北奥法律事務所

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私の履歴書

平成29年の年頭のご挨拶と新聞雪崩警報の先にあるグローバル社会の今後

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

例年は年末に妻の実家に帰省するのですが、今年は事情により正月を自宅で過ごし、その後に若干の休暇をいただく予定です。

そのため、大晦日の夜は、年末に済ませることができなかった「面倒な作業や論点が山積みの企業倒産(管財)事件における労働債権(論点多数)の弁済表と裁判所向けの検討レポート及び元従業員の方々への通知書面」の作成で過ぎてゆき、気がつくと、新年の6時頃には恒例の事務所ソファの寝袋で初日の出を見ながら昼まで初夢気分という、この上ない素晴らしい正月になりました。

昔は、深夜3時か4時くらいには仕事を切り上げて、残りの時間で溜まった日経新聞を一気読みするのが習慣だったのですが、根気が続かない老骨へと堕してしまったのか4ヶ月以上も山積みになるばかりの有様で、先日ようやくお盆の頃の「トランプ氏が失言で支持急落」などという記事を見て、おぉ、ヒラリー逃げ切りかなどと微笑ましい感想を抱いている次第です。

司法改革に伴う町弁業界の荒波と迷走は止まるところを知らず、社会正義のやりとりをする法曹界も今や大規模な弱肉強食の時代に突入していますが、群れに馴染めず権威にも束縛する権力者にもご縁がない田舎のしがない一匹狼の町弁として、ドラマではなく現実に存在する危機的な裁判実務の穴埋めに役立てるよう、今後も精進して参りたいと思います。

今年も町弁の基本である「①中小企業法務、②家事(男女・親子・相続等)全般、③交通事故などの賠償問題、④倒産・債務整理全般、⑤その他の民事上の法律問題・各種紛争」の5分野が業務の基軸になると思いますが、成長著しい若い世代をはじめ県内の他の先生方に負けることのないよう、研鑽を積んで法律家としての地力を高めると共に、一定分野・類型での特色やアドバンテージをより強調できればと考えています。

昨年の最後の投稿になった前回のブログでは、「平成という時代は個人の多様性と尊厳(に対する社会の包容力)という日本国憲法の最高規範(根源的価値)がようやく日本社会に浸透していく過程を描いた時代だったのではないか」、「次の時代は多様性の深化が進む一方、それを拒絶し既存のスタンダードの墨守を求める勢力との抗争が強まる時代になるのではないか」という趣旨のことを書いていました。

すると、本日の日経新聞の「私の履歴書」で登場したカルロス・ゴーン氏が「現代に大切なのは、アイデンティティを失わずに多様性を受け入れることだ。自分の人生がまさにそのようなものであった」という趣旨のことを仰っているのを見つけ、我が意を得たりと思わずにはいられませんでした。

アイデンティティと多様性という二つの核は、時に激しく対立する要素を有している一方、人間(個人)の尊厳(憲法13条)という触媒を通してこそ最もよく結びつき、輝くものでもあろうと思います。

そうした理念を掲げた武器(法)をもって闘う存在たる我々法律実務家の社会での役割は、ますます深化されるべき面があるはずで、そのことも視野に入れながら、良質な研鑽に努めて参りたいと思います。

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盛岡市(岩手県)は、ウルシ(国際電波科学連合)の総会を誘致すべき

先月の日経新聞「私の履歴書」は、前・京大総長で現・理化学研究所の理事長である松本紘氏が執筆されていたのですが、6月20日の記事で、ウルシ(URSI。国際電波科学連合)という団体の会長を務めていたという話が取り上げられていました。

このウルシ(国際電波科学連合)という団体は、電磁波の研究者による国際的な学術団体とのことですが、エレクトロニクスや電波天文学、医療用電磁気学など、電磁波ないし電波に関する様々な領域を扱う団体で、宇宙研究とも関わりが深いのだそうです(そもそも、松本氏ご自身が我が国の宇宙科学の第1人者のようです)。

このように、「ウルシ」と「宇宙学」の2つを聞くと、二戸人としては、沸き立つような感情を抑えることができません。

すなわち、「ウルシ」は、偶然だとは思いますが、「漆」に通じるところ、二戸(浄法寺)が漆の日本一の産地であることは地元民は当然知っている(べき)事柄です。この点は関係者のご尽力もあり、その知名度は確実に上がってきていると思います。

そして、「宇宙」「電磁波研究」ですが、このブログでも何度か取り上げたとおり、我が国の物理学の創業者の一人である田中舘愛橘博士は、二戸の出身であり、とりわけ、宇宙学・地震学や後進の育成などで多大な功績を残したとされています。

例えば、松本氏のこの日の記事には、日本最初の文化勲章受章者である長岡半太郎博士(戦前の宇宙研究の第一人者)がウルシの副会長を10年間務めたとありますが、長岡博士は(wikiによれば)若い頃は愛橘博士のもとで学んだのだそうです。また、愛橘博士のwiki情報にも電磁気学の研究が取り上げられており、何らかの形で愛橘博士もウルシとも関わりを持っていたのではないかと思われます。

このように、二戸は、「ウルシ(漆)」と「宇宙学・電磁波研究」の双方に、大きな関わりがあるわけで、このような街が、ウルシ(国際電波科学連合)と何の繋がりも持たないのであれば、地元民(出身者)の素朴な感情としては、恥ずべきことだと言っても過言ではありません。

とはいうものの、さすがに、国際的な学術団体の世界会議(総会)を、二戸市が誘致できる力があるはずもありません(少し調べたところ、京都で開催されたことはあるのだそうで、松本氏が京大出身であることも影響しているのでしょう)。

これに対し、隣県の宮城(仙台)では、先般、国連防災世界会議という世界的な会合を誘致して成功を収めており、ウルシの総会の規模などはまったく分かりませんが、多分、仙台であれば、誘致先としては何の問題もないのだろうと思います。長岡博士は東北帝大の創設にも関わっているそうで、その点でも繋がりがありそうです。

しかし、二戸人ないし岩手県民としては、可能なら盛岡での誘致を目指して活動していただきたいところです。ウルシには10もの分科会があるそうですから、被災地(沿岸)なども含め、主会場と10の分科会を両県で分散させる形の開催も提案してよいのではと思います。

とりわけ、岩手・宮城は長年に亘りILCの誘致活動をしているわけですから、電磁波とILCにどこまで学問的な繋がりがあるかは分かりませんが、「宇宙つながり」或いは世界中の宇宙研究に取り組む科学者を誘致することの前哨戦という点で、両県が協力して取り組む意義が大いにあると思います。

さらに言えば、松本氏の連載によれば、宇宙に関する電磁波の実践的研究の一環として、「宇宙太陽光発電」というものが研究、計画されているのだそうで、これが実用可能になれば、原発や火力に代わる有力な電力調達の手段になるのかもしれず、脱原発という福島も絡めた形(被災地3県の連携開催)でも、話を膨らませることができるのかもしれません。

松本氏の記事によれば、ウルシの総会は、内部のプレゼンと投票により決定し、日本は(当時)米国に次ぐ票数を有しているのだそうです。二戸市も、大がかりな話は県庁などにお願いするにしても、例えば、浄法寺漆器を多数調達して、松本氏をはじめ、世界中のウルシの役員さんに贈答することから初めても良いのでは?などと思わないでもありません(当家でも愛用している夫婦椀や箸くらいなら、FIFAと違って?ワイロというほどの額でもないと思いますが・・)。

また、岩手県知事選・盛岡市長選の候補者(や支援者)の方々におかれては、ウルシの総会誘致を公約の一つに取り上げることも検討なさってはいかがでしょうか。

かくいう私も、亡父の命令で、二戸市の「田中舘愛橘会」の名ばかり会員になっているのですが(盛岡でいう、タマちゃんならぬ原敬を想う会のようなものです)、愛橘会の方々にとっても、活動内容(目標)の一つとして考えていただければと思っています。