北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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31日

令和2年の取扱実績②債務整理・倒産、交通事故等(賠償)

前回に引き続き、令和2年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(3) 債務整理と再建支援

10年以上前(リーマンショック期)と比べて、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は大幅に減り、新型コロナウイルス禍の中でも、この傾向は大きく変わっていません。

ただ、本年3月まで社会福祉協議会の相談担当をしていたせいか、「総債務額は大きな額ではない(100~200万円未満)ものの、僅かな収入しかない又は無収入のため自己破産をせざるを得ない方」からの受任は一定数ありました。他にも、「複数の銀行などに300~400万円程度の借入があり、他にも住宅ローンの返済中で、住宅を維持しつつ債務を圧縮するため、個人民事再生の手続を利用する方」の依頼があり、また、「諸事情により法的手続を希望せず、リスケジュールのため任意整理を希望する方」の依頼もあります。

近年は10年以上前に借りた債務を滞納していた方が最近になって請求を受け、消滅時効などにより解決を求める事案も幾つかあります。
 
昨年も、債務額などに照らして民事再生又は自己破産の手続をとるべき債務者の方が、インターネットで広告を展開する東京の弁護士などに安易に任意整理(リスケ)を依頼し数ヶ月ほど委任費用を支払ったものの、結局、支払継続が困難となり、後日に当事務所に相談し法的手続を依頼する(ので、当初から当職に依頼していれば負担せずに済んだ多額の委任費用を前代理人に支払うだけで数ヶ月を空費した)というケースを経験しています。

昨年、過払金の巨額横領が発覚した「東京ミネルヴァ法律事務所」問題のように、解決のための方法選択(依頼先の選定を含め)を誤ってしまうと、費用の無駄に限らず後日に様々な問題が生じますので、そうしたことも視野に入れて早期のご相談をご検討ください。
 
企業倒産(破産管財)に関しては、昨年は「企業の管財事件」の受任はなく、小規模な企業の代表者個人のみの破産申立事案の管財人を担当した程度でしたが、中には、企業の関係者に様々な問題があり、労働者健康福祉機構への未払賃金立替請求が正当な理由なく行われていると判断され、それに対する対応に苦慮するなどした案件もありました。

申立代理人としては、震災後、辛うじて経営を続けていた小売業の会社さんがウイルス禍により継続を断念し事後処理を依頼された案件があり、商品売却などの目処をつけた上で、会社及び代表者双方の申立を行っています(特殊な事情があり、最初は代表者のみの破産申立を行い、後日、裁判所の勧告により会社の破産申立も行いました)。

今後はウイルス禍の長期化により倒産増加が懸念されており、小規模飲食店の経営者の方から営業不振による事業閉鎖を前提とした相談を受けたことが複数あります。

また、昨年から「金融機関(銀行等)にのみ高額な債務を負っている企業及び代表者に関し、適切な方法で相応の弁済を行うことと引き替えに自己破産を回避し、破産のルール(99万円)を上回る資産を継続保持するための制度(経営者保証ガイドライン)」を活用して解決すべき事案の依頼を受けています。金融機関の内諾を得て昨年中に概ね順調に換価作業などを終え、現在、弁済計画を策定し、交渉の山場にさしかかっています。

新型コロナウイルス禍のため残念ながら経営継続が困難となった方の中には、この制度を利用して債務問題の解決を図っていただくのが望ましいケースが多くあります。あまり知られていない制度ですので、ご留意いただき、知人などで必要とする方がおられれば、伝えていただければ幸いです。

個人の方の破産管財でも、免責不許可事由の調査を要したケースや山林の換価が問題となった案件などを担当しています。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

昨年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により、本来であれば数十万円からそれ以上を要する弁護士(当職)への委任費用について、自己負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係と評価)が主たる争点となる事案物損の金額が争われる事案むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額算定が中心となる事案重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が必要となる事案など、幅広く取り扱っています。

過失割合が争点となった物損事故では、1審(簡裁)で納得できない判決を受けたため、控訴したところ、2審(地裁)で、1審を取り消し当方の主張も踏まえた新たな過失割合の勧告を得て、了解可能な和解で終了できた案件もありました。

事故直後など、加害者側の示談案提示前の時期から受任して後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、「神経障害に関する後遺障害(14級9号)」をはじめ、幾つかの後遺障害につき、認定を受けるための調査や医療機関への照会などを行いました。

ともあれ、自動車保険などでは、必ず弁護士費用特約が付された任意保険にご加入ください(相談のみの特約に加入される方もおられるようですが、必ず委任費用を対象とした保険にご加入下さい)。近年、弁護士費用特約(保険)は、企業クレーム対応や労働事件、家事事件(離婚等紛争)などにも導入されており、活用をご検討ください。