公会堂多賀の閉店と「地域に愛される著名店の突然死」を防ぐために弁護士ができること

新渡戸稲造博士と縁が深く「新渡戸メニュー」でも知られた盛岡を代表する飲食店の一つである公会堂多賀が、残念な形で閉店するとの報道が出ていました。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20170401_3

私自身は10年以上前に昼食で2~3回ほどお世話になっただけで、夕食にお邪魔することができずに終わってしまいました。

しばらくは家庭の事情などできちんとしたレストランに入店するのが容易でなく、そろそろ行けるかな、行きたいかなと思っていた矢先だっただけに、非常に残念です。

最近になって急に張り紙が出たようですが、できることなら1ヶ月以上前に予告の通知をしていただければ、「さよならディナー」をしたかったという方は、きっと私だけではないというか、恐らくは客が殺到したのではないかと思われます。

新聞記事では自己破産の可能性が示唆されていましたが、私自身は関わっておらず、市内の同業の方がすでに受任されているのかもしれません。街を代表する飲食店の一つということもあり、関係者の正当な利害に配慮した適切な対応がなされることを期待したいものです。

盛岡の著名店の倒産という点では、私自身は5年以上前に大通のシンボルの一つと言われていた楽器店さんから債務整理の依頼を受け、破産申立等の作業を行ったことがあります。

その件では、諸般の理由から突然に閉店することはせず、私の提案で2~3ヶ月ほど「さよなら閉店セール」をさせていただきました。

もちろん閉店セールの売上は、その間の従業員さんの給与など正当な経費を除きすべて管財人に引き継いで債権者への配当原資とさせていただいており、債権者の方々にも事情を説明して何らの混乱も生じませんでした。

主たる動機(原因)は内部事情によるものですが、地域の方々が愛着を持っている店舗であることは、私自身も過去に利用歴のある顧客の一人として存じていましたので、閉店セールを行ったことは、お店に愛着を持つ方々が、それぞれの立場で「お別れ」の形を持つ機会を提供できたという点でも、正しい判断だったと今も思っています。

公会堂多賀さんも相応の事情があるのだろうとは思いますが、早期の着手や弁護士への相談の仕方などによっては「さよならセール」があり得たのではと、その点は強く残念に感じてしまいます。

「新渡戸メニュー」をはじめ店名そのものも含めて一定の財産的価値があると言ってよいのではと思われ、盛岡市内の飲食店さんなどが営業譲渡に名乗りを上げて、復活させていただければと思っています。

10年ほど前、高齢のおばあちゃんが営む県北の小さな弁当屋さんの閉店のお手伝いをしたことがあります。

その弁当はかつて「名物駅弁」として親しまれ(地元の著名作家の方の熱い記事も見たことがあります)、私も大変美味しくいただきましたので、可能なら、レシピを譲り受けて継承していただける方がおられればと思っていましたが、そうした面ではお役に立てることのないまま終わってしまいました。

経営などについては栄枯盛衰の問題は避けて通ることはできないのでしょうが、地域の誇りになる味やブランドについては、花巻のマルカンなどを引き合いに出すまでもなく、良質な承継のあり方や仕組み作りなどに熱意をもって取り組む方が増えていただければと思っていますし、そうした営みに地元の町弁たちもお役に立ちたいと願っていることもまた、心に留めていただければと思います。