北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

〒020-0021 岩手県盛岡市中央通3-17-7 北星ビル3F

TEL.019-621-1771

消費者被害

無料掲載を装う悪徳求人広告被害について

最近は沈静化したと思いますが、5年ほど前には、小規模企業に対し、インターネットで求人広告を掲載するとの勧誘を行い騙し討ちのような形で不当な高額請求を行う業者が全国規模で多数出現し、その相談を受けたことが何度もありました。

それらの業者は、あたかも無料掲載であるかのように装いつつ「無料掲載は最初の短期間だけで、その期間を経過すると高額な有料掲載に自動更新する契約であり、お宅はそれにハンコを押した。よって数十万円払え」という請求を行うのが通例で、安易に応じてしまった多くの事業主が泣かされる事態が膨大に生じました。

当方も当時は数件の依頼を受け、いずれも「悪徳商法だから一切払わない」などと抗戦したところ、運良く?ゼロ和解ができたり、膠着状態でそのままとなったり、当方が了解可能な少額な解決金で決着するなどの経験をしたことがあります。

この件は今も全国で続いているのだそうで、私も形だけ参加している同業者の情報交換サイトMLでは、活発な意見交換がされているようです。

悪徳業者と名指しされた業者の中には、(恐らくは対決姿勢を示して支払っていないのであろう)歯科医院に対し、「虫歯などの酷い画像を付けた負の広告」を出してくるという挙に及んでいるものもあり、それを見たときは呆れるばかりでした。

以前、闇金が「(刑罰金利を前提とした悪徳融資の)返済をしなかった女性について、事前に送信させた裸の写真をネット上で掲載している」との報道も見ましたが、それに類するような酷い話だと思いました。

こうした事案に限らず、事業者の皆さんには人手不足などの問題があっても安易な電話等の勧誘に応じることなく、求人などの課題は健全な常識に適う方法で解決を図っていただきたいものです。

 

求人に関する「えせ無料広告」勧誘被害と業者側による逸脱行為

5年以上前から、小規模企業に対し、インターネットで求人広告を掲載する勧誘を行い、あたかも無料掲載(成功報酬制)であるかのように装いつつ、

無料掲載は最初の短期間だけで、その期間を経過すると、高額な有料掲載に自動更新する契約であり、お宅はハンコを押した。よって数十万円払え。

という請求を全国規模で行う悪徳業者が多数出現し、安易に応じてしまった多くの事業主が泣かされるという事態が膨大に生じていました。

当方も、2~3件ほどのご依頼を受け、いずれも

「悪徳商法だから一切払わない」

などと抗戦したところ、運良く?ゼロ和解できたり、膠着状態でそのままとなったり、当方が了解可能な少額な解決金で決着するなどの経験をしたことがあります。

私の経験は何年も前になりますが、この問題は今も全国で続いているのだそうで、私も名前だけ参加している同業者の情報交換MLでは、今も活発な意見交換がされています。

2~3年前だと思いますが、悪徳業者と名指しされた業者が、(恐らくは対決姿勢を示して支払っていないのであろう)歯科医院に対し、「虫歯などの酷い画像を付けた負の広告」を出してくるという挙に及んでいるとの投稿が、そのMLで送信されたことがあります。

そのため、そんな馬鹿なことをする奴もいるのかと思って見てみたところ、本当にそのような表示が出ていました。

以前、闇金が

(刑罰金利を前提とした悪徳融資の)返済をしなかった女性について、事前に送信させた裸の写真をネット上で掲載している

との報道を見たこともありますが、それに類するような、なんとも酷い話だと思いました(当然、名誉毀損等として対処されるべきと言えます)。

ここ2~3年は、その種のご相談を受けることがなくなったので、沈静化に向かっているのかもしれませんが、現在の方が人手不足は深刻化していると言われていますので、形を変えて再燃するかもしれません。

根本的には、消費者契約法などの改正(小規模事業者向けの悪徳勧誘行為に対するクーリングオフなどの大幅拡大)が必要であり、かつての通信機器リース商法やホームページ詐欺などをはじめ、何年も前から必要性が叫ばれてきた問題ですが、誰も積極的な立法に動いているように見えず、その点は残念です。

それこそ、近年急増している弁護士出身の国会議員の方々などには、こうした問題にこそ率先して取り組んでいただきたいものです(弁政連岩手支部とかも、県議さんとかと宴会している場合じゃないと思うのですが、何をしているのでしょうね・・まあ、名ばかり理事ですが)。

こうした事案一つとっても、事業者の皆さんには安易なWebや電話等の勧誘に応じないようご注意いただきたいと思いますし、弁護士には「手遅れ」になる前に、「こんな話が来てるんだけど、ハンコ押して大丈夫か」などという形で、迅速な相談を心がけていただきたいです。

 

オレオレ宴会の受益者たちの責任の取り方とその先にある被害救済と予防の道

先月、吉本興業に所属する芸人の方々が、特殊詐欺(振り込め詐欺・オレオレ詐欺)により違法に巨利を得ていた集団(反社会的勢力)の宴会に参加していた問題が発覚し、ご本人達が無期限謹慎に追い込まれるなど、今も社会問題として盛んに報道されています。

先日も、報酬を得た方々が、修正申告(による納税)を行うと共に、受益額を超える額について消費者被害の救済を行っている団体に寄付を行ったという趣旨の報道がなされていました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190713-00000350-oric-ent

ただ、この事件を巡る報道によれば、芸人さん達の関わりが発覚する以前に詐欺集団(犯行グループ)の摘発がなされたとのことですので、犯人らにより現に詐欺被害に遭った方々も、全員とまでは言えないにせよ、相当の人数が特定できていると思われます。

ですので、原資がどこから来たのかという観点(被害者救済)からすれば、彼ら(芸人さん)達が得た利益を道義的見地などにより放出するというのであれば、その放出先は、当該事件の被害者への支給を目的とした基金に組み入れて、被害弁償(配当)の原資とするのが最も望ましいはずです。

この点、仮に、本件詐欺集団が摘発された際、連中が稼いでいた収益(犯罪収益)として相応の金額の差押ができていれば、その金額(現預金など)について摘発時の権利者(犯罪集団の関係者)の形式的な権利を剥奪し、警察等が被害者らに債権届を申し出るよう促した後、預金保険機構を通じて配当を実施するという制度(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配の支払等に関する法律。通称・振り込め詐欺等救済法)に基づき、被害者らへの分配(配当原資の限度での被害回復)が可能になっています。

ですので、もし本件でその手続がなされているのであれば、芸人さん達は、その手続に基づく配当原資(基金的なもの)にこそ寄付して自身が受益した事件の被害者の救済こそ実現すべきだと思いますし、そうした形で被害回復に貢献するのであれば、延々と強い非難を向け続けるのも酷ではないか(関与への非難はさておき、けじめをつけたものとして所属企業=供給サイドからの活動再開を認めた上で、今後の出演や人気等の持続可能性はご本人の今後の活動の内容も踏まえたTV局その他の利用者サイドや社会の評価に委ねるべき)と思われます。

本件を巡る報道では、この点(犯行グループの摘発時に犯罪収益の凍結などがされ被害回復の手続が図られているのか等)についての報道がなく、そこは残念に感じています。

なお、私の知る限り、現行の被害回復分配金の制度は、摘発時に犯罪収益の確保(差押)ができた場合にのみ運用されているかもしれないのですが、本件のように、犯人から何らかの形で受益した者が、その利益を放棄し分配金の原資として提供することが認められて良いはずで、仮に、その点について制度の不備があるのであれば、早急に改めていただきたいところです。

また、この事件では被害者への分配金に用いるのが困難だという事情があるのなら、同種又は各種の犯罪被害について被害回復が困難な状況にある方を対象に一定の被害填補(給付)を行うことを目的とした基金を設けて、その基金に寄付し、最終的に本件又は同種事件の被害者の救済につなげるというのが、望ましいことだと思われます。

なお、そのような形で受領額(売上)をすべて放棄するのであれば、税務上も課税しないなどの措置が必要と言うべきでしょう。

************

その上で、さらに「その先の話」として、以下のことも考えていただきたいところです。

今回は、社会内でも一定の影響力がある著名なお笑い芸人の方が、オレオレ宴会に参加し報酬を受け取るなどの事情を理由に、犯罪集団に便宜を図ったものとして強い非難を向けられ報酬も吐き出す(寄付する)ことを余儀なくされたわけですが、このように「違法に収益を得た経済犯罪の犯人が、違法収益を原資として、本来であれば利用できない経済的便益(商品購入、サービス利用)をするケース」は幾らでもあるわけで、今回の件にしても、犯行グループが宴会場として利用した会場(ホテル?)は会場費や飲食費などの収益を得ているはずです。

言い換えれば「犯罪者と何らかの商取引を行い、違法収益を原資として受益した」という点では、今回の芸人さん達だけが、他の取引先企業などと比べて特に異常なことをしたわけではありません。

敢えて違いがあるとすれば、今回の方々は頻繁にテレビ(公共電波)に出演するなどして一定の社会的影響力がある(それに先立ち犯罪などに無縁な存在として自身をプロデュースしてきた)という点になるのでしょうが、今回の件で彼らを非難する根拠を「犯罪者の違法収益から受益したこと」と捉えるのであれば、TV出演などしている有名人であるかどうかは本質的なことではないと言えます。

その点では、芸人さん達にこれだけバッシング報道が出るのであれば、本件で会場を提供したホテルにも抗議電話などが殺到してもおかしくないのではと思いますが、そのような報道を聞いたことがありません。

また、その会場(運営企業)が社会的に非難されて営業自粛を余儀なくされたとか、売上などを寄付したなどという話も聞きません(ネットで検索すると、会場だと名指しされる著名ホテルが出てきますが、そのホテルにそのような話が出ているなどという報道を聞きません)。

言うまでもなく、会場を提供したホテルも、社会的責任(CSR)の担い手という点では「お笑い芸人さん」達と異なるところはなく、芸人さんばかりが攻撃されてホテルなどは何のお咎めもなしというのは、かなりの違和感があるというか、恣意的なリンチのような気持ち悪さがあります(もちろん、会場となったホテルを大衆が攻撃せよと言いたいわけではありませんが)。

また、一般論として、この種の詐欺事件の犯人集団の構成員が自身が得た利益(犯罪収益による報酬)で過大な浪費をしたりギャンブルなどに明け暮れるという話は、この仕事をしていると相応に聞きますし、報道でも時々目にするのではと思います(悪銭身につかずを地で行くような光景と言えます)。

しかし、それらの浪費先(支出先)に対し、犯罪収益により不当に受益しているのだから受益額を吐き出して被害弁償に向けるべき、などという議論(立法提案)がなされているのを聞いたことがありません。

とりわけギャンブルに関しては、犯罪収益であれ借金の類であれ問題のある原資を用いる人が相当数いたり、ギャンブルの失敗で周囲に迷惑をかける人も珍しくないと言われているのに、元締め(運営企業)が獲得した利益を被害者救済に用いるなどという話がどこからも出てこないのは、残念なことだと思っています。

ですので、芸人さん達に限ることなく、会場(ホテル)であれギャンブル等であれ、犯罪行為(とりわけ組織犯罪)に基づく収益を原資としてサービス等の提供を行った者(企業)は、拠出者(購入者、サービス利用者)が犯罪収益を原資とすることに故意過失がある場合はもちろん、無過失であっても、受益(売上など)の程度が特に著しい(過大だ)と認められる場合には、一定の限度で収益を剥奪し被害弁償の原資(配当基金)とすることができる制度を設けるべきではないかと、昔から思っています。

もとより、その「債権回収と配当」の主たる担い手となるべきは弁護士ですが、制度を整備して争いの余地を少なくしたり捜査機関が適切な協力をすることで弁護士の労力を軽減し、その代わり、さほど苦労しない事案では報酬も抑えて被害弁償の原資の極大化を図る、といった工夫がなされるべきだと思います。

そして、企業側(サービスの供給者)が「この人に便宜を図ると、後で収益を剥奪されるかもしれないから、申出には応じない(違法に贅沢はさせない)」との毅然とした対応をとることができれば、最終的には「悪いことをしても割に合わない」という形で犯罪予防につながる面も出てくるのではと思われます。

そうした取組がなく「有名人叩き」ばかりが目に付く光景は、被害者保護が主眼ではなく「バッシング(石投げ)のネタが見つかった有名人を攻撃し溜飲を下げたいだけ」という世間の嫉妬の構造らしきものが見え隠れして、残念に感じてしまいます。

単なる有名人叩きで終わるのではなく、被害者救済であれ受益者の責任であれ予防的なことであれ、真に取り組むべきことに繋げる姿勢が、もっと社会内に醸成されてくれればと願うほかありません。

いっそ、「オレオレ集団を騙して巨額の金銭を一味から奪い取り、それを被害者救済原資として提供する凄腕芸人」でも出現してくれればと思わないでもありませんが、それこそ有名人まかせの浅ましい考えということになりそうです。

弁護士を名乗る詐欺とホンモノの流儀、そしてオレオレ予防策の要諦

過払がほぼ終焉した後も未だに収束の様相を見せないオレオレ詐欺(電話詐欺、振り込め詐欺)ですが、昨日も岩手の高齢者の方が弁護士を詐称する者により巨額の被害に遭ったという残念なニュースが出ていました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/6045417041.html

「本物」である私は、こう見えて17年ほど弁護士をやっていますが、会ったことのない方に電話だけで高額な金員の支払を求めるとか事務所以外の場所に持参して欲しいなどと頼んだことは一度も記憶がありません。

オレオレでありがちな「子が捕まって被害弁償云々」という話なら、最初に弁護士ではなく警察から「お子さんが云々の事件で捕まりました」と連絡が行き、警察の説明や警察署での本人との面会などを通じて事案の内容を把握するというのが通例でしょうし、私から最初に連絡するときは「警察署に面会に行って下さい」などという簡易な伝言を除いてなるべく手紙で行っています。

まして、被害弁償であれ他の預かり金であれ、金銭の授受はすべて業務用の預かり金口座への送金をお願いしており、ご本人が事務所に現金を持参するとか管財事件の際に現場で現金を引き継ぐなどのケースはともかく、私自身が「どこそこに(高額な)現金を持ってきて下さい。そこで受け取ります」などと求めることはまず考えられません。

また、相手方(加害者など)に高額な金員を請求し代理人としてお預かりする(受任費用を控除し依頼者に送金します)ことはあっても、依頼者側に何百万円などという高額な金員の預託を求めることはまずありません。

あるとすれば、債務者代理人として受任し相手方への送金を対応することになった場合くらいでしょうが、滅多にありませんし、そんな大事な話を電話だけでやりとりするはずがありません。

以上は、別に私に限った話でなく、町弁にとってごく当たり前の話だと思います。

ですので、10年ほど前にオレオレで弁護士がネタとして使われ始めた頃から、日弁連などは「本物の弁護士は電話だけで多額の現金を送金しろとか事務所以外の場所に持ってこいなどとは言いません。そんなこと言われたら本物かどうか弁護士会に電話して」とキャンペーンを張る(前提として、全会員にアンケート等も実施する)程度のことをやるべきでは?と思っていました。

警察などとの交渉次第では、啓発のためのCMなどをお役所の費用で行っていただくこともできたのではと思いますし。

今さら何を言っても時機を失したというべきかもしれませんが、それでも、弁護士会であれ警察等であれ、そうしたことを考えていただければと残念に思います。

それと共に、相応の高齢の方については、後見等の審判を受けていなくとも、多額の現金の引き出し等は予め親族など本人が信頼できる者として指定した第三者の同意がないとできないようにするとか、自宅に高額なタンス預金をさせないなどの予防措置を促進していただきたいところです。

申すまでもなく、以上に述べた程度のことは「通常の判断能力のあるきちんとした人」なら、くどくど言わなくとも当たり前の感覚として理解できていることでしょうし、多くの高齢者が「どうしてそんな詐欺に引っかかるのか」という話に惑わされてしまうのは、加齢に伴う脳機能の低下などの影響で、以前は持ち合わせていた思考力や判断力を発揮できないことに起因するのでしょうから、なおのこと、そうした「後見などの必要まではないが判断能力等が低下しつつある高齢者等の財産管理等のサポート制度(と担い手)」を整備する姿勢が必要だと思います。

田舎のしがない町弁をしていると「認知症(後見等相当)とまでは言えないけれど、加齢などの影響でコミュニケーションが非常に難しく、法律相談などが成り立たない高齢の残念な相談者の方」とお会いすることが珍しくありませんが、そのことと、不合理な言辞に惑わされ詐欺の被害に遭うリスクの高齢者が相当数おられることは「加齢によるコミュニケーション能力の低下とリスクの増大」という点で、共通性があるように感じます。

そうした方々が高額かつ理不尽な被害を受けるのを防止できる仕組みを多重的に構築すべきでしょうし、多額の被害を受けるよりはマシという観点で、ご本人などに一定のコスト負担も考えていただければと思います。

さすがに「駅や車両、路上などの全部に防犯カメラを設置し犯人を調査する」といった超監視社会にするわけにもいかないでしょうし、渡した1万円札そのものを徹底追跡して犯人を捕捉できるほどIT技術が発達するのを期待するのも困難でしょうから・・

葬儀会社と葬儀トラブルの急増

ここ数年、「多死」時代の影響もあってか、葬祭場の建設などが非常に増えているように感じますが、それに伴い、葬儀会社と利用者とのトラブルも増加傾向にあるようです。

1ヶ月ほど前、盛岡の某寺院のご住職(正式な肩書は違いましたが、要するに寺院の責任者の僧侶の方)から仏教に関する説話を拝聴した際、最近、葬儀業者から理不尽な被害を受けたと檀家さん?から相談されることが増えているとのお話を伺いました。

先日、葬儀業者からの不要・過剰サービスの「押し売り」による被害を伝えるニュースがありましたが、そのご住職が紹介された事例も、時期や期間などから必要ないと思われる「遺体保存のドライアイス」のサービスの押し売りのようなことをされて数十万円?を請求され、断り切れずに泣く泣く支払ったというもので、引用のニュースとよく似ています。

その件の当事者は古くから地元でなさっている業者さんではなく、最近になって進出してきたところとお聞きした記憶ですが、その業者かどうかはさておき、県外からの進出企業の中には内部のコンプライアンスに問題を抱えた会社もあるという噂話を聞いたことがあります。

何年も前ですが、県内の冠婚葬祭業者さんが倒産して管財人を担当したことがあり、その際、その企業の施設の購入を検討しているという多くの会社の方にお会いしたのですが、その中に問題があるとの噂を聞いていた企業さんがあり、色々と考えさせられる面がありました(ただ、その件では物件自体に様々な難点があり、任意売却はできず競売(破産財団からは途中で放棄)になりました)。

それはさておき、馴染みのない業者さんに依頼なさるのでしたら、引用記事のように、高額なお金が絡む売り込みが出た際に備えて、ご親族など信頼できる第三者の立会を求めるなどの予防策をとっていただいた方がよいのではと思いますし、私はまだ経験がありませんが、消費者契約法などで救済可能な事案も相応にあるでしょうから、次善(事後)の策として、弁護士等へのご相談も検討いただいてよいと思います。

ところで、葬儀や墓石等を巡っては、それぞれの家庭等で、どの程度の費用を投じてどのような規模の葬儀等をするのが賢明なのか、事前に学ぶなどの機会が滅多になく、利用者として相場観が掴みにくいという問題があるかと思います。

ただ、葬儀の方法・規模などは個人差が大きいでしょうから、全体の相場では参考としての意義が薄くなり、他方、個別のサービスごとに分けても細分化し過ぎて利用者サイドも馴染みにくいという問題があるかもしれません。素人感覚では、敷金トラブルのように?消費者庁や業界団体などが協議してガイドラインが作成されればよいのではと思いますが、裁判例の集積などがないと、議論がまとまりにくいかもしれません。

事務所にどんな本があるか確認したところ、このテーマをずばり扱っている本を見つけたのですが、一つ一つの項目を見ると、問題提起(論点拾い)はとても良いのですが、解決のあり方については抽象的というか、歯切れの悪さを感じる内容になっていました。恐らく、敷金などと違って、まだ裁判例が多くはなく、踏み込んだことを書きたくても書きにくいという面があったのではないかと推察します。

今後は、適格消費者団体と関わりのある弁護士さんなどによる差止訴訟などが増えていくのではないかと予想しますが、その集積を待つわけにもいかないケースも多いでしょうから、例えば、その種のトラブルに対応するための弁護士費用特約などが生命保険等に付された形で販売、普及されれば、「泣き寝入りの防止」という点では、良いのではと感じています。