北奥法律事務所

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法律相談

弁護士の相談業務に関する利益相反問題と対策~当事務所の予防策と、変わらない?弁護士会~

先月の土曜に岩手弁護士会(盛岡)法律相談センターの担当日があったのですが、前日(金)に予約票を事務所にFAXいただくよう弁護士会のご担当にお願いしたところ、予約者の方の中に、以前に対立する当事者の方から相談を受けたのではないかと思われる方が含まていました

当事務所では、その種の相談会では前日に主催者(弁護士会など)から予約者リストについてFAXで提供を受け、私が以前に相談を受けた方との利益相反の有無(対立当事者から相談を受けていないか)を当方の事務局に確認して貰った上で相談に臨むことにしてます。

そして、今回は、金曜に弁護士会から送信されたリストに、それに該当する方(以前に私が相談を受けたAさんの対立当事者と思われる方=Bさん)が含まれていたので、弁護士会にお願いして、Bさんには、後日に来ていただくよう弁護士会事務局から伝えて欲しいとお願いして、その方にもご了解いただいたという次第です。

仮に上記の措置が講じられず、そのままBさんが土曜に弁護士会(私の面前)にいらした場合、私は、その場で「すいません、Aさんから相談を受けていました(ので相談は受けられないから本日はお引き取り下さい)」と答えることになったかもしれませんし、それどころ、私がAさんから相談を受けていたこと自体を失念していた場合には、Aさん=相手方にあれこれアドバイスをしていたにもかかわらず、今度は、Bさんに、Aさんと闘うためにアドバイスを披瀝するという事態(それが、客観的には弁護士としての職業上の義務に反することは言うまでもありません)になったかもしれません。

上記の予防措置は、以前にも投稿したとおり(引用ブログ参照)、私の過去の経験から当事務所の自主的取組として行っているのですが、本来であれば、弁護士会事務局が相談の受付時に、相談者と相手方の氏名を確認し、担当弁護士が過去に相手方から相談を受けた事実がないかを確認するという作業があってよいはずです。

とりわけ、今回に関しては、Aさんとお会いしたのも(いつどこなのかは差し控えますが)弁護士会が把握可能な相談会でしたので、なおのこと、弁護士会が個別の相談事業の相談者や相手方に関する情報をデジタル情報で管理していれば、弁護士会の受付段階で「土曜の担当は、貴方の相手方から相談を受けた弁護士である可能性がある」などと把握し説明して、来所日を変更していただくよう求めることはできたはずです。

現実問題として岩手弁護士会事務局の受理体制にも様々な限界、制約があり、そのような措置を講ずることとが容易でないことは承知しているつもりですが(だからこそ当事務所として自主的取組をしています)、「べき論」としては、主催者たる弁護士会において利益相反チェックを行うのが望ましい面があることは確かだと思います。

で、何のためにこうしたことを長々と書いたかと言えば、法律相談事業にはこの種の問題(担当者が相手方から相談を受けていた可能性があるというリスク)は避けて通れない問題ですので、ごく一部の不運な方がたまたま遭遇して気の毒でしたねで終わり、というのではなく、弁護士会であれ、その他の役所等であれ、そうした問題を回避する(なるべく少ない費用・労力で)ための仕組み作りをきちんとすべきではないか(利用者側も、主催者側の尻を叩く必要があるのではないか)ということをお伝えしたかったということに尽きます。

少なくとも、添付の投稿を含め、同じ問題意識を持っている(同種の経験をした)弁護士は相応にいるはずですが、岩手に関しては、弁護士会などが組織として動きを見せているという話は何も聞いたことはなく、利用者の便宜が蔑ろにされていると批判されてもやむを得ないのではないかと思われます。

我々の基本的な掟としての利益相反ルールそのものは変えようがない話だと思いますので、それを前提に、担当弁護士側の事情など何も分からないまま相談に臨む方々(ひいてはそれに相対する弁護士)に不合理な不利益を押しつけないためのシステムづくりについて、ITによる工夫も含め、業界全体の喫緊の問題として考えていただきたいものです。

余談ですが、以前に、私も参加させていただいているFBの同業者グループ内での投稿で、「以前に相手方から相談を受けたことを説明して断るのは守秘義務違反だ。だから、理由は言えないが断りますと説明するのが正しい」と他の同業の方が投稿していたのを拝見した記憶があります。

そのような考え方も間違いではないとは思いますが、断られた側からすれば、理由も何も説明が受けられないと、理由が分からず当惑することはもちろん、まるで自身の相談が弁護士に相談すべき事柄ではないかのような誤解を招くなど、弊害が生じかねないのではと危惧されます。

先に相談したAさんにとっても「後日に同じ弁護士にBさんが相談依頼の電話等をするかもしれない可能性」は潜在的にあるべき事柄なので、Bさんの納得という意味でも、保全事件など特に潜行性の要請の強い事案を別とすれば、「相手方関係者とやりとりがある(相談を受けている)」といった程度の告知は、相談依頼を断る際の説明としては、やむを得ない(Aさんにとっても内在的制約として許容されるべき)と考えますが、皆さんは、どのようにお考えになりますか?

或いは「当方には差し支えの事情があるので余所に相談して下さい」と説明する方法なら、相談を受けたことを言わずとも上記の弊害がなく回避できると言えるかも知れませんが・・

法テラス気仙の落日?と「被災地」無料相談事業の行方(後編)

前回の続きですが、今回は、「法テラスの無料相談事業」に力点を置いて書いてみようと思います。

法テラス気仙での相談はすべて無料ですが、岩手の多くの方がご存知のとおり、無料相談ができるのは法テラスだけではなく、岩手県内では当事務所をはじめ法テラスと契約している県内の全ての弁護士(法律事務所)が、原則30分の無料相談に対応しています。

法テラスは、本来は「低所得者などの支援のための公的機関(税金で運営する組織)」なので、無料相談等には一定の所得制限があるのですが、被災3県や青森県八戸市など幾つかの沿岸被災地域では、震災後に制定された法テラス特例法により、震災当時にこれら対象地域の居住者であった方なら、資力等を問わず、また対象事項を問わず(刑事を除く)、無料相談を受けることができるようになっています。

ちなみに、先般の熊本大地震でも、すでに同様の特例法が定められたと聞いています。

この制度は平成27年に延長され、現在は平成30年3月までとなっているのですが、この制度が再延長されるのかどうかも、被災県で活動する弁護士にとっては大きな関心事となっています。

ただ、確かな筋から伺ったところでは再延長の見込みは絶望的で、残念ながら平成30年で終了することが確実視されているようです。

この制度が導入される直前には、弁護士会(盛岡)の相談センター(有料)ですら閑古鳥が泣きそうな状況になっていましたし(これは、他の都道府県でも同様の現象と聞いています)、当事務所に来所いただく相談者の方々にとっても、無料で相談できるということで気軽にご利用いただいている面もあろうかと思います。

ですので、この制度が廃止された場合は、既に全国各地で生じている光景のように、有料に戻す=相談者が激減するリスクを負うか、完全無料(自腹)とするなど事務所の経営(存続)リスクを覚悟するか、選択を迫られることになりますが、いずれにせよ、町弁の事務所経営上は大きな打撃になることは間違いありません。

個人的には、いっそ発想を転換して法テラス無料相談(無条件30分)の制度を全国的に導入してはと思わないでもありませんが、その場合、現在とは比較にならぬ膨大な財源が必要になり、かつ、それを捻出する政治力を弁護士業界が有していないことも間違いないでしょう。

或いは、日弁連が法科大学院(LS)と決別し、LSへの国からの補助金を撤廃させ無料相談の財源に廻せとの運動をしてはいかがかと思ったりもしますが、「LSへの補助金のせいで司法修習生の給費制度が廃止されたので、補助金を撤廃するのなら給費制をこそ復活させるべき」と仰る方も少なくないようですので、遠からず、「国から弁護士業界に流れてくるお金(パイ)」の争奪を巡り醜い争いが生じたり、それに伴う業界の衰亡などという現象も生じることがあるのかもしれません。

そうした意味でも保険制度による費用問題の解決が何年も前から求められていたというべきなのですが、それを怠ってきたツケを、我が業界は今後ますます負っていくことになりそうで、ため息ばかりが増す有様です。

(写真は4月の担当日の際に撮影したものです)

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法テラス気仙の落日?と「被災地」無料相談事業の行方(前編)

平成24年頃から月1回の頻度で法テラス気仙(大船渡市)に通っていますが、今年になってから私の担当日には相談件数が一挙に減り、3月から7月まで、5回連続でゼロ件(6月に受任事件の関係者に私から頼んで来ていただいたものが1度あっただけ)、8月は当日に飛び込み1件のみという惨状が続きました。

片道2時間ほどかけ、丸一日潰して(拘束されて)通っていますので、相談者ゼロ件が延々と続くと、さすがに厭戦気分というか、担当から抜けられるものなら抜けたいという気持ちを抱かざるを得ません。

私に限らず、沿岸に開設された2つの法テラス事務所(気仙、大槌)とも、最近は弁護士への相談件数が大幅に減ってきたとの話を伝聞ですが聞いており、下手をすると今年度末には法テラス気仙が廃止されるのではないかという噂も聞いたことがあります。

ただ、司法書士さん(週1回の担当)への相談状況がどのようになっているかは聞いたことがなく、ひょっとしたら土地の区画整理・自治体買収などに伴う相続登記の関係などで閑古鳥の弁護士と異なり大盛況になっているのではと想像しないこともありません。

そうであれば、すぐにでも弁護士相談=原則週4回を減らして、司法書士の相談日を増やした方がよいと思いますが、司法書士さんの担当日の来客状況などを伺ったことがないので、よく分かりません(先日、某先生のFBで、今日は来客なしと仰っていたのを拝見したので、弁護士と同じような現象が生じているのかもしれません。弁護士と異なり?高台移転や区画整理などで登記手続などの需要は多いのではと思いますが・・)

昨年の段階から1回あたりの相談件数がかなり減ってきたので、今年の相談担当の更新の際は辞退するか悩んだのですが、現時点で沿岸被災地の関係で従事している「弁護士としての支援活動」が他に特段なく、縁を切るのも忍びないということで無為に続けているのが恥ずかしい実情です。

気仙地区に関しては、訴訟等が必要な場合、地裁の管轄が一関市(盛岡地裁一関支部)になるため、私のように盛岡から出張してくる弁護士に相談するよりも、端的に一関で執務する弁護士さんの事務所に相談に行くという方も少なくないのかもしれません(統計情報などがあれば、ぜひ見てみたいものですが、恐らく誰も調査などはしていないのでしょうね・・)。

そうした話に限らず、いわゆるアウトリーチ問題(法テラス自身が沿岸の自治体や団体・企業などに働きかけ、担当弁護士を相談日に事務所に置いておくのでなく、ミニ講義+プチ相談に派遣するなどの事業をしなくてよいのかという類のもの。「役所」の典型たる法テラスには期待し難いかもしれませんが)を含め、「沿岸被災地の無料相談事業の低迷」は、様々な要因が複合的に関わっているのでしょうから、幅広い視野での総合的な検討が必要でしょうが、そうしたものもほとんどなされない(或いは、私のような現場の末端には伝わらない)まま終わってしまうのかもしれません。

と、ここまで書いて9月下旬の担当日のあとにでも載せようと思っていたところ、9月には過去最高?の5件(飛び込みを含む)のご相談があり、開設時に戻ったかのような感じがしました。

或いは、法テラス気仙を廃止をさせてなるものかという「見えざる力」が働いたのかもしれません。

(写真は4月の担当日の際に撮影したものです)

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残念な勇者たちと社会の責務

先日、某行政機関が設営した無料相談行事の担当として従事してきました。

この種の相談会では常に経験することなのですが、今回も、次のような相談者の方が幾人かおられ、傭兵稼業というべき弁護士としては、残念に感じてしまいます。

自分の要望に相手が応じてくれず、困っている。ただ、自分では相手に言いたくない(ので、弁護士から申入をして欲しい)。といっても、(相談者の説明に基づく見立てとして)相手方は、弁護士(たる私)が言えば、すぐに従うような御仁でもない。でも、裁判等はやりたく(頼みたく)ない。」

このようなご相談は、いわば、RPGの主人公が武器屋や傭兵斡旋所にやってきて「町を荒らし人々を苦しめるドラゴンを倒したい。でも、武器も買いたくないし傭兵を頼みたくもない。まして、自分が死地に赴くなんて真っ平御免。そこで、貴方がドラゴンに洞窟の奥深くで眠ってろと言えば、ドラゴンは従うのではないかと僕は思うんだけど、どうですか。」と言っているようなものというほかありません。

町弁の多くが経験していることでしょうが、行政機関が開催する無料相談では、そうした勇者たちにお会いすることがとても多く、残念に感じています。

数年前、法教育というものが流行って、今は下火になっているように感じますが、上記の文脈で言えば、「国民各人が、暴れるドラゴンと対峙した場合に、戦士や魔法使いを従えてドラゴンを倒す(悔い改めさせる)ことができる、本物の勇者になるための教育」こそが、本当の法教育(主権者教育)というべきだと思っています。

しかし、当時も今も、そうした話はあまり聞くことはなく、その点は残念に感じます(冒頭の「残念な相談者」は高齢の方が多いので、「教育」を持ち出すのが適切かという問題はあるかもしれませんが)。

人は戦いを止めることはできないし、人であるがゆえに、理不尽に直面したのであれば、闘うことを止めるべきでもない。しかし、殺し合うこと、「暴力」という手段の利用は止めなければならない。

だからこそ、代替(殺戮の時代に戻らないための装置)として、法(武器)と弁護士(傭兵)、そして闘う場(裁判)があるわけですが、今も、そうした認識が国民的に共有されているかと言えば、そうでもないと感じており、そうした認識を広く共有いただくと共に、各人がより良く闘うための土台作りについて様々な方にご尽力いただければと思っています。

以前、日弁連が、「僕達って、いつもニコニコ、とっても親しみやすいんだよね~あはは~」ムード全開のCMを流して、業界内で酷評されたことがありましたが、私の経験ないし感覚として、世間様は、弁護士は傭兵だと思っている(傭兵として役に立つ範囲で必要としている)というのが率直な印象です(だからこそ、我々への依頼は、「立てる」とか「雇う」などと、供給サイドとしてはあまり嬉しくない言葉で形容されることが多いのだと思います)。

どうせCMなどをするのなら、「真っ当な闘い(の補佐というサービス)を必要としているが、勇気などの不足から闘いに踏み出せないでいる消費者(国民)」に、「良質な傭兵」としての弁護士が、闘う気持ちを鼓舞するようなCMをこそ、流していただきたいと思っています。

その上で、個々の弁護士が、傭兵(戦士)としての個性や特色を各人の方法でPRし、消費者が、自身のニーズに適合する選択と適切な闘争をするという文化が形成されていけばよいのではと思います。

(追記 10.20)
冒頭の相談者の方のような発言を改めて振り返ると、そこには、裁判等(法的闘争)を忌避する「ケガレ思想」のようなものがあるのではと感じたり、「弁護士が申入をすれば、相手方はすぐ従うんじゃないか」といった下りは、一種の言霊信仰(自分で行う申入には(すでに不奏功になっているので)言霊の力はないが、弁護士にはそうした力があるのはないかとの思想)があるのではと感じたりもします。

そのように考えると、日弁連の「ニコニコCM」も、そうした「日本人の残念?な法意識」という現実を見据えた対策という面もあるのかもしれませんし(実際に企画された方に、そこまで深謀遠慮があるかどうかは分かりませんが)、上記に述べたことも、そうしたことまで視野に入れないと、何をやっても奏功しないということも、あるのかもしれません。

対立する両当事者の相談が同じ弁護士に行われた例

先日、相談にいらした方(A氏)から、「以前、弁護士会?の相談でC弁護士に相談した。その後、相手方のB氏が、自分もC弁護士に相談して同じ見解を聞いたと説明してきた」というお話を伺いました。

どうやら、C弁護士は、A氏から相談を受けた後、紛争の相手方であるB氏からも同じ事項について相談を受けていたようです。

しかし、同一の弁護士が紛争の対立当事者双方から相談を受けることは(双方の同意等がない限り)禁じられていますし、私を含め、弁護士であれば、対立当事者からの相談依頼だと判明した時点でお断りするのが通例です(しなければならない職業上の義務があります)。

もちろん、C弁護士がどのような認識、判断のもとで相手方からの相談にも応じたのか分かりかねる上(私も、相談が開始してから利益相反に気づいて中止をお願いしたことはあります)、その件では、あまり問題が生じなかったようです(C弁護士は、A氏も聞いた「A氏の希望に沿う判断」をB氏にも説明したとのこと)。

ただ、このような話を聞くと、「相手方からの相談受付を防止する仕組み」の欠如について、考えずにはいられないものがあります。

当事務所では、電話で相談依頼を受け付ける際には、相談テーマや対立当事者のお名前もお聞きし、過去に入力した一覧表で対立当事者から相談依頼を受けていないか確認するようにしています。

ただ、事務所に対立当事者から相談依頼の電話がかかってきた記憶がなく、対立する相手方当事者(相談者)の方とは弁護士会や役所相談などでお会いするのが通例になっているので、それについては事前に相談者リストを入手する以外に予防策がありません。

最近では、相談担当日の前日に、リストの送信を受けて確認するようにしていますが、弁護士会から励行されているわけではなく、当方の自主的取組みに止まっており、この点に関する関係者の議論が進んでいない印象を受けるため、残念に感じています。

「憲法週間相談」の今昔と一斉無料相談事業の賞味期限

岩手弁護士会では、毎年5月初旬に、大きな会場を借りて一斉無料相談をしています。憲法記念日(5月3日)に因んで「憲法週間相談」と称し、10年以上前から行っており、参加する弁護士数も多く、岩手の「弁護士無料相談事業」としては老舗の1つと言ってよいと思います。

地元のTV番組にも必ず取り上げられており、私も一瞬だけ登場しています(一人でパソコンの画面を仏頂面で見ている姿が映っており、その際、この文章を書いていたことは言うまでもありません)。
http://www.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043440661.html?t=1398941550993

この事業は、裁判所も後援している(盛岡地裁に看板も立ちます)ため全国一斉の企画ではないかと思われますが、私が東京で働いていた時期(平成12~16年)には聞いたことがなく、その点はよく分かりません。

なお、参加する弁護士には日当は一切出ませんが、代わりに弁護士会から昼食代が支給されています。

私は、ほぼ毎年参加しているのですが、この事業も最近の相談事業一般に言われているのと同様、ここ数年は「参加する弁護士(供給)は増える一方だが、来場者(需要)は減る一方」という状態が続いています。

今年は、10時に来て12時過ぎまで参加しましたが、午前の部は20人近くの弁護士が参加しているところ、私が来た時点で相談者は弁護士数の半分程度しか来場していませんでした。

早く会場に来た弁護士の順に相談者を配点している(らしい)のですが、私のところまでは相談者の方が廻って来ず、内職で時間を空費して終わるかと思っていたところ、終了間際に配点があり、1人だけ会場に残ってその方に対応する羽目になりました(ゼロよりはましですが)。

ちなみに、去年(25年)の相談会も2時間で配点は1人だけ、その前年(24年)は2人程度との記憶です。

平成17~20年頃は、参加弁護士(現在の約半分)の数倍の相談者が来場し、私も「はい次!はい次!」の野戦病院状態でしたので、ここ数年の業界環境の激変を、こうした光景にも感じざるを得ないものとなっています。

この原因(特に、需要減少の原因)については、社会現象としてのクレサラ問題の終焉(+これに代わる大口需要の不存在)や弁護士激増と各種広告などによる多チャンネル化(他の相談窓口等の拡大)などが挙げられますが、既に多くの方が十分に認識されているでしょうから、殊更に書くほどの話ではありません。

ただ、「大広間での一斉無料相談事業の参加者減少」については、もう一つの要因を考えてもよいのではないかと思われます。

すなわち、「一斉相談」のため、大広間に向かい合わせの机と椅子を多数並べ、一方に弁護士、他方に相談者が座って相談する(応じる)というスタイルになっているのですが、聞き耳を立てる人がいるとは考えにくいものの、少なくとも相談者の姿は周囲に丸見えとなってしまいます。

中身は書けませんが、私が配点された案件も、すでに相手方に代理人が付いていた上に、その代理人が会場のすぐ近くに鎮座していたという案件でした(実際に会ったことはないとのことでしたが、さすがに、気づいた時点でヒソヒソ+記号会話モードにしています)。

少し前までの「おおらかな時代」ならまだしも、こうしたオープンな空間で相談を受けることを嫌がる(個室での相談を希望する)方は、確実に増えているのだろうと思いますし、弁護士会が設営する相談会が上記のようなリスクを内包すること自体、今や批判の対象になりうるのではと思わないでもありません。

ただ、事務局等に、事前に個室かどうか照会があったか、大広間の空間を見て嫌がって帰った人がいるか等について聞いたわけではありませんので、統計的なこととして説明できるわけではありませんが。

私も、ここ数年は、もう参加は止めようかと思いつつ、営業に苦戦している今どきの町弁の1人として、お役に立てるよい出会いがあればとささやかながら期待して、生き恥を晒しているというのが正直なところです。

弁護士会も、参加弁護士数を絞る(或いは予備戦力として事務所待機とする)などした上で、相談ブースを仕切るなどの工夫をしてもよいのではと思うのですが、一旦始めた(長く続いている)ことを止められない(縮小もできない)のは、役所だけの話ではないということなのかもしれません。

利益相反問題に関する苦悩と対策

今回は、主として同業者の方に向けた投稿です。以前にも書きましたが、利益相反系の話です。

先日、10月に事務所である相談を受けた件で、今月、その方(Aさん)から受任依頼のお電話があったのですが、調べたところ、1ヶ月前(11月)の法テラス岩手の相談担当日に、その事件の相手方(Bさん)からご相談を受けていたことが判明しました。

当然、Bさんと法テラスの相談室でお会いした際、相手方(Aさん)から1ヶ月前に相談を受けていたなどということを覚えているはずもなく、事前知識等が一切ないとの前提で普通に応対していたことは申すまでもありません。

で、Aさんのご依頼も、曲がりなりにもBさんからも相談を受けてしまった以上、職務規程(弁護士倫理)により受任不能となってしまい、泣く泣くお詫びしてお断りさせていただきました。

当然ながら、今後、もしBさんから受任希望のお電話をいただいたとしても、同様にお詫びしてお断りさせていただくことになります。

Bさんとは、お会いしたのが法テラスの事務所ということもあり、名刺をお渡ししたかも定かではなく(受任方向で協議した場合でなければ、名刺はお渡ししていません)、今回は、たまたま、Aさんの電話のあと、事務局が気づいて指摘したため発覚したというもので、その指摘がなかったら、私はもちろんBさんも気づかないまま、Aさんの代理人としてBさんと対峙していたということも、ありうると思います。

で、さすがに、このようなことを繰り返すわけにはいかないということで、最低限の策として、これまでは単発的なご相談の方は、相談票等を紙で保管していただけだったのですが(事件依頼者についてはエクセルのデータベースがあります)、氏名等のデータベースを作りました。これにより、今後は原則として相談のみの方でも全件を入力し、新規相談の際に、利益相反チェックをしていこうと思っています。

ただ、そうはいっても、今回のように、法テラスで突然、相手方が相談にお見えになるようなケースでは、これを防ぐことは非常に難しいです。今後は、そのデータベースを相談室にも持参する方向で対処したいとは思いますが、法テラスや弁護士会、市役所相談などにすべて共通している、相談直前に担当弁護士にカードを渡す=氏名を知らせるこれまでのスタイルだと、万全を期すのには限界が大きすぎます。

やはり、以前の投稿にも書きましたが、出先機関での相談については、最低限、前日の夕方にその時点で予約がなされた方のリスト(最低でも氏名、できれば相談のテーマも)をメールやFAX等の適宜の方法で、事務所までお伝えいただくシステムを導入していただきたいものです。

私のような下っ端の窓際弁護士が何を言っても変わらないのでしょうが、利用者の方(或いは政治家?)の苦情という形で伝えていただければ、案外、実現するかもしれませんので、これら(法テラス、弁護士会、市役所など)に影響力をお持ちの方は、ぜひご検討いただければ幸いです。

暴論の類ですが、例えば、公的機関の利用者の方々が、一斉に、受付の担当者に申し込みの電話をする際に、「その日の担当弁護士を教えて欲しい、併せて、その弁護士に、以前に相手方から相談を受けたことがないか確認して欲しい」と要請する(それを受付担当者が嫌がったら、あれこれ不満を言って改善を求める)ような事態にでもなれば、運営サイドも困り果てて重い腰が動くことがあるのかもしれません。

それが嫌だというのなら、最低限、上記のようなケースでは「Bさんの相談カードは直ちに破棄し、情報はすべて忘れる(一切の流用をしない)ことを前提に、Aさんからの依頼を受けても良い」と、職務規程を変えることも考えていただきたいものです(といっても、こちらは無理筋だとは思いますが)。

この種の問題は、紹介ではない形(公的機関やネット等)による弁護士への相談や事件依頼が一般的になっている現代では、小都市などでは幾らでも生じる話だと思われ、これを弁護士会が看過し放置し続けるのであれば、それは、悪だ(受任者(弁護士)の問題だけでなく、利用者にとっても重大な障害である)と言わなければならないと思います。

同業者の皆さんが、この種の問題についてどのような対策をとっておられるか、ご教示いただければ幸いです。

信頼関係を築くのが難しい方からのご依頼に対する苦慮

1 この仕事をしていると、1年ないし数年に1回くらいの頻度で、非常に残念な相談者(事件依頼を希望される方)にお会いすることがあります。

抽象的に言えば、「事件そのものは決して看過できない(重大な争点があり、勝訴が確実とは言えず敗訴リスクも高いが、取り上げる価値や意義は否定できない)ものの、当事者の方の個性等が強すぎ、結果として弁護士(私)との間で、長期の訴訟を行っていくために必要な信頼関係を築くことが著しく困難と認めざるを得ない方」です。

もう少し具体的に言えば、勝訴が困難と思われる争点で、その難しさ(裁判所の一般的な判断傾向)などをご説明しても、それを決して受け入れることなく、否定的なニュアンスを伴う弁護士(相手方の代理人ではなく、ご自身が相談を依頼して相対している弁護士)の説明にも直接的に強い怒りや敵意を表明したり、効果的とは言い難い主張や立証方法に固執し、弁護士にその方針に沿った煩瑣・膨大な作業を求め、それに難色を示すと強い不満を表明してくるような方、ということになります。

また、そのような方は、最初(初対面)の相談時から非常に感情的になっているため、相談時間に事案の争点整理や主張・立証方法の確認などといった基本的な作業ができず、延々と、従前の交渉経過での相手方の担当者等への不満を強い口調で述べ続けるなど、当初から受任事務の継続に必要な対話の成立に困難さを感じるのが通例です。

もちろん、当方も絶対に勝てると判断した事件しかお引き受けしないというスタイルで仕事をしているわけではありませんので、難しい争点のご相談で、弁護士としての概括的な見立てをお伝えした場合に、一応はその説明を謙虚に受け止めていただいた上で、なお、一緒に戦って欲しいとの真摯な申出を受けた場合には、着手金をはじめ相応の条件を付させていただいた上で、お引き受けすることも少なくありません。

そのような経緯でお引き受けした場合、当方も、事件には依頼者のご希望も含めた私なりの見立てに沿って全力で取り組んでいますので、争点そのものが勝訴的な判断が得られなかったとしても、言い分を尽くした上でやむを得ないと一応は納得したとして、何らかの解決(例えば、若干の解決金などの敗訴的な和解)を受け入れていただいているのが通例です。

しかし、最初から、ご自身の意に添わない説明等を受け止めることを感情的に強く拒否し、弁護士に対し自己の意に添う行動を求める姿勢が強い方などに対しては、「この方とは信頼関係を築くのは無理」として、お断りせざるを得ないことがあります。

2 先日、「訴訟の途中で依頼者と代理人(受任弁護士)との間で方針の違いが顕著になり、依頼者が代理人の方針に強い不満等を表明し、訴訟の中で重要な位置づけになっている相手方の反対尋問のための打合せを直前にキャンセルし、尋問そのものが困難になったため、やむなく代理人が辞任したのに対し、依頼者が代理人に対し賠償請求した例」を少し勉強しました(東京地判H24.8.9判タ1393-194)。

判決は、次のように判示し、依頼者の請求を棄却しています。

「本件の事実経過を総合考慮すれば、受任者Yは、代理人辞任までの全体を通じ、依頼者Xの意向を可能な限り尊重し誠実に受任事務の遂行にあたっている。

Yは、Xの要望に裁判所が消極姿勢を示している等の説明をしたのに対し、Xが直接的かつ明白に不満ないし不信感を露わにした態度を示すなどのやりとりが続き、それでもYがXの意向に添う尋問案を作成して打合せの準備を進めていた。

ところが、Xが一方的に打合せをキャンセルし、その理由にYへの不信感を背景とする投げやりな態度を示したことなどから、YがXから訴訟を受任し続けていくため必要な信頼関係が損なわれ、尋問打合せの直前キャンセルを機に、決定的に破壊されたと認定できる。

よって、Yの辞任はやむを得ない(民651Ⅱ)もので、賠償責任は成立しない。」

3 結婚や継続的な商取引などと同じく、一定の期間、密接な関係を築かなければ所期の目的を達成できない者同士は、その目的を達成するため必要な信頼関係の構築ができないと見込まれるのであれば、関係の構築そのものを回避せざるを得ない(それが互いのためである)ことが多々あります。

勝ち負けの判断が難しく、真剣に戦っていくのなら弁護士には非常に多くの作業が要求されざるを得ない事件について依頼を希望される方におかれては、願わくば、意中の方に求婚や交際を申し込むとき(或いは、申し込むかどうかを検討しているとき)のような慎重さをもって、弁護士とも相対していただければ幸いです。

 

被災地等に対する広報を通じた弁護士の関わり方について

 先日、法テラス気仙の相談担当で大船渡に行きましたが、予約ゼロで当日飛び込みの簡単なご相談が1件あっただけで、ほぼ一日、内職等に潰して終わりました。
 法テラス気仙には約1年前から月1回の頻度で通っており、毎回4名前後の方が来所していたので、このような経験は初めてでした。

 ただ、法テラスは国?の資金で強力な宣伝活動を行っているので、ゼロ件となるのは滅多にないのですが、弁護士会や県(沿岸の出先機関)が主催の被災者向け相談事業などでは、宣伝力の格差のせいか、ゼロ件になることが以前から珍しくありませんでした。

 集客できないなら規模縮小すればよいのにと思わないでもないのですが、仕事を減らせと安易に口にするわけにもいかず、集客等につなげる工夫をもっとできないのだろうかといつも思ってしまいます。

 例えば、全戸配布される各自治体の広報やタウン誌、或いは地域内の業界団体等の広報などに簡単な連載コーナーを設けていただくことはできないでしょうか。
 そして、被災関係に限らず、地域で取り上げるべき法的トピックについて、弁護士が執筆して説明したり、読者のアンケート等で要望があったテーマも積極的に取り上げつつ、記事の末尾で地元の窓口も紹介すれば、多少は集客力も向上するのでは?と思うのですが。

 私は、岩手弁護士会の原発被害賠償に関する支援活動に関与しているのですが、この件も同様に集客力(相談等のアクセス)のなさに喘いできたので、可能なら岩手日報などで他の震災関連も含めた連載などの企画を採用していただければと思ったりもします。
 
 他県の取り組みなどはまったく存じませんので、そうしたものが行われている例などご存知の方がおられれば、ご紹介いただければ幸いです。

公的機関の相談事業で生ずる利益相反の問題について

先日、盛岡市役所の無料相談を担当したのですが、10名の相談者(来訪者)の方のうち2名の方が、利益相反のため、ご相談をお断りせざるを得ないものでした。

利益相反とは、事件又は相談事項に関する相手方当事者から、その事件等の相談等を受けたことがあるため、弁護士業務の性質上、相談等をお断りせざるを得ないものを指し、これまでも何度か経験しています。

ただ、滅多に生じない話であるせいか、私の知る限り、行政機関であれ弁護士会であれ法テラスであれ、弁護士による相談事業を行っている団体等が相談希望者の方を受け付ける際、利益相反による相談謝絶を防ぐための措置を講じているという話は聞いた(見た)ことがありません。

せめて、主催者側で相談希望を受け付ける際に、相談者のお名前やご相談のテーマ(差し支えがあれば空欄という前提で)を確認して一覧表を作成し、前日の夕方までに、担当弁護士(事務所)宛てにFAXかメールで連絡していただければ、そうした事態を防ぐことが容易になると思います。
漏洩ミス云々を気にするのであればパスワード付のメールにする等の方法が可能ではないかと思います。

少なくとも、当事務所に相談希望のお電話をいただいた際には、極力、受付時にご相談の概要や相手方のお名前等もご説明いただき、上記のような当日の相談謝絶にならないよう留意したり、事前に予習が必要なテーマか確認するなどの対応をしています。
その程度のことは、町弁であば皆しているのではないかとは思いますが。

利益相反の問題があると、どうしても、瞬時に打ち切りにせざるを得ず、来場者にとっては何の落ち度もないのに門前払い扱いになってしまうので、とても申し訳ないという感じになってしまいます。
この場合、せめてものということで、翌週のご来場や法テラス、弁護士会などをご説明することにしています。

現在のところ、岩手では個人の方のご相談事項の大半に無料相談が可能になっていますので、市役所などの相談事業にはそのような弊害があることをご理解いただき、なるべく事務所でのご相談をご利用いただければと思っています。