北奥法律事務所

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弁護士が受任できない事件

利益相反問題に関する苦悩と対策

今回は、主として同業者の方に向けた投稿です。以前にも書きましたが、利益相反系の話です。

先日、10月に事務所である相談を受けた件で、今月、その方(Aさん)から受任依頼のお電話があったのですが、調べたところ、1ヶ月前(11月)の法テラス岩手の相談担当日に、その事件の相手方(Bさん)からご相談を受けていたことが判明しました。

当然、Bさんと法テラスの相談室でお会いした際、相手方(Aさん)から1ヶ月前に相談を受けていたなどということを覚えているはずもなく、事前知識等が一切ないとの前提で普通に応対していたことは申すまでもありません。

で、Aさんのご依頼も、曲がりなりにもBさんからも相談を受けてしまった以上、職務規程(弁護士倫理)により受任不能となってしまい、泣く泣くお詫びしてお断りさせていただきました。

当然ながら、今後、もしBさんから受任希望のお電話をいただいたとしても、同様にお詫びしてお断りさせていただくことになります。

Bさんとは、お会いしたのが法テラスの事務所ということもあり、名刺をお渡ししたかも定かではなく(受任方向で協議した場合でなければ、名刺はお渡ししていません)、今回は、たまたま、Aさんの電話のあと、事務局が気づいて指摘したため発覚したというもので、その指摘がなかったら、私はもちろんBさんも気づかないまま、Aさんの代理人としてBさんと対峙していたということも、ありうると思います。

で、さすがに、このようなことを繰り返すわけにはいかないということで、最低限の策として、これまでは単発的なご相談の方は、相談票等を紙で保管していただけだったのですが(事件依頼者についてはエクセルのデータベースがあります)、氏名等のデータベースを作りました。これにより、今後は原則として相談のみの方でも全件を入力し、新規相談の際に、利益相反チェックをしていこうと思っています。

ただ、そうはいっても、今回のように、法テラスで突然、相手方が相談にお見えになるようなケースでは、これを防ぐことは非常に難しいです。今後は、そのデータベースを相談室にも持参する方向で対処したいとは思いますが、法テラスや弁護士会、市役所相談などにすべて共通している、相談直前に担当弁護士にカードを渡す=氏名を知らせるこれまでのスタイルだと、万全を期すのには限界が大きすぎます。

やはり、以前の投稿にも書きましたが、出先機関での相談については、最低限、前日の夕方にその時点で予約がなされた方のリスト(最低でも氏名、できれば相談のテーマも)をメールやFAX等の適宜の方法で、事務所までお伝えいただくシステムを導入していただきたいものです。

私のような下っ端の窓際弁護士が何を言っても変わらないのでしょうが、利用者の方(或いは政治家?)の苦情という形で伝えていただければ、案外、実現するかもしれませんので、これら(法テラス、弁護士会、市役所など)に影響力をお持ちの方は、ぜひご検討いただければ幸いです。

暴論の類ですが、例えば、公的機関の利用者の方々が、一斉に、受付の担当者に申し込みの電話をする際に、「その日の担当弁護士を教えて欲しい、併せて、その弁護士に、以前に相手方から相談を受けたことがないか確認して欲しい」と要請する(それを受付担当者が嫌がったら、あれこれ不満を言って改善を求める)ような事態にでもなれば、運営サイドも困り果てて重い腰が動くことがあるのかもしれません。

それが嫌だというのなら、最低限、上記のようなケースでは「Bさんの相談カードは直ちに破棄し、情報はすべて忘れる(一切の流用をしない)ことを前提に、Aさんからの依頼を受けても良い」と、職務規程を変えることも考えていただきたいものです(といっても、こちらは無理筋だとは思いますが)。

この種の問題は、紹介ではない形(公的機関やネット等)による弁護士への相談や事件依頼が一般的になっている現代では、小都市などでは幾らでも生じる話だと思われ、これを弁護士会が看過し放置し続けるのであれば、それは、悪だ(受任者(弁護士)の問題だけでなく、利用者にとっても重大な障害である)と言わなければならないと思います。

同業者の皆さんが、この種の問題についてどのような対策をとっておられるか、ご教示いただければ幸いです。