北奥法律事務所

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俳句

今年の石割桜と、あの日の花びらを偲んで

全国の盛岡地裁ファンの皆様へお届けする、今週月曜の石割桜です。

昔は、遠方からの相手方代理人に「今日が期日で良かったですね」とお伝えするのがささやかな楽しみでしたが、今年はそのような機会がなく、この日は刑事事件の判決言渡でした。

今週、司法研修所の同級生だった方のFB投稿などを通じて、同級生の方がお二人、亡くなられたとのお知らせに接しました。

遠方のご葬儀などに伺うことはできませんが、この桜の散りゆく花びらを、ご冥福のお祈りと共に捧げたいと思います。

これをFBに投稿した日は雨天でしたが、他の方から、散った花びらが雨で裏側の岩に付着し風情があったとのコメントをいただきました。

ぜひ、次の一句を添えていただければと思いました。

散りてなお桜を偲ぶ巖かな

町弁が遠野に来たりてエセ歌人

突然の解散に伴う今回の総選挙では、野党の元首相や代表経験者の方々が無所属で立候補されるとのことですが、いっそ、民主党のシンボルカラーも踏まえて、「REDの会(Retired Extremely Dangerous)」を結成なさってはいかがかと思わないでもありません。

それはさておき、先日は、破産管財人を受任している企業倒産の事件の関係で数ヶ月ぶりに遠野支部(裁判所)に行きましたが、宮守ICまでの単調な山道を抜けて遠野盆地(綾織地区)が山あいに開けてくる光景は、いつ見ても清々しく感じます。

小雨交じりの曇天ではありましたが、青空や紅葉などの彩りがなく山に囲まれた刈り取り前の稲穂の眩しさだけが引き立つ光景も味わいがあるものだと思いました。そんなわけで、毎度の一句。

山里の秋雨照らす黄金いろ

遠野支部には、昨年10月から3~4ヶ月に1回の頻度で通っているのですが、岩手に戻って12年以上になるのに、どういうわけか遠野支部だけはほとんど縁がない状態が続いていました。

そうしたこともあり、昨年10月に赴いた際は、折角だからと鍋倉公園の頂上まで登ったのですが、城下にひろがる遠野市街と澄んだ青空に目を向けつつ、管財事件の当事者となった企業の関係者の方々の様々な事情や心情について思いを馳せる面がありました。

城あとは閑かな遠野の里の秋 喜怒哀楽を空に残して

2月や6月に赴いた際は、遠野支部では5分程度のやりとりをしただけで、仕事の関係ですぐに盛岡に戻ったのですが、せめてものということで、「とおの物語館」と近くを流れる小川の周辺を散策して帰りました。

今日もまた とんぼ帰りの遠野支部 川でキュウリを冷やす間もなく

そんなわけで、遠野に来ると一句(一首)作って帰りたがる習癖があるようですが、肝心の受任事件も仕事自体は大過なく進めることができていますので、歌人としては三流以下の素人でも、法律実務家としては相応の成果をあげて、関係者の方に「貴方に頼んで(貴方に関わってもらって)良かった」と思っていただけるよう努めてまいりたいと思います。

盛岡町家に梅の花を

この土日に、盛岡市鉈屋町で「旧暦の雛まつり」が開催されていました。去年は仙北町の町家群の雛祭りが同時開催され、私は両方とも見に行きましたが、今年は鉈屋町のみの開催になったようです。
http://machijuku.org/event/

1月ほど前に鉈屋町に新しく出来た「もりおか町家物語館」にお邪魔する機会があったこともあり、今年の訪問は遠慮させていただきましたが、日曜はよく晴れたので、今年も盛況だったのではないかと思います。

ところで、鉈屋町に行くたびに思うのは、この界隈(通り沿い)には草木があまり見あたらないなぁということです。元来、狭い街道沿いだからなのか町人街だからなのか、理由は分かりませんが、少なくとも街路樹の類はほとんどありません。

この点、規模・知名度では比較の対象にはならないかもしれませんが、隣の秋田・角館の武家屋敷街は、ご存知のとおり秋田随一とされる桜の名所であり、やはり、古い街並みには、花や樹木が彩りを添えて欲しいと思わずにはいられません。

とりわけ、鉈屋町では、毎年この時期に「旧暦の雛祭り」を開催しているので、この時期に彩りを添える植物があれば、来場者に喜ばれるだけでなく、雛祭りや建物群にさほど関心のない層も呼び込むことができ、観光面の策としても意義があるのではないかと思います。

そして、この時期(4月第2週)は、盛岡は例年、まだ桜は咲かず(盛岡の見頃は例年は4月の第3週)、その代わりに、梅が概ね満開期にあたるのではないかと思います。

そこで、盛岡市であれ有志(町内会とか町並み塾とかJCとかロータリーとか?)であれ、どなたか、鉈屋町界隈に梅の木を沢山植えて、雛祭りの際は界隈を闊歩する来場者が梅の花を楽しむことができるようにしてはと思うのですが、いかがでしょう。

もともと、盛岡に限らず東北には梅の名所はあまり聞きませんので希少価値がありますし(岩手公園は桜のイメージが強すぎ、梅の名所という感覚がありません。ネット情報でも、東北は他地域と比べて梅の名所が少ないようです)、伝統的な和の町並みには、桜以上に梅が似合うと言ってよいのではないかと思います。

また、ネットでチラ見した限りでは、梅の花のイメージは、「凛としたいじらしさ」というものだそうで、「雛まつり」に添える花としては、ぴったりという感じがします。

さらに言えば、盛岡を本拠地にしていた安倍貞任の弟・宗任は、梅の花に関して「わが国の梅の花とはみつれども 大宮人はいかがいふらむ」という有名な一首を残しており、その点でも、盛岡に梅の名所がないというのは、郷土にゆかりの故事を顕彰し言い伝えるものを欠いている点で、残念なことと言うべきではないかと思っています。

というわけで、「盛岡町家に梅の花を」というキャンペーン(鉈屋町に限らず、仙北町など、この時期に旧暦の雛まつりを行うところがあれば、そちらも含めて)を行っていただきたいと思っていますので、賛同いただける方は、ご尽力をお願いいたします。

最後に、安倍宗任に敬意を表して?次の一句で締めくくりたいと思います。

【懐かしき 春を待ちやと 梅の花】

大意:北国の長い冬が終わり、待ち遠しかった春が戻ってきた。その喜びを、長い間、その価値が忘れ去られて再評価されるのを待ち続け、ようやくその時を迎えた、盛岡町家の「旧暦の雛祭り」の中で感じたいものだが、その街並みに、同じ時期に花を咲かせる梅の木が添えられていれば、なお一層喜ばしいことだと思いませんか?