北奥法律事務所

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02月

著名人の不倫に伴う賠償問題への保険による損害填補に関する一考察

現在は新型肺炎騒動ですっかり下火になりましたが、先日まで人気俳優さんの不倫騒動の件で、改めて不倫という事象が世間の注目を浴びることになりました。

この事件自体には、職業柄その手の話は日常的に仕事で扱ってる(有名人にはご縁ありませんが)ということもあり、さほど関心はないのですが、「CM打ち切りで企業が事務所に賠償請求を予定」という報道もあり、普段扱っている仕事では出てこないようなカネの話については多少の関心があります。

この点、不貞に限らず薬物なども含め、有名人が不祥事を起こして降板等を余儀なくされて企業が巨額の賠償請求をするとか、金額があまりにも大きすぎて払えないんじゃないか、というニュースを最近はよく見かけるようになりました。

このような「本人の迂闊さが祟って巨額賠償」という事象で我々庶民がご縁がある話といえば、なんといっても交通事故であり、まともな社会人なら任意保険で備えをしているかと思いますし、近時は大企業の役員などが代表訴訟向け?の賠償責任保険に加入しているといった話もあります。

が、有名人(や被害企業)が「CM等打切に備えた賠償責任(被害填補)保険」に加入している(そのような保険商品が販売されている)という話は聞いたことがなく、もし社会内にそうしたものがなければ、いっそ、そのような保険を販売してもよいのでは?と思います(商品設計にはAIの助けが必要かもしれませんが)。

この場合、一般論として「不倫や薬物は故意行為だから保険の対象外(免責)だ」という議論があるかと思いますが、薬物はまだしも?不倫については、「犯罪じゃない」などと擁護する声があったり、発覚せずに逃げきる?ことができる方も沢山いるのかも(また、被害の程度は事案でまちまち)、ということで、多少なりとも保険に馴染むように思いますし、少なくとも、被害者側(企業側)については被害填補保険を希望する声はいくらでもあるのではと思います。

ただ、とりわけ賠償責任保険(不貞加害者自身が加入する保険)は、一定の自己負担(保険会社の免責額)が必要でしょうし、その額は一律ではなく保険会社が独自の調査や判断で設定するのが望ましいでしょうから、例えば、賠償額も実行リスクも大きい大物芸能人に対しては億単位の免責額が設定されたりするのではないかと思います。

結果として、不貞リスクのある有名人がこぞって保険加入すれば「自分たち(仲間うち?)でやらかした問題は、自分たちで責任をとる(ので、保険料減額のためにも問題行動自体をさせない)」という一種の相互扶助(と相互監視)の仕組みも期待できそうに思います(同じような話を産廃不法投棄の賠償問題で投稿したことがあります)。

ただ、加入する有名人や保険会社が設定した免責額のリストが流出するなどすれば、それはそれで大ニュースになってしまいそうですが・・

ところで、某先生がFBで「ニュースで大事になって加害配偶者(夫)や不貞相手(女性)に顕著な減収等が生じると結果として不貞被害者(妻)が慰謝料や養育費等を回収できないリスクが生じる」と指摘されていたのですが、そうであればこそ、CM等の企業や有名人に限らず、世間一般のために「ウチの配偶者にはその種のリスクがある」と感じる方のため「被害填補保険(交通事故の人身傷害補償保険と同じ)」を販売・加入してもよいのでは?と思ったりします。

もちろん、コレも保険会社の調査・判断で「あなたの夫は危険度が高いから保険料も高くなります」という、加入者にとってはゲンナリするような話が避けられないかもしれませんが。

ともあれ、賠償責任や被害填補保険による責任や被害への備えを行いつつ弁護士費用特約のような形で当業界への委任費用の負担を軽減する仕組みも構築していただければ、なおよいのではと思っています。

余談ながら、大河ドラマ「花燃ゆ」は最後を除いて(録画の強制消去被害に遭いました)見ていましたので、京都で「やらかしてしまった」久坂玄瑞と重なって見える面はありました。そうした意味(憑依??)では、俳優さんというのも恐ろしい職業なのかもしれません。