北奥法律事務所

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業務起因性

震災復興と労災問題

最近、震災の復旧・復興工事に関し、労災事故が増えているという報道を見かけることが多くなっています。
http://www.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043313301.html?t=1397818123649

いわゆる労働災害(就労や通勤に関連して生じた事故や疾病等による被害)については、労災保険の給付対象になるか(労働者災害補償保険法に定める業務上の負傷、疾病等に該当するか)という問題と、雇用主等の企業に安全配慮義務違反を理由とする損害賠償責任が成立するかという問題があります。

これは、交通事故における「自賠責保険上の給付と民事上の責任(任意保険からの支払)」との関係に似ており、被害者や遺族は、労災保険の給付(療養補償給付=治療費、休業補償給付=休業損害など)を受けると共に、企業側に悪質な対応がある場合には、企業に対し、安全配慮義務違反を理由とする賠償請求(労災保険に含まれない慰謝料など)をすることが考えられます。

ちなみに、公務員の場合には、国家公務員・地方公務員それぞれに災害補償法が定められており、公務災害として認められれば、上記と同様の枠組みに従って、保険給付や賠償を受けることができます(被災自治体の公務員の超過労働が問題となっていますが、公務災害に該当する例も多々あるのではと思われます)。

ここ数年の判例雑誌を勉強していると、業務起因性(又は公務起因性)や安全配慮義務違反が争われる事案は時折みかけており、特に、長時間労働を余儀なくされた方が、くも膜下出血等で死亡又は重大な後遺障害を負った場合の業務起因性等が認められるかが争点となる事案が多いように思われます。

安全配慮義務違反に関しては、アスベスト関連の判例が多く取り上げられており、国家賠償請求などが絡んで複雑な様相を呈するものも少なくありません。

労働災害の疑いがある事故や疾病等について、雇用主側から納得のいかない対応を受けた場合や、労災の不支給決定を受けた場合に疑義があると感じている方などは、ご相談をご検討いただければと思います。

もちろん、企業サイドからのご相談等もお引き受けしておりますので、不相当な請求を受けて困惑しているとか、被害等の事前防止の観点も含めた対処のあり方などについて弁護士の支援を受けたいとお考えの方は、ぜひご利用いただけばと思っています。

なお、長時間労働や様々な業務上の事情が積み重なって労働災害が生じたと見込まれるケースなどでは事実関係の把握が大切ですので、時系列表の作成など、事案の概要を説明するための資料を予めご準備の上、相談の場に臨んでいただくよう、ご理解のほどお願いいたします。