北奥法律事務所

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中選挙区制

まぼろしの高市内閣案と議員数削減等を巡る解決策

歴代有数の高支持率で船出した高市内閣ですが、次のような方々を抜擢して大混乱というかカオスな展開になったらどうしよう・・と怖いもの見たさの期待?混じりで発足を待っていました。

女性少子化担当大臣 杉田水脈(民間)
文部科学大臣    百田尚樹(日本保守党)
沖縄北方担当大臣  西田昌司(旧安倍派)
外務大臣      石  平(日本維新の会)

・・が、そうした極右というか関係各所に喧嘩売りまくりの人事がなされることはなく、石破政権の路線否定のメッセージ(農相とか)が強く打ち出された以外、発表された布陣は直ちに物議を醸す気配は乏しそうな感じで、野次馬的には少し残念な気もします。

まあ、ホンモノの大臣さん達には、諸々のろくでなし利権の類としっかり喧嘩していただければとは思いますが。

あと、中国と喧嘩する石平氏も悪くないですが、ありし日の石原慎太郎氏のような、反米丸出しでトランプ大統領や取り巻き達と取っ組み合いの喧嘩をしてくれそうな政治家って、今、ちょっと思いつかないですよね。そうした人こそ右翼のはず?の高市政権には必要だと思うのですが。

発足直後の「蜜月アピール」の光景や高市氏のウリである「毅然とした対応」が(米国ではなく)中国に向けられていることからは、対米自立といった「本当の右翼らしい姿勢」が示されることはないのかもしれません。

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ところで、維新連立の影響で突如、議員数削減が話題の中心に躍り出ましたが、どんどん議員数が減っている地方の立場からは、定数を減らすよりも(減ってばかりの俺達の所得のように)議員報酬を減らしてくれ、という話が出たりしないのですかね。

少なくとも目的とされている「身を切る改革」の掛け声からは、議員全員の手取りを減らす方が理に適うはずで、議員数だけの削減では「どうしたって当選できる俺達(カースト上位)はそのままで、当選困難な議員(カースト下位)だけ切り捨てればいい」と言っているように見えてしまいますし。

働いているのかどうかよく分からない議員さんも多いのではという庶民感覚からは、例えば、政府側に限らず国会のナントカ委員などに就任して実働をバリバリ担う人には相応の手当を支払う代わりに、そうした仕事をしない「ただの議員」の人は相応の報酬に止める(新幹線も普通席のみ。グリーン車希望なら差額は自腹でどうぞ)といった感じにしても良いのではと思わないでもありません。

これを気に中選挙区復活論(総数削減後は岩手なら全県選挙区で定員2名でしょうか。比例復活が実質1~2名なら、結構ドキドキの選挙になりますよね)も出てきそうな気がしますが、定数不均衡の問題は残り続けるのではと思います。

個人的には、以前に投稿した「国会議員数を劇的に減らしつつ定数不均衡問題も解決する間接選挙制」に、誰か注目いただければ有り難いのですが(笑)。

 

国会を少数精鋭の府に~歳出削減と定数不均衡の一挙解決策としての間接選挙制~

国会も地方議会も、議員数が多すぎるとか、国会議員の報酬などが(労働ないし人物の質に比して)高すぎるなどという議論がある一方、小選挙区制では一人一票の原則(投票価値の平等)を守るには、相応の議員数が必要だと言われています。

その是正策として、近時は中選挙区の復活論も耳にしますが、もっと抜本的な解決策を考えてもよいのではと思います。

例えば、盛岡選挙区では10人前後の選挙人を有権者が選び、当選した選挙人達(全国で2000人程度の規模)の互選で数十人~100人以内程度の議員を選ぶという方法(間接選挙型の国会議員選挙)はどうでしょう。

選挙人は基本的に議員の選出を行うだけの仕事とし、さほどの負担がないことから実費等を除けば原則として無給とします。

国会で討議を行うのは「議員」のみですので、「選挙人」のため新たに施設を作る必要もありません(投票=議員選挙はしかるべき場所で実施すれば足りるでしょう)。

これなら、①選挙人なら若者など就労中の者も立候補が容易、②選挙人を全国で2000人規模とすれば人口比で調整可能なので、定数(人口比)問題も一挙解決、③有給の議員数を大幅に減らすので、税負担も減り、人材の少数精鋭化にも資する、と考えます。

また、選挙人に選ばれる国会議員は、現在の金額に匹敵する相応の報酬を支払う代わりに原則として議員活動に専念させる(兼業禁止・許可制)ことで良いと思います。

現行制度は、大物歌手のような特別な経歴・知名度を有する若者しか立候補できないとか、逆に国民代表として相応しいと思えない残念な行状が露見している方でも有力政党の所属であるというだけで選出されてしまうバランスの悪さが否めません。

国民全体から「誰を代表にすべきか」の判断のみを託された2000人?程度の選挙人が、各人の見識や所属政党などに応じて国会議員を選ぶなら、知名度が極端に有利になることなく、能力や識見などを備えた御仁が選出される可能性は高まるように思われます。

また、選挙人は、選ぶだけでなく、個々の議員の解任権も持つ(その議員に投票した面々が過半数での解任権を有する)ものとすれば、国民の多くが望むであろう、任期中に重大な不祥事等を行った議員へのリコール制度を、間接選挙人の投票による議員の交代という形で、さほど高額な費用をかけずに実現できるでしょうし、国会議員側はもちろん選挙人自身も緊張感をもって仕事ができそうな気がします。

このような制度をとる以上、選挙人による議員選抜(間接選挙)は、秘密投票ではなく国民全員に投票行動が判明する公開(顕名)投票とします。

選挙人が選ぶ国会議員(専業議員)の出身地域は必ずしも人口比にこだわらなくとも良く、都市と地方・東西のバランスを確保すべきとの原則を定めた上で、基本的には選挙人の判断に委ねて良いと考えます。

人口比に応じて選ばれる選挙人が各人の判断で国会議員を選ぶ以上、「代表者の選出に関する国民一人一人の投票価値の平等」は担保されているとの認識に基づくものです。

このように考えれば、一人一票の原則を守りつつ国会議員の大幅減員による税金削減と質の確保の双方を実現できると思われるのですが、どうでしょう。

同様の試みは、国会だけでなく地方議会(県議会・市町村議会)でも行ってよいのではと考えます。例えば、間接選挙を前提に、専業議員は「地方自治のプロ」として辣腕を振るう力のある数人程度に大幅に絞り込み、その代わり、選任時に期待された実績が出せないと、選挙人の判断で相応の期間で任期終了・解任するなどの形で緊張感のある議会運営をさせてよいのではと思われます。

それこそ、地方自治法14条などを改正し、条例で独自の機関設計が一定程度できる制度ないし特区を設けてもよいのではないでしょうか。

現行法制度を詳細に検討した上で述べているわけではありませんが、案外、憲法改正をしなくとも公選法その他の改正で実現できそうな気もしますので、選挙制度の専門家などに試案として考えていただければと思っています。