には、一時保護決定に関する議論や学校給食でアレルギー物質を含む食事を採った子が死亡した事案などが紹介されています。

が、反面、「虐待親が、虐待に起因して行われた児童相談所への一時保護の際に生じた事故に基づく賠償金を自ら取得することの当否」については、何ら触れられていません。この裁判の中でも、権利濫用等の主張はなされていないようです。

Xらの相続権について考えてみましたが、ざっと関連条文を見た限りでは、Xら自身がAを殺害したわけでないので、相続欠格事由(民法891①等)にはあたらないと思われます。また、被相続人(A)を相続人(Xら)が虐待した場合には、相続人から廃除することができますが(民892条)、その申立は、被相続人(A)のみができるとされ、本件のような場合にはおよそ実効性がありません。

また、Xらの請求を権利濫用と評価する余地があったとしても、Y2の過失そのものは否定しがたく、これを理由にY2の責任を否定するというのも疑問です(Xらも悪いがY2職員も過失があり、前者を理由に後者を免責すべきではありません)。但し、本件ではY2が死亡原因が他にあるとして因果関係を争っており、それが認められれば、賠償額は大幅に減額されますが。

このように考えると、「自ら悪質な虐待行為をしてAの死亡の遠因を作った本件Xらが、Aの死亡で巨額の賠償金を手にするのは不当だから阻止すべき」という価値判断を実現するには、「親の虐待に起因して子が死亡した場合には、公的機関の請求により、親の相続権を制限できる」といった法律を制定するないのではないかと思われますが、どうなのでしょう。

ちなみに、虐待親の親権を制限する趣旨の法改正が昨年に行われていますが、親権の制限は相続権の剥奪とは関係がないと思われ(相続権にまで手をつけた改正にはなっていないのではないかと思われます)、本件のような例でその改正を活かすことも難しいのではと思われます(但し、24年改正はまだ不勉強なので、そうでないとの話がありましたら、ご教示いただければ幸いです)。

なお、虐待親が自ら子を殺害したのに等しい場合は、全部の相続権を剥奪すべきでしょうが、そこまでに至らない場合や親側にも酌むべき事情がある場合には、全部廃除でなく部分的には相続権を認めてもよいのではと思われ、そうした判断は、家裁の審判に向いていると考えます。

また、虐待親の相続権を制限した場合に、回収された賠償金は、同種事故の防止や虐待児の福祉など使途を特定した基金とすれば良いのではないかと考えます。

もちろん、このような考え方自体が、財産権に対する重大な制約だとして反対する立場の方も、我が業界には相応におられるかもしれませんが。

我ながら価値判断ありきのことを書いている気もしますので、あくまで議論の叩き台になっていただければ十分ですが、お気の毒なお子さんの犠牲を粗末に扱わないためにも、こうした事件から、現行法や実務のあり方などに関心や議論が深まればよいのではないかと思っています。

H26.2.12追記

この件の控訴審は、Aの死因がアナフィラキシーショックによるものと断定できず、Y2が主張する他の死因(右心室に繊維化した異常部位が混在していることに起因する致死的不整脈による突然死)の可能性も否定できないので、本件食物の摂取とAの死亡との間に相当因果関係を認めることができないとして、Y2に対する認容判決を取り消し、Xを全面敗訴させています(判例時報2204号)。