北奥法律事務所

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岩手県環境生活部との懇談

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑥質問事項その5(アセス、地球温暖化、行政連携など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目(最終回)として、県に提出した質問事項のうち、ILCに関するものなどを掲載します。

第7 その他、環境法全般(公害紛争、アセス、教育ほか)について

◎ 国際リニアコライダー(ILC)とアセスメント等について

本県及び宮城県が誘致に向けて盛んに活動している国際リニアコライダー(ILC)を巡っては、地下が主とはいえ巨大な施設であり高度で未知の研究の実践を伴うことから、ILCが建設された場合の建設中や操業時、稼働終了後に地域の環境に何らかの深刻な負の影響が生じる虞もあるのではと危惧する声も見られますが、それに対する対処については、報道などでもほとんど取り上げられることがないように感じております。

この点、大規模な公共工事などについては、環境に及ぼす影響を事前に調査・公表し住民に意見表明の機会を提供する制度として、環境影響評価法に基づく環境アセスメント制度がありますが、ILCは同法の対象事業には含まれておらず、ILCの設置が決まった後に、設置主体たる国際機関がアセスメントを実施するとか、それに先立ち貴庁が環境の影響に関する何らかの事前調査を行うとの報道を見かけるに止まっています。

実施されるアセスメントが、環境影響評価法に定めるアセスメントと同等以上のものであるか、県のものは岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントを実施するのか、住民には参加・関与の機会が与えられているのか、そもそも(設置するか否かの判断の前ではなく)設置が決まった後にアセスメントを行うということ自体が適切と言えるのか(この点は同法についても同様で、しばしば批判される点と認識しています)、推進の立場を強く表明している貴庁が実施するアセスメントに実効性があるのかなど、幾つかの素朴な疑問を感じないこともありません。

アセスメントに限らず、ILCにつき県民なかんずく建設予定地の周辺住民の理解のもと生活環境上の不適切な影響ないしリスクの発生を防止し安全な設置や運営を確保するにあたり、貴庁において特に課題として取り組んでいることや現行の法規制に関し改善を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第8 地球温暖化問題について

○ 各種バイオマスエネルギーの普及などについて

地球温暖化問題が本格的に取り上げられるようになった十数年ほど前から、バイオマスエネルギーが注目され、近時も藻谷浩介氏の著書「里山資本主義」で国内外の取り組みが紹介されるなどしていますが、現在のところ代替エネルギーとしての利用等は僅かな比率に止まっているように思われ、昨年は木質ペレット製造等を営む県内の企業が破産を余儀なくされる事態も生じています。

広い山林を擁する本県における各種バイオマスエネルギーの普及などに関し法的な課題として貴庁が感じていることなどがありましたら、ご教示下さい。

○ 民生部門のCO2排出減の対策としての規制的手法について

地球温暖化問題については、これが盛んに取り上げられていた時期(震災前など)には、経済的手法(ガス発生抑制による事業者の受益など)のほか、規制的手法(店舗の深夜営業規制をはじめ何らかの電力利用規制をするもの)についても議論があったと思われます。

現在も民生家庭部門と民生業務部門で排出量の増加が顕著とのことですが(当県平成26年環境報告書8頁)、規制的手法の導入やそれに類する自主的取組みなどに関する県内世論の把握ないし貴庁のお考えについてご教示下さい。

第9 公害・環境問題などに関する当委員会ないし当会と県との協働などについて

◎ 公害・環境に関する県組織と弁護士会(当委員会)との連携について

県民生活の向上などを目的とした貴庁と当会との協働に関しては、例えば、岩手県民生活センターと当会消費者問題対策委員会、岩手県福祉総合相談センターと当会高齢者・障害者支援センター委員会などが連携して各種相談事業を行うなどの取り組みが代表例として指摘できると思われますが、公害・環境に関する分野(生活環境上の被害などを含む)については、これまでそのような取り組みは特段なされていなかったと思われます。

当該分野に関し、貴庁と当会が消費者分野や福祉分野のような何らかの連携・協働関係(例えば、公害・環境・生活被害に関する相談企画ないしその支援、規制基準などの照会対応・調査の協力など)を持つことができるか、仮に持ちうるとすれば、その窓口となる部署はどちらになるか(環境生活部か、岩手県環境保健研究センターか、各広域振興局か、それ以外か)、実施にあたり生じうる課題など、この点に関する貴庁のご意見をお聞かせ下さい。

◎ 県の審議会などへの委嘱について

現在、公害・環境分野に関する貴庁から当会会員への各種役職の委嘱については、公害審査会の委員として選任されている会員がおりますが、他には(当委員会としては)把握できておりません。

弁護士大増員政策の影響などから、本県で活動する弁護士の多くが公害・環境分野に限らず従前に弁護士の関与が乏しかったとされる様々な分野への従事を希望していますが、公害・環境分野における貴庁の業務ないし活動との関連で、弁護士の関与や就任などが望ましいと感じているものがあれば、お聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑤質問事項その4(湿地・自然災害・ダム、化学物質など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目として、県に提出した質問事項のうち水環境に関するものなどを掲載します。

第5 水環境・需給政策などについて

○ 湿地・湿原の保全について

現在、県内の幾つかの湿地・湿原が面積減少ないし消滅の問題を抱えていると言われており、近時の報道では、山田町の船越半島にある小谷鳥湿地の農場(圃場)造成による消滅(岩手日報平成26年4月9日論壇)、春子谷地湿原の土砂流入による面積半減(朝日新聞本年1月8日)などが指摘されています。

湿地・湿原については、生物多様性をはじめ生活環境の保全等の見地から多くの重要な機能を営むものとして、ラムサール条約をはじめ世界的に保全を重視する傾向が見られ、沖縄県の泡瀬干潟のように開発を巡って訴訟が生じる例もありますが、本件では全国的に著名な湿原などが見られないせいか、湿地の保全や利活用等について話題になることは少なく、上記のように僅かに残る小規模な湿地群も多くが消滅等の危機に瀕しているように思われます。

湿地保護・保全に関する貴庁の対策に関し特に紹介できるものや法的な検討を要する論点などがありましたら、ご教示下さい。

○ 豪雨被害などに関する原因や対策について(開発行為などの問題)

平成25年夏に県央部で大規模な豪雨災害が生じるなど、近時は他県を含め、内陸部でも水に関する自然災害が生じていますが、平成26年に広島市で生じた土砂災害のように、もともと災害リスクが高い土地に宅地開発がなされたこと自体に問題があったのではと感じる例も見受けられ、訴訟等に至る例も生じるのではないかと思われます。

豪雨災害に限らず、先の震災を含む自然災害による被害に関し、開発行為などがなされたことで被害が拡大したと見られる例や、そのことを通じて開発行為の規制(による既存の自然環境などの保全)の必要性を感じた例、現に今、その教訓を生かして取り組んでいる例などがありましたら、ご教示下さい。

○ ダム開発(脱ダム問題など)について

我が国ではダム開発を巡り数十年に亘り多くの反対運動などが生じ、近年では八ッ場ダム建設などを巡って事業の不要性や公金支出の違法性を主張する住民訴訟が生じたほか、一部の県知事や民主党政権が「脱ダム」を唱えて中止等に及ぶ例もありました。

他方、本県ではそうした動きはほとんど見られず、気仙川流域の津付ダムが平成26年に中止の発表がされたのを除き、胆沢ダムや現在も工事中の簗川ダムなど、大きな反対運動や訴訟等が生じることなく粛々と開発や建設が進んだ(進んでいる)ように見受けられます。

他県と本県とでそうした違いが生じた原因・背景のほか、ダムをはじめとする周辺の自然環境などに大きな影響を生じさせる大規模な公共事業に関する現在の法制度について特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第6 化学物質・食品安全などについて 

○ 科学技術の発展に伴う新種の公害・環境被害について

かつて社会問題として注目されたシックウハウス症候群やアスベスト問題、近年に注目されている電磁波問題(携帯基地局周辺の被害申出)、風力発電やエコキュートなどに関し言及されている低周波騒音、農薬及び遺伝子組み換え食品など、科学技術の進展に伴い新たに開発される、化学物質をはじめとする身体に有害な影響を及ぼしうる物質等の利用に関して、県内で顕著な被害申告などが寄せられる例がありましたら、貴庁等で行われている対処、対策なども含めてご教示下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題④質問事項その3(自然保護、景観など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の4回目として、県に提出した質問事項のうち、自然保護、景観に関するものなどを掲載します。

第3 自然保護(自然・生物保護、生態系、自然公園等、森林等の保全)について

○ シカ等の食害対策について

近時、五葉山や早池峰山などのシカ等の食害(農地や稀少植物の被害)が頻繁に報道され、狩猟従事者の減少や気候変化などが原因として指摘されているように見受けられます。野生生物保護と生態系や農林業被害の防止などの両立という観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第4 大気・都市環境・生活環境・アメニティなどについて

○ 防潮堤建設による弊害(景観の毀損など)について

現在、本県沿岸被災地の各所で高さ十数メートル規模のコンクリート製防潮堤の建設が進んでいますが、防災等の実効性の存否や海岸が視界から外れることなどによる弊害(防災意識、漁業関係者の不都合、生態系などへの影響のほか地元民の海と共に生きる意識の減衰など)、景観問題などについて住民等の議論や関心が喚起され、政策形成等における住民参加のあり方や、急ピッチで建設が進んでいることの原因の一つとされる国の補助金支出のあり方なども問われているように思われます。

防潮堤の建設問題に関する環境生活部の関わりと、防潮堤の建設等に関して環境の保全(環境基本法)や良好な景観形成の促進(景観法)などの観点から現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ まち並みや農山漁村の景観等の保全について

近年、城下町・宿場町・門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存や復元などが注目され、現在は農山漁村の自然及び文化的景観を含め、地域の文化的アイデンティティへの貢献や外国人観光者・移住者なども視野に入れた地域固有の景観等の保全や利活用が求められていますが、他方で、地域内の著名建築物などが道路開発により失われたりマンション等に建て替わるなど、個々の地域内では保全よりも喪失に関する話題も珍しくなく、被災地の防潮堤も同様の問題を孕んでいるように思われます。

まち並みや農山漁村の景観等の保全或いはこれと私権とを調整する観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ 生活環境に関する新種の被害・紛争について

昨年は、大都市圏では住宅密集地に保育所を建設し近隣住民から騒音問題の苦情が出るなど、生活環境に関する紛争に関し、従前とは異なる新たな問題が取り上げられるようになってきたと思われます。

各種の生活環境(騒音、振動、悪臭、水質汚濁など水利用、土壌汚染など土地・地盤の利用ほか)に関し、ここ数年の貴庁の業務などを通じ、本県内で特に問題が生じていると感じる事項(分野・紛争類型)や現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

 

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題③質問事項その2(廃棄物関連など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の3回目として、県に提出した廃棄物関連などの質問事項を掲載します。

第2 資源循環・リサイクル・廃棄物関連について

○ 新クリーンセンターについて

昨年、いわてクリーンセンターの後継となる県の関与に基づく産業廃棄物最終処分場の設置について、八幡平市平舘地区を候補地とすることが定まったとのことですが、操業開始までに必要となる作業や権利関係の調整などに関し、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 軽米町の産業廃棄物最終処分場問題について

軽米町で建設が計画され地元住民などの反対運動がなされている産業廃棄物最終処分場について、報道によれば、昨年末、事業者が貴庁に施設の設置許可の申請書を提出したととされています。

報道では、反対住民側は予定地が河川に隣接することなどを理由に設置又は維持管理に関する基準を満たさないと主張しているように見受けられますが、当該問題で貴庁が把握されている争点の概要などをご教示下さい。

○ 廃棄食品の転売問題と予防策について

先般、愛知県の産廃中間処理業者が大手カレーチェーン店から処理を受託した廃棄カツ類を処理せず他社に有価物と称して転売していたとされる事件が発覚していますが、本県内では同種事案を防ぐため実効性ある特別な取り組みがなされているのでしょうか。未然防止はもちろん、排出・生産抑制も含め、導入の必要があると考える制度などがありましたら、お聞かせ下さい。

この点に関し、日弁連では平成22年に本県で開催した人権擁護大会において、電子マニフェストを通じて廃棄物処理情報を追跡・把握するシステムの導入を提言していますが、そうした制度があれば、相当の期間内の最終処分業者への焼却灰の埋立委託の有無を委託主である排出事業者に報告する作業などを通じ、この種の偽装・横流し事件を防止できた可能性もあると思われます。併せてご意見をいただければ幸いです。

○ 処理未了の腐敗廃棄物を残して倒産する企業への対策について

平成26年に県内で家畜の死骸や動物性残渣などの処理を行っていた企業(東北油化㈱)が自己破産を申請し、事業所に残置されていた廃棄物の処理が問題となりました。報道によれば平成27年中に完了したとのことですが、仮に、処理費用を自ら賄うことができなかった場合、事業所の悪臭問題等の事情から行政代執行を余儀なくされる事態もあり得たのではないかと思われます(報道によれば、当初は、廃棄物処理の費用の捻出が可能かも危ぶまれていたように見受けられます)。

同種の問題の予防のほか処理業者の倒産による原状回復の公費転嫁の問題の対処として、現在、貴庁が取り組んでいることや制度或いは事業者側の実務の改善などを求めている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 県境不法投棄事件の総括と跡地利用について

県境不法投棄事件については、廃棄物及び汚染土壌の撤去等については作業の大半を終えているとのことですが、産廃特措法に基づく特定支障除去事業の開始から現在まで、原状回復事業の遂行にあたり、法制度面で特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

また、排出事業者への責任追及など同事件に関してこの10年強の間に貴庁が取り組まれてきたことで、現行法の不備ないし限界として特に改善を希望する点などがありましたら、お知らせ下さい。

また、不法投棄現場の跡地利活用については青森県では同県サイトや地元紙などで植樹祭などが紹介されているのに対し、当県では報道などで取り上げられることがほとんどないように思われます。この点に関し貴庁の方針や従前の取組みなどで、特筆すべき点がありましたらご教示下さい。

○ 震災(大津波)に伴う災害廃棄物の処理と広域移動について

東日本大震災津波により生じた災害廃棄物については、国の支援により仮設焼却炉が設置されたほか、一部の廃棄物が遠方に搬出される(広域処理)こともありました。他方、広域処理については、受入側の住民に原発被害に付随する非難のほか処理費用そのものも割高ではないかとか仮設焼却炉についても短期間で稼働を終了させることなどに税金の無駄ではないかと主張する意見もあったように思われます。

一連の作業などを通じ、貴庁において特に制度改善を要すると感じた点、仮に同種災害が生じた場合に異なった運用を要すると感じた点などがありましたら、ご教示下さい。

○ リサイクル分野などに関する近時の論点について

その他、廃棄物処理、発生抑制、リサイクルなどの分野に関する県内の事業者の活動などについて、特に問題があると感じている例などがありましたら、お聞かせ下さい。近年は、食品廃棄物や家畜排泄物などからバイオマス発電等を行う事業なども開始されていますが、環境分野の法令との関係で問題となる事例や現行法制に改善を要すると感じる点などがあるようでしたら、併せてお聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題②質問事項その1(エネルギー、原発事故被害など)

前回の投稿に続けて今回から県庁との懇談会で使用した質問事項を掲載します(少し表現を修正しています)。

質問事項は、当委員会で今後の課題として取組みを検討・希望している事項の一覧を列挙したものですが、当日の懇談事項として特に優先させたものにつき、◎を付しています。

今回の目的は、県庁の特定の活動に疑問等を呈して議論を挑むことではなく、現在の様々な課題に関する県の取り組みを拝聴しつつ、現行の法制度の内容や運用に関する問題意識(改善を要する点やそのあり方)を質問するということに重きを置きましたので、問いの仕方もそうしたコンセプトに基づくものとなっています。

ですので、個々の質問内容については、食いつきが足りないというご批判もあるかもしれませんが、それはそれとして、県内で公害・環境などの分野に関心を持って取り組んでおられる方々に参考にしていただき、弁護士会との連携なども検討していただければ幸いです。

第1 エネルギー問題と原発事故被害(汚染廃棄物問題を含む)

◎ 自治体の原子力紛争解決センターに対する賠償請求

原発事故の被害について、貴庁及び県内自治体が原子力紛争解決センターにこれまで申し立てたADRについて、損害発生や因果関係の認定に関し、特に問題となった点(東京電力が強く争ったものの和解案で認められたものや貴庁が強く勝ち取りたかったものの退けられた点など)がありましたら、ご教示下さい。

◎ 岩手県内の民間被害などに関する実情と県の把握

原発事故の被害については、平成25年に原子力損害賠償紛争審査会から風評被害に関する第三次追補が公表された際、貴庁の主催などにより県内の事業者向けの風評被害の賠償請求に関する説明会も開催されたものの、その後は賠償請求の問題については貴庁らのADRを除き報道で取り上げられることがほとんどなく、被害及び賠償請求等に関する実情を掴みかねるところがあります。

当会内でも、当委員会や被害対策弁護団などが窓口となって無料相談事業や事件受任を行っていますが、件数としては大きなものとなっていません。

被害状況や賠償等の実情の把握に関する貴庁の取り組みや今後の課題などに関し特筆すべき点がありましたら、お聞かせ下さい。また、県内の民間被害(事業者・個人、県民・避難者などを問わず)の把握に関し、何らかの調査(アンケート等を含む)を行っている場合は、その結果などをご教示下さい。

○ 汚染廃棄物の処理や保管について

放射性物質に汚染された廃棄物の処理などに関する問題について。本県では8000Bq/kgを超える指定廃棄物の量は環境省サイトによれば475t(焼却灰が200t弱、その他275t)とされ、宮城県などと異なり最終処分場の設置も予定されていません。他方、焼却時に8000Bq/kgを超えると見込まれる汚染稲わら、牧草について、他の廃棄物と混合焼却して焼却灰を埋め立てているとの報道がありますが、混焼については有害物質の拡散であるとして焼却も含めて批判し、線量減衰まで焼却せず長期保管すべきとの意見もあると聞いています。

また、日弁連の平成27年の報告資料(人権擁護大会第三分科会の基調報告書156頁)によれば、宮城県では8000Bq/kg超の稲わらでも指定廃棄物の指定申請をせず県が厳重に管理するものがある一方、基礎自治体が国の委託で保管している指定廃棄物についてビニールハウス内で仕切り板等のない状態で置かれている例もあるとされています。他にも、埼玉県は指定申請をせず全て県が保管しているとの報道(日経新聞平成26年9月29日)もあります。

県内における指定廃棄物の処理(埋立)や混焼、焼却前の汚染廃棄物の保管などに関し、以上を踏まえ、貴庁の取り組みとして特筆すべき点や法的な課題として把握・認識されている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 太陽光や風力による発電施設の設置や維持管理について

現在、県内各地で太陽光発電施設(メガソーラー)の建築が進むほか、風力についても県北や北上高地などで大規模な設置計画が構想されているとの報道を多く目にします。他方、これらについては、安全面の不安や運営企業が倒産等した場合の将来の撤去等の確保、景観・反射光・低周波音など周辺環境及び近隣住民との調和など様々な課題も述べられるようになってきたと思われます。

当方もまだ不勉強ですが、これらの構築物に関し廃棄物処理法のような詳細な設置及び維持管理の規制があるのか(設けなくてよいのか)など様々な課題が未整備ではないかと感じているところです(Webで検索する限りでは、一定面積を超える施設につき自治体への許可申請を要する条例があるとか、山梨県が設置に関するガイドラインを策定したなどの記事を見かけます)。

メガソーラーや風力発電施設の設置や維持などに関する法的な課題として、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 地熱発電に関する施設の設置について

地熱発電については、盛岡市繋地区や雫石町(八幡平エリア)などで発電所の設置が検討されているとのことですが、周辺環境の保全ないし乱開発などに伴う被害の防止、温泉業者をはじめとする利害関係人との権利関係の調整など、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題①前置など

先日、私が委員長をつとめている岩手弁護士会の公害対策環境保全委員会(以下「当委員会」といいます。)の企画で、岩手県庁(環境生活部)との懇談会を行いました。

県庁との初めての懇談企画ということもあり、岩手県内の様々な公害・環境問題などを中心に叩き台となる質問事項を作りましたが、私の準備不足等もさることながら1時間足らずの会合ということもあり、さほどの協議はできておらず、その点は残念でした。

せっかく作ったこともありますので、次回から計5回に分けて質問事項を掲載しますので、県内の公害・環境問題に関心のある方は、参考にしていただければ幸いです。

今回の企画は、当委員会の活動の一環として県内で生じている各種の公害・環境問題に関する実情やそれを行政がどのように把握しているかを調査し今後の具体的な活動の検討材料にする目的で行ったもので、特定の事件についての調査や提言などを目的としたものではありません。

また、当委員会は数年前に設置されたのですが、深刻な公害問題の発生や弁護士の関与が長年ほとんどなかった岩手の実情もあって、公害・環境問題が絡む訴訟を本格的に手掛けた者が委員にもほとんどなく、活動としては今も手探りの状態が続いています。

岩手弁護士会では、消費者問題や高齢者・障碍者対策の委員会は、県民生活センターや県の福祉センターと幅広い連携(相談会などを含む)をしており、私も相談担当などでお世話になっているのですが、公害・環境分野に関しては、行政に限らず各種団体との繋がりが今も皆無といって良い有様です。

そのため、活動の幅を拡げるための「挨拶廻り」の意味合いも兼ねて、まずは県庁(環境生活部)との意見交換の場を設けるべきではないかという話になったものです。

「懇談」の叩き台として質問事項書を作ることにしましたが、平成26年の県の環境報告書などを参考に県内の公害・環境に関する分野、問題を広く取り上げつつも個別テーマごとに突っ込んだ検討はせず、ざっくばらんな懇談のための素材として作成しました。

質問事項の構成は、県の報告書のほか日弁連の同系列の委員会の活動を参考に次のとおりとしました。

第1 エネルギー問題と原発事故被害
第2 資源循環・リサイクル・廃棄物関連
第3 自然保護(自然・生物保護、生態系、自然公園等、森林等の保全)
第4 大気・都市環境・生活環境・アメニティなど
第5 水環境・需給政策など
第6 化学物質・食品安全など
第7 その他、環境法全般(公害紛争、アセス、教育ほか)
第8 地球温暖化問題
第9 その他、環境が関連する問題(低周波騒音、対外関係、ILCなど)

個々の質問事項は次回に紹介しますが、当日は予定時間が1時間程度ということもあり、最初の質問項目である原発絡みで時間の半分以上を費やし、あとは廃棄物絡みの論点や県と弁護士会との連携のあり方について、幹部の方(県境不法投棄事件の発覚段階などで重要な役割を果たした方でした)からの要点的なご説明を踏まえ若干の懇談をしたという程度に止まりました。

内容面でも、原発被害に関する県庁の取り組みに関するご担当の説明を拝聴しているうちに時間切れになったという面は否めず、その点は説明を遮ってでも論点に切り込み議論すべきということで、当方の力不足も否めないとは思います。

それでも、地元の弁護士が、公害・環境に関する問題に幅広い関心を持ち県民ないし地域社会に役立とうとする意識を持っていることについて相応の理解は得られたと思われ、「公害・環境分野の人権保障等に関する弁護士会と行政との連携」について、今後に繋がる点はあったと思いたいところです。

次回から掲載する質問事項も、岩手の現在の公害・環境問題に関するちょっとした論点整理集という形で多少は参考していただけるのではと思いますし、この投稿のような形で対外的に発表して様々な方の関心を喚起したいという面も含め、そうしたものを今後に生かしていければと思っています。