北奥法律事務所

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ペットの里

ペットの里の「惜しい感」とポテンシャル

今年の9月のことですが、岩手山麓にあるペットの里に初めて行きました。施設には、猫カフェと犬舎があるそうですが、当方家族は猫派のため、猫カフェのみ若干拝見しました。

利用料金の定めがなく「お気持ちで寄付をどうぞ」とのことですが、ペット保護の篤志家の方々はともかく、一般客にはかえって敷居が高くなる(ので、1回目に見栄を張った額を出し、結果として再訪しにくくなる)感じがあり、「どうしたら良いか分からない方には、○円をお勧めしています」などと言ってくれた方が有り難いな、と思いました。

建物は、外観はとても立派なもので、かつて著名大企業の保養所として使用されていたものとのことですが、私が伺ったときは建物内には整理や廃棄等を要すると思われる物品類が雑然と置いており本格的な清掃が必要な状態にあると感じたので、その点は残念でした。

私は盛岡市中心部にある猫カフェ「もりねこ」には過去に数回、入口周辺だけ出入りしたことがありますが、とても清潔で整然としている「もりねこ」と比べて、施設内は改善を要する点が色々とあるのでは、と素人目にも感じるところはありました。

ただ、従事するスタッフの方々からマイナスの印象を受けることは全くなく、熱意をもって真面目に従事されているのだろうという印象は強く受けました。

ですので、これは、恐らく現場のスタッフさん側の問題ではなく東京?の運営サイドで対応すべき面が強いのでしょうから、その方々はぜひご検討いただければと思います。

ただ、現実問題として、施設整備を行き届かせようとすれば相応のカネを要するでしょうが、運営サイドにその面倒を見るだけのカネを賄うのが難しいという問題があるのかもしれません。

他方で、私が拝見した限りでは(ペットの里のFBページも含め)、地元関係者が運営のため支援しているという話が出てきません。地元などの有志・篤志家が食糧(餌類)などの差入をなさっているそうですが、施設整備の支援もあれば良いのではと感じてしまいます。

例えば、地元(雫石や滝沢、繋など)の犬猫大好きな中高生が既存の部活との掛け持ちクラブとして「犬猫部」を作り、同じく犬猫大好きな地元の信頼できる方の引率で2週間に1回ほど?の頻度でペットの里に赴き清掃や施設整備など様々な支援活動を行い、ご褒美?に犬猫と触れあって帰る、とすれば、相応に入部希望者が殺到するかもしれません(便乗して同級生の女の子と過ごしたい野郎共の入部希望を含め)。

また、「年に1回くらいなら、そうしたボランティア活動ができる(したい)。もともと犬猫好きだし(メンバーの多くが飼ってるし)」という団体は相応にあるのではと思いますが、上記のクラブや支援住民が母体或いは窓口・仲介役をつとめていただければ、受け入れなどもスムーズに出来るのではと思われます。

それこそ盛岡市内のロータリー・ライオンズなどであれば、土日の午前に1~2時間ほど中高生の部活と一緒に支援活動→「犬猫ふれあいタイム」の前後に敷地或いは近隣でBBQ等で打ち上げ(メシ代はRC等の奢りで)、とすれば、割と実現容易な企画になりそうな気もします。

また、ペットの里は、地域限定(地元民向け)というより、高い理念のもと、全国(世界)に発信することを目的とした施設と認識していますので、そうであれば、犬猫飼育等に強い関心を持つ全国・世界の関係者が、この施設を目的に訪れるような「目玉コンテンツ」が必要では(例えば、愛好家や修学旅行生などが犬猫と一緒に?寝泊まりして世話体験ができる宿泊施設とか、プロ等が学びに来るような最先端の専門施設とか?)と思いますが、そうしたものを見かけなかったのも、少し残念に思いました。

かの「オガール紫波」は、プロ選手が利用を希望する「ハイレベルのバレー専門体育館」を、バレーの専門家でもある社長さん達の高度の営業活動や人脈を通じて現に世界からプロ選手などを集客しているとのことですが、そうした「ピンホールマーケティング」の努力がこの施設にはもっと必要なのでは?と感じました。

と同時に、そのような努力が現に行われて実を結べば、この施設は雫石や岩手山南麓等(盛岡西北部)エリアの旅行客などが、小岩井農場などと共に行程の不可欠の訪問先の一つとすることも期待できるはずで、そうした「夢のような話」を、施設関係者と地元関係者が、もっと語り合って実践の努力をしていただければ良いのに、とも思いました。

ともあれ、(私と違って?)犬猫大好きの皆さんにとっては沢山の犬猫達に囲まれて十分満足できる施設だと思いますし、そうした「惜しい感」或いはポテンシャルを見出すためにも、皆さんも一度、ペットの里に訪れてみてはいかがでしょうか。

ペットの保護施設とペット自身の権利

さきほど、盛岡近郊に「ペットの里」という大規模な敷地を確保したペットの保護施設(養育放棄されたペットを全国規模で保護し里親確保等を図る施設)が開設されたとの記事を知りました。
http://morioka.keizai.biz/headline/1691/

私自身はマンション暮らしでペット飼育には関心も余裕もないこともあり、大したことができるとは思いませんが、小岩井農場のほど近く(小岩井→滝沢分かれのルートの途中)なので、家族接待で小岩井方面に行く機会などに、立ち寄ってみたいと思います。

ところで、この施設のHPを拝見したところ、タリーズ日本の創業者である参議院議員の方など、全国レベルで名がある(と思われる)企業の方々などが評議員として名を連ねておられますが、地元(滝沢市や盛岡広域圏)の企業・団体などは運営その他に関与していないのでしょうか?
http://pets-sato.net/outline/

素人感覚ですが、こうした施設(誤解を恐れずに言えば、広義のテーマパーク)は、地元民(盛岡圏民)にどれだけ愛着を持って受け入れられるかが成功(継続性)のポイントだと思いますので(ハウステンボス云々を引用するまでもなく、すぐ近所の小岩井農場が最たるものでしょう)、地元小中学生の社会科見学とか、地域イベントとの連動とか、色々な形で地元民と関わりを深めていただければと思っていますし、そうしたことを通じて、近い将来には、「るるぶ」などの観光ガイドにも載るような知名度や信用等を確立していただければと感じています。

また、さらに誤解を恐れずに言えば、この施設は、日本国中のペット飼育者が、おぞましいエゴないしやむを得ざる切実な必要から、自分では養育の責任を果たすことができなくなった(現行制度上、大量殺戮するほかない)動物を引き取った施設であり、そのような「全国の消費者が不要だとして排出した物を集めた場所」というおぞましい表現を用いるのであれば、廃棄物ないしリサイクルの施設に類する面があると思います。

なぜこのような感じの悪い言い方をするかと言えば、仮に、この施設が何らかの事情で経営破綻等に陥り、かつ、地元行政その他の支援が困難だと判断された場合を想定すれば、この施設は、一転して、「世界最大のペットの救済施設」から、「世界最大(最悪)のペットの大量殺戮施設」に転落してしまう恐れを秘めていることになるのではないかと思います(そういえば、数年前の秋田の熊牧場事件はどうなったんでしょうね?無事に県内の他の牧場等に引き取って貰ったのか、そうでないのか、存じませんが)。

そうした文脈で比喩的に言えば、この施設が経営破綻した場合、約15年前に発覚した岩手青森県境不法投棄事件(全国中の産廃が5~10年間に亘り、両県境の山間地に持ち込まれて不法投棄された事件で、質量とも日本最大級と言われた不法投棄事件)の二の舞ということになりかねず、そうしたことを防ぐという見地からも、この施設が設立の趣旨に添って成功を収め経営を全うできることは、地元民にとって利害関係を有する問題だ(そのような観点からも、地元民が、この施設の健全な応援団となるような関係が形成できるのが望ましい)と言えるでしょうし、岩手県にとっても、このような施設を「世界最高のペット救済施設」に育てて行く(盛り立てる)ことが、県境不法投棄事件で膨大な被害を被った岩手にとって、ある意味、「岩手らしいやり方による、全国に対する仕返し」と言えるのではないかとすら思います。

滝沢市も、発足早々、地元の中学で残念な事件が発生していますので、この施設の盛り立て役を買って出ることを通じて「生命とその尊厳を大切にする教育」の名誉挽回をしていただければと思わないでもないですが、余計なお世話というべきでしょうか。

また、私の知る限り、日弁連等が、この種の問題について活動をしているという話は聞いたことがありませんが、法整備であれ運用面であれ、地元の弁護士にお役に立てることがあるならと思わないでもありません(そもそも、日弁連でこの話を扱っている委員会等があるのでしょうか?公害環境委員会に在籍していた際には一度も聞いたことがありませんし、野生動物を原告とする訴訟は知っていますが、これら元ペットを原告=権利享有主体だと主張とする全国一斉殺戮差止訴訟とか「犬猫権」的な改憲論なんて運動をする人は聞いたことがありません。私のような窓際ヒネクレ族にとっては、反自民運動も結構ですが、こうした地道な話の方が、遠回りに見えて本当は近道ではと思ってしまうのですが)。

ともあれ、そうしたくどくど話はさておき、この施設の理念的な価値云々は言うに及ばず、盛岡でもマンション暮らしでおよそペット飼育など縁のない家庭も増えていますので、こうした施設の見学等を通じて、自宅で飼育できない子供が動物と触れあえる場が近郊にあること自体、良いことなのではないかと思っています。