北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

〒020-0021 岩手県盛岡市中央通3-17-7 北星ビル3F

TEL.019-621-1771

ブログ

そして事務所の維持のための徹夜仕事は続く

前回の投稿は単なるご挨拶でしたので、今回が実質的に本年の初めての投稿となります。

昨年も細々とした仕事に追われ、ブログの更新をなかなか行うことができず、12月は恥ずかしながら投稿ゼロの状態になってしまいました。

せめて、年末に平成30年の総括的な投稿をしたかったのですが、仕事納め直後も私事に色々と追われ、投稿できずに終わってしまいました。

その上、1月中~下旬に風邪をひき、欠勤せずには済んだものの10日ほど37~39度の状態が続き(結局、病院で薬の処方を受けた途端に収まりました。いつも、治りかけになってようやく病院に行ってます)、深夜・土日残業が困難で、結局、1月もブログは新年のご挨拶しか掲載できませんでした。

もちろん、裏を返せばそれだけ多くの仕事をいただき、事務所を持続可能な状態にできているものに他ならないというべきで、そのこと自体はご依頼をいただいている皆様に感謝申し上げるほかないのですが、以前は、そのような状況の中でもブログの更新など「あれも、これもできたのでは」と思うところがあります。

端的に申せば、昨年は、これまでになく「昔ほど無理ができなくなってきたのかも」と感じる面がありました。以前は、事務所で深夜から明け方に書類仕事をして朝に僅かな就寝を経て通常業務に臨む生活を繰り返していたのですが(反面、翌日や土日に睡眠負債を取り戻す生活を強いられました)、昨年の後半から、そうした生活をあまり行うことができなくなってきました。

代わって、昨年末には、夕食後、夜のうちに体力が尽きて就寝し早朝に起床して事務所で1~2時間ほど仕事し8時半に一旦帰宅し朝の兼業主夫労働を終えて出勤するという、これまで全く経験のない生活パターンが出現しました。

以前も、深夜に事務所に戻って1~2時間後に力尽きることは多々ありましたので、必ずしも「時間外労働」が激減したわけではないのですが、それでも以前に比べて長時間労働・深夜労働ができなくなってきているかもと感じる面があります。

これまで、日ペンならぬ「永遠の20代、自称・4代目小保内義和」という感覚で生きてきたのですが、いよいよそのように強弁することが難しくなり始めたのかもしれません。

ただ、これまで「当事務所は、人が遊んでいる時間や寝ている時間に私が働き続けることによってのみ運転資金が確保でき存立できる」という実感のもとで生きてきましたので、私が「老い」を受け入れ、人並みの就労時間で仕事を止めて「楽しい余暇」を日常的に過ごしても構わないなどと思い始めた途端、すべてが破綻するのではないかという恐怖心があります。

もちろん、ワークライフバランスなどという絵空事?はさておき、仕事の能率などをあげて、本業以外にもより様々な経験を得ることこそ弁護士にとって必要という気持ちもありますが、「余計な作業を割愛し効率よく仕事をしたい」と思っても、裁判官を筆頭に様々な方から「あれも、これも、それも、どれも」と山のように追加作業が降りかかってくるのが町弁の避けがたい現実であり、自身の能力等の不足を嘆きつつも地道に研鑽を重ねるほかないのでしょう。

日々、運転資金の負担を抱えて小規模な企業を経営する方々は、皆、同じような思いを抱えておられるのかもしれませんが、ともあれ、当方もまだまだ多少の無理が利く程度の気力や体力はあるでしょうから、本年も皆様に頼りにしていただけるよう、挫けることなく頑張っていこうと思います。

と、ここまでは1月中に書いていたのですが、1月下旬に風邪が直った後、突如として、徹夜仕事が可能な体力が戻ってきて、完徹(全く睡眠せず)とまではいかなくとも、半徹(1~2時間ほどの仮眠)で乗り切るという生活が復活してきました。

恐らく、風邪とその治療を通じて体内の何か悪いものを吐き出すことができたのではないかと感じていますが、ともあれ、徹夜仕事ができると「俺もまだまだ捨てたもんじゃない」と感じてしまう面はあります。

まあ、徹夜(深夜~明け方の長時間起案)を余儀なくされるのは、その多くが限られた報酬で膨大な作業を強いられる不採算事案ですので、ある種のマゾヒズムや屈折した達成感に浸っているのかもしれませんが。

風邪の際に「お薬手帳」を見たところ、ここ10年ほど、概ね3年おきに風邪が本格化し病院の処方薬に頼っていることが分かり、今後も2~3年ほどで「溜まった疲れを吐き出すための風邪」がやってくるのでしょう。

ちなみに、今回のタイトルは、平成22年の弁護士白書で日弁連公害対策環境保全委員会が掲載した同委員会の活動報告「そしていのちを守る戦いは続く」から拝借したものです。

*******

追記。平成24年末に、旧ブログにこのような記事を載せていたのに気づいたので、ついでに再掲しました。

【仕事納めの夜に】 12.28

若い頃は仕事納め直後から正月にかけての時期に、1年の溜まった疲れが吹き出すように風邪を引くことがよくありました。

現在は、妻の実家への帰省などの年中行事の都合上、最も風邪を引くことが許されない時期に様変わりしたせいか、その前後の時期に病を得ることが増えたような気がします。

そんなことや色々なことに思い巡らせながら丑三つ時に辿り着いた一首。

イブに風邪 治す矢先に事務所泊 椅子で寝る背を看る月も無く

今年の業務は本日までで、翌日には否応なしに出発となる予定です。本年は、修習生時代に親しくさせていただいた方に関する悲報に接するなど、前年等に引き続き大きな喪失感を伴う年となりました。来年は、社会に限らず身近なところでも、再生や芽吹きを感じることができる年であればと願っています。

平成31年の年頭のご挨拶

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年も、地域の中小企業や個人の方々の様々な法的問題の対処、解決に従事しましたが、争点が多岐に亘る建築関係の訴訟や担保権付不動産の処分に関して難しい法律上の争点に加え多数の利害関係者の調整が必要となった事案など、苦心の末に良好又は穏当な成果を挙げることができた受任事件が幾つもありました。

本年も交通事故や家庭内の問題、債務整理など日常的に取り扱う類型から行政の重要な経済政策が争われている訴訟など規模の大きい事件まで、個々の受任事件に懸命に取り組むことなどを通じて、ささやかながらも社会のお役に立てればと願っております。

皆様におかれましても、変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

ところで、31日の夜から1日未明にかけて、「エクソシスト7」と「8及び9」というタイトルが付された夢を見ました。

人類が世界各地で悪魔に敗北し多くの人々が禍々しい姿に転じて闇夜で狂宴を繰り広げる中、最後にマコーレ・カルキン風(ホーム・アローンより)の少年が巨大な魔女と対峙し何某かの対話(議論)を繰り広げた末、魔女が悪魔達を引き連れて去り、人々が元の姿に戻っていくと共に闇夜に天から光がさして終幕を迎える、というものでした。

法的紛争も時には禍々しい何かが憑依したような様相を呈することもありますので、そうした状態の解決に今後も多少なりとも役立つことができればと思っています。

DSC00926

万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から(後編)

今回は、前回に掲載した記事(岩手日報への投稿)についての補足説明です。この話(人間の尊厳だけでなく、いのち、自然そして万物の尊厳を憲法改正のテーマとして提げること)は、数年前から考えていたことなのですが、この投稿を行った経緯は次のような事情に基づくものです。

きっかけですが、3年前に「JC(青年会議所)が掲げている理念(JCIクリード)は日本国憲法の基本原理にそっくりである」という趣旨のことを投稿したことがあります。

この投稿は今も「JC 憲法」などとネット検索すると日本JCのサイトと並んで筆頭ランクに登場しており、私自身ブログの中で最も気に入っている記事の一つです。

ただ、ツィッター上でこの投稿を好意的に取り上げていただいた方がおられるのを拝見した以外で誰かから感想などを告げられる機会もなく、このまま埋もれていくのだろうと思っていたところ、半年ほど前に盛岡JC仲間で今も現役会員であるB君から、この投稿への過分なお褒めをいただくと共に、「岩手のJCの面々にも伝えて欲しい」などと奇特?な要望を受けました。

引用記事でも述べたとおり、私は現役時代にJCの方々に憲法とJCの関係についてお話する機会に恵まれなかったこともあり(引用記事も、卒業する年に盛岡JCで「この話を例会でさせて欲しい」と関係者の方に頼んだもののボツにされた怨念?が発端になっています)、有り難くお引き受けし、今月下旬に今年の日本JC岩手ブロックの主要メンバーの方々?向けにミニ講義を行うことになりました。

折角なので、日本国憲法のオーソドックスな考え方やそれを前提とした現在の社会が取り組むべき課題などに関する私なりの考えをお伝えしたいと思いましたが、今も昔も大勢の方の前でお話をするのは全く不得手ですので、毎度ながら膨大なレジュメを作ってB君に送っており、当日は棒読みモードでご容赦いただこうと思っています。

弁護士が語る憲法といっても、いわゆる護憲派の弁護士さんが仰るようなネタではなく、もちろん右翼チックな話でもなく、引用記事をベースに、改めて憲法とJCの関係についてあれこれ考えつつ、それを踏まえて憲法とその重要な担い手としてのJCの現代のあるべき姿を考えていただくようなテーマ設定にしたつもりです。

こんな機会は二度と無いでしょうから、講義終了後のしかるべき時期にブログにレジュメを公表するつもりですが、要するに、

①JCが掲げる理念(と実践)に照らせば、世間的には右翼チックとも評されるJCは、実際には日本最大級の護憲団体と評しても過言ではないこと

②それにもかかわらず復古的な改正を日本JCが唱える根底にあるものとは

③その上で、岩手のJCに考えて欲しい憲法改正案(運動)とは何か

の三本立てになっています。

さほどの大人数でもないそうですが、現在の岩手のJCの大幹部の方々がお集まりになるようですので、君たちは護憲団体だ、などと言うと五体満足で帰れないなんてこともあるかもしれません(笑)。

このうち、①②は引用記事を掘り下げた内容に過ぎませんが、③はブログでそれとなく書いたことはあるものの明確に述べてはいなかったので、思うところあって約10年ぶりに岩手日報向けに投稿を書きたい、また、どうせなら講義の前に書いて公表してしまいたい、というのが今回の日報への奇行ならぬ寄稿のきっかけとなっています。

もとより、人間だけでなく人にあらざる存在の尊厳も憲法で定めよなどと奇特なこと?を言っている人がいるとの話は聞いたことはなく、それどころか「万物の尊厳」という言葉も、少なくとも日本語(現代の日本社会)では聞いたことがありません。

ネットで検索しても、私が過去に投稿したブログ記事しか発見できず、当然ながら、私のオリジナル(独創?)の言葉ということになるはずです。

しかし、この考え方は、要するに「社会は人間だけのものではない、自然、いのちそして万物(に通じている目に見えない力)に畏怖と感謝を抱くべき」という、日本人にとってはごく当たり前の、伝統的かつ違和感のないもので、そのことが憲法(日本人の最高法規)に掲げられていない方が間違った状態というべきではないかと思っています。

当日にお伝えする内容(レジュメ)では、そのこと及びそれを岩手の人々が率先して日本ひいては世界に呼びかけていく意義について、若干ながら触れており、いずれ本ブログにも掲載したいと考えていますので、関心をもっていただける方は、楽しみに?お待ちいただければ幸いです。

万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から(前編)

先日、訳あって10年以上?ぶりに岩手日報の投稿欄(日報論壇)に投稿メールを送ったところ、数日後(11月8日)に無事に掲載されました。

ただ、本文は私の作成文章がほとんどそのまま掲載されているものの、私が投稿フォームから送信したタイトル(「万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から」)が全面書き換えになっており、この言葉(万物の尊厳)が今回の投稿のキーワードでしたので、その点は少し残念でした。

私は、日報論壇の投稿フォームには常に自作のタイトルを付けて送信しているのですが、どういうわけか毎度、全面的に書き換えられてしまいます。

字数の都合もあるかとは思いますが、表題は投稿の趣旨や読み手への訴求力など色々なことを考えた上で決めていますので、いっそ日報論壇の投稿フォーム自体にタイトル欄を設けて字数も告知していただければ有り難いと感じているところです。

ともあれ、今回は私が送信した内容をそのまま掲載し、次回に投稿の経緯について少し触れることにします。

***********

安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正を切望しており、今後は国会発議などの実現に強い働きかけを行うものと予想されます。

私自身は、自衛「権」はまだしも国家組織の一部門としての自衛隊を憲法に明記するのが適切か、また、初めての改正が自衛隊の明文化というのは社会に無用の誤解などを招くのではと感じており、現時点で賛成する考えはありません。

但し、制定から70年以上を経た今、改めて憲法のあり方を巡り様々な議論がなされるべきであること自体は間違いありません。

日本国憲法は大戦の惨禍を踏まえ、誰もが不当な抑圧の被害を受けたり加害者に陥ることの無いよう人間の個人としての尊厳が保たれるべきだと13条で掲げており、これが憲法の究極的な目的と考えられています。

現在、人格や文化の多様性の尊重が様々な場面で叫ばれていますが、それらも憲法の掲げる価値を実現する営みの一つと言えるでしょう。

ただ、「人間」だけの尊厳を掲げるのは、果たして日本人に相応しいことなのでしょうか。私達は日本列島を取り巻く様々な自然の恵みと脅威に感謝と畏れを抱きながら暮らしてきたのであり、今も自然ひいては万物に見えざる力を感じ、それを大切にして生きているのだと思います。

他方、力を持ちすぎた人類の活動により国内はもちろん世界中でかけがえのない自然が損なわれる一方、時には復讐の刃が人々に襲いかかる光景も目にしています。

岩手や北東北には太古からこの地で自然と共に生きた縄文人や蝦夷の血が色濃く受け継がれ、先人の文学作品などにもそうした思想が表現されてきました。

日本国憲法は国家のあり方や国民との関係を語るのみで、人にあらざる存在について何ら語っていませんが、そうであればこそ、人に限らず自然ひいては万物の尊厳も憲法に掲げるべきと私達が声を上げていくことは、大いに意義があるのではないでしょうか。

主権や統治機構、人権などの定めに限らず、日本人とは何者で、どこから来て、どこに行くべきかを語ることもまた憲法そして私達に託された使命であり、太古から現代そして未来圏までの複雑で多様な営みを見据えた憲法論の深化を願っています。

踏んづけられてもきっと折れない大女優びんびん物語

先日の朝のワイドショーで、しばらく行方不明になった後、脱税問題で謝罪声明を出した中国の大物女優の方を各局がこぞって取り上げているのを見ましたが、この話を聞くたびに「女優びんびん物語」という言葉しか浮かんできません。

お顔立ちが菊川怜氏に似ているようにお見受けするので、CMの復帰作は

中国の文字は、ちいさすぎて読めな~い!
確定申告の通知も ちいさすぎて読めな~い!

これがあれば、文字はもちろん、税法の抜け道もよく見える。
権力に踏んづけられても大丈夫。
○○ルーペだぁいすき!

などとと仰っていただいても良いのではと、その際に放送されていた新作CMを拝見し前回よりもインパクトが乏しいなぁなどと感じながら余計なことを思いました。

ともあれ、罰金を含む巨額の債権回収を実現した中国税務当局の皆さんは、こんな替え歌で盛り上がっているかもしれません。

AH もっともっと素直になれ
財布の中身を 空にして
罰金も払って 素直になれ
人気が終わったわけじゃない
逃げたら消されそうな社会だよ中華は
濡れ手に粟寄せて大女優も守りたい

TELL ME  お金なら TELL ME  また稼げ
悲しみは 続かない
TELL ME  いつまでも TELL ME  誰よりも
税絞りたいよ もっと

ともあれ、現在の中国の政治や社会の体制云々の話はさておき、適切な自由や人権の保障と共に適正・公正な税実務と社会への良質な還元を行っていただきたいものです。

平成29年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成29年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争や離婚後の面会交流の拒否に伴う間接強制を巡る紛争など、親子間の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い、穏当な和解による解決に努めています。

成年後見の選任も増加傾向にあり、後見人のほか保佐人・補助人として選任される例もあります。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

昨年は、意思疎通には問題がないものの家庭内に複雑な事情を抱えたご年配の方から財産管理に関するご依頼を受け、福祉関係者と協議しながら家庭内の問題への対処を含む様々な対応を行った案件もあります。

相続分野では、遺産分割を巡り当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去直前に親族に財産の一部を贈与する趣旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの、贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり、他の親族も巻き込んで複雑な展開となった事案)などを手がけており、必要な主張立証を尽くした上で、裁判所の和解勧告などに踏まえて解決しています。

また、身寄り(配偶者や子、両親)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行っている事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

他にも、相続登記が放置されたため多数の相続人が生じている不動産の権利関係の処理に関し、他の相続人への交渉が必要となった事案や、相続財産管理人として受任し共有物分割請求訴訟に対処する事案なども担当しています。

離婚・親子・相続などに関しては、以前にセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった多数の方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を、自治体(岩手県)の代理人として受任しています。

本年3月末に1審判決があり主要争点で当方(県)の主張を全面的に認める勝訴判決をいただいており(報道でも大きく取り上げられた「サケ刺網訴訟」です)、相手方(県が必要やむを得ない規制として定めた事項に不服のある一部の漁業者の方々)の控訴に伴い、今後も解決に向け対応を続けていく予定です。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、窃盗や詐欺、傷害、覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの事件(大半は国選事件ですが私選のご依頼もありタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けており、起訴前に示談し不起訴となった事案も幾つかありました。

中には、逮捕時に被疑者宅に多頭崩壊とみられる猫の大量残置などの問題が判明し、動物保護の関係者と協議しながら適正な対応を図った事案もありました。

少年審判(未成年者に関する刑事事件)についても、試験観察を経て保護観察(社会内処遇)が定められた事案など複数の事案も受任しています。

その他の業務としては、岩手県民生活センターが主催する消費者向け相談岩手県総合福祉センターの高齢者・障碍者向け相談など幾つかの相談事業を担当しているほか、東北厚生局の訟務専門員として保険診療の不正受給問題への対処のお手伝いをしています。

平成29年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成29年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

昨年も交通事故被害者側での受任事件が多数あり、ほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案のほか、過去には、死亡事故重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案も含め、幅広く取り扱っています。

事故直後など加害者側の示談案提示前の時期から受任して後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、神経障害に関する後遺障害(14級9号など)をはじめ、幾つかの後遺障害につき認定を受けるための調査や医療機関への照会などを行いました。

交通事故以外でも、スキー場のゲレンデで転倒事故に遭った方が、運営企業の管理責任を問うた賠償請求訴訟(責任の有無が争点になり一定の勝訴的和解で解決)や犯罪被害に遭った方の賠償請求(実務上相当とみられる額で示談)を担当したり、介護施設での転倒事故に関して責任の所在などを検討するなど、交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

昨年も、交通事故などについては弁護士費用特約により自己負担なく依頼をなさる方が多くありました。自動車保険などでは、必ずこの特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

昨年も個人間の貸金に関する紛争、不動産の登記(古い登記の抹消など)に関する訴訟、不動産の賃貸借を巡る紛争(明渡、立退問題ほか)など、多くの事件を手がけています。

不動産の登記を巡る紛争では、訴訟上の争点となった消滅時効の成否だけでなく対象となる不動産の売却とそれに伴う納税などの問題が複雑に絡み合い、法的な主張立証のほか多くの関係者と様々な利害調整が必要になった事案なども担当しています。

明渡請求に関しては、建物が簡易なプレハブで未登記であるなどの事情(また、相手方の行方不明の問題など)から、訴訟での請求内容や強制執行にあたり様々な配慮を要した事案なども担当しました。

他にも、弁護士会の「精神保健当番弁護士制度」により、精神科病院に医療保護入院中の方から退院請求の手続について依頼を受けた事案があります。本人の症状や関係者への聴取などから退院が認められるのは困難な事案であり、請求そのものは退けられましたが、精神科医療の実情や制度などについて知見を深めることができた面がありました。

また、震災無料相談制度を通じ多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件など生活上の様々なトラブルに関するご相談や簡易な交渉対応などに応じています。

平成29年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。例年、2月前後に業務実績を顧問先に送付し、時間を置いてブログに掲載することとしていますが、諸事に追われブログへの掲載の方がかなり遅くなりました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

平成29年も、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などについて、様々な分野の紛争解決や法的処理のご依頼をいただきました。

ここ数年は①と②の受任が多くなっていますが、③も自己破産や個人再生の受任が増加傾向にあります。企業の取引や内部紛争などに関するご依頼は件数こそ多くないものの、昨年も、大規模な事案を含む様々な事件の解決やご相談の対応に注力しました。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

企業取引に関する紛争の例としては、商業店舗の土地建物の賃貸借に関し問題が生じ、借主が貸主に賠償請求している事案を担当しています。

少し具体的に述べると、商業店舗を営むX社がY社から建物を賃借し店舗経営していたところ駐車場用地の一部がY社ではなく第三者(以前に当該建物を所有していた企業の関係者A)の所有になっており、そのことをYが把握しないまま、Aが当該土地を隣地所有者Bに売却し、BがXに当該土地(駐車場用地)の明渡を請求をしたため、Xはこれに応じざるを得なくなりました。

そのため、Xは、駐車区画の大幅減少を強いられ集客に必要な駐車場用地が確保できず契約目的(店舗経営)が達成できないとして、賃貸借契約を解除し他所に店舗を移転し、移転経費や移転期間中の逸失利益についてYに契約違反を理由に賠償請求をしました。

当方(X)に対しYは「移転の必要はなかった」などと主張し全面的に請求を争っており、現在も裁判が続いています。

他にも、建築瑕疵の是非などを巡り複雑な争いがある建築紛争を建設会社側で受任した事案もあります。

企業の内部紛争に関しては「NPO法人αがA町から大規模な震災復興事業を受託した際、α自身が高額資産の所有者になることができないという行政のルールに起因して、事業の受皿企業としてβ社を設立し、αがAから送金された受託費をリース料名目でβに送金し、βの名義で資産購入とαへの貸与などを行っていたところ、αが破産し、管財人Xが『その資産の所有者はβではなくαだ』と主張し、βに対し資産の引渡しなどを求めた(が、β代表者γ氏には直ちにこれに応じることができない事情があり一定の交渉が必要となった)」という事件(協力関係にあった企業間の財産の帰属を巡る紛争)につき、β社から依頼を受けて対処する案件を担当しました。

これは補助金の巨額不正使用などで世間を震撼させた「大雪りばぁねっと」事件を巡る民事紛争であり、様々な偶然(ややこしい事情)から民事裁判の開始後間もなくγ氏(大雪の代表者ではありません)より依頼を受け、管財人の適正な業務に協力しつつ、γ氏として法律上正当な権利ないし利益の確保(利害調整)を目指すことになりました。

そして、膨大な関連事務を経て主戦場となった事件では1審で勝訴したものの2審で裁判所の勧告に従い和解で終了、という展開を辿りました。

大雪事件では民事・刑事で様々な弁護士が事件に関与していましたが、管財人や大雪の代理人をはじめ、民事事件を担当していたのはほとんどが東京の弁護士の方で、民事事件に関与していた岩手の弁護士は実質的に私だけでしたので、依頼者の正当な利益を図りつつ地元の弁護士として事件の適正解決に貢献するとの気持ちで取り組んでいました。受任から完了まで約2年半を要し、学ぶところの多い事件でもありました。

企業の内部紛争に関しては、他にも、未払賃金などの労使紛争、企業の役員の不正行為が発覚し責任追及をした事件などで代理人として対応しています。企業取引に関しては、中小企業庁の「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者に対する売掛金請求や発注者の不当対応への対処についてご相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は数年前に比べて僅かなものとなっていますが、近時は「総債務額がさほど大きな額ではない(100~200万円未満)ものの僅かな収入しかない又は無収入ゆえ自己破産をせざるを得ない方」「複数の銀行などに300~400万円程度の借入があり、他にも住宅ローンがあるため、住宅を維持しつつ債務を圧縮するため、個人民事再生の手続を利用する方」、「銀行に数十万円の借入があり、リスケジュールのため任意整理を希望する方」からのご依頼が増えています。

また、10年以上前に借り入れた債務を滞納していた方が「債権譲渡を受けた」と称する企業から最近になって請求を受け消滅時効などにより解決を求める事案も増えています。

過払金訴訟は時代の変化に伴い依頼を受けることがほぼなくなりましたが、債権譲渡を含む特殊な対応が必要となる事案の依頼があり、業者側も多数の論点について全面対決の姿勢を示しているため、適正解決のため懸命に取り組んでいます。

企業倒産(破産管財)に関しては、平成27年に管財人を拝命した製材等を営む会社に関し、訴訟や原発ADR、原状回復などの事務処理や法的手続が必要となり、平成28年に受任した建設関係の会社についても、多数の不動産の任意売却や不動産利用を巡り錯綜していた権利関係の整理、労働債権の対応など、様々な法的対応に負われました。

また、金融機関に巨額の債務がある一方で他にほとんど負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)から廃業支援の依頼を受け、金融機関に一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で定める額(99万円)よりも多い個人資産を手元に残した状態で破産せず債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)による解決を実現するため、不動産の任意売却などを含め、2年ほど交渉を続けた事案で、昨年に特定調停により自宅マンション(無担保)を処分せず残存させるなど当方の希望に沿う解決を実現することができました。

個人の方の破産管財についても、破産手続以前に親族への無償譲渡行為があり否認権を訴訟で行使し配当を実現した例や個人事業主の方など、幾つかの事案を担当しています。

リアル・エロティカセブンの詩とコンビニ報道の課題

金曜の朝のワイドショーで「変態コンビニ店長」が取り上げられているのを見ましたが、すぐに思い浮かんだのは、平成5年に放送された「悪魔のKISS」というテレビドラマの主題歌でサザンオールスターズが歌っていた「エロティカ・セブン」という享楽的な印象の強い歌詞の曲でした。

この番組は、常磐貴子氏の「出世作兼問題作」としても有名で、当時は大学2年くらいだった私も運良く?放送を拝見した記憶があるのですが、残念ながら録画しておらず、あとで悔やんだことは申すまでもありません。

同日中の報道で、予想どおりというべきか、コンビニのオーナー(フランチャイズ契約の当事者)でもある店長氏は契約解除(解約)と閉店を余儀なくされたという報道が出ていましたが、洗濯物を干しながら「モンダイの映像」をチラ見した限りでは、孤独な中年おじさんの悪ふざけの悲哀という印象もなきにしもあらずで、被害者の方々はともかく第三者的にみれば、こんなことにならずに済む方法はなかったのかなと思わずにはいられない面はあります。
https://www.asahi.com/articles/ASL9P3S0CL9PUUHB00C.html

そんなわけで?久しぶりに「替歌の神様」が降臨し毎度ながら投稿せずにはいられなくなりました。

ただ、事件自体が報道直後に一気に収束したことなどを踏まえ長期の掲載は望ましくないと判断し、替え歌そのものは掲載の数日後に削除しました。この件に関心があり、どうしても見てみたいという知人の方がおられれば、個人的に楽しむ範囲内での提供は構いませんので、個人的に連絡して下さい。

もちろん当事者の方々(コンビニ本部を含め)を誹謗等する意図は微塵もなく、あくまで元ネタ(原曲)を思い出した方々にあの頃やドラマを懐かしんでいただければという趣旨ですので、ご容赦のほどお願いします。

ところで、ここまでの報道を見る限り、店長氏の奇行の原因や背景について触れたものは見かけませんでしたが、単なる「キャラの問題」だけに片付けることなく何某かの深掘りのある報道があっても良いのでは、と少し残念に思いました。

本件と関係があるかは全く分かりませんが、コンビニの零細経営者は長時間労働などの過酷な環境に置かれる方が少なくないとも言われており、そうしたものが本件にも関係しているのなら、何らかの報道があってよいと思います。

また、相当以前から地域内で問題視されていたとの報道もあり、どうしてそれが本部などに発覚せずに放置されていたのか(ご家族なども誰も何もできなかったのか)という管理体制上の問題なども、これだけコンビニが「地域の公器」のような様相を呈してくると、社会の関心事として取り上げてもよいのではと思いました。

余談ながら、ドラマ「悪魔のKISS」は、多重債務や悪徳宗教、薬物など様々な社会悪が若い女性に降りかかり、辛酸の末にそれを脱して終了、というストーリーになっていましたが、よくよく考えると、人々がそうした被害に遭わないようにする(遭っている人を救い出す)ことも我々町弁の重要な仕事の一つなわけで、ドラマのような強烈な修羅場には立ち会ったことはないものの、あの事件は一歩間違えれば、と思う経験はそれなりにしているような気がします。

コンビニ業界についても、従事者の就労環境の問題から弁当廃棄(値引禁止)などの問題まで色々と改善されるべき論点はあるように思いますので、そうしたことも視野に入れた報道などを考えていただければと思いますし、我々も、そのことにもっと関わっていければと感じています。

ともあれ、報道によれば大変反省しているという店長氏も、必要に応じた治療的なものも含め、しかるべき法的責任を踏まえつつ、適切な再出発を図っていただければと思います。

知られざる九戸城と白鳥川に還る魂

岩手に戻った翌年である平成17年から現在まで、毎年、お盆期間中の特定の日に「朝から来い」と言われ、晩まで滞在することを余儀なくされています。

これは、私の実家など(地域内で昔から生活する特定の人々?)に地元で親交の深い(神葬祭の関係で付き合いのある?)家々同士(15~20軒ほど?)が、お盆の特定の日に互いの家庭を訪問して神棚を拝んで廻るという習慣が古くからあり、兄(存命中は父も)が他のご家庭を訪問するため、その間、私に実家に滞在して訪問客に挨拶せよ、と命じられていることに基づくものです。

といっても、中学卒業と同時に実家を出て遠方で長く暮らした私には、地元の方々とのお付き合いは(子供の頃にお世話になり現在もご健在のごく僅かな方などを除いて)ほとんどなく、大半の来客が「すいません、どなたでしょうか(毎年この日だけ拝顔していますが、未だに貴方のお名前も素性も何も存じないんです)」状態で、その点は来訪される方々も同様でしょうから、互いに簡単に挨拶(お辞儀)をして終了、という程度のやりとりしかありません。

以前は実家に「来訪者チェックリスト(話題ネタ帳)を作って欲しい」と申し入れていたのですが、何年経っても行ってくれる気配がありませんでしたので「来訪の方々を把握しようとする努力」も諦めて、今は単なる挨拶ロボットになり果ててしまいました。

そんなこともあり「相方の実家にも行かなければならず、起案が山積みで仕事時間が1秒でも惜しい日々が続いているのに、こんな程度のことのために二戸くんだりまで丸一日来なければならないなんて」と無駄にイライラが募り、同行者とも無用の軋轢ばかり増してしまいます。

というわけで、子供の頃は「こんな家はイヤ」と思って飛び出した(近所を手短に放浪した)ことが珍しくありませんでしたので、今回も実家を少々家出することにしました。

で、まずは九戸城周辺に赴き、これまで歩いたことのないエリアを散策した後、穴牛大橋まで歩いて川又方面にUターンした後に実家まで戻ったので、約2時間半ほど、昼間の炎天下の中を散歩したことになりました。

久しぶりに訪ねた九戸城は、いつの間にか本丸の真下(盛岡地裁二戸支部から二の丸の入口までの地元民のための細い生活道路の付近)が整備されており、昔は畑だったところが遊歩道になっていました。ただ、それほどカッチリとした整備はされておらず、そばに少々の湧水が流れてヤンマ類の大型トンボも飛び交っていましたので、相応に爽やかな散歩道と言ってよいでしょう。

で、裁判所の建物のすぐ奥に整備(発掘?)された(昔は多分ありませんでした)道を通って正面部分(二の丸の中心エリア)に来たのですが、そのまま城を出るのも面白くないと思い、これまで立ち入ったことのない石沢館(北東の広場)エリアなどに立ち寄ってみました。

二の丸や本丸は、25年ほど前からの九戸城整備事業により「明るく爽やかな城址公園」になり、昔日の「荒城の月」そのものといった幽玄な様相がなくなってしまったのですが、石沢館はそのような整備(とりわけ地面の草刈りなど)がほとんどなされておらず、霊気あふれる雰囲気を残していたため、好ましく、また懐かしく感じました。

ただ、昔は、二の丸と石沢館の間にある細い道から白鳥川に下って川を渡り川又地区(福岡小学校や二戸市役所などの真下)に向かう小さな道があったのですが、残念なことに、この道が途中で途切れて白鳥川に下ることができなくなっていました。

小学3~4年の頃、人生に疲れたかどうかはさておき、何らかの理由で旧国道(通学路)に沿って帰宅するのが嫌で、この道を通って九戸城に行き、周辺を彷徨ってから帰宅する、ということが少なからずありました。

当時から「九戸城は、上方軍(秀吉・家康連合軍)に戦闘では負けなかったのに、謀略で騙されて城中皆殺しにされた怨念の宿る城」と認識しており、そうした特殊な空間に身を置くこと自体が自身の精神的な安定(回復)と何らかの形で結びついていたのではないかと思っています。

九戸城をざっと廻った後、山中に向かって穴牛大橋を目指しましたが、車ではあっという間に着く距離も歩くとさすがに長かったものの、久しく山登りから遠ざかっている身には「ジョギング好きの人がしばらく走らないと気分が悪くなる(ので、走るとスッキリする)」という感覚が分かるような気はしました。

途中には、田圃の道端にカモ(雁?)の群れが並んで座っている光景もあり、相応に癒やされました。

穴牛大橋を越えたあとは、割とあっという間に川又に戻ったのですが、折角なので白鳥川を見に行くことにしました。

最初に下りたところでは、対岸(川又側)に若干の護岸工事はあったものの、九戸城側は全く人の手が加えられておらず、森の中を渓流が音もなく静かに流れる姿を光がキラキラと包むような、幻想的な光景が広がっていました。

私にとって「日本で一番美しい渓流」は、山登りを始めたばかりの頃に渓谷途中で断念し引き返した、奥秩父の笛吹川東沢渓谷にある「千畳のナメ」だと思っているのですが、この日の白鳥川も水量が少なく川底がナメ状になっていたせいか、千畳のナメに少し通じるものがあるのではと感じました。

また、上述の「福岡小などから九戸城の二の丸に向かう道」も残っており(但し、橋を渡ってすぐに藪になり、そこから城には進めません)、周囲が鬱蒼としているため最初に下りた河岸ほどの美しさはありませんでしたが、相応に渓流美を感じることができる(少し整備すれば、できそうな)様相を呈していました。

九戸城は、四方(主に北面と西面)を断崖に囲まれているにもかかわらず、二戸市役所などには崖下の河川との繋がりを「景観形成(観光PR)としての城郭整備」に活かそうとする姿勢が感じられず、その点は残念に思います。

本丸や二の丸からは白鳥川は臨めませんが、石沢館からは白鳥川に真っ直ぐ落ちる断崖が藪の中に広がり、対岸(川又地区)に布陣した信直軍との在りし日の攻城戦などをイメージできそうな気もしました。

白鳥川は上流にダムもなく増水時には近寄ってはいけない川なのでしょうから、そうしたことも「廃道」の原因となっているのかもしれませんが、「川との繋がり(要害としての利用と、それに伴う中世末期の巨城としての壮観)があってこその九戸城」だと思いますので、二戸市役所などの関係者におかれては、白鳥川の景観を活かした九戸城の整備のあり方、という視点を大切にしていただければと思います。

というわけで、陳腐なキャッチコピーのような一首。

人生に疲れた貴方に九戸城 そして心を漱ぐ白鳥

九戸城は、近年盛んにPRされている「天下統一の最終戦」という位置づけだけでなく、岩手の人々にとっても「盛岡などはここから始まった」と言うべき場所であり、より多くの方に、その意義を理解していただければと思っています。

残念ながらカメラを持参せずに放浪したため写真を添付できませんが、ぜひ現地を訪れて体感していただければと思います。