乳幼児の窒息事故・無呼吸状態と保育園の賠償責任

登園時間中の園児が睡眠中に無呼吸状態となり、心肺停止の結果、死亡や重篤な障害が生じた場合に施設側の賠償責任の有無が問われた裁判例が、幾つか公表されています。

最近の例として、「未認可保育園で睡眠中の幼児X1(1歳2月)が、一時無呼吸状態となり、低酸素性虚血性脳症(障害等級1級)という重篤な後遺障害を残したため、X1及び両親X2・X3が、保育園の経営者Yに対し1億3000万円強の賠償を請求した例」が紹介されています(横浜地裁川崎支判H26.3.4判時2220-84)。

判決では、X1の心肺停止の原因は不明で、X側で主張した態様(窒息)とは認め難いこと、Yに保育上の注意義務違反や救護義務違反が認められないことを理由にXらの請求を全面的に棄却しています(但し、控訴中とのこと)。

解説によれば、乳幼児の窒息に関する前例の多くは、原因不明として保育士らの過失が否定されているものの、一部に乳幼児突然死症候群との医学的所見を排して保育士らの過失を認めた例もあるそうです。

予防こそが最も大切な事柄ではありますが、より深刻な事態を防止するためにも、保育事業に携わる方やお子さんを預けている方々に、保育上の事故や登園中の重篤な病気に関する裁判例を通じて、どのような状況下で事件が起きているか、事件が起きたとき関係者がどのように行動しているか、それらについて裁判所がどのように評価=賠償責任の有無等を判断しているか、学んでいただき、予防等に活かしていただく機会があってよいのではと感じています。