北奥法律事務所

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2020年

献帝に捧げる愛と哀の詩~三国志Secret of Three Kingdoms の感想と主題歌の真の翻訳?~

皆さんにも中学の頃、クラスに1人か2人くらいは、横山光輝氏のマンガや光栄のゲーム或いはその他の作品を通じて、三国志の群雄・武将に無駄に詳しい奴がいたという記憶があると思います。

私もその典型で、原点は物心つく前後に見たNHKの人形劇三国志ですが、中学から高校にかけて、当時、一般向けに作られていた三国志の関連作品の大半(各所が色々と熱くなる本宮作品も、忘れてはいけません)を読み漁ったほか、結婚してようやく光栄ゲーム廃人から完全卒業できた、という有様でした。

ところで、ご存知の方もおられるかとは思いますが、昨年11月から年明けにかけて、BS12チャンネルで、中国で制作された三国志のドラマ(全54話)が放送されていました。
https://www.twellv.co.jp/program/china/sangokushi-sotk/
https://bd-dvd.sonypictures.jp/sangokushi/ 

現在も、6月1日から同様のペースで放送されているようですので、知らなかった・見たかったという方は、今からでもご覧になってよいと思います。

私は普段はドラマはほぼ全く見ないのですが(例外は大河。中韓ドラマは全く見たことがありません)、なぜか、11月上旬のある日、たまたまTVの番組表をチラチラ見ていたところ(その作業も普段は数週間に1度しかやりません)、ちょうど、そのドラマの第1話が放送されており、主人公が、崩御直後の献帝の前に現れたシーンが映されていました。

それで、こんなドラマがあったのかと驚き、三国志バカのはしくれとして、見ないわけにはいかないだろうと思い、第2話から録画し、現在も深夜に少しずつ、一人さみしく拝見しています。現在、ようやく官渡の戦いが終わり、ついに登場した彼と主人公との対峙が始まったところです。

三国志バカの皆さんはご存知のとおり、横山三国志は曹操と袁紹の戦いはほぼ描かず飛ばしており、また、前半は劉備陣営の描写が中心で曹操陣営の参謀スタッフを丁寧に描いてくれませんので、荀彧・郭嘉などがきちんとした形で登場しません(本物とは違うだろうという名無しの参謀が出てきますが)。

本作は、荀彧・郭嘉をはじめこの時期の曹軍・袁軍や漢朝の関係者を多数のマイナーなキャラも含めて丁寧に示し、「もう一人の献帝が平和のため司馬懿と共に大活躍する」という架空?の物語を基盤としつつ、正史・演義に描かれた多くの関係者の人物像も裏切ることなく、文官勢は光栄三国志の絵柄と比べても違和感が無い役者さんが起用されるなど、三国志バカの皆さんにとっては泣きたくなるほど嬉しい作品と言えます。

また、光栄ゲーム廃人の皆さんなら、司馬懿は知力98、郭嘉は97というのが常識かと思いますが、まだ若い司馬懿がギリギリのところで全盛期の郭嘉を出し抜く(追及を免れる)ように描かれている光景が、この数値にピタリとはまって、その点でも泣きそうになります(彼らに劣る若き日の楊修は、武闘派の面々を手玉に取りつつ、彼らにだけは手玉に取られる役回りです)。

ちなみに、光栄三国志や横山三国志のビジュアルの元ネタは、数十年前(戦前?)に中国で刊行され、陳舜臣氏が翻訳を担当した「劇画三国志」であることは間違いないだろうと思っており(私は中学2年生の頃に二戸市立図書館に通って全巻読了しました)、そのことが、三国志の登場人物像で日中間にさして齟齬がないことの根底にあるのではと考えます。

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というわけで、三国志バカの日本人にとっては拝見必須の作品なのですが、一つだけ、不満を感じる点があります。

本作の最後に流れる「少年志」という主題歌は、十分聴き応えのある曲なのですが、字幕で出てくる「日本語の歌詞」が文章としてまとまりがなく何を言いたいのかよく分からない上、あまり胸に響く内容ではなく、最初の頃はすっとばしていました。

が、主題歌に限っては中国語も字幕表示されるので、何度か見ているうちに、この翻訳は不正確では、また、本物=中国語の歌詞は本作品の主題に即した重く悲しい意味を含んでいるのでは?と思うようになりました。

例えば、歌の中盤で「唯有餘年祭天下事 悲歌 唱山河」とあり、歌手の声量も大きく、歌のメインと言って良い場所の一つです。

この歌詞、字幕では「余生は乱世から離れ 悲しき歌が響き渡る」と表示されています。が、これでは、前段は老人が余生を安らかに暮らしたいと述べているのかな、という印象は受けますが、後段は悲しい歌が云々ということで、両者のつながりがやや悪く、全体的に何を言いたいのかよく分からないように感じます。

その上で中国語を見ると「祭天下事」とあり、直訳すれば「余生はただ天下のことだけを祭りたい」ですが、この「祭」とは、日本のお祭り(現在の姿)と異なり、祭祀=亡くなった人を弔うことを指すはずです。

で、その上で作品を思い返すと、主人公は、崩御を公表できず、あるべき葬儀・埋葬などが全くできなかった献帝をきちんと弔いたい、ということを繰り返しヒロインに述べています。

中国人(とりわけ当時)が祭祀を非常に重視する文化であることも相俟って、その点は、本作ではストーリーの核となる重要な動線となっています。

よって、「唯有餘年祭天下事」とは、余生=曹操との対決を終えた後は、献帝を祭りたいという主人公の心情を表現したものでは?と読み取ることができます。

そのように考えれば、「悲歌 唱山河」も、主人公にとっての大切な人はもちろんのこと漢朝ないし世の混乱のため非業の最期を遂げた多くの人々の悲しみを歌いたい、という意味に理解できるはずです。

私はまだ最後まで本作を拝見していませんが、史実と真正面から反しないストーリーになるのであれば、終盤に深刻な悲劇が主人公を襲うはずで、この歌が主人公の晩年の心情を描いたのであれば、「祭=弔い」の対象は献帝だけに止まらないのかもしれません。

仮に、それと多少違う展開を辿ったとしても、この歌を、若くして才能を嘱望され漢朝復興の強い願いを抱きながら、繰り返し悲劇や辛酸に見舞われ失意のうちに世を去ったのかもしれない、本物の献帝の鎮魂歌と理解することもできるのではないかと思います。

また、主題歌は最後に「風落 帰人間」と歌って終わり、この「帰人間」とは、直訳すれば「人間に戻る」となるようですが、中華皇帝とは人ではない(龍の化身たる黄帝の承継者=それが皇帝の権威の源泉である)と理解されていますので、その点からも、この主題歌が献帝(主人公)のことを歌ったものであることが窺われると思われます。

この箇所は、日本語字幕では「人の世に生きる」と表示されており、善解すれば、ストレートな翻訳をするとストーリー(史実)を知らない日本人視聴者にネタバレになるので、ぼかした翻訳をしたのかな、と感じる面はあります。

というわけで、本物の歌詞(中国語歌詞)には以上に述べたテーマが潜んでいるのに日本語訳詞がそれを適切に伝えているように見えないことが、私が本作に不満を感じた唯一といってよい点ということになります。

で、ここからが三国志バカの暴走となりますが、上記のテーマに適った翻訳が日本人に伝わるのでなければ、本作ないし献帝が浮かばれないのではないか、と感じたので、私なりに以下でオリジナルの訳詞を載せることにしました。

ただ、私は中国語は勉強したことがなく、最低限の漢字しか分かりませんので(21年前、長江三峡や武漢などで辞書を片手に筆談したことはありますが・・)、Webの翻訳サイトのお力で少しだけ悪戦苦闘し、あとは意訳超訳の塊という感じです。

本作を実際にご覧になった(これから見てみたい)方はもちろん、三国志に関心のある方は何かの参考にしていただければ幸いです。

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(中国語の原文)

煮酒的火 還尚溫

多情 空餘恨 
夜話的燈 還撩人
長夢 遇遊魂

欲蓋彌彰 他鄉月光
荒涼 某個 眼眶
現世彷徨 陣陣風涼
沉淪了 多少個 星霜

少年之志欲留青史
亂世百年剩無名氏
唯有餘年祭天下事
悲歌 唱山河

少年之志不渝終始
亂世百年皆如赤子
但使餘年了清平願
風落 歸人間

***************

(オリジナル訳詞)

燗酒の火は まだ温かく
悔恨の情は 今も空しく

微かな灯火が 私をいざない
黄泉のあなたに 夢でまみえる

されど、異郷の月光は 私を現実に戻し
眼前の荒涼を 否応なく見せつける

今はもう この心は 風の中を彷徨うだけ
大切な時間は 遠く過ぎ去ってしまったから

私は歴史に名を残そうと欲したけれど
乱世の果てに 名も無き者として生き残った

ゆえに、残された時間は
世のために散ったあなたを弔い
悲しい物語を 山河に歌い継ぐのだ

私の志は逆境に負けはしなかったけれど

乱世では誰もが 赤子のように無力だった

ゆえに、残された時間は
ただ世の安寧のみを願う

そして、役割を終えた私は
ただの人として、閑かに生涯を終えるのだ

***************

絶対的な権威を持ちながらも、何の権力も実力組織も持たず、天下の平和と万民の安寧のため僅かな同志と共に知恵と勇気を尽くし、時には苦渋の決断も受け入れる献帝(主人公)の姿は、現代日本人にとって、ある人物ないし存在に非常に近接して見えることは、少なからぬ方が感じたのではと思われます。

それは、中国人のほとんどにとって馴染みがなく(或いは、何らかの誤解をしていて)、逆に、日本人なら、ある意味、とても身近に感じる存在です。

どうして、日本には、その方がいて、中国にはいないのか。

どうして、日本人はその方(の一族)の物語を描くことがないのに、中国はこのような物語を描いたのか。

今度は、そのことについて、考えたことを少し書きたいと思っています。

テイクアウト支援の彼方に消えた「使い捨てプラスチック問題」のいま

新型ウイルス禍の影響で居酒屋支援も兼ねてテイクアウトが推奨され、4月から5月にかけての私のFB画面も、優雅なお友達(from妖怪ウォッチ)の皆さんの高級グルメ投稿がめっきり姿を消し、テイクアウト弁当の投稿が花盛りという印象になっています。

それ自体を批判するつもりは毛頭ないのですが、こう見えて、6月まで日弁連公害環境保全委員会の廃棄物部会長をつとめており、「プラごみの河川・海洋流出などによる環境汚染と生態系や人類への脅威に立ち向かうため、使い捨てプラ容器の使用を削減すべき」という運動にほんの少しだけ関わっていましたので、様々な美名のもと使い捨てプラ容器の使用が推奨され、やがては大量廃棄・焼却=温暖化や廃棄ルートの不整備による河川流出などに繋がるであろう光景に、どうしても抵抗感を抱かざるを得ない面があります。

また、つい最近まで「SDGSバンザ~イ、わたし環境意識高い系です!」的な花火を打ち上げていた方々が、その点で影響力のある提言、活動をしているなどというニュースが伝わってこないのも、残念に感じます(日弁連がその最たるものかもしれませんが・・)。

で、弁当だって、昔は(今だって都内で有名な玉子屋さんのように)弁当業者が用意した容器を繰り返し利用するものが当たり前だったのですから、その時代に戻すことはできないのかと残念に思います。

もちろん、飲食店側にしてみれば、やむを得ざる事情から臨時にテイクアウト弁当を手がけただけで、自前でリターナブルの(繰り返し利用できる)弁当容器を用意する=その経費を投入するのは無理があるでしょう。

そこで、例えば、商店街や複数の居酒屋店舗が連携するなどして統一の弁当箱を作り、弁当箱はデポジット制(容器代として容量などに応じ数百円とし、店舗又は元締め的な団体に返却すれば箱代が戻る。希望者は返却せず使用してもOK)とするような取組があればと思っています。

繰り返し利用したい人は、夕方(帰宅時)などに、次に発注予定のお店に弁当箱を預けて代金を払い、洗って貰った上で明日にその店の弁当を取りに行く、などのやり方ができそうに思いますし。

弁当箱はなるべくプラ以外の材料(大館曲げわっぱのような?)で軽量化を目指すべきですが、重さがあって自分で取りに行けないものはタクシー配達に限らず様々な工夫をして少額での配達を目指していただければと思います。

弁当箱の初期費用は最初は補助金などに依存せざるを得ないかもしれませんが、SDGSに熱心なカッコイイ大企業やふるさと納税が大好きな全国の資産家の皆さんなどに支援をお願いするなど、あの手この手のやり方で回収を考えていただきたいです。

また、お店と客が顔の見える者同士であれば(言い換えれば、お店側がOKと認めた者だけに限定する形などで)自前の弁当箱を預けて、その中にお店の裁量で色々と詰め合わせてもらう、というやり方もあってよいと思います。

綺麗なものを預けることが前提なので相互信頼が不可欠ですが、昔から魚屋さんに立派な皿を預けると刺身を盛り付けて貰えるそうなので、信頼関係や工夫があれば、できないことはないはずですし。

なお、弁当箱のデポジットが現在の社会で存在しているのか調べたところ、大学生協などで利用されているとの記事を見ましたので、参考にしていただければと思います。

ともあれ、テイクアウト(持ち帰り飲食物)を推奨せざるを得ないとの前提が当面動かしにくいのであれば、なるべく使い捨てプラ容器に依存しない方法で飲食店支援の花を咲かせていただければ、弁当容器を捨てるのさえ勿体ないと感じるケチでビンボーな町弁も安心して利用でき、有り難いと思っています。

まあ、先日の解除宣言により、一気に従前に逆戻りという展開もあり得るのかもしれませんが・・

Web上の誹謗中傷に対処する制度の改善を巡る動きとIPアドレス開示等に関する4年半前の提言

現在、Web上の誹謗中傷が大きな問題となっている女子レスラーの方の件については番組等を拝見していないので詳細を存じませんが、そこまでの規模ではないものの、同種の問題については、数年に1度ほど、相談等を受けることがあります。

ただ、被害者から投稿者への責任追及となると、投稿者の特定のため最初に必要となるIPアドレスの把握(仮処分など)に時に容易ならざる面があることが災いしてか、未だにほとんど取扱経験がありません。

IPアドレス開示のための法的手続(仮処分)については、サイトによっては外国が絡んだりするなど色々とハードルや問題があり、現在も東京の限られた弁護士さんでないと対応が難しい面はあろうかと思います。

IPアドレスを通じて投稿者の契約先プロバイダさえ分かれば、その後の手続はフツーの町弁でも対応可能だと思っていますので、もし、今回の残念な事件を機に、制度の改善が図られるのであれば、この「入口」の件について、簡易迅速にサイト運営者側から開示を行うための法制度を講じていただきたいと思っています。

この点、5年近く前にツィッターのなりすまし被害の相談を受けた際、当該サイトは外国企業が運営している関係で法的措置に幾つかの難点があり、その克服のため次のような制度を導入してはどうかとブログで述べたことがあります

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①被害者が警察や弁護士などに適切な申告を行い、警察などがサイト運営者に開示するよう要請すれば、直ちに開示する仕組み・慣行を整備する

②他の方法として、被害者からサイト側にアドレス開示要請があれば、サイト側は特定の行政機関(消費者庁など)に投稿者のIPアドレスを直ちに通知するものとし、その上で、行政機関が被害者へのアドレス開示の是非を判断する(却下されれば、被害申告者は行政手続で開示を求める)。

サイト側が行政機関の要請に従わない(通知しない)ときは、行政機関はサイトの閉鎖命令ができる(ので、通知制度の実効性が担保される)。

*****

他方、投稿者の賠償責任についても、以前に投稿者側から相談を受けて色々と調べたことがありますが、判例検索で出てきたのは、かなり込み入った事情のある特殊性の強い案件が多く(そのため、高額になりがち)、この種の投稿の典型と思われる「ちょっとした私怨・不満を晴らしたくて、Web上で他者の悪口を書いた」とか「Web上で誹謗中傷が横行している人の件で便乗して自分も少しだけ悪口を書いてみた」というケースで、どの程度の金額が通常なのかという相場観が判然としないと感じました。

また、既述の理由から、現在の法的責任追及には高額な調査費用が避けて通れない面がありますが、その費用負担という問題もあります。

そのため、被害者側だけでなく、加害者側も落差が大きい(たまたま見つかった人だけが不相当に高額な賠償負担を負わせられやすい)面があるのではとも感じています。

不正投稿を行った人の全部又は大半に、社会通念上適切な法的責任を果たす仕組み(被害者が重い負担を負わなくとも加害者を特定しやすい仕組み)を整えると共に、それを前提に、実害が乏しく第三者から見れば軽率との非難で足りるようなケースでは加害者側の責任も過度に重くなりすぎないようにすること、また、早期・確実に責任が問われることの周知などを通じて肝心の抑止力を高めることが、求められているのではと思われます。

引用ブログは4年半前の投稿ですので、現在では通用しない(前提などが異なっている)記載もあるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

併せて、実名・匿名の区別のあり方(匿名投稿を誰もが自由に行うことができる現在の状況が良いのかどうか)、開示(ひいては賠償責任)を要する誹謗中傷と、そこまでの必要は認めがたい正当な批判や軽微な揶揄の類との線引きなどについても、議論が深められることを期待しています。

いない会いたいあの桜

今年のGWは可能であれば鳥海山・酒田方面に足を運んでみたかったのですが、ご承知の事情のため適わず、せめてものということで、約10年ぶりに、為内の一本桜を訪ねました。

で、遙か昔に失ったのかもしれない何かを偲んで一首

あのひとがいない 
いつかは会いたくて 
今年も咲いてまた独り散る

毎度ながら、午後出発の悲しさで、肝心の正面からの写真は逆光で見栄えがよくないのが残念です。裏側から撮影した写真はサイズオーバーで投稿できず、FBの方に掲載しています。

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企業倒産の実務と経営者保証ガイドライン(盛岡北RC卓話)

先日、盛岡北RCの卓話を担当したので、時勢も踏まえ、企業倒産の実務を取り上げることにしました。

金融機関以外にはほとんど負債のない事業者であれば、経営者保証ガイドラインにより破産よりも遙かに良好な解決を得やすいのですが、世間一般には知られていませんので、同GLに力点を置いた説明にしました。

卓話で用いた事例とレジュメの目次を掲載しますので、事業者の方などは参考にしていただければ幸いです。

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小問1 

岩手県内で物販業(一般向けの生活用品の販売等)を営むA社の代表取締役Bは、長年に亘りA社の営業不振が続き、日々の運転資金の支払も銀行借入や各種債務の延滞などをしなければ困難な状況に陥り、現状では営業の継続は不可能と考えた。A社は、銀行3社(岩銀、北銀、みずほ銀)に計1億円(岩5000万円、北3000万円、み2000万円)、取引先20社に未払買掛金計2000万円(最大500万円、最小10万円)、未払公租公課(税金、社保料など)4庁・計500万円の債務があり、賃金も2ヶ月分・従業員10名計400万円が未払となっている。

他方、現時点の資産は、手持ち現金が50万円、未収売掛金が10箇所計300万円、商品在庫などが多数(定価どおりに販売できれば1000万円以上だが、販売目処の立たない老朽在庫も多い)となっている。

Bは、銀行3社(1億)と取引先も4社ほど(800万円)、連帯保証している。

A及びBの債務問題を解決するため現実的に可能な法的手続は何か、法的手続の概要や、受任弁護士が特に検討・対応すべき課題などを説明しなさい。

小問2

岩手県内で飲食店を営むC社の代表取締役Dは、先般から社会で生じた問題により数ヶ月売上の急減が続き、手持ち資金に余裕があるうちに、経営継続を断念することとした。Cの債務は、金融機関2社に計5000万円(東銀3000万円、公庫2000万円。D保証付き)のほかは、20万円以下の小口の買掛が数件あるのみである。他方、Cの営業資産は限られたものしかないが、現在300万円の現預金がある。Dは預金300万円のほか、数年前から住宅ローン返済中の自宅があり、Dは近々転職し給与収入で住宅ローンの支払を続けたい希望である。

C及びDにとって最も賢明な「店じまい」を実現するための法的手段は何か。また、実現にあたって特に検討すべき点を説明しなさい。

【目次】

第1 様々な債務を抱えながら資金枯渇した企業の倒産処理
1 企業の債務整理・倒産処理に関する法的制度
2 個人の債務整理・倒産処理に関する法的制度(参考)
3 東日本大震災で被害を受けた企業等を対象とする特例的な救済手続
4 新型ウイルス禍に伴う支援制度の紹介例や弁護士会等の取組み等

第2 小問1 多額・多様な債務を負う一方、現預金が足りない企業の場合
1 A社の手続の選択と初動対応
2 破産手続(申立後)の一般的な流れ
3 Bの手続

第3 小問2 ほぼ金融機関の債務だけの小規模事業者が早期撤退する場合
1 C及びDの置かれた状況と方針選択
2 経営者保証GLスキームに基づく会社債務の整理(換価・弁済)
3 経営者保証GLスキームに基づく保証債務の整理

第4 結語
かつてのように「生命保険で支払う」などは絶対にしない・させない

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以上の内容について、ご自身(の所属団体など)で話を聞いてみたいという方がおられれば、ご遠慮なくお声がけください。

JCのための憲法学ともう一つの憲法改正論~H30.11講義の雑感

1年半も前の話で恐縮ですが、平成30年11月に、以前に投稿した「岩手のJCの方々(日本JC岩手ブロック協議会)向けに憲法についてお伝えする企画」があり、1時間弱ほど、岩手の現役JCの大物の皆さんに、私なりの考えをお話させていただきました。

以前にも書いたとおり、「いわゆる護憲でも改憲でもなく、ノンポリ無党派層の立場から、党派色のある方々とは全く異なるアプローチで、憲法及び憲法改正について私の考えをお伝えする」ことは、長年、自分がなすべきと思いながら実践できずにいましたので、ささやかながらも、ようやく宿題の一つを実現できたと、お声がけいただいたことに大変感謝しています。

ただ、JCIクリードと日本国憲法の類似性に関する話に時間と労力を使いすぎ、それ以外の話をあまりできなかった点は、悔やまれるところですが・・

こんな機会は二度と無いでしょうから、後日にレジュメを公表するつもりでしたが、諸事に追われ、1年半を経過した今も、まだ着手できていません。その代わりといっては何ですが、さしあたり、今回は当日の雑感を少々述べます。

①JCの卒業時にT君達から頂戴したネクタイを着用して行ったところ、運良く?T君をお見かけしたので、冒頭に「これ、T君にいただいたネクタイなんです。私、JCに入会したとき、『弁護士なのにしゃべりイマイチだね』と言われた輩なんで、本日も上手く話せないと思いますが、T君に免じてご容赦下さい」と軽妙なトークができればと思ったのですが、口下手なので、やっぱり言えませんでした・・

②久しぶりにお会いしたN理事長さんに「この人、こんなに美人だったっけ?」とびっくり。長年、盛岡JCに多大な尽力をされた方なので、しかるべき立場についたオーラの影響もあったのかもしれません。

昔々、東北ゼミナールに出向させていただいた際、東北地区の会長さんだった「秋田の女傑」と呼ばれた方が放っていたオーラに通じるものを感じました。

で、そのことも「ツカミ」で話そうかと一瞬思いましたが、純朴な岩手の田舎者には無理な注文でした・・

③こんな機会は二度とないと思い、クライマックスの場面で、昔から一度は言ってみたかった「皆さん岩手の人間は、何度も時の中央政府と戦い続けた蝦夷の末裔、戦闘民族なんです。○イヤ人みたいなもんですよ!」と興奮気味?に話しました。

が、ネタ的にぶっとび過ぎたのか、笑いはいただけず、ポカ~ンといった感じの反応でした。

ちなみに、コレも間違いなく「憲法の話」です。たぶん。

④盛岡JC次期理事長のIさんから(私がたった一人で提唱する憲法改正案である)「万物の尊厳について、もっと熱く語って欲しい」と大変有り難い言葉をいただきました。

で、本来であれば、持ちネタである「縄文と弥生の結節点としての岩手(が有する未来への役割)」について熱いトークをしたかったのですが、あがり症なので、「私、ケチで貧乏なので食事を残すのが食べ物に申し訳なくて、いつも盛岡北RCの例会でYさんと一緒に2~3人分食べてるんです」といったレベルの話しかできませんでした・・

ともあれ、JCの方々に、司法試験受験生が学ぶようなごくオーソドックスな憲法学、憲法観をベースとしてJC活動の意義やあり方をお伝えするのは、私にとって現役時代にやり残したことの一つでしたので、今回、参加いただいた皆さんに(一部、かなりぶっとんだ話だったにもかかわらず)好意的に対応していただいたことも含め、大変ありがたく思っているところです。

お声掛けいただいたB君をはじめ、日本JC東北地区岩手ブロック協議会の皆さんに御礼申し上げると共に、個人の尊厳と国民主権をはじめとする憲法の価値を実現するためのJCの地道な活動の更なる深化を、心より祈念する次第です。

ちなみに、曲がりなりにもOBですので講演料はありませんが(交通費のみ)、代わりに?岩手のワインと日本酒を有り難く頂戴しました。

「10万円(特別定額給付金)」が家族を壊す?光景と、後先考えずに給付政策を推進する怖さ

安倍内閣が世論(マスコミ・公明党・野党など)の強い意向に応じ渋々?導入した「1人あたり10万円の給付政策」(特別定額給付金)について、受給した家庭内で世帯主がお金を独り占めするような行動に出るなど、家族間でトラブルが生じている、という報道が出ています。

私は、震災時の相談経験をもとに、10万円政策が採用されたときから、この点を危惧しており、4月21日にfacebook上で以下の投稿をしていました。

その投稿を、微修正の上でそのまま掲載しますので、ご自身のご家庭はもちろん、今後の政策(の支持など)の参考にしていただければ幸いです。

なお、引用したニュースで解説されている弁護士の方は、制度の解釈として「権利(財産)は世帯主に帰属し、構成員(家族)個人が世帯主に引渡請求権を有しない」との考え方を支持(採用)されています。

その当否を今、論じることはできかねますが、このような考え方=世帯主が正当な理由なく独り占め・浪費等しても何も言えないとの考え方が罷り通れば、当然ながら、全国の多くの家庭で不公平を強いられた側による何らかの爆発が生じることになるでしょう(ただでさえ、現下の情勢で高ストレスを感じて、はけ口を求めている方は多いでしょうし)。

そうであればこそ、そのような問題を抱えた(のかもしれない)制度が設計されたことや、そのようなリスクを看過して徒に熱狂?したこと自体、政府であれ国民であれ、反省を要するのではと感じています。

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(以下、4.21のFB投稿)

先日、すったもんだの末に決まった「10万円給付政策」は、報道によれば、世帯主が世帯全員の金額を申請し、しかも、世帯の構成員各人名義の口座に個別に送金するのではなく。世帯主の口座に全額がまとめて送金するのだそうです。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/414095

私は予言します。これにより、全国の膨大な数の家庭で給付金を巡り泥沼の紛争が生じ、潜在的な不和が拡大再生産されると。

岩手の方はご承知のとおり、先の震災では、義援金や支援金などの名目で、被災者・遺族の方々に多額の金員が支給されました。

私は震災直後から長年に亘り、1ヶ月に1回以上の頻度で県内沿岸部(被災地)各地の避難所を巡ったり臨時相談所を担当してきました。

震災から半年~2年頃の時点で私が受けた相談のうち最も多かったのが「義・支援金が、世帯主の口座に送金された後、(世帯主=受領主のキャラ等に問題があるとか従前から様々な形態の不和があるため)独り占めして家族に渡さないので困っている、という類の相談でした。

遊興費などに費消する類の話から、親族構成が複雑で、そもそも当該御仁が代表者として受け取ること自体に問題があると感じるケースが多かったように記憶しています。

ですので、私は「震災でどのような相談が多かったか」と聞かれるたびに、この話を持ち出して、法改正など=個人ベースで受領できるように改正するのが必要だと訴えていますが、岩手弁護士会きっての窓際三下野郎の悲哀のせいか?誰も相手にしていただけず、現在に至っています。

結局、今回もFBの片隅でこのように注意喚起するだけが精一杯ということになりそうですが、潜在リスクに不安を感じる方々は、例えば、送金先通帳を共同で管理するなど、現実的に可能な範囲の方策を講じていただければと思います。

余談ながら、平成28年11月に弁政連岩手支部と岩手県議さん達との懇談会の際にも、この話をしたことがありましたので、ご参考までにブログ記事を紹介します(岩手県議さん達の悪口を言う気はもちろんありませんが、この際も、いつもと同じく皆さんに聞き流されておしまい、というのがお恥ずかしい現実です)。

ちなみに、「一世帯で合計いくら」という、世帯内部で誰にどのような権利(資格)があるのか全く分からなかった義支援金は、分配を巡るルールがないという意味で、争いの種になりやすかったのですが、今回は、個人一人一人に受領する資格があるという形なので、義支援金に比べれば、自分にきちんと分けなさい、と内部で言いやすい(引渡などの請求権が認められやすい)とは思います。

大半の家庭では問題は生じないでしょうから、送金側の手間も考慮し申請・支給の原則は世帯単位でもやむを得ないとは思いますが、会内などでよく指摘されるDV絡みのように、世帯主が全員の利益を代表しているとは言えない事案で弊害が生じないよう、対策を講じるべきです。

例えば、申請にあたっては、受給者全員の署名捺印を原則必要としたり、世帯主に申請を任せられないと思う人は自ら申請して正当な理由があればなるべく簡易な審査で個別受領できるようにするとか、それらの問題がある世帯でなくとも、送金については受給者ごとの個別送金の希望があれば認めるなど、弊害防止等のための例外措置を定めておくべきではと思っています。

CMやネット広告で「任意整理」を宣伝する都会の弁護士等の仕事に接して感じた疑問について

震災の前後から、東京の弁護士や司法書士の事務所が、CMやらチラシやらで出張相談会と称して過払だ債務整理だと喧伝してきた光景には、「見飽きたよ」という方も多いだろうと思います。

過払に関しては、平成18年頃の法改正により我々「フツーの弁護士」には震災後間もなくご縁がほとんど無くなり、私も、2年ほど前に最後の大事件(若い弁護士さんの尻ぬぐいで、無用の大論点まで引き受けて僅かな報酬でメチャクチャな苦労を・・)、昨年は回収の難しい事件が一つあっただけで、恐らく、もう過払には基本的にご縁がないのだろうと思っています。

それなのに未だにCM等で派手に宣伝する人達がいることに「商売が成り立つのか?」と不思議に思っていたのですが、その理由(カラクリ?)が多少は分かってきたような気がします。

ここ最近、これらの事務所に「任意整理」(リスケジュール)を依頼した岩手県民の方が、依頼から半年前後で「息切れ」して自己破産又は民事個人再生に移行せざるを得なくなったところ、その事務所に「破産や再生はウチではやらない。地元の弁護士に頼んで」と言われ、HP経由で当事務所にアクセスしたという方が何人かおられました。

で、その方々が全員というわけではないものの「ありがちな話」として、東京の弁護士等の請求(報酬基準)により、任意整理の着手金を1件あたり5万円(税別。以下同じ)とし、毎月5~6万円ずつを弁護士の指定口座に送金した後、半年ほど(入金総額が30万円ほど)した時点で、本人が、従前どおりの返済は無理だと「息切れ」して、その弁護士等に相談しています。

すると、その弁護士等から上記の「破産や再生はウチではやらない」との説明があり、ご本人との間でそれまでの受領額を清算しているのですが、着手金(単価×業者数)の総額(また、その間に業者とリスケ合意の書面を交わしたことを理由とする解決報酬金(1社あたり2万円など)を含む場合もあります)を控除し、従前の送金額30万円前後の全部又は大半を弁護士等が受領した上で「あとはよろしく」と手を引く、というパターンが多いように感じるのです。

これは、悪く言えば、受任通知を送付し業者の督促を止めただけ(あと、引直計算や減額の交渉もない単なるリスケ合意書を交わした程度)で1件あたり5~7万円(30万円前後)の費用を取り、本人が支払困難となるや、面倒な作業は他の弁護士に頼めと言って放り投げる、という「ボロい商売」をしているように見えます。

言い換えれば、そのような「後で払えなくなっても知ったことか」との前提で、半年ほど通知1本で督促を止める程度だけの仕事をする代わりに、20~30万円程度を本人から得ることができれば(それだけを延々と全国で繰り返すなら)、「過払なき後」も十分な収益が得られるとして、今はそれが目当てで彼らは未だに宣伝をやってくるのではないか、との印象を拭えないのです。

そういえば、震災前後に「楽して儲かる大手相手の高額過払ばかり受任し、面倒な小規模業者への過払請求は受任拒否する(東京の)弁護士が一定数いる」との話を聞いたことがありますが、上記の話も、その延長線上なのかもしれません。

ちなみに、岩手では、平成17年頃(私が岩手に戻った直後)の消費者委員会の内部規制で、任意整理の費用は1件あたり2万3000円(うち3000円が引直計算の手数料)という低額規制が定められ、当事務所は当時から10年以上に亘り、この単価で受任してきました。

引直計算が消滅した現在は、1件あたり原則2万円となっていますが、引直のあり方を巡る激論などはなく、本人が履行可能な弁済計画の策定など作業の多くが練達の職員が対応できるため、さほど不満はありません。

言うまでもなく、2万円は1件ごとの総費用であり「和解成立時の成功報酬」なるものは請求していません。

儲かりはしないが、こんなものでしょ、という感覚ですし、依頼者側の支払能力(岩手の所得水準?)なども含め、それが任意整理(単なるリスケ)という仕事には相応しい単価だと思います。

だからこそ「通常の消費者金融に関するリスケだけの仕事で1件あたり総額7万円」などという、当方の3倍以上の単価設定は、私には全く理解できません(昔の東京弁護士会の基準は、3~4万円+減額報酬金だったような気もしますが、私は、東京時代から着手金のみで対応し減額報酬金は請求しませんでしたので、それを理由に他の弁護士でなく私に依頼してきた方もいました)。

当方は現在もこの単価設定で行っていますが、岩手でも、この単価で行っているのは、当時の消費者委員会の議論を知る人だけかもしれません。

多少の違いはありますが、これは、法テラス(低所得者向けの立替制度)の受任額と概ね同一(1件だけならこちらの方が割安)のものとなっており、私としては、岩手弁護士会(の役員の方など)が全国に働きかけ、この「岩手方式」を全国標準にしていただきたいのですが、残念ながら、そのような話を聞いたことはありません。

また、もう一つ大事な点として、当方では、最初から任意整理(リスケ)に無理があると感じる方は、可能な限り破産又は再生を選ぶよう説得するので、現在は任意整理の受任は滅多にありません(これに対し、彼らはそうした検討や説得などを伴わず、リスケ希望があれば上記の受任費用を前提にその受任を機械的に行う面が強いように見受けられます)。

ただ、諸般の事情からリスケを希望される方はいて、その方が、やむなく破産・再生に移行したときは、それまでの業務量も考慮の上で、移行後の受任費用を減額する(リスケ費用を後者の内金扱いとする)のが基本となります。

これに対し「うちは破産・再生はやらないから他に頼んで」となれば、当然ながら、費用の二重負担は避けられません(そもそも、そうであれば、最初から説得したり費用や業務のあり方なども検討すべきでしょう)。

その上、上記の経緯で当事務所にアクセスする方々の多くが、支払能力が限られ、法テラス対象者又はそれに準じる方なので、なおのこと「最初から破産・再生相当だと分かりきった方に、解決費用の名目で半年ほど毎月数万円を自分達に支払わせた後、自分達の費用の支払が済んだら放り出しているだけでは(それって、体のいい収奪なのでは)」とも見えてしまう彼らの仕事の仕方には、到底得心できないと感じてしまうのです。

もちろん、私のやり方は(費用相場が岩手と東京で違うという話を一応別とすれば)、珍しいことでも殊更に褒めるような話でもなく、自分が引き受けた依頼者は、合理的な費用や手法を前提に最後の解決までなるべく面倒を見る、という弁護士としてあまりにも当たり前のことを述べているに過ぎませんし、個人向けの破産・再生が原則として「債務整理の基本のきのき」であることも言うまでありません。

よって、破産・再生はウチでは受けないから他の弁護士に頼め、という彼らのやり方が私には理解できません(ただ、彼らが放り投げた結果として、当方が「おこぼれ的受任」を得た面は否定できず、彼らを悪く言える立場ではないのかもしれませんが)。

残念ながら、現在の弁護士業界の内規や法制度にはこのような「都会の弁護士さんの仕事のやり方」に(明確に)NGを出すことができる定めはありません。

このような「実質的な中途辞任ケース」では、和解報酬金は返還するとか、着手金総額も一定の上限を設けるなどという対応が必要なのでは、と感じています。

もちろん、私自身が、高額なリスケ費用を請求し「本人(依頼者)から取れるだけ取った後は放り出す」などという路線に宗旨替えすることは耐えられませんので、今後も「こんなことがまかり通ってよいのだろうか」と感じつつ、淡々と後始末を続けていくだけ、ということになるのかもしれませんが、こうした話にも光が当てられることがあればと実務の片隅で願っています。

もちろん、個別事案ごとに様々な事情があり、方針選択などについては相応の事情がある場合もありますので、彼らが殊更に依頼者の犠牲のもと私利を図っているなどと、当然に思っているわけではありません(思いたくもありません)。

が、「そうであれば、費用であれ方針であれ、その事情を配慮したやり方というものがあるだろう」と感じることが多く、全体として「それって費用の取り方がおかしくないか」と感じざるを得ない(ものの、現行規制では私的自治の原則に阻まれ、是正=返金等を求めるのも現実的でない)というケースを目にすることが複数あり、思わず投稿せずにはいられなくなった、というのが正直なところです。

それだけに、全国的な実態の把握や議論の深まりを期待したいものです。

私が拝見した例がすべてだと申すつもりはなく、業務・金額とも特段の問題がない(或いは、私よりも遙かに良い)というケースも十分ありうるでしょうから、CMやチラシなどをすべて否定するつもりはないのですが、こと、現在の弁護士業界に関しては、依頼前であれ後であれ、セカンドオピニオン等を考慮する必要があるのかもしれません。

少なくとも、感覚的に疑念を感じる点があれば、そうすべきですし、それに至らなくとも、ご自身の感覚自体が鈍磨しているケースもありうるでしょうから、ご自身の信頼に値する知人への相談なども含め、健全・常識的な感覚を大事にしていただければと思います。

ウイルス禍における賃料問題と廃業支援としての経営者保証ガイドライン

新型ウイルス禍で休業等を余儀なくされる飲食店などが休業期間中も賃料の負担を余儀なくされ廃業等に追い込まれる(ので支援を要する)という問題は、4月下旬頃から都道府県や国レベルで様々な救済策が検討・実施され、今も流動的な状況にあると思われます。

私自身は3月頃には賃料問題は今回の件で特に立法的解決が求められる問題ではないかと思っていましたので、この報道(論点)の行方には強い関心があります。

この種の事件を手がけておらず、込み入った検討はしていませんが、一般論として、ウイルス禍による休業を理由に貸主に賃料を請求する法律上の権利が借主にあるか(現行法上認められるか)と言われれば、貸主から使用停止を求められるなどという特段の事情がない限り、非常に厳しいのではと現時点では思っています。

他の先生のブログで、物件価値の大幅下落を前提とした賃料減額請求が検討されていましたが、その先生も、その場合は鑑定が必要になるなど現実的ではないと仰っていたと記憶しています。

他方、借主が望まぬ休業で契約上予定していた使用収益(による賃料原資の獲得)ができず、塗炭の苦しみを強いられているのに、貸主のみが何のリスクもなく契約どおりの賃料を支払え、というのは社会的公正ないし公平の観点から、相当に違和感があります。

その先生のブログでは、貸主側からの相談で、借主より強硬な減額要請を受け、やむなく応じているとの話を幾つも受けているとの記載があり、実際には貸主も大変な目に遭っている事案も多いのでしょうが、現行法でルールがないため「良心次第・交渉(大声)次第」という歪な状態になり、トータルで不公正な光景も相応に生じているのではと危惧されます。

結論として、疫病などで休業が不可避の状況にある場合は、一定の算式を作成して相応の減免等の請求を簡易に認めると共に、貸主(ひいては、その先にある銀行等)にも、相応の受益的措置(建設費などのローン支払猶予と利息停止や債務減額、固資税などの減免その他)を講じるような法的措置を早急に講じていただければと考えています。

話は少し変わりますが、厳しい経済情勢に伴い全国的には廃業や倒産の報道も増えてきましたが、当方に関しては、現時点でそのようなご相談はまだ全く受けていません。

小規模企業の債務整理に関しては、最後の選択肢である破産と、現状では金額面で利用困難な民事再生のほか、事案次第では利用でき、自宅の維持確保など破産などよりも遙かにメリットの大きい解決になりやすい「経営者保証ガイドライン」という、第3の選択肢があります。

田舎の町弁にはあまり接点のない(ので、岩手でも経験のある弁護士は多くはないはずの)手法なのですが、私は2年ほど前に小規模な福祉施設の店じまいの事案で活用しており、先般も、ウイルス禍が原因ではありませんが、店じまいをせざるを得ないという小さな地元企業さんで、GLで解決できる事案を受任し、現在、各種対応に追われています(2年ぶりで、これが実質2件目なので、試行錯誤的を交えつつではありますが)。

経営者保証ガイドラインは世間ではほとんど知られていない制度で、私が受任した案件でも、ご本人に「本件は、個人再生が無理な事案で、破産も自宅を手放さざるを得ない、GLなら自宅を守ることができるはず」とお伝えすると、そんな制度があるのかと驚き、強い安堵を示しておられました。

それだけに失敗は許されないとの姿勢で臨んでいますが、現下の情勢により店じまいを避けることができなくなった企業の方が、GLによる解決が可能であるのに知識不足や出会いに恵まれないことなどにより、残念な選択に至ってしまうことがなければと、願っているところです。

アベノマスクに「今さらジロー」と言いたい貴方に捧げる唄

てっきりGW前にはいただけるものかと思っていたアベノマスクこと首相マスクは、聞くところでは、5月末までには、今も感染ゼロ記録更新中?の岩手県民を含め、全国民に届く予定だそうです。

諸々の事情でやり場のない鬱憤が溜まっている方は、私が子供の頃に一世を風靡した小柳ルミ子氏の「今さらジロー」の曲に沿って次の替え歌でも熱唱していただき、届いたマスク自体は決して捨てることなく、大事に使用又は保管等していただければ幸いです。

【今さらマスク】

あれは確か 4月初め 憂鬱な夜に
ブーイング 振り払って 言い出したっけ

家のテレビ 何度も見た あなたの会見
苛立ちで わめいた日も あったっけ

今さらマスク ありがたがれと 言わないでよね
すぐに届けられないと知って 頼んだくせに
今さらマスク 来るの遅いよ あたしのもとへ

あのあと買って・・ いま余る

ルルララルルララ ルルラララ
しゃぼん玉だね  支持率は

元気ですか? ひとりですか? どうしてますか?
仲間たちと 机並べて 話もできず

さりげなく消えてゆく 街かどの店
楽しかった 想い出が 胸をつく

今さらマスク 布でごめんと あやまらないで
あたしの身を 案じるなら  別なことして
今さらマスク 戻せやしない しないわきっと

賑わう日々が 今はもう・・

ルルララルルララ ルルラララ
しゃぼん玉だね  この街も

今さらマスク ありがたがれと 言わないでよね
あたしたちの 行き詰まり 分かったくせに
今さらマスク 罪つくりよ あたしにとって

昔は昔・・・ 今は今・・・

ルルララルルララ ルルラララ
しゃぼん玉だね  この世界