北奥法律事務所

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子の引渡し

平成30年~令和元年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成30年~令和元年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など。否認事案を含む)については、現在も多数のご相談・ご依頼を受けています。

主なものとしては、夫婦の不和(親権争い)に伴い、夫が幼児を自身の実家に連れて行った上、妻に対し自宅からの単身退去を求めるなどしてきた案件で、それまで育児の大半を担っていた妻の代理人として「子の監護者指定及び引渡しの審判」の申立をした案件があります。

実務的には当然に認められるべき事件と判断して申し立てましたが、1審(盛岡家裁)で予想外の敗訴審判を受け、驚いて即時抗告(不服申立)を行ったところ、2審(仙台高裁)で無事に全面取消(当方勝訴)の決定をいただき、かなりの長期を要したとはいえ、無事にお子さんの引渡し等を受けることができました。

他にも、嫡出否認の問題を抱えた方(男性側)のご依頼で、女性側と交渉して必要な法的手続を行った案件もあります。

前回(交通事故の項)にも書きましたが、夫婦間の紛争を依頼される方の中には、弁護士費用保険を利用して委任される方もおられます。現在は勤務先など(所属団体)が従業員などを被保険者として契約する保険商品が主流のようですが、夫婦間の紛争はご本人・受任者双方にとって負担の多い手続になることが多く、保険の普及を期待したいものです。

成年後見に関しても、財産管理や後見支援信託など基本的な対処を行う事案のほかに、後見審判後も施設入居を拒否して自宅で独居を続ける方に関し、様々な問題に対処・苦慮しつつ、生活の継続を見守っている事案もあります。

また、意思疎通は問題がないものの身体に障害のある方で、家庭内に複雑な事情を抱えたご年配の方から財産管理の依頼を受け、福祉関係者と協議しつつ家庭内の問題への対処を含む様々な対応を行っている案件もあります。

相続分野では、亡夫の預金などの相続について、前妻のお子さんとの交渉等(遺産分割)の依頼を受けた事案や、亡父の遺産分割の対処の依頼を受け、相手方の特別受益をはじめ、様々な論点の検討が必要になっている事案などを担当しています。

また「県内の山間の集落に多数の不動産を遺して亡くなった方について、相続人である兄弟姉妹らが長期間、相続手続をしなかったため、相続人が数十名、権利の調整を要する物件(相続不動産)も多数に上り、墓地の扱いなど様々な論点が存する(放置されたまま、現在に至った)案件」の依頼を受け(相続人の調査等を対応された司法書士の方のご紹介)、現在も多くの関係者と協議しながら解決のため対処に追われています。

また、遺言により財産相続をしたAが、不和な状態にあるきょうだいBから遺留分減殺請求を受けたものの、B氏が生前贈与を受けていることなどから減殺(代償金の支払)はできないとして争った事案(A氏代理人として受任し当方の主張どおり解決)、相続財産管理人として受任し多数の関係者が生じている共有物分割請求(土地の権利関係の処理)に対処した事案自筆遺言の検認やその後の対処(他の相続人との交渉など)を要する事案親族関係者全員での相続放棄の申立事案(音信不通になっている親族との連絡調整を含む)などを担当しました。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、ますます増えていくと思われます。

なるべく生前に、相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請して不許可となった多数の方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟(報道でも大きく取り上げられた「サケ刺網訴訟」)を、自治体(岩手県)の代理人として受任し、3年ほど膨大な作業を通じて闘ってきました。

平成30年に1審判決があり、主要争点で当方の主張を全面的に認める勝訴判決を受け、昨年2月には控訴棄却(県勝訴)の判決がありました(先方が上告し、本年に上告棄却=当方勝訴で終了しました)。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、窃盗や詐欺、傷害、器物損壊、住居侵入、迷惑防止条例(盗撮)事案などに関して幾つかの事件を手掛けています(大半は国選事件ですが、私選のご依頼はタイムチャージ形式で受任しています)。

否認事件や大規模な詐欺組織の構成員の国選弁護人として、無罪の主張立証や多数の被害者への弁償など様々な作業に負われたこともありました。

少年審判についても、保護観察がなされた事案のほか、「生育環境に気の毒な事情が多く見られたものの、従前の素行の問題や現在の生活環境の悪さから、やむなく少年院送致となった事案」も経験しています。

その他の業務としては、岩手県民生活センターが主催する消費者向け相談紫波町社会福祉協議会岩手県総合福祉センターの高齢者・障碍者向け相談など幾つかの相談事業を担当しているほか、東北厚生局の訟務専門員として、保険診療の不正受給問題に関する解決のお手伝いをしています。

 

平成28年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚請求や関連紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、様々な立場の方から多数のご相談・ご依頼を受けています。被害者側の受任事案で、加害配偶者側が不貞を争ったものの、携帯電話の会話記録などを整理して不貞の事実を立証して賠償金が認められた例もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争離婚後に生じた子の引渡や親権の変更を巡る紛争など、親子の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い穏当な和解による解決に努めています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、遺産分割を巡って当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去の直前に親族に財産の一部を贈与する旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり長期化した事案)などを手がけています。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、相続財産管理人やそれらの一貫として遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行った事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、急速に増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが紛争やトラブル発生の防止のため望ましいことが多いと思われますので、遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め、早期の対策などをご留意・ご検討下さい。

離婚・親子・相続などの問題に関しては、昨年中は幾つかのセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を自治体側の代理人として受任しています。

詳細は差し控えますが、その分野に関する長年の政策的な積み重ねの当否などが争点とされている事案であり、担当の方から様々なお話を伺うと共に、行政訴訟に関する基本的な法律論(取消訴訟の主張立証のあり方や行政裁量の問題など)の検討も積み重ねており、大変しんどい裁判ですが、固有のルールが複雑に重なる行政訴訟を手がける上では、学ぶところの多い事件となっています。

他にも、区画整理に伴う損失補償の問題に関する事件を手がけたこともあります。

刑事弁護については新人弁護士の増加により受任件数は多くありませんが、被疑者段階を含め、窃盗や覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

また、私選での少年審判の受任もあり、事件の背景や今後のあり方など少年の更生環境を検討したりご家族とお話しする機会がありました。

その他の業務としては、昨年に引き続き被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。数年に亘り大船渡の法テラス気仙など沿岸での相談を担当してきましたが3月に担当を外れ、本年は内陸部での相談が主となります。

男女間の様々な法的紛争に関するミニ講義とその意義

昨日は、盛岡JCの先輩で、地域のご婦人方のネットワークを構築して様々なイベントなどの事業を行っているTさんのお誘いで、Tさんが主宰するグループの会員である十数名のご婦人方を対象に、男女に関する様々な法律問題(離婚、不貞、その他の男女間紛争、子を巡る問題など)について、「男と女と家族の事件簿」との演題で、お話をさせていただきました。

過去にご相談等を受けた例や業界内で著名な裁判例をもとに「大家族のメンバー全員に、不和や不倫、子の奪い合い、婚姻外の交際破綻など次々に紛争が発生する」という、昼ドラ好きの方々のニーズに合致しそうな?架空の事例を考えて、それをもとに色々と論点をご説明しましたが、盛り沢山すぎて時間が足りず、論点の大半を超特急で済ませてしまいました。

他方、最後のフリートーク(近時の芸能人の事件絡みなど)がやっぱり一番盛り上がったので、いっそ何も準備しないで30分以上のフリートークにした方が良かったかも・・と、少し思いました。

男女や親子、相続など、ご家庭に関するトラブルの解決や紛争の予防のためのご相談、ご依頼は日常的に承っていますので、個別のご相談等だけでなく、こうした形で、町弁の仕事について(守秘義務の範囲内で)気軽にお話を聞いていただく機会を頂戴し、願わくば、それを通じて「法の支配(まっとうなルールによって人と社会をよりよく育てていくこと)」について理解を深めて機会をいただければと思っています。

もちろん、今回のミニ講義でも、最も大事なことは憲法13条と24条=個人の尊厳と両性の本質的平等である、という形でまとめさせていただいています。

などと考えつつ帰路についたところ「会場にコート忘れましたよ」の電話が・・・。実は、2週間前にも二戸支部でコートを忘れており、今期2度目の失態で、公言が憚られる他の忘れ物話も含め、このままでは「物忘れ王」一直線になりかねないと危惧するばかりです。

ラーメンのトッピングには依頼主の笑顔と事件解決を添えて。

昨日は大船渡(法テラス気仙)でしたが、今日は仕事で由利本荘に行きました。色々な難しさを抱えた離婚訴訟の期日でしたが、本日、依頼主が納得できる相当な内容での和解が成立して終了しました。

この件では、今年の3月まで在籍していた辻弁護士が、子の引渡というハードルの高い論点に挑んで、多大な奮闘の末に大きな成果を成し遂げた後、残務処理を私が引き継いだのですが、決裂か和解かの瀬戸際が相当あり、どうにか解決に至ったという案件でした。

11時半に開始した和解協議が2時半過ぎにようやく成立したのですが、裁判所の近くに、3時まで営業している、本荘を代表する?ラーメン店の一つと思われるお店があり、ギリギリセーフということで、大変美味しくいただきました(残念ながら、12月下旬に閉店となるそうです)。

ちなみに、第1希望だった本荘ナンバーワンとされる有名店は、2時半までの営業時間なので泣く泣く諦めました。依頼主はこの話を聞いて苦笑していましたが、裁判官にも和解成立時に同じ話をしたところ、軽口トークに慣れておられないのか、きょとんとしていました。

事案の中身は申せませんが、当方依頼主は、紛争を通じて2年ほど様々な艱難辛苦を余儀なくされており、最初にお会いした頃と比べて、とても強く、逞しくなられたと感じます。

この種の紛争は、弁護士にとっては不採算になることが通例で、この件も時間給ベースなどで見ると経済的には泣きそうな面はありますが、純然たるビジネス上の紛争などでは学びにくい、人間の業や人として生きることの深さを否応なく考えされられることが多いことは確かです。

ロータリーの標語に「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」というものがありますが、この事件も、その言葉を事実の重みをもって考えさせられるものがありました。

業界には「弁護士報酬と書いて、いしゃりょうと読む」という有名な言葉があり、この事件でも、私や辻先生に限らず担当事務局を含め今日までに色々と苦心惨憺がありましたが、今後もこうした事件を手掛けることができるだけの売上をいただけるよう、めげずに頑張っていきたいと思います。

最後に、締めの一句ということで。

その果てに 味わいを知る 和解麺

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辻弁護士との2年間

平成25年春から当事務所に在籍した辻陽加里弁護士が、都合(ご夫君の転勤に伴う転居)のため、3月末をもって岩手弁護士会の登録を抹消し、併せて当事務所を退所することとなりました。

辻先生は、家事事件や刑事事件などを中心に、幾つかの分野に力を入れて取り組んでおり、特に、社会的に弱い立場にある女性からの依頼、相談に熱心に取り組んでいました。

離籍の直前である3月末頃に、辻先生が特に力を入れて取り組んでいた離婚関連紛争の事件で、当方(妻側)が申し立てていた「相手方(夫側)への子の監護者指定及び子の引渡請求(審判)」が裁判所に認められ、様々な苦労の末に無事に引渡が実現できました。時期的な問題(お子さんの就学)もあり、彼女にとって良い経験になっただけでなく当事者にとっても本当に良かったと思っています。

当事務所の方針として、辻先生が依頼を受けた事件のうち、単独で問題なく対応できるものは彼女一人で受任、対応し、複雑・規模の大きい事件や在籍期間中に解決できないと見込まれる事件は共同受任する形態(依頼主との関係では私が受任者)をとってきました。上記の事件では、まだ未解決の問題が幾つかあるため、引き続き私が対応することになりますが、辻先生が積み上げたものを台無しにしないよう、適切な解決を目指していきたいと思っています。

また、ご出身が福岡県ということもあり、仕事に負けず劣らず、観光名所をはじめ岩手での生活を満喫して欲しいと話していたのですが、岩手山の登山やウィンタースポーツなど、春夏秋冬それぞれの岩手の良さを体感する機会を持つことが出来たとのことですので、その点は、県民として幸いに思っています。

ともあれ、上記の事件を含め、何人かの社会的に弱い立場の方の相談、依頼に熱心に応じている様子を見ていると、ささやかながらも辻先生に活躍の場を提供できたことは、辻先生個人だけでなく、岩手県民全体のためにも大いに意義があったのだと感じました。

辻先生は、プライベートな事情から、転居先では弁護士登録を保留し、法律家としては充電期間に入るとのことですが、岩手での町弁としての実務経験も生かして、法律家として大成していただければと願っています。

現在も、当事務所では、私の隣席で地域のため活躍いただける新たな弁護士の加入を募集しております。恥ずかしながら、業界環境の激変のほか私の至らなさもあり、経済的に恵まれた待遇を提供できそうにありませんが、岩手での執務に関心のある方は、お問い合せいただければ幸いです。