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盛岡市長選挙

盛岡市長選の勝敗を決した分岐点と、夢が叶えられていく光景の役割

前回も投稿した盛岡市長選は、3度目の挑戦となった内舘茂氏が谷藤市長を破って悲願の初当選を果たしましたが、今回の件は、ウイルス禍の最中に内舘さんが大通の居酒屋救済の弁当祭りを企画し盛り上がったことが節目になったと思っています。

当時、谷藤市長が住民や地元企業などのため何か特別な尽力をしているという報道等はなされておらず、盛岡市は全国でもワクチン接種が非常に遅れているとのニュースと相俟って、

住民等が困っているときに、助けようと汗をかいているのはどちらなのか

という点で明暗が分かれたことが、勝敗を分けた最大の要因ではというのが、さしあたっての感想です。

少なくとも、あの光景がなければ、この結果は絶対になかったと思います。

ただ、それだけで勝敗が決まるとは私も思ってはおらず、むしろ、最近はあまり市長選が盛り上がっていない(住民の関心が高くない)ように感じたので(事実、投票率は低かった)、多数の市議さんや伝統勢力の支持を擁する谷藤市長が優位なのではとの印象もあり、私自身は最後まで結果が予測できず、大きな票差が付いたことにも驚かされました。

1年ほど前、若い世代の同業者の方から

「内舘さんは(かつて市長選に何度も立候補して落選を繰り返し、得票率等から泡沫候補扱いとなっていた)Aさんのようなものでしょ」

と言われたことがあり、その認識は絶対に間違いだ、次はいい勝負になると思う、と少し気色ばんで反論したことがありました。

彼は谷藤市長の支持者だったのかもしれませんが、改めて、弁護士には選挙のことは分からないものだと痛感しました。

市議選も、当然に当選されると思っていた方(色々考えた末、結論として、私はその方に投票しています)が当選できなかったこともあり、選挙とは、実に恐ろしいものだと改めて思いました。

私は祖父が岩手県議を1期つとめたものの、2期目で落選し、関係者の落武者狩りと実家存続の危機がオマケで付いてきたので、「政治に関わるな」が亡父の家訓ですが、反面、少し離れた距離から政治に関わる方々を拝見等するのが好きで、政治学を勉強したくて政治学科に進み、才能さえあれば、大学の政治学の先生になりたかったという気持ちも少しだけありました。

谷藤陣営の支援者の方々の中にも、この方が出ていれば内舘市長は誕生できなかったのでは?と感じている方もおり、次回の選挙がどうなるのか分かりませんが、まずは、今回、内舘さんが行動で示されたように、現に困っている住民や地元企業などを支援するような地道な活動とPRにつとめていただければと思います。

ともあれ、県政最大の大物である谷藤市長と闘い続け艱難辛苦の末に当選された内舘新市長の偉業は、多くの市民・県民にとって、

「自分も(各自の夢について)やればできるかも」

という形で非常に分かりやすい希望を示したことは間違いありませんし、それは政治に携わるリーダーに最も求められていることの一つである(とりわけ、現在の日本社会では)ことは議論の余地がないと思います。

恥ずかしながら、18年前のJCご卒業時には

内舘さんは、将来、市長選に出たいのだろうと思うけど、かなり難しいのでは?

と感じていた「その他大勢」のJC関係者の1人として、不明を恥じ、内舘さんに心より祝意を申し上げ、新市政へのご尽力をお願いすると共に、当落に関係なく、恐ろしい世界に身を投じて民主政治を支えておられる全ての方に、改めて敬意と感謝を示したいと思います。

 

どっちつかずの私達は、明日の盛岡市長に何を求めて誰を選ぶか~無党派層のための羅針盤を目指して~

日曜に実施される盛岡市長選ですが、金曜の岩手日報に、谷藤・内舘両陣営とも支持が拮抗しており(日報の表現は「競っている」)で、有権者の4割が態度未定との記事が出ていました。

盛岡タイムズのWeb記事も概ね同旨と思われ、他の情報筋からの実感としても、かなりギリギリの?相当な激戦ではと思われます。

日報調査では、50代は内舘氏・20~30代は谷藤氏が優勢と述べられていました。

若い世代が現職優勢というのは、安倍首相と同じ現象(幼少時から在任していたので、見知らぬ新人より親近感を持つ)ではと感じましたが、ともあれ、記事からは40代の無党派層(私も?)の動向で決着すると言わんばかりですので、なおのこと一票の重みを感じて投票に行きたいと思います。

私自身は下記のとおり各陣営のご本人又は有力支援者の方と面識はあるものの、それ以上の関わりを持っていない完全無党派層(蚊帳の外とも言いますが)であり、そのような意味で「投票直前まで悩みたい人」の一人です。

というわけで、今回は、事実上の決定権を持つ無党派層の参考になるよう(投票率が少しでも上がるよう)、この件について少し書くこととします。

どちらかの応援演説の類ではなく、無党派=どっちつかず(どっちもつけず)の立場から、無党派層のための参考になればという形で書きます。

以下、候補者お二人を「谷藤市長」「内舘さん」と書きますが、現職には肩書を付して記載したいのと、内舘さんはJC在籍中にお世話になり面識があることが理由であり、それ以上の他意はありません。

***

前置きとして、敢えて私自身と候補のお二人との接点(の有無)を書きます。

内舘さんは、私が盛岡JCに入会した平成17年に卒業された方(当時の肩書は、元理事長を指す「顧問」というものでした)で、当時、会員の1人として相応に親しくさせていただきましたが、その後は、JCやRC関係の行事でお会いする機会があればご挨拶する程度の関わりしかありません。

谷藤市長は、遠くから拝見した程度なら何度かありますが、面識はなくご挨拶できる機会にも恵まれず、相対して会話等した経験もありません。

いきさつは存じませんが、私が盛岡北RCに入会する以前からクラブの名誉会員となっているものの、私の入会後はクラブの例会等にいらしたことはないと思われ、その意味では内舘さんよりも遠い存在です。

反面、上記の理由から、私がRCで親しくさせていただいている方々は谷藤市長の支援者の方が多いと思われ、その点は、RCに限らずJC関係者でも、谷藤市長の支援者の方が多いのではとの印象を受けています。

内舘さんがこれまで出馬された過去の市長選の際、JCで同時代を過ごした「仲間」の方々は、ほとんど関わらなかったのではと思われますし、そのことと、従前、谷藤市長が自民系、内舘さんが野党系の候補者と目されてきたこととは、先後は分かりませんが、無関係ではないのだろうと思います。

ちなみに、お二人のどちらからも仕事をお世話(紹介等)いただいた経験は全くありません。

以下、本論です。

***

今回の市長選ですが、報道等されている候補者お二人の言動から感じる限りでの対立構図は、敢えて失礼?な表現も一部用いれば、次のようなものと理解しています。

①谷藤市長に飽きたか(交代を求めるか)、継続を求めるか。長年の重鎮にお任せする安定の市政と、半素人の挑戦者による混乱リスクも覚悟する市政のどちらを求めるか。

②有産階級が推戴する市長と無産階級が推戴する市長のどちらを求めるか。今の暮らしに概ね満足・幸せか、閉塞感・生きづらさ等を感じるか

③税金の使い道はインフラ整備重視か、個人(ヒト)への給付・補助重視か

wikiなどを見れば、谷藤市長が平成15年の就任時に「それまで危機に瀕していた盛岡市の財政に大鉈を振るい(緊縮財政や市庁舎移転凍結など支出削減)、財政状況を改善させた」ことが詳述されており、恐らく、それは大筋として正しいのだろうと思います。

少なくとも、この十数年、盛岡で巨額の市費を投じた(が維持費で火の車になっている)残念施設ができたとか、バラマキ行政をしているという類の話は聞いたことがありません。

私は、行政(政治家)が無駄な公共事業や利権絡みのバラマキ政策で巨額の債務を作って将来の世代にツケを強いる類の話が大嫌いで、カネの無駄遣いをせず役所の財政を健全にする政治家は、そうでない方より遙かに良いと思っていますので、その意味では谷藤市政に不満はなく、大筋で良い仕事をしていただいたのだろうと思っています。

ただ、私は平成16年10月に盛岡に戻ってきましたが、当時から現在まで、

谷藤市長が財政を大幅改善させ、市民を危機から救った

などという報道を見た記憶が全くありません。ですので、谷藤陣営がこの点を強調されているのをFBなどで拝見しても、ピンと来ないというのが実感としてはあります。

それが、善政の報道・宣伝を怠った地元メディア等のせいなのか、それとも上記の「谷藤市政の説明」自体に不正確な部分があるのか、私には分かりません。

ともあれ、市長ご就任間もない頃から現在まで盛岡に在住してきたフツーの住民の立場からは、谷藤市政に対しては

殊更、悪政だとは思わないが、善政なのかもよく分からない。この間、盛南開発は進んだと思うが、その当否も一概に判断しにくい。他の地区はあまり代わり映えを感じない(それが無為無策か税金節約なのかもよく分からない)、市長はあまり身近に感じないし、市民への血の通ったメッセージ発信を感じたこともほとんどない(が、それが問題なのか否かもよく分からない)、そのような意味で、市長がどのようなリーダーシップを市政に発揮されているのかも、よくわからない(市政は安定しているので、まとめ上手なのだろうけれど、それを発揮している姿が見えない・伝わらず、善し悪しも判断できない)

というのが正直なところで、そういう意味で、谷藤市政を殊更否定したいとは思わないものの、何らかの飽き(退屈さ、或いは距離の遠さ)を感じていないといったら嘘になると思っています(それは、市長だけでなく市議会・市役所を含む市政全般に言えることなのでしょうが)。

**

他方、内舘さんは(パンフ等に書かれているとおり)JC卒業直後(40歳頃)に一旦、家業を離れ?建設会社を起業し(具体的な事情は何も存じません)、相応の成功を収めた後、市長選の挑戦を続けてこられた方ですが、この間、市議など市政運営に従事された経験はないと思われ、そのような意味では、

政治的にはほとんど素人

と言って良いのではと思われますし、市役所のような大組織の運営に関与された経験もさほど無いのだろうと思います。

市議選がどうなるかは分かりませんが、概ね従前どおりの勢力図になるのであれば、谷藤市長支持派が多数になるのでしょうから、内舘市長誕生となれば、議会との対立や混乱という展開が生じる可能性は相応に高いのではと予測されます。

少なくとも、今回の市長選で内舘さんと連動する「内舘派市議候補」なるものはほとんど聞いたことがなく、市長選後に相応の会派がありうるのだとしても、まずは「ねじれ」になる可能性が濃厚と考えます。

当然、市民のカネを使う政策の多くは議会の承認がない限り無理ですから、議会で多数派を形成できない限り、目玉公約の幾つかは実現できないことになるでしょうし、多数派形成のための寝技的なことに内舘さんが長けているとは、失礼ながらあまり思えません(それは内舘さんの魅力でもあるというべきでしょうが)。

ですので、市政の混乱や停滞を望まない(現路線を粛々と続けて欲しい)方は、谷藤市長に投票するのでしょうし、多少の混乱が生じたとしても市政に新たな風を吹かせたい(或いは、多少の混乱自体を期待したい)という方は、内舘さんに投票するのだと思います。

***

また、今回の市長選が接戦となった(そのように報道された)のは、谷藤市長の多選・高齢批判(仕事自体への批判はあまり聞きません)や膨大な辻立ちと大通弁当企画で内舘さんが知名度を上げたことなどもさることながら

現在の物価高などによる生活苦や格差拡大

が、どうしても現職にはマイナスになりやすく、とりわけ、市内でも有数の名門資産家(一族)と理解されている谷藤市長は、そのような状況下では投票面で不利になる(対立候補が批判票の受皿になる)面は否めない思います。

私の仕事の関係でも、例えば、かつて膨大に受任していた債務整理の依頼者の方々の多くは、月収20万円以上(世帯で30万円以上)の方が多かったのですが、ここ5~10年ほどは、依頼者のかなりの割合が、生活保護受給者や低所得者の方ばかりとなり(当然、自己破産であり、中には50万円未満の債務しかないものの、返済の目処がなく破産するほかない方も珍しくありません)、また、メンタル面に何らかの問題を抱えている(ので、それに起因し低所得化等せざるを得なくなる)方の割合も増えている印象が否めません。

もちろん、それ(貧困や格差の拡大等)が谷藤市長のせいでないことは議論の余地がありませんが、そうした方にとっては(米国の貧困層がよく言われるように投票に行かない方も多いのでしょうが)、投票に赴くのであれば、投票行動が谷藤市長のような方への批判票(嫉妬票?)になりやすい面は否めないと思います。

他方、まがりなりにも現在の生活に相応の満足や希望を持って暮らしている方にとっては、谷藤市長は地方の成功者の鑑(目指すべき目標)といってよい存在であり、続投を希望される限りは支持する(引きずり下ろしたいとは思わない、対立候補は快く思わない)方向になりやすいと思います。

冒頭の日報記事には、太田・本宮・玉山地区が谷藤市長、松園・上田・中野地区は内舘さんを支持する住民が多い、と述べられていました。

太田・本宮は盛南開発の中心部であり、開発で潤った方もいるのかもしれませんが、新たに住宅を建てるなどして転居した方も多く、その方々は、新しく切り拓かれた街と共にご自身の明るい未来を感じているはずで、盛南開発の推進者でもある谷藤市長に支持が集まりやすいのだと思います。

他方、松園は、ニュータウン住民の高齢化等による課題先進地などと言われることが多く、中野も(内舘さんの膝元でもありますが)松園に似た昔々に開発された郊外で、課題状況は松園に似ているように思われ、お叱りを恐れずに言えば、

ラストベルト的な色合いを帯びている地域が、現職批判票として内舘さんに廻っているのでは、

という印象を受けます。

その意味で、今回の市長選は現在の盛岡が「(経済的に)豊かなまちか、そうでないか」を推し量るリトマス紙という面も持ちうるのかもしれません。

盛南地区や玉山は「合併の対価」として様々な公共事業が行われたと聞いたこともありますので、より多くの税金が投じられた地域とそうでない地域で支持が分かれただけの話かもしれませんが。

***

内舘さんは(JC理事長などを歴任されていますので相応の資産等をお持ちなのでしょうが)谷藤市長に比べれば、色々な意味で「大物」とは言い難く、言い換えれば、名実ともに挑戦者と呼ぶに相応しいと言えます。

ですので「ジャイアント・キリングの物語を見たい」という住民からは支持を受けやすいことは確かだと思います。

18年前=JC卒業時の内舘さんは、JCに集まってくる、将来の地域のリーダー候補生達の1人という印象で、失礼ながら、同世代の仲間内の方々から、自分達を代表する傑出したリーダーだと目されていたわけでもないと感じています。

他方、配布物や各種メディア等で拝見する現在の内舘さんの顔立ちは、当時と比べて全然違う、僭越ながら、とても精悍な顔立ちになったと思います。

もちろん、政治は顔(だけ)でするものではありませんし、現時点での政治家としての力量(市政への全般的な視野云々)では、谷藤市長の方に遙かに軍配があがると見るべきでしょうが、それでも、政治に物語性を求める方にとっては、今回の選挙は、内舘さんに入れてみたいと感じる面はあるかもしれません。

反面、谷藤陣営の方々からは

政治はおとぎ話じゃない、地域で様々な役割を受け持った人達の地道な努力で築かれているもので、谷藤市政(支援者である自分達)はそれを長年積み重ねてきたのだ、それを軽々しく考えるな

ということになるのでしょうし、それもまた大きな重みがあることは間違いありません。

ともあれ、FBなどで、両陣営の方々がご本人を取り巻いて撮影している写真を拝見していますが、谷藤市長を取り巻く方々は、それこそ数世代に亘り盛岡の街を支えてきた「まちの重鎮」や、現在、市内の社会経済を様々な形で支えている経営者の方などが多く含まれているように感じました。

他方、内舘さんを取り巻く方々は(著名映画監督さんと、盛岡市民ではない某さんだけは一目で分かりましたが)JC関係者もあまりお見かけせず、私は全く存じない(JCやRCなどで拝見したことがない)方が多いように感じました。

それ自体の当否を論じたいわけではありませんが、そうしたものを見ても、

谷藤市長の続投なら、長年まちを支えてきた人々が、引き続きその役割を担って安定した(悪く言えば、変わらない)まちづくりがなされるのであろうし、内舘さんの勝利なら、そうした方々の協力が得られない(得られにくい)という意味でも、色々と混乱や頓挫・停滞などが生じるのかもしれない、反面、もし内舘さん達がその苦難を乗り越えることができれば、全く新しいまちの可能性が見えてくることもあるのかもしれない、とも思います。

その意味でも、谷藤市長と内舘さんの対決は、ご本人が望むと望まざるとに関わらず、

プロが運営する安定の盛岡か、素人が挑む盛岡の変革か

という面があることは確かなのだろうと思います。

そのため、内舘さん陣営に「変革の実現を現実に支える政策や実務のプロ集団」がいれば良いのではと思いますが、そうした方がいるのか選挙運動を拝見した限りではよく分かりません。悪く言えば、辻立ち等の運動を皆で頑張りましたねと励まし合っているだけのようにも見えます。

その点は、政治や政策はきちんとしたプロが行うべきものだと思っている方から見れば、怖くて投票できないと感じさせる面はあると思いますし、仮に、内舘さんが勝利するのであれば、この点を重大な課題として取り組んでいただきたいと思います。

***

ところで、ここまで、公約の比較検討などを何も行ってきませんでした。

この点は、細かい話をする意味はあまりないのではと思っていますが(本稿をご覧になるエネルギーのある方なら、多少はご自身で比較検討されているでしょうし、市政の細かい様々な課題に関しては谷藤市長のサイト等の方が現実的かつ詳細で、内舘さんの公約等には実現可能性や実施する意義に疑問を感じるものも幾つかあると思っていますが、現職と新人の対決は、往々にしてそのようなものでしょう)、全体として、

谷藤市長は、割とインフラ整備を重視するのに対し、内舘さんは、割と個人(ヒト)への給付・補助を重視している

と思います。

例えば、前者が新興住宅地たる郊外地域への鉄道新駅整備を強調しているのに対し、後者が奨学金や高齢者・小規模事業者・起業者向けの各種支援を強調しているのが、その例ではと思います。

そのこと(インフラ重視かヒト重視か)は、往年の自民対民主の対決を見ているようであり、それこそ「民主党嫌い」の方にとっては、華々しい公約を多数掲げてほとんど実行できず短期間で混乱・失墜した鳩山由紀夫政権の影を、内舘さんに感じる面はあると思います。

そのリスクを忌避するか、敢えてリスクを求めるか、全て有権者次第ですが。

あまりにも長文になったので、そろそろ止めますが、前任の桑島市長のwikiを拝見したところ、谷藤市長の初当選時=平成15年のご年齢が53歳で、桑島市長が71歳であり、これは、現在の谷藤市長・内舘さんの年齢と酷似していることが分かりました。

だから同じ結果になるとは全く言えません(思いません)が、個人的には興味深い現象だと感じました。

***

また、今回の選挙を通じて改めて残念に感じたことは、

地方には、中央政治(国)におけるマスメディアのような、地元行政・地域政治の様々な論点(公約検証などを含む)を掘り起こして発信し住民の議論等を呼びかける地域メディアがなく、Web等を通じて、そのような試みをしようとする人もほとんどいない

という点です。

私がJCで真面目に活動していた時期は、首長の公約検証という話が流行しており、私もお手伝いしたこともありますが、そうした話が根付くことはなく、何年も前に潰えてしまいました。

私も、膨大な時間を投じて作成したレポートが、マニフェスト検証大会にお越しいただいた某知事に「ご苦労さん」の一言で片付けられ、残念な思いをしたこともありますので、他人に無理に勧めたいとは思いません。

が、例えば、谷藤市政に関しても、ウイルス禍の最中に

盛岡は全国の自治体でも、ワクチン接種の連絡(導入)が非常に遅れた

ことがあったはずで、そうしたことについて、検証等があっても良かったのではと残念に感じています。

ともあれ、色々なことを書きましたが、地方自治こそ民主政治(国民主権)の礎だと大学の憲法学で学んだ身としては、こうしたことも参考にしていただき、明日の投票に限らず、各人がそれぞれの持ち場で担っておられる地域社会の運営に活かしていただければ幸いです。

 

 

盛岡市長選に関するJCアンケートと問われるべきこと

先日、facebook上で「盛岡JC(青年会議所)が盛岡市長選の公開討論会(本年8月予定)の準備として市政に関するアンケート調査を行っている」との投稿が流れていました。

この「盛岡JCが行う政治絡みのアンケート調査」は、私の認識違いでなければ、平成19年に盛岡JC(JC岩手ブロック)が増田寛也知事の要請に応えて「マニフェスト検証大会」を行った際、担当委員長さんの発案で始まったものですが、私も委員会の下っ端としてアンケートの作成に関わっており、後年には分析レポートまで作成したこともありました。

今回のアンケートは、回答者の属性に関する質問のほか、「重要だと思う政策課題を多数の選択肢から選ぶ」質問と自身の見解を問う個別の質問が2つという構成になっていますが、平成19年のアンケートの形式もほぼ同様であり、色々と懐かしさを禁じ得ません。

というわけで、折角なので、アンケート調査に回答することにしました。で、最後まで書いたところで、当時は無かった「1万円ギフトカードプレゼント」という告知を見つけたので、「ひょっとして俺もあたるかも、いや、こんなに立派なこと(自称)を書いたんだから、きっと当たるに違いない」とネジの外れた感覚に浸りつつ住所氏名も書いて送信ボタンを送りました。

が、そのあと、アンケート案内のページを見たところ・・

「アンケート調査期間 4月1日~4月30日」

と書いてあるではありませんか。

まさか、5月以後に送信した奴はギフトカードの(集計も)対象外??

がーん(?)

というわけで、悔しまぎれに、設問4、5で書いたことを載せましたので、候補者の方々とお話しする機会のある方は、ぜひ、質問等の参考にしていただければ幸いです。

【盛岡の魅力とは】

古代から近世まで、時には中央政権の広域支配の拠点、時には衝突の舞台となり、近代は政府要人を輩出するなど、北日本固有の精神(続縄文文化)と中央政権の国策(弥生)が交わる最前線ないし結節点としての色合い(二面性)とそれに起因する成果を生じさせた歴史を持っていること

【盛岡市長立候予定者に聞きたいことは】

明治期から戦前頃まで、原敬や新渡戸稲造、旧制盛岡中学関係者をはじめ盛岡出身又は縁のある多くの人材が政・官・財・学・文の各界で活躍し勇名を轟かせましたが、戦後から現在まで、そのような話を聞くことは少なくなり、文化・スポーツ等では一定の著名人を輩出しているものの、とりわけ政官財の世界では盛岡出身者の際だった活躍を聞くことがあまりありません。

そのことに対して、時代の違いと理解するほかないのか、市長として、日本や世界で活躍できる人材の育成や支援について特に検討されていることがあるか、現に活躍されている方々と現在の市民(とりわけ若年世代)との架橋や市民への還元のあり方なども含め、ご自身のお考えをお知らせ下さい。

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と書いて送信・投稿した後になって「こうした、何とでも言える主尋問型の質問よりも、意地の悪い反対尋問型の質問を考えた方がよかったのかも」と少し思ったりもしましたが、どうなんでしょうね・・

 

盛岡市長選と公約及び施政の検証

2ヶ月前の話で恐縮ですが、8月に盛岡市長選(と市議選)があり、現職の谷藤市長が4選を決めました。

対立候補として出馬された内舘茂さんは、私が盛岡JCに入会した際に元の理事長(当時は「顧問」)としてJCの活動を支えておられましたので、私も新入会員の一人として大変お世話になりました。

それだけに、誠実で温厚なお人柄はよく存じ上げており、政治的・政策的な支持云々の話はさておき、ご健闘を祈念しておりましたので、残念な結果ではありましたが、政治活動であれ企業経営その他の活動であれ、ご経験をご自身や地域のより良い未来に繋げていただければと思っています。

ところで、どちらが当選なさるにせよ、市長選に先だって、現職(谷藤市長)の初当選から現在までの3期の市政を検証し、有意な投票材料として市民に広く伝えるような試みがなされるべきだと思っていました(市長選だけでなく、市議選も同様です)。が、そのような話を聞いたことがなく、その点は残念に感じています。

ちなみに、私がJCに在籍していた一時期(平成19~21年)には、岩手県知事マニフェスト検証大会というものがあり(23年は震災で頓挫)、色々と難点はあったのですが、それでも、萌芽として育てる価値があったはずで、その後に継続せず消滅してしまったのは、残念に思います。

他方、私の知る限り、盛岡市は言うに及ばず、岩手県内の市町村の首長選や議会選挙において、公約検証等のイベントがあったという話は聞いたことがありません。

民主党政権の頓挫あたりから、マニ検大会自体が全国的に廃れて死滅したのかと思っていたのですが、ネットで検索したところ、山口県宇部市福岡県福津市で地元のJCの主催により行われているとの記事が出てきました。

サイト内で紹介されている「大会の議事」によれば、盛岡JCが過去に行ったもののような「ご本人と学者さんだけの発表会」と異なり、市民検証なるものも行われたとあり、どのような規模かは存じませんが、好ましく感じました。日本JCは、憲法云々の大きな話をするのも結構ですが、こうした各論レベルの積み重ねや各地JCへの勧奨を大事にしていただければと思っています。

JCが過去に行ってきた討論会の方式が聴衆にとって不満が残るものであるという話は、私だけが述べていることではなく、今回の市長選の討論会をご覧になった盛岡JCのOBの方のブログでもご指摘がありました(私もJCでお世話になった方で、大変発信力のある方です)。

現役会員の皆さんにおかれては、従前の討論会の設営のみで良しとするのでなく、市長選・市議選が終わった現在でも一向に構わないと思いますので、こうした営みを考えていただければと思います。

また、ここでは盛岡市長選のみ取り上げましたが、現職の無投票3選で終了した岩手県知事選についても、同様のことが当てはまることは、申すまでもありません。