議員定数(総数)の削減と立法府の役割

先日の総選挙では、前回の総選挙に先だって解散を決めた野田前首相が、議員定数の削減を与野党の共通課題として安倍総裁も同意したのにそれを反故にして解散をしたとして、厳しく批判する一幕がありました。

私も、現在の国会の様子を拝見する限りでは、削減に反対する立場ではないのですが、前提として、国会議員とはどのようなことをすべき仕事であるか(どのような人が選ばれ、何をすべきか)についての議論(意見ないし認識の集約)が必要ではないかと思っています。

この点、国会議員が、「官僚が準備する法案の承認と税金(利権)の分捕り合戦をするだけの仕事だ」というのであれば、少数で十分だとか、素人や業界代表だけでも足りるので報酬も減らせ(タダでもよい)ということになるのかもしれません(言い換えれば、数を減らせ、報酬を減らせという主張は、そうした政治システムと結びつきやすいとの意識が必要だと思います)。

しかし、議員のあり方をそれでよしとするのは、民主政治という観点からは、いささか寂しい主張のように感じます。

他方、民主党政権が試みた?ように、議員一人一人を行政府にドシドシ送り込んで行政の活動に密着させ、様々な分野で影響力を行使させるべきという考え方に立つのなら、人数もそれなりに必要だとか、人材確保の見地も含め、報酬もそれに相応しい額にすべきということになると思います。

また、その場合には、「威風堂々中身無し」という形容があてはまるような方が無為な神輿になったり、独りよがりな方が無用の混乱を現場に生じさせるといったことがないよう、その役割を任せるに相応しい人材を議員に当選させるべきで、一定の能力・資格などを立候補等の要件とすべきだとか、政策の立案・執行に関する力量がなければおよそ務まらないような業務を日常的に個々の議員に課すような仕組みをつくるとか、そうした人が選ばれやすい選挙制度・選出風土にすべきだということになるのだと思います。

もちろん、そのような考え方は、突き詰めれば官僚制度のあり方(高級官僚は政治任用=現在の公務員は政治任用の対象にならない限りは出世できないという方式)、ひいては公務員制度全体の設計に影響が出る話でしょうから、そのことも視野に入れた議論が必要になるのだと思います。

結局、そうした話は、この国に相応しい民主政治(民と官との関係)のあり方についての認識ないし議論に関わることであり、そうした大きな視点での議論が、ここ数年の政治の光景を踏まえて行われるべきではないかと思っています。ただ、私の知る限り、このような観点から生産的な議論や提言などを聞く機会には恵まれず、その点は残念に思っています。