北奥法律事務所

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公益活動等

廃墟建物を作り出した金融機関の貸手責任による解体費用の負担の提言

先般、「日本のアマルフィ」と呼ばれる和歌山の風光明媚な海岸近くに長年放置されていた廃墟旅館の解体が、多額の公費を投じて開始されることになったとのニュースが流れていました。

【速報】『日本のアマルフィ』にある「廃旅館」長年放置…倒壊おそれで解体作業始まる 和歌山・雑賀崎漁港近く 費用約7000万円は国や県などが負担(MBSニュース) – Yahoo!ニュース

この種の問題では、自ら責任をとれない事業に融資をして公費負担の結果を生じさせた金融機関≒担保権者に、一定の範囲(最大5割とか)で、撤去の連帯責任(補償義務)を負わせる法制度があってよいのでは(それにより、金融機関は無謀な融資の回避や借主監督、早期適正譲渡などの努力を行うようになる)と考えます。

こういった「原状回復に関する融資者(金融機関)・出資者の監督責任」はメガソーラーなどでも用いられるべきだと思います。

平成の前期には、当時、米国で流行していた金融機関の貸手責任論が盛んに議論されていたのですが、今ではすっかり聞かなくなり、残念です。

我国では、代表者の家族とか、およそ責任を取れない者に巨額の負担を課して「連座させて潰す」ために保証制度が濫用されてきましたが、保証とは、本来「借主を監督できる後見役となりうる大物」こそが引き受けるべきものです

税金投入が強いられる「社会に生じた負の遺産」に関しては、その事業を開始させた金融機関や出資者などが、負の遺産の発生を防げなかったことへの責任を一定程度とるべきだ、という社会意識ないし政策の喚起が必要と考えますが、どうでしょう。

ウソと桜と沈黙?の春

4月に盛岡市内(桜山の亀が池)の桜を拝見したときに感じたことです。

平成20年代前半は、ウソという小鳥による桜の食害が大きな話題になっており、当時、花が全然咲いていない桜木や鳥が花芽を食べている光景を見た記憶もありますが、ここ数年、岩手では嘘のように全く聞かなくなりました。

ウソは通常は冷涼な高地に棲息し、冬季のみ平地で越冬するとのことですので、食害がない=開花直前期などにウソが街からいなくなったのは、或いは、温暖化の影響で、冬のうちに山に戻った(里に来なくなった)のかもしれません。

ただ、温暖化等の影響でウソそのものが減少すると、彼らの主食である森林の害虫までもが放置され森林荒廃などのリスクが増大することになります。

ウソ食害と入れ替わるように、海では三陸の伝統的な魚種が(北方海域などに)消えてしまったという報道を聞くようになって久しいですが、海だけでなく山の世界も、生態系の混乱など、信じられないような事態が生じているのかもしれません。

或いは、美しい桜の姿も形を変えた「沈黙の春」の前兆なのかもしれず、皆さんも、花びらの先にそのような事柄も見つめていただけばと思っています。

そういえば、私、岩手弁護士会の公害対策環境保全委員長でしたね・・・本当ですよ。何もしてませんけど。

岩手弁護士会・公害対策環境保全委員会の活動とお願い

私は標記の委員会の委員長を拝命していますが、諸事情で首が廻らず、他の委員も本業で環境問題を本格的に手がける「専門家」の方がいないこともあり、委員会としては、事実上の休眠状態が延々と続いています。

先日、弁護士会の他の委員会から自治体向けの業務提携の広告文案と意見照会が来ましたが、照会の対象文書(チラシ)には、当委員会の取扱分野である、公害対策及び環境保全に関する自治体支援の活動に関する記載が全くなかったので、昼行灯委員会だからそのような扱いを受けるのだろうと残念に思いつつも、次のような内容を加筆いただきたいと要請しました。

【公害対策・環境保全】法律相談業務受託、弁護士推薦、講師派遣など

自治体内で生じた各種の公害・環境問題について、自治体・住民・地元企業など様々な立場で法律相談に対応するほか、法律問題に関する勉強会の講師派遣、各種協議会や第三者委員会などの委員を推薦します。

典型七公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)に限らず、自然保護・廃棄物・エネルギー(太陽光・風力など)・景観・化学物質等に関する被害などのほか、動物愛護・動物福祉に関する問題(虐待、殺処分、多頭崩壊など)も対象とします。

まあ、当然ながら、その書面を送ったところで直ちにどこかの自治体から当委員会に申出がくるとは言えないでしょうし(それどころか、申入自体、捨て置かれる可能性も十分あるのでしょう)、本気で「自治体連携」をする気があるなら、当委員会として、県庁や県内各自治体或いは各種団体に、独自に書面を作成して送付する程度のことをしなければとは思っています。

他の委員会の取扱は存じませんが、例えば、「講師派遣」の報酬を委員会予算から支出できるのなら、先方の費用負担無しでも対応できるので、勉強会等を希望する自治体などはどうぞ、と言いやすくなるとは思います。

というわけで、他人をアテにすることなく委員会の活性化のために自分から率先して動かねばとは思っているので、そろそろ行動に移すことができればと思います。

この投稿をご覧になった方で、当委員会の支援等を希望される方がおられれば、当方までお声がけいただければ幸いです。

原発被曝廃棄物の中間貯蔵や最終処分などの実情に関する平成30年福島視察

4年間に日弁連廃棄物部会で福島第一原発の周辺地域(相双地区)を視察した件について、以前にブログで取り上げたことがあります(前編後編)

この視察について、3年前に日弁連・公害対策環境保全委員会が発行している広報(公害環境ニュース)でもレポートしたことがあり、かなり経過してしまいましたが、ブログにも掲載することにしました。

1 はじめに

廃棄物部会では、福島第一原発から放出された放射性物質に被曝したため特別の処理を要する廃棄物のうち、放射能濃度(ベクレル数)の高いものに対する現在の処理などの実情を確認するため、本年6月17日・18日に、福島県双葉町など原発の周辺地域への調査を行いました。

具体的には、①中間貯蔵施設の予定地など、②特定廃棄物(8000~10万ベクレルの焼却灰等)の埋立処分施設(福島エコテック)、③除染土壌の再生利用実証実験施設の3箇所を視察し、関係者の聴取を行いました。

2 中間貯蔵施設の敷地等の視察など

中間貯蔵施設は、双葉・大熊町のうち第一原発を取り囲む総面積1600ヘクタールもの広大な土地に予定され、大半が民有地のため国は平成27年頃から買収などの交渉を行っています。

双葉町役場のご担当の引率で常磐富岡ICから国道6号を北上し双葉町に向かい、最初に役場屋上に赴き、事故直後の対応やその後の経過などの説明を受けました。

そして、中間貯蔵施設の予定地となっている役場近くのエリア(現在はまだ民家や神社などが点在)、すでに民家などが解体され山林の合間に分別・保管等の施設が建設されているエリア、津波被害を強く受けた海岸地帯、原発敷地に接するエリア、町の中心市街地(ゴーストタウン状態)なども見せていただきました。

先祖代々の土地を手放せぬとして強硬に拒否する方々を除き、大半の住民はやむなく用地売却に応じているそうですが、最近まで、そこには穏やかな里山の光景があったはずで、相応の補償がなされるとしても、谷中村やダムに沈められた村々などを見ているような印象が否めませんでした。

ご担当は現在の役場や町民が直面する様々な課題を説明しつつ、「この状況は自分達が望んだことではない、でも、他の人々に迷惑をかけたくないと思って犠牲を引き受けている、その点は全国の人々に知って欲しい。それが一番言いたいことです」と強く述べていました。

3 福島エコテックの視察など

福島エコテックは、8000ベクレルから10万ベクレルまでの廃棄物(高濃度焼却灰など)の埋立のため国が既存の産業廃棄物最終処分場を買収(国有化)して設置した施設であり、埋立可能容量は65万㎥、見通しでは高濃度廃棄物やその他の被災廃棄物の埋立に6年ほど、その他の廃棄物(双葉郡8町村の一般廃棄物の焼却灰等)の埋立に10年ほど使用することを想定しているそうです。

高濃度廃棄物は、事前に大型収納容器に封入しベクレル数を測定した上で搬入し、通常の管理型処分場よりも汚染リスクの防止を強化して埋立を行っており、例えば、溶出しやすい飛灰は事前にセメント固型化し、埋設廃棄物の下部や中間層に土壌層を敷設しセシウム吸着を図るなどの措置が講じられているとのことです。

当日はひっきりなしにダンプが出入りし多数の大型クレーンにより盛んに埋立が行われていました。「地域の理解を得るためにも一般の見学を広く受け入れる準備をしている」とのことでしたが、入口付近には「原発に隣接しない楢葉町に処分場を設けるのは反対だ」などと書かれた反対派住民の看板も設置されていました。

4 土壌再生利用実験施設の視察など

環境省は、除染作業を通じて除去された膨大な量の土壌(最大約2200万㎥と推定)について、汚染廃棄物の最終処分量を低減させるなどの目的で適切な態様での再生利用の促進を企図しており、まずは道路の盛土材や防潮堤などの構造基盤としての活用を実現するため、南相馬市内に安全性調査の実証実験施設を設けています。

実験は最終段階に入っており、対象資材たる土壌(1㎏あたり771ベクレル)の浸出水の放射能濃度が採取開始から現在まで全て検出下限値未満なので、安全性が実証されたのではないかとの説明がありました。

再生利用には現在も様々な議論が続いており、今後も注視していく必要があることは間違いありません。

5 双葉町役場での聴取など

最後にいわき市の双葉町役場事務所にて役場職員の方々と面談し、中間貯蔵施設の受入の経緯や用地取得に関する役場側の対応などについて説明を受けました。

役場の方々は、将来、廃炉後に汚染廃棄物によるリスクだけが現地に残る事態を危惧しており、今後も国や東電などとの折衝に取り組んでいくと共に、多くの方の支援をお願いしたいと述べていました。

6 最後に

原発が作り出した膨大な電力の主な受益者は大都市の住民や企業群などであり、地元住民ではありません。

と同時に、膨大な電力の生産と都市部での電力の浪費は、大量廃棄社会の震源地(最上流部)と言うべきもので、廃棄や浪費を減らすには循環利用もさることながら必要以上の電力は最初から作らないなどの姿勢が求められると思います。

地元民に犠牲を強いるばかりの社会を繰り返さぬよう、皆さんの更なるご尽力が求められているのではないでしょうか。

 

ペットの里の「惜しい感」とポテンシャル

今年の9月のことですが、岩手山麓にあるペットの里に初めて行きました。施設には、猫カフェと犬舎があるそうですが、当方家族は猫派のため、猫カフェのみ若干拝見しました。

利用料金の定めがなく「お気持ちで寄付をどうぞ」とのことですが、ペット保護の篤志家の方々はともかく、一般客にはかえって敷居が高くなる(ので、1回目に見栄を張った額を出し、結果として再訪しにくくなる)感じがあり、「どうしたら良いか分からない方には、○円をお勧めしています」などと言ってくれた方が有り難いな、と思いました。

建物は、外観はとても立派なもので、かつて著名大企業の保養所として使用されていたものとのことですが、私が伺ったときは建物内には整理や廃棄等を要すると思われる物品類が雑然と置いており本格的な清掃が必要な状態にあると感じたので、その点は残念でした。

私は盛岡市中心部にある猫カフェ「もりねこ」には過去に数回、入口周辺だけ出入りしたことがありますが、とても清潔で整然としている「もりねこ」と比べて、施設内は改善を要する点が色々とあるのでは、と素人目にも感じるところはありました。

ただ、従事するスタッフの方々からマイナスの印象を受けることは全くなく、熱意をもって真面目に従事されているのだろうという印象は強く受けました。

ですので、これは、恐らく現場のスタッフさん側の問題ではなく東京?の運営サイドで対応すべき面が強いのでしょうから、その方々はぜひご検討いただければと思います。

ただ、現実問題として、施設整備を行き届かせようとすれば相応のカネを要するでしょうが、運営サイドにその面倒を見るだけのカネを賄うのが難しいという問題があるのかもしれません。

他方で、私が拝見した限りでは(ペットの里のFBページも含め)、地元関係者が運営のため支援しているという話が出てきません。地元などの有志・篤志家が食糧(餌類)などの差入をなさっているそうですが、施設整備の支援もあれば良いのではと感じてしまいます。

例えば、地元(雫石や滝沢、繋など)の犬猫大好きな中高生が既存の部活との掛け持ちクラブとして「犬猫部」を作り、同じく犬猫大好きな地元の信頼できる方の引率で2週間に1回ほど?の頻度でペットの里に赴き清掃や施設整備など様々な支援活動を行い、ご褒美?に犬猫と触れあって帰る、とすれば、相応に入部希望者が殺到するかもしれません(便乗して同級生の女の子と過ごしたい野郎共の入部希望を含め)。

また、「年に1回くらいなら、そうしたボランティア活動ができる(したい)。もともと犬猫好きだし(メンバーの多くが飼ってるし)」という団体は相応にあるのではと思いますが、上記のクラブや支援住民が母体或いは窓口・仲介役をつとめていただければ、受け入れなどもスムーズに出来るのではと思われます。

それこそ盛岡市内のロータリー・ライオンズなどであれば、土日の午前に1~2時間ほど中高生の部活と一緒に支援活動→「犬猫ふれあいタイム」の前後に敷地或いは近隣でBBQ等で打ち上げ(メシ代はRC等の奢りで)、とすれば、割と実現容易な企画になりそうな気もします。

また、ペットの里は、地域限定(地元民向け)というより、高い理念のもと、全国(世界)に発信することを目的とした施設と認識していますので、そうであれば、犬猫飼育等に強い関心を持つ全国・世界の関係者が、この施設を目的に訪れるような「目玉コンテンツ」が必要では(例えば、愛好家や修学旅行生などが犬猫と一緒に?寝泊まりして世話体験ができる宿泊施設とか、プロ等が学びに来るような最先端の専門施設とか?)と思いますが、そうしたものを見かけなかったのも、少し残念に思いました。

かの「オガール紫波」は、プロ選手が利用を希望する「ハイレベルのバレー専門体育館」を、バレーの専門家でもある社長さん達の高度の営業活動や人脈を通じて現に世界からプロ選手などを集客しているとのことですが、そうした「ピンホールマーケティング」の努力がこの施設にはもっと必要なのでは?と感じました。

と同時に、そのような努力が現に行われて実を結べば、この施設は雫石や岩手山南麓等(盛岡西北部)エリアの旅行客などが、小岩井農場などと共に行程の不可欠の訪問先の一つとすることも期待できるはずで、そうした「夢のような話」を、施設関係者と地元関係者が、もっと語り合って実践の努力をしていただければ良いのに、とも思いました。

ともあれ、(私と違って?)犬猫大好きの皆さんにとっては沢山の犬猫達に囲まれて十分満足できる施設だと思いますし、そうした「惜しい感」或いはポテンシャルを見出すためにも、皆さんも一度、ペットの里に訪れてみてはいかがでしょうか。

メガソーラーの廃墟化(運営放棄・倒産等)による大規模不法投棄の危惧と対策

ごく一部の方にしか知られていませんが、こう見えて、4年ほど前に日弁連公害対策環境保全委員会・廃棄物部会の部会長を2年だけつとめていました(モチ名ばかり)。その際、

「今、日本各地の辺境に大規模メガソーラーが作られているが、運営企業の中には、実体が不明瞭なものも珍しくなく、災害で大規模な破損が生じたり、耐用年数が切れたときなどに、責任をもって廃棄等の対処をせず、放置=大規模不法投棄を全国各地で生じさせる(≒県境不法投棄事件の拡大再生産になる)危惧があるのでは。今のうちに日弁連として何かできることはないか」

と考え、部会内で議論したり、環境省・総務省や太陽光発電の関係協会の方からお話を伺うなどしたことがあったのですが、ほどなくしてプラスチック海洋汚染の話で世論が沸騰したため、まだ顕在化していない太陽光よりそちらに取り組むべきとなって部会の取り組みは一旦終了し、今に至っています。

先日、太陽光発電の廃棄問題について触れたWeb記事を拝見しましたが、私自身は、当時から、この記事の学者さんが仰っている

太陽光パネルも発電事業者がリサイクルを進めるように促す法律を整えること」に加え、

事実上の不法投棄(使用済み・破損等パネルの大規模放置)の未然防止や、地元自治体(住民)に事実上の処理負担が押しつけられないようにするための費用担保(保険等)の制度

を主張する意見書を作成できればと思っていました。

が、肝心の私自身が当時も今も本業で首が廻らず、具体的なことは何もできていない状態が続いていることに、懐かしいというか、力及ばずお恥ずかしい限りです。

記事では岩手県(奥州市)の事業者さんが取り上げられているので、できることなら、そちらの視察(見学)にも行ってみたいものですが、多数の締切に終われる現状では、夢のまた夢というトホホな有様です。

東京五輪の「違法な弁当大量廃棄」と食品ロス削減推進法などの改善を求めて

新型ウィルス禍に起因する東京オリンピックの無観客化に伴い、ボランティアへの食事の提供が不要になったことを理由に、1日数千食分の弁当が無駄に廃棄されたという記事が出ていました。

しかし、記事でも述べられているとおり、2週間(以上)前から発注(提供)不要・廃棄必至と予測できたはずで、製造中止等の措置を講じなかった五輪組織委は、食品ロス削減推進法5条(事業者の努力義務)に違反したというべきでしょう。

また、東京都や23区などは、事前に事態を把握して弁当等を引き取り「五輪食堂」などと称して貧困世帯などに提供することもできたはずで、同法19条(未利用食品の貧困者等への提供のための行政側の措置義務)にも違反するというべきだと思います。

残念ながら、食品ロス削減推進法(令和元年制定)にはロス削減の実効性を担保する強制的な制度はなく、同法上(公法上)は、組織委であれ行政云々であれ、誰かがペナルティ(行政命令、刑罰など)を課されることはありません。

しかし、弁当云々に限らず組織委ないし今回の五輪に対し指摘された様々な問題に照らせば、弁当大量廃棄を理由に組織委の誰かが何らかの責任をとる(内部で自主的にそのような措置が講じられる)など、全く期待できません。

だからこそ、組織委(担当者等)には、予防に対する意識も全く無かったのでしょう(すべての杜撰は無責任に宿る)。

これを機に、大規模または悪質な食品ロスの防止の実効性を担保する制度や固有のペナルティ制度について、議論が深まって欲しいと思います。

例えば、

担当者と役員などに、断食の刑とか農家や弁当屋さんで無償労働の刑(公開つき)

などを導入すれば、多少は抑止効果があるのでは?と思ったりもします。

もちろん、より悪質な「飲食店の無断キャンセル」についても、食品ロス削減推進法違反という形で、警察が摘発しやすいように定めた特別規定を作るべきと考えます。

併せて、この種の無駄遣いの抑止のための賠償請求訴訟制度(日弁連が昔から提言している「住民訴訟の国版制度」)も、併せて考えていただきたところですが。

食品ロス削減推進法は「廃棄物の発生と資源の無駄遣いの防止」に関する法律であるという点では、環境省が所管すべきだったのでは?と思っていますが、どういうわけか消費者庁の所管となっています。

昔、日弁連廃棄物部会で食品ロスの問題を取り上げなくていいんですかと尋ねたところ、有力な先生に「うちの仕事じゃない。人権の問題じゃないから」と一蹴されたことがあり、今も残念に感じています。

SDなんとかに言及するまでもなく、この問題は、

①資源の有効利用等の点で、本来ならその食品を利用できたはずの現在及び将来の人類の権利の問題であり、

②国内外に飢餓を抱える人がいるのに、食品を粗末に扱い平然としている者がいるという点で、法の下の平等の問題であり、

③食事を作り提供する人の心を踏みにじる行為であるという点でも、人間の尊厳の冒涜であり、

④そして、原料たる動植物や作られた食事そのものなど、人にあらざる存在の尊厳(万物の尊厳)への冒涜でもある、

と認識しています。

それらを踏みにじる東京五輪に幸あれ!などと、つまらない便乗悪口を述べるつもりはありませんが、先日も賞味期限切れのレトルトカレーを一人寂しく食べていたケチでビンボーな身としては、こうした報道を機に、実効性ある制度の導入に向けた世論の機運が高まってくれればと思っています。

 

震災無料相談制度の終了(あと1日)と「駆け込み利用」に関するお知らせ

岩手では一般の県民にも最後まで知名度がありませんでしたが、「震災当時、岩手県民など(被災三県民及び隣接被災地民)であった方」なら誰でも利用できる無料相談制度が、明日(3月31日)、終了となります。

ただ、この制度、31日までに申込を行っていただければ、来所自体は4月末まででもOKとなっています。

というわけで「実は相談したかった」という岩手県民などの方がおられれば、31日の営業時間内にお電話いただければと思いますので、一応お知らせいたします。

まあ、こんなことを書いても、当事務所に電話が殺到することは微塵もなかろうかとは思いますが。

なお、限られた資産・収入しか有しない方のための無料相談制度(扶助相談等)は今後も従前同様の内容でご利用が可能ですので、該当する方は、ご遠慮なくお申し出ください。

本来は半年以上前から泉佐野市のように?「無料相談終わっちゃうよ、今のうちにおでんせ大キャンペーン」を行いたかったのですが、昨年前半頃から首が廻らない状態が延々と続き、残念ながら、何もできずに今日を迎えてしまいました。

当事務所(に相談いただいた方々)も、導入時から現在まで長年に亘りこの制度に大変お世話になり、導入や延長にご尽力いただいた皆様には、改めて感謝申し上げるところです。

震災相談制度などについては色々と述べたいこともありますが、またの機会にということで、本日は一旦ここまでとさせていただきます。

以上、当事務所からのお知らせでした。

 

マスク散らかる街角に身近な善意をもう一度

新型ウイルス禍の勃発以来、町中で道端にマスクが落ちている光景を目にすることが非常に多くなったような気がします。

マスクに限らず整備された歩道などにゴミが落ちていると、その光景を目にすること自体が嫌で、拾ってゴミ箱に捨てたいという欲求にかられます。

が、手に持って事務所まで延々と持ち歩く気にもなれず、仕方なく悲しそうな目をしながらやり過ごすことになりますが、いじめの光景を見て見ぬふりをしているような嫌な気分になり、ますます腹立たしい思いにかられてしまいます。

そういうとき、すぐそばにゴミ箱があれば(衛生上の問題がある場合を除き)拾って捨てるのにと思うこともありますし、昔は街角にゴミ箱があったような気もしますが、今はそうしたものもほぼ見かけません。

そこで、通りに面した各種店舗・オフィスなどが「近所のゴミ受け入れOK宣言」を出し(ステッカーなどを入口に貼り)、例えば、店舗の半径50~100m以内の路上に落ちていた小さなゴミを拾って届けると、お店のゴミ箱に捨てさせてくれるという仕組み(慣行)があれば、そうした光景を見過ごすのが嫌な人は拾ってすぐに捨てることができ、有り難いと思いました。

お店側も労せずして?店舗付近の環境美化に繋がり、有意義だと思います。

マスクなど衛生リスク品も、お店にゴミ拾い用のトングなどがあれば、それを借り、拾って返すこともできると思います。

また、スマートフォンを通じてゴミ拾い情報を送信すれば少額のポイントが付与され、それを各種の値引きに利用できる(マイナポイントのような)仕組みがあれば、情けは人のためならずということで、普及しやすいのではと思われます(不正防止の配慮も要るのでしょうが)。

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現在、町中に落ちているマスクの大半は、いわゆる不織布マスクですが、ご承知のとおり、これは紙(木製)ではなく精巧に作られたプラスチック繊維で出来ているそうです(詳しいことはWebでどうぞ)。

ですので、(焼却されなければ)自然に還るには莫大な年月を必要とするので、町中に放置→雨水(融雪等を含む)で河川流入、又は土壌混入となれば、生物の誤嚥やマイクロプラスチック問題など万物ひいては人類に様々な刃が向けられることになります。

というか、すでに将来の人類等に深刻な事態が作出されつつあることは皆さんご承知のとおりです。

マスクに限らず、圧倒的なプラゴミ等が河川・海洋に流出していることは、春先や台風等のあとに郊外のダムを見に行けば(或いは人があまり来ない海岸に行けば)岸辺に大量のゴミを見かけることで、誰でも理解できることだと思います。

盛岡市も、「サケが戻ってくる川」などと標榜するのであれば、プラゴミ宣言を通じて淀川への流出を阻止しようと熱心に取り組んでいる京都府亀岡市などに見習って、自ら行動すべき事柄が色々とあるのではと思われます。

大上段のことを申すつもりはありませんが、とりあえず、街角に落ちているゴミを、躊躇なく拾って、すぐにゴミ箱に捨てさせてくれる社会を、我々は取り戻すことができればと願っています。

昔なら、駄菓子屋のおばちゃんに「ごめんなさい、いいですか」の一言で足りたのでしょうし、その際、ささやかな善行(偽善?)の快感やおばちゃんへの感謝から、うまい棒の一本でも買っていったのでしょうから。

 

テイクアウト支援の彼方に消えた「使い捨てプラスチック問題」のいま

新型ウイルス禍の影響で居酒屋支援も兼ねてテイクアウトが推奨され、4月から5月にかけての私のFB画面も、優雅なお友達(from妖怪ウォッチ)の皆さんの高級グルメ投稿がめっきり姿を消し、テイクアウト弁当の投稿が花盛りという印象になっています。

それ自体を批判するつもりは毛頭ないのですが、こう見えて、6月まで日弁連公害環境保全委員会の廃棄物部会長をつとめており、「プラごみの河川・海洋流出などによる環境汚染と生態系や人類への脅威に立ち向かうため、使い捨てプラ容器の使用を削減すべき」という運動にほんの少しだけ関わっていましたので、様々な美名のもと使い捨てプラ容器の使用が推奨され、やがては大量廃棄・焼却=温暖化や廃棄ルートの不整備による河川流出などに繋がるであろう光景に、どうしても抵抗感を抱かざるを得ない面があります。

また、つい最近まで「SDGSバンザ~イ、わたし環境意識高い系です!」的な花火を打ち上げていた方々が、その点で影響力のある提言、活動をしているなどというニュースが伝わってこないのも、残念に感じます(日弁連がその最たるものかもしれませんが・・)。

で、弁当だって、昔は(今だって都内で有名な玉子屋さんのように)弁当業者が用意した容器を繰り返し利用するものが当たり前だったのですから、その時代に戻すことはできないのかと残念に思います。

もちろん、飲食店側にしてみれば、やむを得ざる事情から臨時にテイクアウト弁当を手がけただけで、自前でリターナブルの(繰り返し利用できる)弁当容器を用意する=その経費を投入するのは無理があるでしょう。

そこで、例えば、商店街や複数の居酒屋店舗が連携するなどして統一の弁当箱を作り、弁当箱はデポジット制(容器代として容量などに応じ数百円とし、店舗又は元締め的な団体に返却すれば箱代が戻る。希望者は返却せず使用してもOK)とするような取組があればと思っています。

繰り返し利用したい人は、夕方(帰宅時)などに、次に発注予定のお店に弁当箱を預けて代金を払い、洗って貰った上で明日にその店の弁当を取りに行く、などのやり方ができそうに思いますし。

弁当箱はなるべくプラ以外の材料(大館曲げわっぱのような?)で軽量化を目指すべきですが、重さがあって自分で取りに行けないものはタクシー配達に限らず様々な工夫をして少額での配達を目指していただければと思います。

弁当箱の初期費用は最初は補助金などに依存せざるを得ないかもしれませんが、SDGSに熱心なカッコイイ大企業やふるさと納税が大好きな全国の資産家の皆さんなどに支援をお願いするなど、あの手この手のやり方で回収を考えていただきたいです。

また、お店と客が顔の見える者同士であれば(言い換えれば、お店側がOKと認めた者だけに限定する形などで)自前の弁当箱を預けて、その中にお店の裁量で色々と詰め合わせてもらう、というやり方もあってよいと思います。

綺麗なものを預けることが前提なので相互信頼が不可欠ですが、昔から魚屋さんに立派な皿を預けると刺身を盛り付けて貰えるそうなので、信頼関係や工夫があれば、できないことはないはずですし。

なお、弁当箱のデポジットが現在の社会で存在しているのか調べたところ、大学生協などで利用されているとの記事を見ましたので、参考にしていただければと思います。

ともあれ、テイクアウト(持ち帰り飲食物)を推奨せざるを得ないとの前提が当面動かしにくいのであれば、なるべく使い捨てプラ容器に依存しない方法で飲食店支援の花を咲かせていただければ、弁当容器を捨てるのさえ勿体ないと感じるケチでビンボーな町弁も安心して利用でき、有り難いと思っています。

まあ、先日の解除宣言により、一気に従前に逆戻りという展開もあり得るのかもしれませんが・・