中小・零細企業の事業承継や事業譲渡と弁護士への相談等を巡る地方の実情

昨日の岩手日報で、県内企業の4社に3社が事業承継を経営課題ととらえているとの記事が出ていました。

先般も、ウイルス禍の関係で全国的に小規模事業者の事業譲渡等(M&A)が増えているとの記事を見かけています(今は削除されてしまったようです)。

私も、少し前、関与先の会社さんの事業譲渡に関する株主総会の特別決議のための総会招集などのお手伝いをしたことがあります(諸事情により、総会も当事務所で行いました)。

その事案はさておき、一般論としては、小規模企業の事業承継、M&Aなどでは譲渡側企業に何らかの法的課題が生じていることが多いので、

①購入側は一定の情報・資料が揃った時点で何らかの法的リスクがないか調査する、

②譲渡側も、事業以外の点(相続対策など)も含め、事業や経営者の現状・概要をまとめて、現時点で行っておくべき方策がないか調査する、

という形で、(高額報酬になるのであろう東京の専門の弁護士さんだけでなく)我々のようなフツーの弁護士にも相談等いただいてよいのではと思います。

我々は、事業自体の値段の査定をするのは難しいでしょうが(それは会計士さんなどの仕事)、リスク査定やそれを踏まえた対策などを提案或いは対処すること(価値の変動要因の指摘を含む)は、マチ弁の通常業務を通じて日常的にやっているはずですので。

M&A会社などから一定の調査資料の提供を受けられるなら、それを預かり精査すれば、基礎的なコメントは、すぐにできそうな気がします(事前準備が適切になされていれば、タイムチャージ費用もさほど高額にならないケースが多いでしょう)。

これに対し、とりわけ譲渡側で、それら資料が何もない(ご自身も資料等の準備もなさらず相談にいらした)という場合は、基礎的な聴取等だけで馬鹿にならない時間=経費を要することになりそうなので、準備・聴取用のマニュアル的なものがあればと思ったりもします。

5年以上前、県内の小規模事業者の方から

「自分の事業を譲渡したい、貴方は役に立ってくれるか」と相談され、

「事業に値段を付けたり買い手を探すなどの作業は私にはできないので、M&A会社に相談して下さい。ただ、それを通じて一定程度まで話が進み資料が揃えば、それらを拝見して内在する法的な問題の検討や事業評価のあり方も含め、役に立てることはあると思います」

と回答して終了したところ、結局、その後アクセスを受けることはなかったという経験をしたことはありますが(営業的には落第点ということになるのでしょうか)、そうした形で弁護士を活用する文化・慣行を育てていただければと思っています。

何年か前に、岩手県議さん達と弁政連岩手支部との懇談会でも、似たような話をした記憶があります。

が、その後、県議さんからは、誰一人、「詳しい話を聞かせて」「支援者の相談に乗ってくれ」などとと打診されることもなく、今日も、ほそぼそとマチ弁仕事に明け暮れているところです。