北奥法律事務所

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企業再建に関する特定調停スキームと経営者保証ガイドライン

企業再建に関する特定調停スキームと経営者保証ガイドライン


あまり知名度はありませんが、1、2年ほど前から、「中小企業の事業継続が困難になった場合に、債務者が少数の金融機関のみである場合など、債権者との合意で、一定の弁済(原則として破産手続よりも多い額)を行うことを条件に、破産や民事再生の手続をとらずに残債務の免除等を受けることができる制度」が設けられています。

中小企業円滑化法終了の対応策としての特定調停スキーム」というもので、2年前に中小企業円滑化法の終了により倒産が多発するのではないかとの懸念が広まった際、設けられています。

当時、中小企業庁の音頭で経営革新等認定支援機関制度というものができ、私も「支援機関」に登録しているのですが、上記の手続は、支援機関としての弁護士が関与することが望ましいと考えられています。

実際には、政府の予想に反して全国的に倒産件数が少ない状態が続いていることもあり、私自身は、これまで当該手続に相応しい企業さんからその種の申込みを受けるなどのご縁に恵まれていませんが、いずれ、利用する機会があればと思っています。

また、上記の手続は、企業再建を前提とする場合だけでなく、企業(主債務者)が破産等を余儀なくされた場合でも、経営者などの連帯保証人が、冒頭の条件を前提に、その余の債務の免除を受けるために利用することもできるとされています。

例えば、代表者等の方の債権者は基本的に少数の金融機関のみであるなど合意による処理に適する場合に、破産手続で指定されている自由財産拡張の限度額(原則として99万円)以上の額を手元に残し、その余の財産は換価して按分弁済することを条件に残債務の免除を受けるという目的で利用することが想定されています。

昨年末に、弁護士会から「中小企業円滑化法終了の対応策としての特定調停スキーム(経営者保証に関するガイドライン対応)」に関するレジュメが届いており、その制度の利用方法に関する解説や書式などが掲載されていました。

そろそろ、中小企業の倒産件数の増加が見込まれてきていることもありますし、昔と違って、商工ローンなどの同意による解決が期待できない債権者への連帯保証が含まれていない(協議で解決できる金融機関のみとなっている)方も多いはずですから、利用に適する案件のご相談を受けた場合には、当事者の破産手続を避けるためにも、積極的に金融機関側に打診するなど、利用を試みたいと考えています。

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