北奥法律事務所

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フランチャイズ

リアル・エロティカセブンの詩とコンビニ報道の課題

金曜の朝のワイドショーで「変態コンビニ店長」が取り上げられているのを見ましたが、すぐに思い浮かんだのは、平成5年に放送された「悪魔のKISS」というテレビドラマの主題歌でサザンオールスターズが歌っていた「エロティカ・セブン」という享楽的な印象の強い歌詞の曲でした。

この番組は、常磐貴子氏の「出世作兼問題作」としても有名で、当時は大学2年くらいだった私も運良く?放送を拝見した記憶があるのですが、残念ながら録画しておらず、あとで悔やんだことは申すまでもありません。

同日中の報道で、予想どおりというべきか、コンビニのオーナー(フランチャイズ契約の当事者)でもある店長氏は契約解除(解約)と閉店を余儀なくされたという報道が出ていましたが、洗濯物を干しながら「モンダイの映像」をチラ見した限りでは、孤独な中年おじさんの悪ふざけの悲哀という印象もなきにしもあらずで、被害者の方々はともかく第三者的にみれば、こんなことにならずに済む方法はなかったのかなと思わずにはいられない面はあります。
https://www.asahi.com/articles/ASL9P3S0CL9PUUHB00C.html

そんなわけで?久しぶりに「替歌の神様」が降臨し毎度ながら投稿せずにはいられなくなりました。

ただ、事件自体が報道直後に一気に収束したことなどを踏まえ長期の掲載は望ましくないと判断し、替え歌そのものは掲載の数日後に削除しました。この件に関心があり、どうしても見てみたいという知人の方がおられれば、個人的に楽しむ範囲内での提供は構いませんので、個人的に連絡して下さい。

もちろん当事者の方々(コンビニ本部を含め)を誹謗等する意図は微塵もなく、あくまで元ネタ(原曲)を思い出した方々にあの頃やドラマを懐かしんでいただければという趣旨ですので、ご容赦のほどお願いします。

ところで、ここまでの報道を見る限り、店長氏の奇行の原因や背景について触れたものは見かけませんでしたが、単なる「キャラの問題」だけに片付けることなく何某かの深掘りのある報道があっても良いのでは、と少し残念に思いました。

本件と関係があるかは全く分かりませんが、コンビニの零細経営者は長時間労働などの過酷な環境に置かれる方が少なくないとも言われており、そうしたものが本件にも関係しているのなら、何らかの報道があってよいと思います。

また、相当以前から地域内で問題視されていたとの報道もあり、どうしてそれが本部などに発覚せずに放置されていたのか(ご家族なども誰も何もできなかったのか)という管理体制上の問題なども、これだけコンビニが「地域の公器」のような様相を呈してくると、社会の関心事として取り上げてもよいのではと思いました。

余談ながら、ドラマ「悪魔のKISS」は、多重債務や悪徳宗教、薬物など様々な社会悪が若い女性に降りかかり、辛酸の末にそれを脱して終了、というストーリーになっていましたが、よくよく考えると、人々がそうした被害に遭わないようにする(遭っている人を救い出す)ことも我々町弁の重要な仕事の一つなわけで、ドラマのような強烈な修羅場には立ち会ったことはないものの、あの事件は一歩間違えれば、と思う経験はそれなりにしているような気がします。

コンビニ業界についても、従事者の就労環境の問題から弁当廃棄(値引禁止)などの問題まで色々と改善されるべき論点はあるように思いますので、そうしたことも視野に入れた報道などを考えていただければと思いますし、我々も、そのことにもっと関わっていければと感じています。

ともあれ、報道によれば大変反省しているという店長氏も、必要に応じた治療的なものも含め、しかるべき法的責任を踏まえつつ、適切な再出発を図っていただければと思います。

フランチャイズ制度の現状と課題

今月(平成26年3月)の日弁連機関誌(自由と正義)に、フランチャイズ制度の特集記事が載っていました。大雑把な内容(項立て)としては、以下のようになっています。

①フランチャイズ制度に関する基本的な視点(学者の先生の講義)

②公正取引委員会のアンケート結果やフランチャイズ内部=本部と加盟店との各種紛争(本部の事前開示情報と実際との相違、本部の経営指導義務違反、加盟店の会計に対する拘束等、中途解約等、同一加盟店の近隣出店、違約金や保証人)の紹介と立法提言(加盟事業法)

③業界団体(本部側の団体である日本フランチャイズチェーン協会)の取組(相談センター等)と本部側からの加盟店紛争(諸論点)に対する考え方

④米国(フランチャイズ制度の発祥国)・韓国(日本に匹敵する普及国)の法制度や実情等

岩手でも、大規模店舗やロードサイドなどを中心に、私をはじめ一般住民が現に消費対象として利用する店舗の多くが、地元系列を含むフランチャイズ関連の店舗になっていますが、私個人に関しては、残念ながら、フランチャイズ・ビジネスに関する紛争(本部と加盟店との紛争)に関する相談や事件依頼等を受けたことはなく、加盟店や統括支部(サブフランチャイザー)をなさっている方から、業務等に絡んで何からの相談を受けた程度です。

私の「FB友達」にも、フランチャイズ・ビジネスに携わっている方は少なからずおられますが(JC関係者など。大半は加盟店側だと思います)、この種の記事をチラ見すると、訴訟までするかどうはか別としても、何らかの形で本部側に「過去の裁判例や現在の議論などを踏まえた待遇改善」を訴えてもよいのに、そのような論点等があること自体を知らず、不遇な待遇に甘んじている人もいるのではないか?と思わないこともありません。

労働者の場合、ご自身の所属企業と闘わなければならない事情がある場合には、企業内に労働組合がなくとも、いわゆる合同労組に加盟し、その支援を受けて企業に団交要求するなどの方法があるのですが、私の知る限り、フランチャイズ・ビジネスにはそのような制度等はないと思います。

少し調べたところ、加盟店側にも「全国FC加盟店協会」という、コンビニ経営者などを中心とする団体があるようですが、HPを見る限り、岩手支部は結成されていないようです(他に、同種の団体等があるかは分かりません)。
http://www.fcajapan.gr.jp/

合同労組のような強力な制度はまだしも、一定の地域内でフランチャイズ・ビジネスをしている方々(加盟店や小規模な統括支部など)が、勉強会や親睦会など緩やかな横のつながりを作って業務等の質を向上させる営みをなさってもよいのではと思いますし、そうしたものであれば、冒頭の論文などをネタ本にした簡単な勉強会等の形で、「フランチャイズ専門」などとはお世辞にも言えない地元の弁護士も、少しは物のお役に立てるのかもしれません。

 

加工食肉の提供による食中毒事故と製造物責任(事例紹介)

盛岡にも進出しているステーキチェーン店で販売されたサイコロステーキについて生じたO157の食中毒事故に関し、チェーン店を展開しているフランチャイザー(本部)であるX社が、サイコロステーキの製造元Y社に対し、製造物責任等を理由に12億強を賠償請求したものの、棄却された例(東京地判H24.11.30判タ1393-335)です。

裁判所は、当該サイコロステーキ(生鮮品を加工した結着肉)について、 現在の食肉技術では内部にO157の混入を完全に防止するのは困難であり、中心部までよく加熱することを前提とした食材として、広く流通しているとの事実を認定し、それを重視し製造上の欠陥も指示説明・警告上の欠陥も認められないとしています。

流通実態やそれを支える法的規制の状況等を踏まえて欠陥の有無を判断するという点は、加工食品に限らず応用範囲が広いと思われ、製造物責任が問われる事案では参考になると思われます。