北奥法律事務所

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サケ刺網訴訟

リアスマリンNEO第2章のハッピーエンド?

今から13年前に、岩手の北限?のタラと海の平和を守るために1年ほど闘い、3年前には岩手のサケの平和を守るために2年以上も闘った、自称・リアスマリンNEOこと小保内です。

13年前は県境の海岸で依頼者の方からとってもとっても美味しいウニの瓶を頂戴したのですが、3年前は依頼者が県庁(形式的には、お目にかかったこともない某知事)だったせいか?、どんなにどんなに頑張っても、三陸の海の幸をいただくなどという僥倖には恵まれず、知事はもちろん、サケ産業の関係者から感謝の言葉を頂戴することすらありませんでした(県庁のご担当からは沢山の感謝の言葉をいただきましたが)。

で、時給換算で当方史上最大の大赤字仕事・・ということもあり(特例で相応の増額はしていただきました)、

やっぱり岩手を守るヒーローって、報われないんだ。
俺も今日からアニに倣ってテント一人旅に出かけるか、アラタ・・

などと枕を涙で濡らす日々を送っていました。

すると、天が不憫に思ったのか、先日、岩手の神様ならぬクリスマスにお越しになるはずの方から季節外れ?の来訪があり、ご覧のとおり、

三陸産のサケの切り身と最上級イクラたっぷりセット

を頂戴し、家族で美味しくいただきました。

いやぁ、子供の頃は、実家でカチコチになった小さな塩引きの切り身はたまに食卓に出ていましたが、こんな大きく肉厚な切り身をいただいたのは初めてです。

まして、今や高級食材にはなかなか手が届かない身には、これほど美味しいイクラをいただいた経験があったか、ちょっと思い出せません。

というわけで、これにて自称・リアスマリンNEO、第二章サケ刺網編、無事、大団円にて終幕。

そして、次の出番は7年後・・・かも(to be continued?)

・・・それはそれとして、ご承知のとおり、ある意味とても残念な訴訟を横目に、現在の「岩手のサケ産業」は、不漁(海洋環境の激変等に起因するサケの未帰還)による総敗北というべき状況にあり、本来は、内部で争いをしている場合ではありません。

そうした真面目?な話についても、訴訟に従事した者として、いつの日か差し支えのない範囲で何か書ければと思っています。

これも田舎の町弁の生きる道

某大企業さんから有り難くお引き受けしている仕事が佳境に入り、土日も雪だるま状態の作業に延々と追われています。

ただ、「本来は争点Aだけ審理すれば足りるのが当社の方針です。それに規定ではこれしか払えません」という依頼主(組織)のせいか、「争点BCDEF(以下略)も審理せよ」と余計な?仕事を増やしたがる相手方のせいか、「BCDなども審理判断する(ので、負けたくなければ必要な主張立証をせよ)」と宣う裁判所のせいかはさておき、結果として、限られた費用で膨大な作業に追われ、負荷ばかりが増大しているような千本ノック的被害感情は否めません。

まあ、社会的意義などに照らし非常にやり甲斐のある事件なので、いつかはいいことがあるさと信じて?低賃金労働(時給計算)にもめげずに頑張ることにしています。

そういえば、その大企業の社長さん(直にお会いしたことはありません)が、昨年に、イクボス宣言なるものをなさったとの報道に接した記憶があります。

この言葉は「部下に無理な労働をさせず自身も私生活を充実させている上司」との意味だそうですが、何度聞いても音の響きが好きになれず、カタカナ嫌いということもあって、兼業主夫婦等支援責任者とでも言えばいいのにと下らないことばかり考えてしまいます。

それはさておき、高邁な理念も、兼業主夫労働にあくせく従事しつつ深夜に事務所に戻って大企業の受注業務にも勤しむ零細事業者のことまでは考慮の対象に含まれていないのかもしれません。そんなわけで、事務所で深夜に独り、あかちょうちん気分で一句。

下請の悲哀はイクボス知らん顔

戯言はさておき、当方に限らず、地方の町弁業界の景気は残念な状態が続き、限られた報酬で山のような作業を余儀なくされる依頼ばかりが増えているのが実情ではないかと思います。

収入面で試練の真っ只中にある業界に身を置きながら土日も深夜に事務所で作業をしていると、イクボス、何とかミクスの賃上げ、ワークライフバランス、プレ金などという言葉は、いずれも大企業(大組織)の人達のためだけのもの、そのしわ寄せを下請労働者が低賃金の長時間労働で担っているのが実情だ、などというニュースのコメントを身につまされるような思いで眺めることもありますが、腐らずに今夜も頑張ろうと思います。

石割桜に咲く、避けがたき喜怒哀楽の花

すいません、GW前くらいから仕事が山積みで相当に滞留しており、ブログ更新が厳しくなっています。

そうした経緯で、今更ながら4月中旬頃にFBに書いた話をこちらにも載せますが、この時期の盛岡地裁は花を愛でる方を喜ばせる季節となり、玄関前に咲く花を目当てに多くの方が集まります。

が、建物の中では庭の光景に関係なく、出廷した代理人に対し裁判所から「あれもやってね、これもやってね」という無慈悲な破滅的懲罰、もとい事件解決のため必要やむを得ない(らしい)要請が続けられているというのが現実です。

そんなわけで三首。

避けがたく春も作業が雪だるま 秋の実りが今も懐かし
老木は喜怒哀楽を日々喰らい もののあはれの心伝える
こき使う石割桜にカネ咲かず 今日もはげめと肩にひとひら

うち一首は、ある事件に着想を得たものですが、何の件かを述べるのは差し控えさせていただきます。

FBでは快晴日に撮影した写真を掲載したのですが、容量の関係でブログ掲載ができず、ブログ用に撮影しようとした日は雨天になってしまいました。

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折角なので、その日の午後に水沢支部に出張した際に撮影した水沢競馬場の桜も載せますので、まとめて「雨天の桜」を慈しんでいただければと思います。

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地元自治体の代理人の悲喜こもごも

地方都市でしがないノンポリ町弁をしていると、いつかは地元の県庁や市町村などの代理人をやらせていただきたいと思うのが人情?かと思いますが、岩手に戻ってから十数年目にして初めて岩手県庁が当事者になっている裁判のご依頼をいただき、感無量などと思うゆとりもないまま、あくせく書面作成に追われています。

以前、県の様々な役職や顧問をされている大物の先生が「県の仕事って安いんだよね」と呟いていたのを聞いたことがあり、この点は全国共通らしいのですが、この件も、相手方の主張への対応もさることながら、ご担当の方が様々な資料等を送ってくるので、それらの確認、検討などを含めて必要となる作業量が膨大で、事件自体のやり甲斐や色々なことを学ぶ充実感に反比例して、経済的には泣きそうな思いをしながら仕事をしています。

時給換算では勝っても負けても事務所屈指の大赤字事件の一つになるのはほぼ確定ですが、当方に価格決定権がないことは申すまでもありません。

ちなみに現在の1位・2位は、今も延々と続く震災絡みの某大事件と、昨年末にどうにか終わった「子の引渡」などを含む深刻な夫婦間紛争だろうと思っています。もちろん、しんどい事件ほど大変学ぶところの大きいことも間違いありませんが。

一般論として、事件のスケールもさることながら、相手方又は当方のどちらかに「強烈な負の感情の持ち主」が絡んだり、私の介入前に錯綜とした紛糾状況が形成されてしまうと、説明なども含め非常に手間が増えて消耗を強いられる傾向はあります。

以前、FB上で他業種の方が「役所の受注仕事は不採算だ」と書いているのを見たことがありますが、他方で、建設業界などでは、談合云々で税金から巨利を得る事業者がいたり、「閑散とした公共施設」などの無用の事業に多額の税金が投入されるなどの現実もあり、そうした不均衡を是正するにはどうしたらよいのだろうなどと、余計なことばかり考えてしまいます。

そういえば、青森の「アニータ事件」では県が回収したお金の大半は受任した東京の大物先生やチリの弁護士の方の報酬に使われたという話を聞いたことがありますが、色々な意味でそうした話は例外なのかもしれません。

幸い、仕事の中身自体は十分にやり甲斐があるもので(中身は差し控えますが、岩手県がある分野で長年進めてきた政策の当否が問われており、多数の利害関係者がいるため、その事業に真摯に取り組んできた県民の方々の思いも背負っているのだという自負や緊張感を感じる面はあります)、今後の糧になればとの思いも含めてあれこれ勉強しながらやっていますが、時には、仕事の進め方などに役所の方々との文化の違いを感じることもないわけではありません。

ただ、こちらも色々と我が身を顧みて仕事をしなければなりませんし、そうしたことも含めて一般の個人などの方々から事件をお引き受けするのとはまた違った学ぶべきものがあるのだろうと心がけ、今後も努めていきたいと思います。

第1回期日に原告代理人(行政訴訟の大ベテランの方)と名刺交換した際「厄介な事件を引き受けて大変だね」と仰っていましたが、「そう思っていただけるんでしたら、ぜひ、今すぐ請求放棄書の提出をご検討ください」などと面と向かって憎まれ口を叩けるような図太い人間になりたいものです。