北奥法律事務所

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遺言

盛岡市議との懇談会と「弁政連のあるべき活動」に関する幻の意見書(最終回)

前回までに引き続き、先日の盛岡市議さん達との懇談会のため用意した(ものの出番なく葬られた)レジュメを載せます。

今回=資料3は、先般の市長選で当選された内舘茂市長の公約を市役所が実施しようとした場合、地域の弁護士がどのような形で役に立てるか、テーマを絞って考えたものとなっています。

標題のテーマ(地方で執務する弁護士が、地方における民主主義と人権保障の拡充の向上のため何を考え何をすべきか)に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

私にとっては残念な会合となりましたが、これまでお名前や写真等しか存じなかった何名かの市議さんに初めてお会いできたことは、有意な経験だったと思うことにします。

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資料3 内舘市長の公約等に関するノンポリ無党派弁護士からの一考察(雑駁なもの)

もともと、これが「当職が担当を配点されることになったきっかけ(元凶?)」ですが、資料1・2の作成で力尽きたこともあり(所詮「おまけ」扱いですし)、すいませんが、今回は簡易なレポートとさせていただきます。

ここでは、内舘市長の公約を網羅的に分析等することはしませんが、パンフレットなどからは次のようなものが掲げられていると理解しています。

Ⅰ 地域内の様々な経済的・社会的弱者支援

①高齢者等の交通支援(ミニバス・乗合タクシー)=(自動車に依存しない)外出支援
②戸別訪問ゴミ収集・在宅医療介護強化等=外出せずとも各種サービスを受ける制度
③Uターン就職者への返還不要奨学金、学校給食無償化・センター整備や保育料無償等
④いじめ対策、習熟度別の学習支援、不登校他ハンディキャップ児童等の教育環境整備
⑤教員の増員と就業環境改善
⑥市長対話・住民対話部門、除雪部門強化、各種DX、公共交通整備、自転車専用道路

Ⅱ 地元経済・事業者の活性化支援

①地元企業の売上向上支援、上場支援、起業支援、起業等移住若年世代の定住支援
②地域の魅力発信と各種文化・産物の魅力強化(いわゆるブランド化=高付加価値化)
③地域の歴史文化(街並み)・先人(原・新渡戸・啄木等)の発信強化(VR等)
④社会的弱者向けの街並み整備(点字・スロープ、トイレ整備ほか)
⑤各種ボランティア活動に対するポイント付与(市内商業施設での還元)
⑥公共施設での再生エネ事業、エネ地産、EVスタンド、農業支援等

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全般的な特徴は、社会的弱者支援が強調され、対人給付(奨学金や各種無償化=税対応、ポイント制など)が多く掲げられている(インフラ整備的なものは強調されてない)ことだと思われますが、ここでは政策自体の当否や財源問題などは取り上げず(その検討は、第一義的には議員さんのお仕事でしょう)、これらを実現しようとすれば、法制度上どのような課題が生じるか、実現のため弁護士がどのように役立てるかを検討対象とします。

ただ、網羅的な検討はできませんし、公約の大半が税金の使い道を述べているに過ぎず、市民生活や企業活動等への規制等を掲げた公約がほとんどみられないため、前者(法制度上の論点)は一旦置いて、後者(弁護士の使い道)を中心に検討します。

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例えば「いじめ対策」や教員支援などに関し、近時は、いわゆるスクールロイヤー(教育委員会や学校法人等の依頼により、学校で生じる諸問題について継続的に相談や事件対応に応じる弁護士)が提唱されています。

内舘市長も範としている?兵庫県明石市は、人口比に照らし「日本で最も弁護士が常勤職員となっている自治体」と言われ(平成30年は7名とのこと)、教育委員会に所属しスクールカウンセラーやソーシャルワーカーと共に市内公立校の各種問題に専業的に対処する弁護士職員もいる(いた?)そうです。

この点は、弁護士会の「こども委員会」や「法教育委員会」の所属弁護士の方々(今回も参加されています)に発言を求めれば、様々な意見や提言がなされるのでしょうが、明石市のように「弁護士の常勤職員を多数雇用する」形でなくとも、市内の多数の弁護士の参画を得て、生徒や教員、或いは保護者等の様々な相談に対応する仕組みを作ることは、さほど難しくないと思われます。

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問題は予算措置(カネ)で、法テラスと連携したり、国の補助金対象事業化をお願いできれば有り難いですが、高額な予算がなくとも一定の対応は直ちに可能と思われ、弁護士会などに制度設計を要請の上、議会等で導入を検討いただければ幸いです。

スクールロイヤーや学校を巡る法律問題に関心のある方は、学校教員でもある弁護士の方が執筆した、神内聡「学校弁護士」(角川新書)をぜひご覧下さい。

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その他、高齢者・障碍者支援であれば弁護士会に担当委員会がありますし、地元企業の支援の一環として弁護士への相談等補助も検討いただきたいです。

カネの支援が無理でも、相談や事件対応のため必要となる事務作業などを、行政や商工会議所などが補佐する仕組みがあってよいと思います。

少なくとも、ご本人が適切な準備や作業ができないため、相談等できずに終わっている事案や、相談等がなされても「その先の作業=解決」に繋がらずに終わってしまう事案は珍しくありません。

歴史的景観保全等のための街並み整備などは行政の規制や居住者等支援が必要な分野ですが、日弁連公害環境委員会ではそうしたテーマも取り扱っており、条例整備であれ、個別事案対応であれ、市の顧問弁護士事務所の方々と役割分担をしつつ何らかの第三者的な形でお役に立てることはあるかと思います。

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市議の方々は、市長の公約云々に関係なく、市内の様々な課題を掘り起こし(光を当て)解決を推進することが求められていることは申すまでもありませんし、「掘り起こし」をする上で、市内で活動する弁護士達に、現在はどのような事案の相談や依頼等が多いか、どのような問題が発生しているか(住民や地元企業がどのようなことで困っているか)を定期的に聴取して全体像を把握し、それに基づいて市のあるべき施策を提言していくことは、市議会に求められている役割の一つだと言うべきではないかと思います。

私に関して言えば、震災前に山ほど受任していた個人や企業の債務整理等が大幅に減少した反面、近年、増加傾向にある類型として、次のものがあると感じています。

①全く身寄りの無い方の相続(相続人不存在事案や、被相続人と全く交流のない遠方在住の多数の甥姪などが相続人となる事案など。隣人が世話したり高額な相続預金等を有する例もある)

②老齢の親が重大な障害を抱えた子と二人だけで暮らしていたが、様々な事情で同居等が困難となり財産管理等のため弁護士の支援が必要となる事案(重大な紛糾例を含む)

これらは、社会内の人間関係(家族・親族・地域その他)の希薄化で「ひとりぼっち」「二人ぼっち」家庭が非常に多くなった結果として生じているもので、盛岡に限らず全国的な現象だと思いますが、被相続人の死去で、遠方の甥姪等(往々にして大都会に在住)に預金が移転(盛岡から流出)することが多いほか、相続人不存在であれば、国庫帰属の形で、国が全て取得する(市役所や県には一円も入らない)形となります。現行の相続財産清算人(管理人)制度の運用にも、疑問を感じる点は色々とあります。

ただ、そうした事案では、「もしかしたら、ご本人(被相続人や被後見人等)は、そのような形で財産が流出するのではなく、地元の近しい関係にある方に引き継いだり、地元のため有効活用して欲しいと願っていたのではないか」と感じることは珍しくありません。

条例で「相続人不存在事案を国庫帰属ではなく地元自治体へ」と定めても無効になるでしょうが(地方自治法14条)、例えば、推定相続人(財産を相続する予定の方)がいない(身寄りのない)方や推定相続人と疎遠になっている方(市民)に向けて、積極的に遺言書の作成(自身の死去後の財産等のありかたの検討)や弁護士等への相談等を促す施策があって良いのではと思います。

その一貫として、多額の資産(相続財産)をお持ちの方には市役所などへの寄付を呼びかけても良いのかもしれませんし、それは後見人無報酬事案の補助原資にもなりうるでしょう。

もちろん、その前提として、そうした方の生活を様々な形で行政が支援することが伴われるべきでしょうが。

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ご承知のとおり、盛岡市民には市役所から「健康診断に行って下さい」というカードが毎年送られてきます。身体の病に限らず、社会生活上の様々な病の未然防止のため、様々な論点・事案(必要性)を具体的に紹介し、「弁護士などに相談して下さい」と市の広報などで呼びかけることは、あって良いと思います。

岩手弁護士会サイトの弁護士名簿をご覧のとおり、岩手の弁護士の過半数以上が盛岡で執務しており、盛岡市(市役所・市議会)は弁護士の活用について強いアドバンテージを持っていると言えます。皆さんにも、そのことを生かしていただければ幸いです。

長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 

 

令和2年の取扱実績③生活上の問題(消費者・契約)、家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、令和2年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

亡父αから特定の土地を相続したAが、同土地を占拠するB(αから無償で借りた)に土地の明渡しを求めたところ、Bが「αから贈与された、仮に、贈与が認められなくとも、取得時効が成立する」と主張したため、訴訟を余儀なくされた案件を受任しています。

先般、1審で当方の主張を概ね認める判決がなされたものの、B氏が敷地内に建物を建築(隣接する自宅から越境建築)した部分に限り時効が認められ、現在、双方が控訴し審理が続いています。

他にも、Web上のやりとり(投稿)を理由とする名誉毀損や、男女の交際に絡む紛争など対人関係の紛争に関する対応(不当要求の拒否や関係清算など)、数十年前(祖父母などの世代)に自己が所有する土地に設定された担保権の抹消手続など様々な案件で対応の依頼を受け、無事に対処を完了しています。

他にも、多数の方々から、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件などの生活上の様々なご相談を受けたり、簡易な交渉対応に応じています。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、親権関連紛争、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など。否認事案を含む)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

本年も、親権(監護権)を巡り厳しく対立する事案を受任したほか、夫からDV行為を受けた女性が別居を敢行し夫に離婚を求めた案件を、別居前から相談を受け円滑な離婚を目指して支援するなどの対応にあたっています。

成年後見に関しても、財産管理や後見支援信託など基本的な対処を行う事案のほかに、後見審判後も自宅で独居を続ける方に関し、様々な問題に対処・苦慮しつつ、生活の継続を見守った事案もあります(現在は施設に入居されています)。

また、高齢のご夫婦に後見手続がなされた案件で、夫が死去し、お子さんがいないため、妻の後見人として夫のきょうだいと遺産分割協議を行うなど、様々な対処を行っています。

相続分野では、亡夫の相続に関し前妻の子との交渉などの依頼を受けた事案や、亡父の遺産分割に関し相手方の特別受益など様々な論点の検討を要した事案強硬な相続人との交渉を要した事案相続財産管理人の選任申立を要した事案などを担当しています。

また「県内の山間の集落に多数の不動産を遺して亡くなった方について、相続人である兄弟姉妹らが長期間、相続手続をしなかったため、相続人が数十名、権利の調整を要する物件(相続不動産)も多数に上り、墓地の扱いなど様々な論点が存する(放置されたまま、現在に至った)案件」の依頼を3年前に受任し、幾つかの論点に目処を付けつつ、現在も、多くの関係者と協議しながら残余の論点の解決のため対処に追われています。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、ますます増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方、遺言執行者などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政関係では、昨年までお伝えしていたサケ刺網訴訟は無事に当方(岩手県)の勝訴で終了しました。現在は、県内のある自治体の顧問をさせていただいており、庁内で問題となった様々なご相談や訴訟事件に対応するなどしています。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、詐欺や傷害、業務妨害、道交法違反など昨年も幾つかの事件(少年審判を含む。大半は国選事件ですが私選の依頼はタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けています。

その他の業務としては、県民生活センターが主催する消費者向け相談や県内の社会福祉協議会が行う住民向け相談事業など幾つかの相談事業を担当したほか、東北厚生局の訟務専門員として、保険診療の不正受給などに関する解決のお手伝いをしました。

平成28年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚請求や関連紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、様々な立場の方から多数のご相談・ご依頼を受けています。被害者側の受任事案で、加害配偶者側が不貞を争ったものの、携帯電話の会話記録などを整理して不貞の事実を立証して賠償金が認められた例もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争離婚後に生じた子の引渡や親権の変更を巡る紛争など、親子の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い穏当な和解による解決に努めています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、遺産分割を巡って当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去の直前に親族に財産の一部を贈与する旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり長期化した事案)などを手がけています。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、相続財産管理人やそれらの一貫として遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行った事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、急速に増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが紛争やトラブル発生の防止のため望ましいことが多いと思われますので、遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め、早期の対策などをご留意・ご検討下さい。

離婚・親子・相続などの問題に関しては、昨年中は幾つかのセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を自治体側の代理人として受任しています。

詳細は差し控えますが、その分野に関する長年の政策的な積み重ねの当否などが争点とされている事案であり、担当の方から様々なお話を伺うと共に、行政訴訟に関する基本的な法律論(取消訴訟の主張立証のあり方や行政裁量の問題など)の検討も積み重ねており、大変しんどい裁判ですが、固有のルールが複雑に重なる行政訴訟を手がける上では、学ぶところの多い事件となっています。

他にも、区画整理に伴う損失補償の問題に関する事件を手がけたこともあります。

刑事弁護については新人弁護士の増加により受任件数は多くありませんが、被疑者段階を含め、窃盗や覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

また、私選での少年審判の受任もあり、事件の背景や今後のあり方など少年の更生環境を検討したりご家族とお話しする機会がありました。

その他の業務としては、昨年に引き続き被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。数年に亘り大船渡の法テラス気仙など沿岸での相談を担当してきましたが3月に担当を外れ、本年は内陸部での相談が主となります。

「相続(争族)対策セミナー」のご案内と、幻の「オボマロ」漫談シナリオ

本年1月に、明治安田生命さんのご依頼で相続対策に関するセミナーを県内3ヶ所で実施したのですが、3月にも同様のセミナーを行って欲しいとのお話があり、また、担当させていただくことになりました。

今回は3月25日の盛岡会場を皮切りに、北上・水沢(奥州)・久慈・一関の計5ヶ所で実施するとのことで、3月の最終週は、ひたすらセミナーという感じになりそうです。

関心のある方は、ご来場いただいただり、ニーズがあると思われるご親族・知人の方などににお声掛けいただければ幸いです。日時や会場などは添付の文書をご確認いただき、明治安田生命のご担当の方にご連絡下さるようお願いいたします。
明治安田生命 H28.2-3月セミナー日程

1月の際は、2回目の会場で相続に関する基本的な用語とルールの説明を中心に行ったところ前回よりも評判がよかったので、今回もこの方法で行おうと思っています。

ただ、なるべくなら様々な事柄を横断的に取り上げたいとの気持ちもあり、今回もレジュメ全体では30頁という大作(しかも各種文例つき)で、これをもとに一般向けの本の一冊でも出版できそうなくらいのものになっています。ですので、このレジュメを貰ってご覧になるだけでも意味があるのではと思っています。

ところで、1月のセミナーを告知した際は「綾小路きみまろに扮して漫談調にできればいいのに」と書いたのですが、結局、最初に軽妙なトークを試みても全く笑いが取れなかったこともあって、3回のうち1度もこの話を持ち出すことができず、毎回、内心トホホと思いながら解説をしていました。

たぶん、今回も漫談云々は無理でしょうが、せめてブログの中だけでもこんな感じで話ができればと、CM風に書いてみました。が、やっぱり「帰れ!」と言われてしまいそうです(きみまろ氏の真似事ですので毒舌漫談調になっていますが、他意はありませんのでご容赦下さい)。

あれから40年 おもちゃ売り場で泣き喚いた子を引っ張るあの手は
病院から早く自宅に連れ帰ってくれと 指を広げ腕を伸ばしてねだってる

あれから40年 おもちゃを取り合った小さな子供たちは
貴方の身柄を確保して遺言や財産もらおうと 親の右手左手 引っ張ってる

痛いと言ったら先に手を離した弟は 
昔おばあちゃんと一緒に見てましたね TBSの大岡越前

あれから40年 東京で暮らす子供達からの電話は
オレオレ詐欺にオレの金を取られてないかと そればかり

いやいや 「オレの金」じゃない! 
今はまだとか 3年待てとか そういう問題じゃないし!

そんなわけで ご自分の大事な資産を誰にどう遺すか
愛する家族に明るい未来を授けていくか 泥沼の抗争をくれてやるか

岩手の犬神佐兵衛さんも そうでない方も 
最後の花を咲かせるために ここが智恵の絞りどころ

そんな貴方に 相続セミナー おでってくんなせ かだってなは~ん

【テーマないし項立て】

第1 相続に関する「基本のき」と幾つかの「専門用語」     2頁
第2 相続に直面する前に考えておくべきこと~状況の整理など~ 5頁
第3 どのような場合に「争族」になりやすいのか                   7頁
第4  「争族」対策と、節税・納税策(生命保険)との関係       10頁
第5  典型例での個々の財産の一般的な取扱い~遺言のない事案~   13頁
第6 生前の準備~遺言を中心に~                                   19頁
第7 その他、相続の際に問題になりやすい幾つかの事柄と対処     25頁
第8 弁護士の上手な活用法と無料相談、留意点、参考文献など      26頁

相続からはじめる「家族の物語」と遠野ICの残念な動線

先日は、以前のブログで告知した「相続対策セミナー」の1回目(大船渡会場)でした。事前に明治安田生命さんに問い合わせても参加予定人数を教えていただけなかったので、全然集まらなかったらどうしようとビクビクしていたのですが、数十名もの方にご参加いただき、大変ありがとうございました。

以前に記載した「きみまろネタ」を繰り出すかギリギリまで悩んだのですが、冒頭に少し軽口めいたことを述べても全く笑いが起きる気配がなく、やはり自分には笑いを取るセンスは無いのだろうと諦めました。

予想どおり後半はかなり端折ってしまい、冒頭で「早口で話さないように頑張ります」と述べていたのに全く達成できませんでしたが、レジュメで取り上げた項目そのものは、概ねすべてお伝えすることができました。

相続は、ご家庭の事情で対象となる論点が全く異なることから、敢えて各論よりも総論(相続で問題となる場面の整理や考え方の要諦)を強調し、それぞれのご家族・一族が、どのような物語を紡いできたのか、それは、特定の人(長男など)に承継されていくべきものか、むしろ解体・清算されるべきものか、そうしたコンセプトは全員に共有されているのか、といったことを考えていただきたいとお伝えしました。

アンケートによれば、ご高齢の参加者から基本用語の説明など基礎的な話をじっくり聞きたいとの要望が強かったとのことで、次回はそうした声に配慮した構成で考えていますが、技術的なこと以上に本セミナーが「家族・一族の物語」を改めて考えるきっかけになればと思っています。

そんなわけで、19日の水沢や28日の盛岡も奮ってご参加いただければ幸いです。

ところで、往路はいつもの法テラス気仙と同様、宮守IC→小友町から峠道を下るルートで行きましたが、帰路はせっかく開通したばかりの遠野IC・宮守IC間を通ってみたいということで、住田町の国道の分岐路から滝観洞・仙人峠道路方面に進み、遠野バイパスから遠野ICに入りました。

遠野の街は1年ぶりくらいで、道路工事中に通過したときから違和感を感じていたのですが、遠野ICの出入口(国道との連絡路)は、遠野の道の駅(風の丘)の近くにあるものの市街地寄りにあり、市街地方面からの車両からすれば、「市街地→遠野IC入口→風の丘」という順序になっています。IC・風の丘間も隣接しているわけでなく、少し離れた位置になっています。

そのため、「高速に入る前に道の駅に寄って買い物等をしたい」という人は、IC入口を通過し、しばらく走行して風の丘に行き、再びICに戻ってこなければならないので、煩わしいという感覚が避けて通れません。

かくいう私も朝食なし昼飯抜き(車内サンドのみ)でセミナーをした後でもあり、風の丘で小腹を満たしてICに乗り込むつもりだったのですが、土壇場で行く気が失せ、空腹のまま高速で一気に盛岡に帰りました。

もとより、遠野市民(遠野IC利用者)の大半はICの西側(風の丘・宮守方面)ではなく東側(市街地)に居住しているので、今後、ICの利用時に風の丘に寄る人は非常に少なくなってしまうのでは(結果、これまで県内では道の駅の最優等生とも謳われた風の丘の営業成績にも大きく響いてしまうのでは?)との印象を強く抱かざるを得ませんでした。

もし、遠野ICの入口となる連絡道路(猿ヶ石川に架かる橋)を、風の丘の敷地脇に作ってさえいれば、このような展開にはならないのでは(それこそ、東名高速の富士川楽座SAのように、事実上、SAと道の駅の双方を兼ねる施設として大いに発展したのではないか)と強く感じました。
http://www.fujikawarakuza.co.jp/

地図によれば風の丘の対岸には人家や工場があるようですので、そうした点が原因なのかもしれませんが、遠野ICや連絡道路の位置選定について関係者でどのような議論が交わされたのかご存知の方がおられれば、ぜひご教示いただければと思っています。

今日(17日)も法テラス気仙の日曜相談の担当日となり大船渡に来ましたが、昼は「ラーメンパスポート」を利用したいと思って、市内にあるパチンコ店の建物内にあるラーメン店に行きました。

日曜なのに、パチンコ店の広い駐車場はほぼ満車状態といってよいほど埋まっており、食堂でも、いかにもという感じの寂しそうな眼差しの中高年男性を多く見かけました。

すでに5年近くを過ぎ、被災直後に陰口?のように言われた「義援金で云々」ということもないのでしょうが(建設・土木などの従事者で復興特需による給与を原資にという人ならいそうな気もしますが)、「日曜最大の繁盛店がパチンコ店」というのは、被災地に限らず高齢化等が進む過疎地一般にあてはまることなのかもしれません。

今日は末崎半島の方まで運転してきましたが、そうした光景も視野に入れると、「地域最大級の集合住宅」という様相を呈する災害公営住宅であれ防潮堤の巨壁群であれ、各種の大型の土木・建築工事が進んでいる沿岸一帯の風景についても、人々の精神的なつながりが薄れたり損なわれたりしている姿に光があてられないまま、ハコモノやカネばかりが投入されているような感じがしないこともなく、複雑な心境を禁じ得ない面はあります。

相続対策セミナーで「中高年のアイドル」を目指す弁護士?

明治安田生命さんのご依頼で、1月中~下旬に県内3箇所(盛岡、水沢、大船渡)にて「相続(争族)対策セミナー」を実施させていただくことになりました。

ここ最近、相続対策(納税や他の相続人への代償金の原資づくり)として、生命保険の活用が注目されており、そのような観点から、「保険が必要となる前提場面としての争族紛争などを知っていただく」という見地から、地元の町弁の私に白羽の矢を立てていただいたようです。

同社にあまり商売っ気がないのか大して期待されていないのか?ネット上では広告なさっていないようなので(営業の方々にお任せしているそうです)、テコ入れも兼ねて?今更ながら、末尾で予定などを告知することにしました。関心のある方は、同社盛岡支社をはじめ開催場所の営業所までお問い合せいただければ幸いです。

恥ずかしながら、私は大勢の方の前で話をするのは苦手なので、毎度ながらレジュメの棒読みのような講義になるかもしれませんが、奮ってご参加いただければ幸いです。

ところで、テーマの性質上、主に中高年の方がおいでになると思いますが、妻と会ったばかりの頃に「綾小路きみまろに似ている」と執拗に言われたことがあります。

そこで、いっそ、それをネタにして「オボマロ」などと称して仮装し「あれから40年、あの頃はあんなに小さかった我が子の手は、今や、相続はまだかまだかと崖の端まで伸びてきて・・」とか、「東京で暮らす子供からの電話は、オレオレに金を取られてないかという話ばかり」などと漫談してみたい誘惑に駆られないこともありません。

ただ、笑いを取るだけの力量はありませんし、講義では、過去に扱った紛争なども例に出して(もちろん守秘義務の範囲内で)、それなりに生々しい話もお伝えするかもしれませんので、ただでさえ似合わない毒舌トークなんぞ試みても、参加者の方に「帰れ!」と言われてしまいそうです。

それはさておき、こうした機会を生かして、レジュメを持ち帰るだけでなく、有益な話が記憶に残るよう、関心をもってテーマを拝聴いただけるような話芸を磨くことができればと思っています。

また、レジュメがA4版で25頁以上という「大作」になってしまったので、後日に今後の宣伝を兼ねて、項立ての中身についても少し投稿したいと思っています(自分で言うのも何ですが、このレジュメを貰いにいらっしゃるだけでも意義があるかもしれません)。

そのまま肉付けすれば、ちょっとした書籍が出来上がりそうなので、出版企画を持ちかけて下さる方がおられば大歓迎なのですが、泡と消える淡い期待で終わってしまいそうです(笑)。

【テーマないし項立て(予定)】

① 相続に直面するにあたって考えておくべきこと
② どのような場合に「争族」になりやすいのか
③  「争族」対策と、節税・納税策(生命保険)との関係
④  紛糾しやすい典型例と、個々の財産に関する一般的な取扱い
⑤ 生前の準備~遺言を中心に~
⑥ 相続の際に問題になりやすい幾つかの事柄と対処
⑦ 弁護士の上手な活用法

【日時・場所】

1月14日 13時半~15時 大船渡
1月19日 10時半~12時 水沢
1月28日 10時半~12時 盛岡