北奥法律事務所

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希望の党

しぼむ希望と無党派層の自暴自棄

総選挙前に唐突に発足した「希望の党」は、小池代表の描く新たな政治勢力のビジョンが固まっていないせいか、人材不足のためか、はたまた排除云々のやりとりが顰蹙を買ったからか分かりませんが、ともかく失速する一方で、「政治権力の担い手が流動化することで社会が活性化すること」を期待しているノンポリ無党派層としては、残念に感じています。

先日、「ドクターX」の第1回をチラ見しましたが、せっかくご自身がネタにされているのですから、小池氏も「(大連立は)ございません」ではなく「いたしません」と仰っていただいた方が、世間ウケしたのではなどと、下らないことばかり考えてしまいます。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/news2/20171013-OYT1T50113.html?from=ytop_main2

報道をチラ見する限りでは、無党派層の心を揺さぶるようなメッセージが近時はあまり伝わってこないので、パロディくらいしか楽しみがない、という感覚になっているのかもしれませんが。

小沢代表(民主党)が福田首相と大連立構想を目指した際「党内の若手連中に与党内で雑巾掛けの苦労をさせ経験を積ませるため」と仰っていましたが、その後の展開を考えると実現しても良かったのではとも思っており、今回も、9条改憲のような展開ではなく永田町の流動化(ぶっ壊す)に繋がるような形になるのであれば、総選挙後に自希連立という展開もあってよいのではと思わないでもありません。

その頃にはメディアで「そんなの自暴自希だ」と悪口を言い出す人が生じるのかもしれませんが、それ以前に、総選挙前と同様の自民大勝が予測されると共に、自民独占の構図を作ってまで実現しなければならない政治課題が現在の社会に生じているのか疑問もあり、このままではノンポリ無党派層には自暴自棄的な投票行動しかできそうにないように思われ、残念に感じてしまいます。

ちなみに、私は改憲を否定する立場ではありませんが、もし行うのであれば、これまでも何度かブログで書いたとおり、現行憲法が取りこぼしている価値などについて広範な社会的議論を行い、「新しい国づくり」をする気概が社会にみなぎった状態でなされるべきではと考えており、少なくとも現在、安倍首相が提唱しているような「9条に自衛隊を明記するだけの改憲」には反対です

「自衛権」の明記自体には特に抵抗感はありませんが(「隊」は国家行政機構の一部門でしょうから明記は不要ないし不適切だと思います)、現時点では必要性を感じていませんし、どうしても行うのであれば、統治機構など(主に立法・行政部門)の再検討を含む他の大きな改正とセットにして行うべきで、自衛隊だけをクローズアップさせるような改正の仕方は、あたかも「冷戦激化に伴うGHQの方向転換と逆コース」の一環として警察予備隊の創設がなされた光景に類するように思われ、社会に適切ではないメッセージを発することに繋がりかねないように感じています。

「希望党」パクリ疑惑?に沈黙する達増知事と、幻の「増田寛也副知事の都知事昇格案」

「希望の党」の発足に関する報道以後、衆院選を巡る激しい動きが続いていますが、世間の関心事の一つとして、小池知事が知事を辞任して衆院選に打って出るのか否か注目されているように思われます。

現時点での国民(都民)一般の感覚は、「カリスマ性が乏しい寄せ集め集団を引っ張って欲しい」という期待感よりは「他に都政を託したい御仁が明確になっているわけでもないのに、また都知事選で巨額の税金と時間等を無駄にし、都政を混乱させるのは勘弁して」というウンザリ感の方が勝っている(ので、マイナス効果の方が大きいから出馬しない)のではというのが私見ですが、自信満々に出馬は既定路線とネットで仰るジャーナリストなどもいるので、しがない田舎人にはさっぱり分かりません。

ところで、私は、先の都知事選の際に「当選した小池氏が増田氏を副知事にスカウトし、自民都連と縁切りさせ信頼関係を作って自身の後継者とし、かつ、都知事を途中で辞任する際に副知事に委譲できる法制度を作り、都政に一定の成果を挙げた上で、次の総選挙で増田氏に知事職を譲って国政復帰するというシナリオはいかがか」と書いたことがあります(引用ブログ記事)。

仮に、そうした制度・展開が現時点までに作出されていれば、現在よりも遙かに小池氏の出馬環境が整っていたのでは?と、些か残念に思わないでもありません。

余談ながら、当県の達増知事はご自身が平成18年に出馬した際、「希望王国マニフェスト」なる言葉を旗印にして圧倒的勝利を収め、県内の自民系首長さんから「王国の主は小沢氏か」とケチを付けられた後は、「希望郷いわて」と言葉を変え、現在に至っており、今も県庁の広報等には「希望」の言葉が充ち満ちています(岩手の現状ないしここ数年の推移が、そう称するに足る内実を伴っているかはさておき)。

今回の衆院解散をはじめ、自民党側の動きに対しては真っ先に批判を述べ、小沢氏勢力の動きには率先して賞賛コメントを放っておられる達増知事が、今回の新党騒動について、現時点で「俺のパクリだ」などという批判に限らず、現時点で特にコメントをされず沈黙を保っておられることは、ある意味、注目すべきことなのかもしれません(コメント報道をご存知の方がいましたらお知らせください)。

まあ、今朝の岩手日報などで黄川田議員の引退報道がありましたので、岩手の民由合併は確実だろうと思っていたところ、午後には小沢氏も希望党に合流との記事も出ていましたので、明日には希望党万歳の知事コメントが報道されるのかもしれませんが、ここまで何でもありの状況なら、いっそ「大物」国会議員が不足気味の希望党の総理候補として、小沢氏が推挙される展開を岩手県民としては期待したいような気もします。

ともあれ、知事のマニフェスト自体、岩手県民に忘れ去られている(ご本人も含め?)というのが残念な実情だと思われますので、適切な公約や実行力、ひいては代表者と選挙民の意思疎通(コミュニケーション)のあり方などについて候補者及び選挙民の双方に良質な議論が深まることを期待したいものです。

それと共に、希望党については「都知事の度重なる身勝手?な辞職により選挙が延々と繰り返されてきたこと(その母体と見なされた既存政治の有様)へのウンザリ感」が小池知事誕生の原動力になったことを踏まえ、冒頭に述べたとおり、知事が辞職しても当然には選挙にせず一定の場合には副知事などに交代させるなど「やたらに選挙を強いて税金と労力を浪費させる現状を改める制度(公職選挙法や地方自治法などの改正案)」を検討し提案いただくことを期待したいと思っており、そうした議論がなされないことは残念に感じています。