優秀な御仁が無用の厄災や敵意を招く光景の根柢にあるもの
半月ほど前の山尾志桜里氏(もと衆院議員)の参院選出馬を巡る迷走劇については、社会の支持が広く得られるか否かを読み誤った同氏らの判断の稚拙さは否めないのでしょうし、国民民主党の体たらく印象づけることにもなりましたが、同氏を敵視する人のあまりの多さに、どうしてこれほどまでにこの方は嫌われてしまうのだろうと、気の毒に感じざるを得ない面もありました。
私自身は同氏の醜聞や世間のバッシングにさほど関心はありませんが、広義の同業者(法律実務家)であることに加え、仕事柄、不倫を巡る紛争には山ほど関わっていますので(私自身の経験ではないです。念のため)、世間一般の方々とは異なる角度から、この御仁の行く末には関心を抱いてしまう面はあります。
昔々、検察庁の内情に詳しい方から、山尾氏が最初に衆院選に出馬された際、庁内(直接の勤務庁など近しい方)でかなり顰蹙の声があったという話を聞いたことがあります。
詳細は存じませんが、そのタイミングで検察庁を辞めて選挙に出るのは、色々な人の迷惑になるのに、という話があったと伺った記憶です。
ただ、能力が高く弁の立つ方であることは確かなのでしょうし、掲げている政策や理念は穏当なものだと思いますので、事前に関係者の内諾を得るなどして事実関係を可能な限り誠実に説明した上で、相当の長期間、政策実現の裏方として社会内で信望を得る再下積みを重ねていれば、復活の可能性は十分あったと思われます(近年はそうした活動をされていたように思いますし)。
玉木氏を含めて、優秀な方々が万能感に伴う過信と何某かの欲に負けて、信なくば立たずという「きほんのき」も忘れて自滅してしまったというほかないのでしょうし、それ自体は残念なことと感じると共に、我々も他山の石だと銘ずべきかと思います。
山尾氏がどうこう言うつもりはありませんが、優秀な方が、他者は簡単に手にすることができない様々な「人がうらやむもの」を次から次に得ようとすると、仕舞いには恐るべき災厄まで招き寄せてしまう面は否めないように思いますし、そのことはブログでも過去に記事を書いたことがあります。
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或いは、災厄を招くのを防ぐ唯一の手段は、自分が得たもの、得ようとするものを上回るだけの幸せを他の多くの人々に提供し、社会に尽くしていく、また、その努力をし続けることしかないのかもしれません。
今回の参院選は厳しい結果が予測されますが、山尾氏も厳しい試練を乗り越えて、社会全体そして人々のため、ご自身にしか実現できない価値を様々な立場で創出していただければと思っています。