北奥法律事務所

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気仙の桜

春の気仙みち~H28版~

ここしばらく諸事に追われ、ブログの更新が滞ってしまいました。この間も、メモ的なものは書いているのですが、文章として仕上げる時間が取れず、ネタがやや古いものもありますが、その点はご容赦いただければと思います。

2週間以上前の話で恐縮ですが、4月12日に毎月1回の法テラスの担当日で、大船渡に行きました。が、4年ほど担当してきて初めて「予約もなく当日の飛び込み相談もない」という完全ゼロの日になりました。

反面、桜がすでに開花しており一部は満開状態でしたので、昼の時間を少し長めに外出し、碁石海岸まで足を伸ばしてレストハウス周辺の桜や「乱暴谷(らんぼうや)」の写真を撮って戻りました。

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帰途も三陸道経由で陸前高田の竹駒地区などを廻って盛岡に戻りましたが、こちらも週末~翌週に満開になるのではと思われます(っていうか、この投稿の時点ですでに葉桜ですが)。

以前に投稿しましたが、私は震災があった平成23年の4月下旬頃(5年前の今頃)に大船渡や陸前高田の避難所を廻って「被災者向けの押しかけ無料相談会」をしたことがあり、津波被害による凄惨な光景の傍らで満開の桜を目にしていたことをよく覚えています。

それだけに、この時期に気仙地方(とりわけ、大船渡の盛~末崎半島、陸前高田の中心部や竹駒地区)に来て桜を見ると、震災直後の光景を思い出さずにはいられない面があります。

震災直後(3月上~中旬)は花の咲いていない季節であり、地元(被災者)の方々にとって、震災から1ヶ月を経過した4月は、避難所生活などで疲労が蓄積する一方で、はじめての「自然からの癒やし」として梅や桜に接したという方が多いのではないかと思います。

そうした意味で、まちを彩る草木が地域に存することの意義、価値を改めて感じさせられる面がありました。

そんなわけで、久々の一句

「あの街」の記憶を癒やす 気仙桜

4月14日には熊本で大地震があり、その後も余震が続くなど深刻な被害が生じていますが、九州も桜の代わりに様々な花の季節を迎えているでしょうから、人命救助や各種の被災者支援等に止まらず、そうしたものにも目を向けていただければと思います。

昨年の4月に法テラス気仙に出張した際は、散り際の桜の花弁をカモメに見立てた一句を作りましたので、こちらもご覧いただければ幸いです。
→春の気仙みちと桃源郷

春の気仙みちと桃源郷

昨日は法テラス気仙の担当日でした。この日の岩手の桜前線(ソメイヨシノなど)は、盛岡は5分散り、花巻周辺はすでに散り際も多いものの、寒冷な遠野・宮守エリアの街道沿いの並木は満開~散り始めで、峠を下った住田町は散り際となり、大船渡に至るとほぼ葉桜、という状態でした。

反面、住田町内は新緑の開始時期で、山桜のほか芽吹いたばかりの新緑の淡い緑色や黄色、黄緑色などの多様なグラデーション(薄桃、薄紫の桜色を含め)が大変美しい状態にあるほか、街道沿いの民家には、桜かそれ以外(桃?梅?)か分かりませんが、満開になっている樹種も多く見られ、濃い桃色や赤みがかった花の様子なども楽しむことができました。

そのような空間を運転していると、視界全体に優しい色が広がり、優しさに包まれているような、まるで桃源郷にいるかの如き印象を受けました。

住田町は、観光地的な桜の名所というのは聞きませんし、ソメイヨシノ等の群木などもありませんが、狭隘な谷間を囲む山々の新緑のグラデーションは、春を描いた巨大な日本画の屏風絵を続けざまに見ているような印象があり、こうした美しい光景は、住田町に限らず、北上高地ならではという面があります。

住田町は、晩秋から冬にかけての気仙川の渓流も大変美しいのですが、こうした心地よいドライブコースは、もっと知られてよいと思いますし、見応えのある場所の展望場所の整備なども考えてよいのではと感じています。

昼食は大船渡の魚市場食堂でいただきましたが、デッキの間近では、冬はあまり見かけなかったような気もする無数の海鳥(ウミネコ又はカモメ)が羽ばたき、快晴の空や海の青さと鳥の白さのコントラストが心地よく感じられました。

桜並木が散った後の葉桜の光景は、どことなく寂しい印象がありますが、港町では、海鳥たちが、空に舞い散った桜の白い花弁が姿を変えたかのような趣で、その寂しさを慰めてくれるのかもしれません。

そんなわけで、最後に一句。

花ふぶき海鳥となる気仙桜