北奥法律事務所

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盛岡のかたち

盛岡の外縁・中心にある「アラジンのランプとスライム」と街の将来像

盛岡の街を取り囲む道路を地図で見ると、アラジンのランプのような形状になる路線と、スライムのような形状になる路線があります。その中心に盛岡駅があり、敷地の南西に20年以上手つかずの広い空き地がありますが、東京の汐留のように何らかの大規模開発をしても良いのではと残念に感じています。

この話題に関心を持っていただける方は、長文にはなりますが、以下の内容をご覧いただければ幸いです。

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盛岡駅の南西には、JRの用地と思しき広大な空き地(線路跡地)があります。東京なら汐留のようなもので、駅に直結する大規模開発が可能でしょうし、この場所は見方によっては現在の盛岡のど真ん中にあると言えなくもないので、長年放置されているのは勿体ないと思います。

それこそ、今年に移転候補地が決まるのであろう市役所と共に桜山エリアの飲食店なども一緒に引っ越して、官民複合施設を作っても良いのでは?などと思わないでもありません。

以下、現在の盛岡にとって街の中心はどこかについて考えたことを交えて、この空き地のことを述べます。

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まず、グーグルマップで盛岡の地図を見ると、末尾に引用した図のとおり中心部に2つの環状線らしきものがあり、いずれもユニークな形状をしていることに気付くはずです。

一つ目(外側)は、4号線と46号線の分岐(高松交差点)を起点に4号線(盛岡バイパス)を時計回りに南下し、南大橋を越えた直後に盛岡西バイパスに接続する道路に分岐し、西バイパスを西進・北上して西大橋を渡った後、盛岡イオン交差点を右折し46号線沿いに高松交差点まで戻る、というルートであり、これを結ぶと、アラジンのランプのような形状となります。

もう一つ(内側)は、夕顔瀬橋の北側(梨木町)の交差点を起点に、中央通→内丸→中ノ橋通→南大通→明治橋→中央公園→アイスアリーナ→太田橋→夕顔瀬橋というルートで、これを結ぶと、右=東側の形がやや崩れているものの、ドラゴンクエストのスライムによく似た形になります。

ちなみに、市役所前から明治橋を一直線に結ぶ道路を作ると、均整のとれたスライムの形になります。

外側線はすべて片側二車線道路で形成された環状線と形容するに相応しい道路で、東京で言えば環状七号線に匹敵するように感じます。

内側線もバスセンター交差点から明治橋までを除いた大半の道路が片側二車線となっており、東側はほぼ全域が現在の盛岡の中心部を貫いているので、東京で言えば明治通りに似ています。

明治通りは、西側が渋谷・新宿など東京の主要部を貫く一方、東側は台東区や墨田区などマイナーなエリアを通るので、東西が逆ですが、その点でも明治通りに通じる面があります。

そして、この二つの環状線のど真ん中に盛岡駅があり、盛岡駅前通から盛南大橋→西バイパスへ向かう道路が、真ん中で東西を分割していると言えます。

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ただ、大半の盛岡市民の感覚として、盛岡駅が街の中心とは考えておらず、盛岡城・市役所・中ノ橋エリア(藩政以来の街区)こそが中心で、駅は街の西端、その先(西側)は郊外だ(街の東端は八幡宮や四号線)というのが、長年の一般的な理解だと思います。

が、果たして、今もそうだと言えるか。

車社会の定着の影響もあるでしょうが、市民ないし盛岡広域圏民の多くが、従来の中心部(大通~肴町)以上に前潟・盛南をはじめ郊外の様々な商業施設を日常的に利用しており、中心部は、分散する商圏の一つに過ぎないと感じる市民も珍しくないように思われます。

また、内丸・中ノ橋エリアを中心と捉えると、北が高松交差点、南が明治橋、東が4号線で西が盛岡駅というのが「昔からの盛岡中心部」となりますが、この同心円だと東側が岩山山麓で終了し(岩山以東は街どころか住宅街すらありません)、この同心円の西側(北西・南西)に過去数十年間に形成された広大な開発地を擁していることに照らしても、街の捉え方として、歪さが否めません。

このように地理的(地政学的?)に見れば、分散開発された各エリアとほとんど等距離で繋がっている盛岡駅周辺が、現時点では「まちの中心」と位置づける方が適切ではとも思われます。とりわけ、点在する新興開発エリアに住んでいる方々にとっては、内丸地区よりも、自分達のまちの中心という気持ちを持ちやすいと思います。

ただ、現時点で官公庁をはじめ様々な機能が内丸周辺に集約され、民需の点でも、繁華街や高級飲食店などは大通・菜園や中ノ橋・八幡エリアに集中していますし、人々の意識としても、今も中心はこのエリアでしょ、と感じる方が大半だと思われます。

よって、まちの中心が変わる(取って代わる)のではなく、伝統的な中心地区の役割を大切にしつつ、駅前周辺を地域全体の運営や再開発の要として機能強化を図るといった、二拠点的な考え方(旧市街と新市街、或いは伝統地区と新興地区)が望ましいのでしょう。

それこそ、パリの旧市街と新市街のように、伝統地区は高さ規制や既存建物保護を徹底して従来建物の景観や歴史的文化を保護し、高度開発は駅前などの新興地区で引き受ける、という役割分担もできるはずですし。

まあ、このような話は、恐らくマリオス・アイーナが企図された20年以上前から検討され、様々な理由で頓挫し、現在の「駅西の惨状」などと言われる状態に至ったのかもしれませんが。

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ともあれ、以上の観点、とりわけ二つの環状線の中心という点で見れば、冒頭に指摘した盛岡駅南西の広大な空き地は、開発適地として大きな潜在力を有するように思われ、これが20年以上、延々と放置されているのを残念に感じます。

この空き地は、すぐ南が雫石川・北上川・中津川が合流する河畔地帯なので、街の伸びしろ自体は大きくはないものの、相応の高層建築物を作れば、三川合流点の美しい景色を眺望でき、駅から至近にあることも含め、汐留や六本木ヒルズのような複合施設に向いているエリアなのではと感じます。

可能であれば、三川合流点エリアの景観等を整備したり、盛南大橋北端から清水町方面に北上川を横切る新たな橋を作れば、利便性も向上し渋滞回避にも資すると思いますし。

最近になって、敷地内(線路近く)に小規模な構築物の工事が始まったようで、近いうちに何かできるのかもしれませんが、このエリアの価値からは、圏域全体の新たな中核ないし求心力となりうる大規模施設を考えてよいのではと思われ、構想だけでも何か話をぶちあげる人がいればと残念に思います。

今年の市長選や市議選でも、そうした点も話題にして盛り上げてくれる候補者がいればと願うときもありますが、高望みなのでしょうか?