北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

〒020-0021 岩手県盛岡市中央通3-17-7 北星ビル3F

TEL.019-621-1771

事業承継など

社会に必要な小規模企業が消えゆく光景を繰り返させないために

先日の岩手日報に、紫波町の特産品である洋梨「ラ・フランス」をほぼ一手に生産する企業(紫波農園)が、人手不足や後継者難などを理由に閉園し、果樹も伐採される予定との記事が出ていました。

ラ・フランスは県内でも果物類の生産が盛んな紫波町を象徴する果物として認知されてきたと理解していますので、誰か承継できなかったのだろうかと、非常に残念に思います。

近年、小規模企業が同様の理由で廃業する例が非常に多く生じており、倒産を余儀なくされる例も少なくないようです。

反面、ここ10年ほど、裁判所に申し立てられる破産事件はごく限られた件数に止まっており、債務超過でも、銀行債務などを残したまま法的手続をせず放置する例が多数生じているのかもしれません。

昔と違って「いわゆるサラ金・商工ローンによる恫喝的な取立」をほとんど聞かなくなったことも、影響しているかもしれませんが。

後継者難については、近年、事業承継支援の動きが色々ありますが、報道や巷の光景を拝見する限り、実際に有益な対応がなされているのは膨大な需要のごく一部に止まるように見受けられます。

根本的な原因は、承継支援(マッチング支援、条件整備支援、事業維持支援など)の担い手不足もさることながら、事業承継の文化(ひらたく言えば、自分の家族以外に、企業を引き継がせる文化)そのものが根付いておらず、客観的には事業承継等の支援が必要でも、需要側(現在の経営者側)が必要性を認識・自覚したり、承継を求めて自ら動いたり第三者の支援を受けたいと考え、動き出すこと自体が、滅多になされていないことではないかと思います。

誤解を恐れずに申せば、病を患っている人が手の施しようのない状態になるまで医師の診察を受けないという話に似ているかもしれませんし、根本的には、日本人の「イエ意識」が、最大の壁になっているのかもしれません。

そのような意味では、ドラマや映画などで小規模事業の承継をテーマ・内容とする作品を取り上げるなどして第三者への承継を身近なものにすると共に承継後の「ハッピーリタイヤ」(とリスク対処)も視覚化して、「文化を変える」ような営みが、もっと盛んになればと思っています。

ともあれ、小規模従事者のための事業承継については、弁護士も本来であれば法務デューデリジェンス(法的資産査定)などの形でお役に立てる場面が多々あると思っており、制度の整備や利用の推進が、もっと盛んになればと感じています。

*****

ところで、県内で新聞販売店を営んでおられる経営者の方が、FBで上記の記事を紹介すると共に、我が業界も人手不足で大変だ、と嘆いておられるのを拝見し、若干の意見交換をさせていただきました。

人手不足一般に関しては、機械化云々や生産性=収益・賃金向上による就労希望者の獲得以外に対処法がないかもしれませんが、新聞配達の場合、毎朝3時~6時に就労することが必要で、機械化なども難しいことなどから、人員確保には、かなりのご苦労があるようです。

新聞も、10年か15年もすれば、ドローン配達もありうるのかもしれませんし、従事者の減少が、結果としてWeb利用での新聞購読(現在のPC・携帯での購読)を促進するのかもしれません。

ただ、個人的には、それとは別に、近未来には、新聞配達を全面的に不要とする仕組み・慣行が作られるかもしれないと思っています。

例えば「新聞紙のような形状・質感・軽量のデバイスにWeb上で新聞社が利用者に新聞データを電送し、利用者は都度、DLした新聞データ(チラシ広告を含む)を閲覧する方法」です。

これなら、PCや携帯で見るのと異なり紙面を広げて読むなど新聞本来の閲覧方法が可能で、デバイスが壊れない限り、延々と再使用できますし、データ保存も可能なので切り抜きを保存する必要もありません。データ整理も容易でしょう。

デバイスが主要紙の全部(海外含め)に対応すれば、1個のデバイスに各社の新聞データをDLして閲覧することもできます。

私は新聞は紙媒体派で、Webニュースは無料記事しか見ていませんが、上記のデバイスができたときは、利用しそうな気もします。

仮に、そのようなデバイスが作られ普及した(紙媒体に全面的に取って代わった)ときは、新聞販売店という企業(配達員という業態)自体が不要となる(貴社も業態転換を迫られる)ことになるのかもしれません。

まあ、妄想ないしミニSFの類と一蹴されるだけかもしれませんが。

また、配達員の確保困難を理由に販売店の業務継続が困難となった場合、郵便事業と何らかの形で融合させることは、解決策になるかと思います。

具体的には、朝刊の毎朝配達を諦め、郵便局が、郵便物の配達時間と一緒に(午前中などの配達時間に)対象地域を巡回して、郵便物と一緒に(その日は郵便物がない家にも)新聞を投函する、という方法です。

県内の販売店の方々も、中心部市街地のみ自社で対応し、山間地などは郵便局に対応して貰う(購読者も、やむを得ないものとして了解して貰う)形にすれば、現下の情勢でも、やりくりできるのかもしれません。

・・と思って「新聞配達 郵便」で検索したところ、すでに、かなり実施されているようです
今後は中心市街地以外は郵便などで新聞を配達するのが当たり前になるのかもしれません。

ともあれ、事業者の方々から、現在の事業経営上の問題点を伺ったり、法律問題に限らず、何か役立てることがないか調べたり考えたりするのも、色々と有意義が面があるように感じています。

さして地縁もない身で田舎のマチ弁をしていると、地元の事業者の方々から依頼等を受ける機会はさほど多くはありませんが、もっとお役に立つ機会があればと思いつつ、皆さんのご健闘を祈念しております。