北奥法律事務所

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遺産分割

エロスの英雄

皆さんは、エロスのために闘ったことはありますか?
私は令和元年から5年ほど、エロスのために闘い続けてきました。

・・・と書くと、コイツも過労と運転資金の困窮でついに狂ったか、と皆さん思われたかもしれません。

しかし、それでも敢えて言おう。
俺はエロスの英雄、ヒーローである、と。

エロスには、30年以上前から、大きな問題が生じていました。
多くの人々が先送りし、状況はどんどん悪くなっていきました。

10年ほど前、解決のため立ち上がった人々がいました。
5年前、これ以上は自分達では無理とのことで、私にお声が掛かりました。

初動は割と上手くいってたんですよ。
が。エロス内部の様々な問題に加え、どこぞの家裁から、まさかの無理難題と膨大作業・・

そして、艱難辛苦の末、ようやく大半の問題を解決できました。
まだ、小さく厄介な論点が残っていますが、まあ、なんとかなるでしょう。

この5年間、多くのエロスの人々と膨大なやりとりがありました。
きっと、彼らも私に感謝してくれるはず。いや、感謝して下さいよ・・

何より、数十年前に亡くなられた本当のエロスの英雄は、ご自身の肩の荷が下りたことを雲の上で喜んでおられることでしょう、

何を言っているか分からない方は、「訛り」が第1ヒントです。
岩手ですもの。

最初は、上手くいけば黒字もありうるかもと期待しました。
が、家裁その他の雪だるま作業で、毎度の大赤字仕事・・

岩手のヒーローは儲かりません。
ガンライザーNEOも、そう言っていた。

それでも、ようやくまとまった報酬をいただけたので、おかげさまで、どうにか年は越せました。

震災後は、債務整理特需などの恵まれた時代が去り、マイナス(大赤字仕事)に飛び込まざるを得ない日々が続いています。

芸術の前に当事務所の方が爆発しそうだと感じるときもありますが、新たに応援して下さる方々との出逢いに恵まれたことなどもあり、どうにか仕事を続けることができています。

そういえば、盛岡には、膨大な辻立ち等、上手くもなく綺麗でもなく心地よくもない闘いを長年続けてついに宿願を果たした市長さんが誕生していましたね。

田舎の町弁業界は今も厳しい状況が続いていますが、私も、運命に楯突き、べらぼうな夢を目指して頑張っていきたいと思います。

数年前の正月、事務所サイトのトップページを引用して新年のご挨拶のFB投稿をした際、予想以上に多くの「いいね」をいただき、トップページの「いいね」数が109個になりました。

今、ある寺院を舞台とする厄介な事件の訴状を作成しています。
これも数十年放置されていた問題の解決を目的とするものです。

事務所概要のページでも述べた初心を忘れずに、煩悩の1歩先にある何かを突き詰めることが、この仕事に託された役割なのかもしれないと思って、応援して下さる方々への感謝を胸に、今後も、色々と挑んでいければと思います。

来年もよろしくお願いいたします。

 

令和2年の取扱実績③生活上の問題(消費者・契約)、家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、令和2年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

亡父αから特定の土地を相続したAが、同土地を占拠するB(αから無償で借りた)に土地の明渡しを求めたところ、Bが「αから贈与された、仮に、贈与が認められなくとも、取得時効が成立する」と主張したため、訴訟を余儀なくされた案件を受任しています。

先般、1審で当方の主張を概ね認める判決がなされたものの、B氏が敷地内に建物を建築(隣接する自宅から越境建築)した部分に限り時効が認められ、現在、双方が控訴し審理が続いています。

他にも、Web上のやりとり(投稿)を理由とする名誉毀損や、男女の交際に絡む紛争など対人関係の紛争に関する対応(不当要求の拒否や関係清算など)、数十年前(祖父母などの世代)に自己が所有する土地に設定された担保権の抹消手続など様々な案件で対応の依頼を受け、無事に対処を完了しています。

他にも、多数の方々から、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件などの生活上の様々なご相談を受けたり、簡易な交渉対応に応じています。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、親権関連紛争、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など。否認事案を含む)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

本年も、親権(監護権)を巡り厳しく対立する事案を受任したほか、夫からDV行為を受けた女性が別居を敢行し夫に離婚を求めた案件を、別居前から相談を受け円滑な離婚を目指して支援するなどの対応にあたっています。

成年後見に関しても、財産管理や後見支援信託など基本的な対処を行う事案のほかに、後見審判後も自宅で独居を続ける方に関し、様々な問題に対処・苦慮しつつ、生活の継続を見守った事案もあります(現在は施設に入居されています)。

また、高齢のご夫婦に後見手続がなされた案件で、夫が死去し、お子さんがいないため、妻の後見人として夫のきょうだいと遺産分割協議を行うなど、様々な対処を行っています。

相続分野では、亡夫の相続に関し前妻の子との交渉などの依頼を受けた事案や、亡父の遺産分割に関し相手方の特別受益など様々な論点の検討を要した事案強硬な相続人との交渉を要した事案相続財産管理人の選任申立を要した事案などを担当しています。

また「県内の山間の集落に多数の不動産を遺して亡くなった方について、相続人である兄弟姉妹らが長期間、相続手続をしなかったため、相続人が数十名、権利の調整を要する物件(相続不動産)も多数に上り、墓地の扱いなど様々な論点が存する(放置されたまま、現在に至った)案件」の依頼を3年前に受任し、幾つかの論点に目処を付けつつ、現在も、多くの関係者と協議しながら残余の論点の解決のため対処に追われています。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、ますます増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方、遺言執行者などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政関係では、昨年までお伝えしていたサケ刺網訴訟は無事に当方(岩手県)の勝訴で終了しました。現在は、県内のある自治体の顧問をさせていただいており、庁内で問題となった様々なご相談や訴訟事件に対応するなどしています。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、詐欺や傷害、業務妨害、道交法違反など昨年も幾つかの事件(少年審判を含む。大半は国選事件ですが私選の依頼はタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けています。

その他の業務としては、県民生活センターが主催する消費者向け相談や県内の社会福祉協議会が行う住民向け相談事業など幾つかの相談事業を担当したほか、東北厚生局の訟務専門員として、保険診療の不正受給などに関する解決のお手伝いをしました。

平成30年~令和元年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成30年~令和元年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など。否認事案を含む)については、現在も多数のご相談・ご依頼を受けています。

主なものとしては、夫婦の不和(親権争い)に伴い、夫が幼児を自身の実家に連れて行った上、妻に対し自宅からの単身退去を求めるなどしてきた案件で、それまで育児の大半を担っていた妻の代理人として「子の監護者指定及び引渡しの審判」の申立をした案件があります。

実務的には当然に認められるべき事件と判断して申し立てましたが、1審(盛岡家裁)で予想外の敗訴審判を受け、驚いて即時抗告(不服申立)を行ったところ、2審(仙台高裁)で無事に全面取消(当方勝訴)の決定をいただき、かなりの長期を要したとはいえ、無事にお子さんの引渡し等を受けることができました。

他にも、嫡出否認の問題を抱えた方(男性側)のご依頼で、女性側と交渉して必要な法的手続を行った案件もあります。

前回(交通事故の項)にも書きましたが、夫婦間の紛争を依頼される方の中には、弁護士費用保険を利用して委任される方もおられます。現在は勤務先など(所属団体)が従業員などを被保険者として契約する保険商品が主流のようですが、夫婦間の紛争はご本人・受任者双方にとって負担の多い手続になることが多く、保険の普及を期待したいものです。

成年後見に関しても、財産管理や後見支援信託など基本的な対処を行う事案のほかに、後見審判後も施設入居を拒否して自宅で独居を続ける方に関し、様々な問題に対処・苦慮しつつ、生活の継続を見守っている事案もあります。

また、意思疎通は問題がないものの身体に障害のある方で、家庭内に複雑な事情を抱えたご年配の方から財産管理の依頼を受け、福祉関係者と協議しつつ家庭内の問題への対処を含む様々な対応を行っている案件もあります。

相続分野では、亡夫の預金などの相続について、前妻のお子さんとの交渉等(遺産分割)の依頼を受けた事案や、亡父の遺産分割の対処の依頼を受け、相手方の特別受益をはじめ、様々な論点の検討が必要になっている事案などを担当しています。

また「県内の山間の集落に多数の不動産を遺して亡くなった方について、相続人である兄弟姉妹らが長期間、相続手続をしなかったため、相続人が数十名、権利の調整を要する物件(相続不動産)も多数に上り、墓地の扱いなど様々な論点が存する(放置されたまま、現在に至った)案件」の依頼を受け(相続人の調査等を対応された司法書士の方のご紹介)、現在も多くの関係者と協議しながら解決のため対処に追われています。

また、遺言により財産相続をしたAが、不和な状態にあるきょうだいBから遺留分減殺請求を受けたものの、B氏が生前贈与を受けていることなどから減殺(代償金の支払)はできないとして争った事案(A氏代理人として受任し当方の主張どおり解決)、相続財産管理人として受任し多数の関係者が生じている共有物分割請求(土地の権利関係の処理)に対処した事案自筆遺言の検認やその後の対処(他の相続人との交渉など)を要する事案親族関係者全員での相続放棄の申立事案(音信不通になっている親族との連絡調整を含む)などを担当しました。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、ますます増えていくと思われます。

なるべく生前に、相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請して不許可となった多数の方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟(報道でも大きく取り上げられた「サケ刺網訴訟」)を、自治体(岩手県)の代理人として受任し、3年ほど膨大な作業を通じて闘ってきました。

平成30年に1審判決があり、主要争点で当方の主張を全面的に認める勝訴判決を受け、昨年2月には控訴棄却(県勝訴)の判決がありました(先方が上告し、本年に上告棄却=当方勝訴で終了しました)。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、窃盗や詐欺、傷害、器物損壊、住居侵入、迷惑防止条例(盗撮)事案などに関して幾つかの事件を手掛けています(大半は国選事件ですが、私選のご依頼はタイムチャージ形式で受任しています)。

否認事件や大規模な詐欺組織の構成員の国選弁護人として、無罪の主張立証や多数の被害者への弁償など様々な作業に負われたこともありました。

少年審判についても、保護観察がなされた事案のほか、「生育環境に気の毒な事情が多く見られたものの、従前の素行の問題や現在の生活環境の悪さから、やむなく少年院送致となった事案」も経験しています。

その他の業務としては、岩手県民生活センターが主催する消費者向け相談紫波町社会福祉協議会岩手県総合福祉センターの高齢者・障碍者向け相談など幾つかの相談事業を担当しているほか、東北厚生局の訟務専門員として、保険診療の不正受給問題に関する解決のお手伝いをしています。

 

平成29年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成29年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争や離婚後の面会交流の拒否に伴う間接強制を巡る紛争など、親子間の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い、穏当な和解による解決に努めています。

成年後見の選任も増加傾向にあり、後見人のほか保佐人・補助人として選任される例もあります。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

昨年は、意思疎通には問題がないものの家庭内に複雑な事情を抱えたご年配の方から財産管理に関するご依頼を受け、福祉関係者と協議しながら家庭内の問題への対処を含む様々な対応を行った案件もあります。

相続分野では、遺産分割を巡り当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去直前に親族に財産の一部を贈与する趣旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの、贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり、他の親族も巻き込んで複雑な展開となった事案)などを手がけており、必要な主張立証を尽くした上で、裁判所の和解勧告などに踏まえて解決しています。

また、身寄り(配偶者や子、両親)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行っている事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

他にも、相続登記が放置されたため多数の相続人が生じている不動産の権利関係の処理に関し、他の相続人への交渉が必要となった事案や、相続財産管理人として受任し共有物分割請求訴訟に対処する事案なども担当しています。

離婚・親子・相続などに関しては、以前にセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった多数の方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を、自治体(岩手県)の代理人として受任しています。

本年3月末に1審判決があり主要争点で当方(県)の主張を全面的に認める勝訴判決をいただいており(報道でも大きく取り上げられた「サケ刺網訴訟」です)、相手方(県が必要やむを得ない規制として定めた事項に不服のある一部の漁業者の方々)の控訴に伴い、今後も解決に向け対応を続けていく予定です。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、窃盗や詐欺、傷害、覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの事件(大半は国選事件ですが私選のご依頼もありタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けており、起訴前に示談し不起訴となった事案も幾つかありました。

中には、逮捕時に被疑者宅に多頭崩壊とみられる猫の大量残置などの問題が判明し、動物保護の関係者と協議しながら適正な対応を図った事案もありました。

少年審判(未成年者に関する刑事事件)についても、試験観察を経て保護観察(社会内処遇)が定められた事案など複数の事案も受任しています。

その他の業務としては、岩手県民生活センターが主催する消費者向け相談岩手県総合福祉センターの高齢者・障碍者向け相談など幾つかの相談事業を担当しているほか、東北厚生局の訟務専門員として保険診療の不正受給問題への対処のお手伝いをしています。

平成28年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚請求や関連紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、様々な立場の方から多数のご相談・ご依頼を受けています。被害者側の受任事案で、加害配偶者側が不貞を争ったものの、携帯電話の会話記録などを整理して不貞の事実を立証して賠償金が認められた例もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争離婚後に生じた子の引渡や親権の変更を巡る紛争など、親子の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い穏当な和解による解決に努めています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、遺産分割を巡って当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去の直前に親族に財産の一部を贈与する旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり長期化した事案)などを手がけています。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、相続財産管理人やそれらの一貫として遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行った事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、急速に増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが紛争やトラブル発生の防止のため望ましいことが多いと思われますので、遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め、早期の対策などをご留意・ご検討下さい。

離婚・親子・相続などの問題に関しては、昨年中は幾つかのセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を自治体側の代理人として受任しています。

詳細は差し控えますが、その分野に関する長年の政策的な積み重ねの当否などが争点とされている事案であり、担当の方から様々なお話を伺うと共に、行政訴訟に関する基本的な法律論(取消訴訟の主張立証のあり方や行政裁量の問題など)の検討も積み重ねており、大変しんどい裁判ですが、固有のルールが複雑に重なる行政訴訟を手がける上では、学ぶところの多い事件となっています。

他にも、区画整理に伴う損失補償の問題に関する事件を手がけたこともあります。

刑事弁護については新人弁護士の増加により受任件数は多くありませんが、被疑者段階を含め、窃盗や覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

また、私選での少年審判の受任もあり、事件の背景や今後のあり方など少年の更生環境を検討したりご家族とお話しする機会がありました。

その他の業務としては、昨年に引き続き被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。数年に亘り大船渡の法テラス気仙など沿岸での相談を担当してきましたが3月に担当を外れ、本年は内陸部での相談が主となります。

「相続(争族)対策セミナー」のご案内と、幻の「オボマロ」漫談シナリオ

本年1月に、明治安田生命さんのご依頼で相続対策に関するセミナーを県内3ヶ所で実施したのですが、3月にも同様のセミナーを行って欲しいとのお話があり、また、担当させていただくことになりました。

今回は3月25日の盛岡会場を皮切りに、北上・水沢(奥州)・久慈・一関の計5ヶ所で実施するとのことで、3月の最終週は、ひたすらセミナーという感じになりそうです。

関心のある方は、ご来場いただいただり、ニーズがあると思われるご親族・知人の方などににお声掛けいただければ幸いです。日時や会場などは添付の文書をご確認いただき、明治安田生命のご担当の方にご連絡下さるようお願いいたします。
明治安田生命 H28.2-3月セミナー日程

1月の際は、2回目の会場で相続に関する基本的な用語とルールの説明を中心に行ったところ前回よりも評判がよかったので、今回もこの方法で行おうと思っています。

ただ、なるべくなら様々な事柄を横断的に取り上げたいとの気持ちもあり、今回もレジュメ全体では30頁という大作(しかも各種文例つき)で、これをもとに一般向けの本の一冊でも出版できそうなくらいのものになっています。ですので、このレジュメを貰ってご覧になるだけでも意味があるのではと思っています。

ところで、1月のセミナーを告知した際は「綾小路きみまろに扮して漫談調にできればいいのに」と書いたのですが、結局、最初に軽妙なトークを試みても全く笑いが取れなかったこともあって、3回のうち1度もこの話を持ち出すことができず、毎回、内心トホホと思いながら解説をしていました。

たぶん、今回も漫談云々は無理でしょうが、せめてブログの中だけでもこんな感じで話ができればと、CM風に書いてみました。が、やっぱり「帰れ!」と言われてしまいそうです(きみまろ氏の真似事ですので毒舌漫談調になっていますが、他意はありませんのでご容赦下さい)。

あれから40年 おもちゃ売り場で泣き喚いた子を引っ張るあの手は
病院から早く自宅に連れ帰ってくれと 指を広げ腕を伸ばしてねだってる

あれから40年 おもちゃを取り合った小さな子供たちは
貴方の身柄を確保して遺言や財産もらおうと 親の右手左手 引っ張ってる

痛いと言ったら先に手を離した弟は 
昔おばあちゃんと一緒に見てましたね TBSの大岡越前

あれから40年 東京で暮らす子供達からの電話は
オレオレ詐欺にオレの金を取られてないかと そればかり

いやいや 「オレの金」じゃない! 
今はまだとか 3年待てとか そういう問題じゃないし!

そんなわけで ご自分の大事な資産を誰にどう遺すか
愛する家族に明るい未来を授けていくか 泥沼の抗争をくれてやるか

岩手の犬神佐兵衛さんも そうでない方も 
最後の花を咲かせるために ここが智恵の絞りどころ

そんな貴方に 相続セミナー おでってくんなせ かだってなは~ん

【テーマないし項立て】

第1 相続に関する「基本のき」と幾つかの「専門用語」     2頁
第2 相続に直面する前に考えておくべきこと~状況の整理など~ 5頁
第3 どのような場合に「争族」になりやすいのか                   7頁
第4  「争族」対策と、節税・納税策(生命保険)との関係       10頁
第5  典型例での個々の財産の一般的な取扱い~遺言のない事案~   13頁
第6 生前の準備~遺言を中心に~                                   19頁
第7 その他、相続の際に問題になりやすい幾つかの事柄と対処     25頁
第8 弁護士の上手な活用法と無料相談、留意点、参考文献など      26頁

相続からはじめる「家族の物語」と遠野ICの残念な動線

先日は、以前のブログで告知した「相続対策セミナー」の1回目(大船渡会場)でした。事前に明治安田生命さんに問い合わせても参加予定人数を教えていただけなかったので、全然集まらなかったらどうしようとビクビクしていたのですが、数十名もの方にご参加いただき、大変ありがとうございました。

以前に記載した「きみまろネタ」を繰り出すかギリギリまで悩んだのですが、冒頭に少し軽口めいたことを述べても全く笑いが起きる気配がなく、やはり自分には笑いを取るセンスは無いのだろうと諦めました。

予想どおり後半はかなり端折ってしまい、冒頭で「早口で話さないように頑張ります」と述べていたのに全く達成できませんでしたが、レジュメで取り上げた項目そのものは、概ねすべてお伝えすることができました。

相続は、ご家庭の事情で対象となる論点が全く異なることから、敢えて各論よりも総論(相続で問題となる場面の整理や考え方の要諦)を強調し、それぞれのご家族・一族が、どのような物語を紡いできたのか、それは、特定の人(長男など)に承継されていくべきものか、むしろ解体・清算されるべきものか、そうしたコンセプトは全員に共有されているのか、といったことを考えていただきたいとお伝えしました。

アンケートによれば、ご高齢の参加者から基本用語の説明など基礎的な話をじっくり聞きたいとの要望が強かったとのことで、次回はそうした声に配慮した構成で考えていますが、技術的なこと以上に本セミナーが「家族・一族の物語」を改めて考えるきっかけになればと思っています。

そんなわけで、19日の水沢や28日の盛岡も奮ってご参加いただければ幸いです。

ところで、往路はいつもの法テラス気仙と同様、宮守IC→小友町から峠道を下るルートで行きましたが、帰路はせっかく開通したばかりの遠野IC・宮守IC間を通ってみたいということで、住田町の国道の分岐路から滝観洞・仙人峠道路方面に進み、遠野バイパスから遠野ICに入りました。

遠野の街は1年ぶりくらいで、道路工事中に通過したときから違和感を感じていたのですが、遠野ICの出入口(国道との連絡路)は、遠野の道の駅(風の丘)の近くにあるものの市街地寄りにあり、市街地方面からの車両からすれば、「市街地→遠野IC入口→風の丘」という順序になっています。IC・風の丘間も隣接しているわけでなく、少し離れた位置になっています。

そのため、「高速に入る前に道の駅に寄って買い物等をしたい」という人は、IC入口を通過し、しばらく走行して風の丘に行き、再びICに戻ってこなければならないので、煩わしいという感覚が避けて通れません。

かくいう私も朝食なし昼飯抜き(車内サンドのみ)でセミナーをした後でもあり、風の丘で小腹を満たしてICに乗り込むつもりだったのですが、土壇場で行く気が失せ、空腹のまま高速で一気に盛岡に帰りました。

もとより、遠野市民(遠野IC利用者)の大半はICの西側(風の丘・宮守方面)ではなく東側(市街地)に居住しているので、今後、ICの利用時に風の丘に寄る人は非常に少なくなってしまうのでは(結果、これまで県内では道の駅の最優等生とも謳われた風の丘の営業成績にも大きく響いてしまうのでは?)との印象を強く抱かざるを得ませんでした。

もし、遠野ICの入口となる連絡道路(猿ヶ石川に架かる橋)を、風の丘の敷地脇に作ってさえいれば、このような展開にはならないのでは(それこそ、東名高速の富士川楽座SAのように、事実上、SAと道の駅の双方を兼ねる施設として大いに発展したのではないか)と強く感じました。
http://www.fujikawarakuza.co.jp/

地図によれば風の丘の対岸には人家や工場があるようですので、そうした点が原因なのかもしれませんが、遠野ICや連絡道路の位置選定について関係者でどのような議論が交わされたのかご存知の方がおられれば、ぜひご教示いただければと思っています。

今日(17日)も法テラス気仙の日曜相談の担当日となり大船渡に来ましたが、昼は「ラーメンパスポート」を利用したいと思って、市内にあるパチンコ店の建物内にあるラーメン店に行きました。

日曜なのに、パチンコ店の広い駐車場はほぼ満車状態といってよいほど埋まっており、食堂でも、いかにもという感じの寂しそうな眼差しの中高年男性を多く見かけました。

すでに5年近くを過ぎ、被災直後に陰口?のように言われた「義援金で云々」ということもないのでしょうが(建設・土木などの従事者で復興特需による給与を原資にという人ならいそうな気もしますが)、「日曜最大の繁盛店がパチンコ店」というのは、被災地に限らず高齢化等が進む過疎地一般にあてはまることなのかもしれません。

今日は末崎半島の方まで運転してきましたが、そうした光景も視野に入れると、「地域最大級の集合住宅」という様相を呈する災害公営住宅であれ防潮堤の巨壁群であれ、各種の大型の土木・建築工事が進んでいる沿岸一帯の風景についても、人々の精神的なつながりが薄れたり損なわれたりしている姿に光があてられないまま、ハコモノやカネばかりが投入されているような感じがしないこともなく、複雑な心境を禁じ得ない面はあります。

相続対策セミナーで「中高年のアイドル」を目指す弁護士?

明治安田生命さんのご依頼で、1月中~下旬に県内3箇所(盛岡、水沢、大船渡)にて「相続(争族)対策セミナー」を実施させていただくことになりました。

ここ最近、相続対策(納税や他の相続人への代償金の原資づくり)として、生命保険の活用が注目されており、そのような観点から、「保険が必要となる前提場面としての争族紛争などを知っていただく」という見地から、地元の町弁の私に白羽の矢を立てていただいたようです。

同社にあまり商売っ気がないのか大して期待されていないのか?ネット上では広告なさっていないようなので(営業の方々にお任せしているそうです)、テコ入れも兼ねて?今更ながら、末尾で予定などを告知することにしました。関心のある方は、同社盛岡支社をはじめ開催場所の営業所までお問い合せいただければ幸いです。

恥ずかしながら、私は大勢の方の前で話をするのは苦手なので、毎度ながらレジュメの棒読みのような講義になるかもしれませんが、奮ってご参加いただければ幸いです。

ところで、テーマの性質上、主に中高年の方がおいでになると思いますが、妻と会ったばかりの頃に「綾小路きみまろに似ている」と執拗に言われたことがあります。

そこで、いっそ、それをネタにして「オボマロ」などと称して仮装し「あれから40年、あの頃はあんなに小さかった我が子の手は、今や、相続はまだかまだかと崖の端まで伸びてきて・・」とか、「東京で暮らす子供からの電話は、オレオレに金を取られてないかという話ばかり」などと漫談してみたい誘惑に駆られないこともありません。

ただ、笑いを取るだけの力量はありませんし、講義では、過去に扱った紛争なども例に出して(もちろん守秘義務の範囲内で)、それなりに生々しい話もお伝えするかもしれませんので、ただでさえ似合わない毒舌トークなんぞ試みても、参加者の方に「帰れ!」と言われてしまいそうです。

それはさておき、こうした機会を生かして、レジュメを持ち帰るだけでなく、有益な話が記憶に残るよう、関心をもってテーマを拝聴いただけるような話芸を磨くことができればと思っています。

また、レジュメがA4版で25頁以上という「大作」になってしまったので、後日に今後の宣伝を兼ねて、項立ての中身についても少し投稿したいと思っています(自分で言うのも何ですが、このレジュメを貰いにいらっしゃるだけでも意義があるかもしれません)。

そのまま肉付けすれば、ちょっとした書籍が出来上がりそうなので、出版企画を持ちかけて下さる方がおられば大歓迎なのですが、泡と消える淡い期待で終わってしまいそうです(笑)。

【テーマないし項立て(予定)】

① 相続に直面するにあたって考えておくべきこと
② どのような場合に「争族」になりやすいのか
③  「争族」対策と、節税・納税策(生命保険)との関係
④  紛糾しやすい典型例と、個々の財産に関する一般的な取扱い
⑤ 生前の準備~遺言を中心に~
⑥ 相続の際に問題になりやすい幾つかの事柄と対処
⑦ 弁護士の上手な活用法

【日時・場所】

1月14日 13時半~15時 大船渡
1月19日 10時半~12時 水沢
1月28日 10時半~12時 盛岡

相続と「争族」に関する事前準備

先日ある保険会社さんから相続に関するセミナーを担当してみないかとお声掛けいただき、まだ正式決定ではないものの、来年1~2月頃に県内の数カ所で行うことになりそうです。

まだ時間的余裕はあるものの、色々と考えたことをメモするなどして、それなりに準備を進めています。

そんな事情もあり、先日、相続絡みの本を2冊、立て続けに読みましたので、少しご紹介したいと思います。

以前、平成27年の相続税法改正(増税)に絡んで税務対策などを取り上げた本として、税理士の楢山直樹先生の著作をご紹介したことがありますが、以下の2冊は「法律上の紛争(「争族」に関する論点の具体例)」と「遺品」という、同書では取り上げていないテーマを一般の方むけに分かり易く説明した本ですので、楢山先生の本と併せてご覧になれば、なお良いのではと思います。
ここ1、2年に読んだ本③~様々な法分野・実務など~

あさひ法律事務所「90分で納得!ストーリーでわかる相続AtoZ」経法ビジネス選書(H27.2)

亡父の自宅を同居の子が相続した事例をベースに、トラブルメーカー役の叔父などの若干の登場人物を交えて、相続を巡って法律上問題となるベーシックな論点を、一般の方向けに分かり易く説明した一冊です。

論点として、相続人の範囲・特定、葬儀費用、相続分、相続財産の特定や遺産分割の要否、遺言の有効性、債務の相続、特別受益(生前贈与等)・寄与分などを取り上げ、登場人物を巡るストーリーを述べると共に、法律や裁判所の考え方について解説を加えています。

一般的な家庭の相続に関して生じうる法律上の論点などについて基本的な知識、理解を深めておきたい方には、大いに参考になる一冊だと思います。

木村榮治「遺品整理士という仕事」平凡社新書(H27.3)

遺品整理士の資格認定に関する協会を立ち上げ、遺品整理業務のあるべき姿について指導されている先駆者の方が、遺品整理士という仕事を志した経緯や遺品整理の意義などを説明しています。

遺品整理業務の一般的なあり方(あるべき姿)や問題業者の実情などのほか、特殊な対応が必要となる現場(孤独死、賃借物件、遺族が遠方居住など)、「生前整理」の必要性などにも触れられており、弁護士(紛争)や税理士(税)の業務とも異なる、第3の相続問題としての遺品整理及び関連事項につき、基礎的な知識、知見が得られる本として、大いに参考になる一冊だと思います。

とりわけ、「生前からの被相続人の所持品などの整理や、関連する見守りなどの問題」については、被相続人(ご本人)が、親族などと遠く離れて単身で賃借物件などに居住しているケースでは、福祉や医療などとの連携も含め、強く意識されるべきではないかと思われます。

余談ながら、日経新聞の本年8月30日の記事で、いわゆるIT終活(死後のPCやネット上に残存する各種データ等の処理)が触れられており、これも、現代に特有の「遺されたモノの整理」ということができ、それだけに、相続人側はもとより被相続人も適切な「準備」が必要でしょうし、それらを巡る相互の意思疎通を適切な形で行っていく文化が形成されるべきではないかと感じています。

不在者財産管理人に関する予想外の展開と顛末

昨年、不動産の相続手続が数十年も滞った結果、当事者(相続人)が多数生じた状態で処理を余儀なくされた相続事件(遺産分割)で、当事者の中に所在不明の方がいるため、やむなく不在者財産管理人(民法25条)の申立を行ったことがありました。

そもそも、遺産分割は、相続分の譲渡等の方法で相続権を喪失(遺産分割の手続から離脱)した方を除き、法定相続人の全員が手続に参加しなければ、調停や審判を行うことができないため、所在不明の方がいれば、裁判所が、その方に代わって相続人としての権利行使等を担当する者(財産管理人)を選任して遺産分割を行うべきこととされています。

その事件では、対象不在者たるA氏の住所地(住民票で表示された場所)に手紙を送付しても一向に届かず、A氏のご家族に事情聴取しても所在不明との回答しか得られなかったため、当方が受任している遺産分割を行うために必要な限度で管理人を選任していただきたいという趣旨で、当方から申立を行ったものです。

すると、申立後、かなりしばらくして申立先の裁判所から「A氏が、法務省に照会したところ、法務省の管轄する施設に収容されていることが分かった。所在が判明したので不在者とは言えないから取り下げて欲しい」との連絡がありました。

もちろん、初耳の話でしたが、裁判所の調査である以上、やむを得ず申立は取り下げ、収容先を送達場所として遺産分割の調停を申し立て、最終的に、調停に代わる審判(家事事件手続法284条)により、A氏の出頭等を要しない形で審判を終えることができました。

なお、調停に代わる審判の形となったのは、膨大な数の相続人が生じていた関係で、A氏の具体的な相続権(評価額)もごく僅かなものであったことが影響しており(また、裁判所も審判前にA氏に手紙を送付しています)、施設収容者であれば常にそのような形になるとは言えませんので、その点はご留意下さい。

ところで、不在者財産管理人の選任の申立は、申立書の起案や添付資料の準備のほか、候補者の選定や報酬等を巡る調整、交渉など、色々と煩瑣な作業を伴いますので、無駄骨を折らされた身としては、正直、申立前に何らかの形で簡易に調査、照会できるシステムがあればと思わずにはいられませんでしたが、センシティブ情報という性質上、なかなか難しいだろうと思います。

もちろん、A氏のご家族がそのことを教えていただければ、弁護士法23条照会の利用もあり得たのだろうと思いますが、ご家族もご存知なかったのか、本当は知っていて教えていただけなかったのか、その点は今も分かりません。

ともあれ、「遺産分割が数十年も遅延し、多数の相続人(当初の相続人からの数次相続人)が生じるケース」では、関係者の方からご協力が得られず苦慮する場合のほか、関係者に様々な特異な事情があることが判明し、それに応じた特別な対応を余儀なくされることがあります。

そうした場合には、狭義の相続法とは別に、法律家としての総合的な実力を試されているような気持ちにさせられ、しんどさもありますが、ある意味、町弁としてのやり甲斐や面白さを感じることも多いように思われます。