北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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法テラスの無料相談

震災無料相談なき後の法律相談の現在と、生命保険を通じた無料相談特約の提案

4月以後、以前と比べて法律相談を受ける機会が大きく減っています。

GW明けに岩手弁護士会の相談センターを担当しましたすが、事前予約ゼロ→当日に飛び込み2件という結果でした。GWの少し前に土曜相談を担当しましたが、こちらも相談は1件のみでした。

いずれも相談は8枠ありますので、3月末で震災無料相談制度が終了した反動かもしれませんが、残念な状況です。

震災直後もこれと似たような状態になっており、震災翌年頃?の震災無料相談の導入で劇的に改善したという経験がありますので、当時を思い出さずにはいられません。

震災無料相談が終了する前に、県民の大半が無料又は少額(2割負担とか)で利用できる制度を設けるような働きかけがあれば良かったのではと思いますが、そのような話に接したことはありません。

前者=無料は、法テラス扶助相談の審査基準の大幅緩和=税金投入が必要で、政治力がない限り無理な話ですが、弁護士会が政治家に働きかけをしているなどという話を聞いたこともありません。

弁政連岩手支部と地元選出の階猛議員との懇談の類なら何度か拝聴したことはありますが、「自民党政権(が繰り出す近時の法律等)が憲法9条云々を危うくしてるんじゃないか」的な、フツーの田舎の町弁には接点の乏しい(ご縁のない)話題ばかりとの記憶です。

後者=一部負担は、法テラスには馴染みにくいでしょうが、いわゆる弁護士費用保険の商品として販売できれば、十分対応可能だと思います。特定分野(交通事故など)に限定しない全方位の相談を対象とするのなら、生命保険の特約として商品化するのが望ましいでしょうし、掛け捨ての生保なら一定の資力のある国民の大半が加入しているはずです。

例えば、資力のない人=扶助(無料)相談、資力のある人=生保の特約商品で一部自己負担付きの相談か、専業弁護士費用保険に加入し無料相談とする、といった仕組み・棲み分けが構築され浸透すれば、国民の大半が全面自己負担をせずに弁護士に相談できることになり、国民皆保の医療業界に近づくことになります。

震災相談の恩恵に与れなかった被災県以外の都道府県の弁護士の皆さんが、この10年間に、そうした取り組みを行っていただければよかったのに・・と、相変わらず他力本願な発想しか浮かんできません。

ともあれ、今後は相談料収入の激減を覚悟せざるを得ないので、独力ではできるはずもない夢想に縋るのではなく、しがない町弁個人でも可能な賢明な方法がないのか、模索したいと思っています。

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ところで、弁護士会相談の担当の際、久しぶりに某パスのお世話になろうとしたところ・・

1件目→今週一杯休業
2件目→まさかの閉店
   (行ったことなかったのに)
3件目→本日休業・・

で、弁護士会から遙か遠い4件目にして、ようやく入店できたという有様でした。(パスポあるある)

予定外の倍額になってしまいましたが、大変美味しくいただきました。

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以下、食事中の方はパスして下さい。

サンビルに戻り、2階のトイレの個室に腰掛けた直後のことです。

なんということでしょう。

突如、下からボコボコと音が鳴り、驚いて立ち上がると、沸騰しているかのような様相を呈しているではありませんか。

しかも、狼狽して水を流してしまおうとレバーを押すと、水が流れず水位がどんどん上がっていきます。

幸い、溢れる前に水が収まり、狭義の(本来の意味の)使用前だったこともあって、一旦、這々の体で他階に逃げました。

1時間後に再訪したところ、何事もなかったように元に戻っていましたが、ともあれ、岩手弁護士会の関係者の男性諸氏は、しばらくは他の階の個室を利用された方が賢明かもしれません。

連休中に家族の要求で「シックスセンス」を視聴したので、或いは、生者ではない皆さんが、代わりに相談にいらしたのかもしれません。

 

法テラス気仙の落日?と「被災地」無料相談事業の行方(後編)

前回の続きですが、今回は、「法テラスの無料相談事業」に力点を置いて書いてみようと思います。

法テラス気仙での相談はすべて無料ですが、岩手の多くの方がご存知のとおり、無料相談ができるのは法テラスだけではなく、岩手県内では当事務所をはじめ法テラスと契約している県内の全ての弁護士(法律事務所)が、原則30分の無料相談に対応しています。

法テラスは、本来は「低所得者などの支援のための公的機関(税金で運営する組織)」なので、無料相談等には一定の所得制限があるのですが、被災3県や青森県八戸市など幾つかの沿岸被災地域では、震災後に制定された法テラス特例法により、震災当時にこれら対象地域の居住者であった方なら、資力等を問わず、また対象事項を問わず(刑事を除く)、無料相談を受けることができるようになっています。

ちなみに、先般の熊本大地震でも、すでに同様の特例法が定められたと聞いています。

この制度は平成27年に延長され、現在は平成30年3月までとなっているのですが、この制度が再延長されるのかどうかも、被災県で活動する弁護士にとっては大きな関心事となっています。

ただ、確かな筋から伺ったところでは再延長の見込みは絶望的で、残念ながら平成30年で終了することが確実視されているようです。

この制度が導入される直前には、弁護士会(盛岡)の相談センター(有料)ですら閑古鳥が泣きそうな状況になっていましたし(これは、他の都道府県でも同様の現象と聞いています)、当事務所に来所いただく相談者の方々にとっても、無料で相談できるということで気軽にご利用いただいている面もあろうかと思います。

ですので、この制度が廃止された場合は、既に全国各地で生じている光景のように、有料に戻す=相談者が激減するリスクを負うか、完全無料(自腹)とするなど事務所の経営(存続)リスクを覚悟するか、選択を迫られることになりますが、いずれにせよ、町弁の事務所経営上は大きな打撃になることは間違いありません。

個人的には、いっそ発想を転換して法テラス無料相談(無条件30分)の制度を全国的に導入してはと思わないでもありませんが、その場合、現在とは比較にならぬ膨大な財源が必要になり、かつ、それを捻出する政治力を弁護士業界が有していないことも間違いないでしょう。

或いは、日弁連が法科大学院(LS)と決別し、LSへの国からの補助金を撤廃させ無料相談の財源に廻せとの運動をしてはいかがかと思ったりもしますが、「LSへの補助金のせいで司法修習生の給費制度が廃止されたので、補助金を撤廃するのなら給費制をこそ復活させるべき」と仰る方も少なくないようですので、遠からず、「国から弁護士業界に流れてくるお金(パイ)」の争奪を巡り醜い争いが生じたり、それに伴う業界の衰亡などという現象も生じることがあるのかもしれません。

そうした意味でも保険制度による費用問題の解決が何年も前から求められていたというべきなのですが、それを怠ってきたツケを、我が業界は今後ますます負っていくことになりそうで、ため息ばかりが増す有様です。

(写真は4月の担当日の際に撮影したものです)

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