ここ1、2年に読んだ本②~政治・政策系~

前回の投稿に引き続くプチ書評シリーズの第2回です。

【政治学・政治系】

國分功一郎「来るべき民主主義」幻冬舎新書

私は、現代の社会では、間接民主制(議会制)は色々と限界や弊害を示している点が多く、現代に適合した形で、一定の直接民主主義的な契機(一人一人の特性に即した政治過程や行政などの統治作用への参加)の促進が求められると感じています。

道路の拡張を巡る住民投票への取り組みなどを通じて、現代の民主政治のあり方について、気鋭の若手政治学者らしい理論的な分析などを交えて述べられており、読み応えのある一冊だと思います。

常井健一「誰も書かなかった自民党」新潮選書

平成23年から同25年まで自民党の青年局長を務めた小泉進次郎議員の活動ルポを皮切りに、「総理の登竜門」とも目される自民党青年局長の活動の実情について取材、説明した本です。

一読した印象として、青年局に所属し出世していく議員さんは、いわゆる「党人派」の方が多く、裏を返せば、官僚など別業界で重きをなした後に政界に進出した方とは権力闘争などで(ひいては政策ないし政治理念も)、一線を画した行動をとることが多いのだろうと思いました。

また、政治家として生き残っていくためのマインドやノウハウ(仲間・同志の作り方)という意味でも、その業界で生きる方(或いは、弁護士を含め、ご自身の業界内での「権力闘争」に身を投じている方)には大いに参考になる本だと思います。現在の政治状況にあっては、民主党をはじめ野党勢力にもっと頑張っていただきたいので(支持者ではありませんので、現有議席差や目下の争点を踏まえた政治活動の質の向上という意味です)、民主党の若手関係者の方々には、ぜひお勧めしたい一冊です。

余談ながら、「あとがき」で、著者の祖父が長年に亘り政治活動(県会議員?)に身を投じた方で、引退後は、自宅で「抜け殻のような余生」を送ったとの記載があり、私の祖父も、僅かな期間ですが、岩手県議会議員を務めたことがある(その関係で私の実家は大変な思いをしたそうですが)ことと重なり、著者ひいては本書にも、ある種の共感(と、私自身は、そうした世界に身を投じずに生きることができた(適性もなかった)ことへの、安堵感や申し訳なさなど)を感じることができたように思います。

著者は、「若い時代から地道な政治家活動に身を投じて生きてきた人々の世界」を描くことで、亡き祖父と向き合えたと述べておられますが、私が、政治的な事柄についてブログなどであれこれ書いたり考えたりしているのも、祖父とそうしたことについて対話できなかったこと(私の祖父は、私が3歳位の頃に亡くなっています)が、その背景にあるのかもしれません。

【地方政治・地域社会・まちづくり系】

増田寛也編「地方消滅」中公新書

山下祐介「地方消滅の罠」ちくま新書

人口減少問題の警鐘本として一世を風靡した増田もと岩手県知事の本と、同書(或いは、地方の中核都市の機能強化など同書で提言されている幾つかの政策)への批判とアンチテーゼの提言を目的に書かれた本です。

増田氏本は、総論やその前提としての人口状況などの分析には注目すべき点が多々あるのですが、「解決策に関する各論」については、首肯しかねるように感じる点も幾つかあります。

他方、山下氏本は、総論部分或いは増田氏本への批判を述べている箇所は、ちょっと言葉がきつすぎるというか、価値判断ありきで首肯しかねる部分もありますが(特に、増田氏本が「数字の裏付け」を強調している分だけ、理屈中心で裏付けが乏しいという印象を受ける面があります)、各論については、住民票の二重登録(複数の地域に基盤を持つ多重的生活を営む人を保護するための制度づくり)の下りなど、具体的で共感できる点も多くあるように思いました。

総じて、増田氏本は、もっと踏み込んだ記載が欲しい、山下氏本は、もっと抑制したトーンで書いて欲しい、という正反対の読後感がありましたが、今後の社会のあり方を考える上では、補完的な関係にあるものとして双方とも読まれるべき本だと思いました。

木下斉「稼ぐまちが地方を変える」NHK出版新書

今年の7月頃に読んだ本で、この本については稿を改めて書くことにします。
稼げない町弁が地方の司法を変える?~裁判を活かす10の覚悟~

山崎亮「コミュニティデザインの時代」中公新書

無縁社会などと言われる現代で、地域に新たなコミュニティを創造して活性化させることを目的とした事業に携わっている筆者が、そうした仕事が必要とされるようになった背景やご自身の経験、コミュニティ作りの手法的なことなどを説明した一冊です。

私は、盛岡JC在籍時に何度か「ワークショップ」と称する会合に出席したことがあるのですが、集まった大人達が付箋紙に雑多なことを書いて大きな紙にペタペタ貼り付けて談笑するという営みになじめず、辛辣な言葉が飛び交うシビアな紛争で相手方の主張と闘うため事務所で事件記録や文献と睨み合う孤独で陰鬱とした作業の方が性に合っているせいか、本書で描かれている「コミュニティデザインの現場」には、正直なところ、強い苦手意識があります。

ただ、地域社会が置かれた状況に関する著者の認識を説明されている箇所や、その解決策として新たなコミュニティを、社会づくりの思想という観点も交えて設計し、そこに建築家をはじめとする各種の専門家がサポートしていくという観点は、大いに共感しますし、それだけに、「よもやま話のメモのペタペタ作業などで終わるような空しいイベント」ではなく、私自身が培った技能などを大いに生かし、現に社会に役立つものを残すことができるような形で、「コミュニティデザイン」というものに関わることができればと感じています。