宮古市役所相談の総括と見えざる力、目に見える社会の病
令和5年春から本年3月まで2年間、宮古市役所の法律相談を担当していました。
無料相談の類は、どうして俺の(無理筋な)希望が実現できないんだ!などと仰るような残念な方も時には来ますので、せめてもの癒やしとして昼食店巡り+プチ海岸観光に勤しんでいたことは、当時の投稿をご覧いただいた皆さんはご承知のとおりです。
最初の1年目には毎回、債務整理などの依頼案件があり(大半は法テラス立替事案ですが)、出張の都度、1~2件の新件申込を抱えて帰っていました。
当事務所では個人の基本的な債務整理は事務局が作業に精通していますので、私が初動作業(仕込み=方針決定と特殊論点の対応など)を行ったあとは、事務作業の大半は事務局が担当しており、令和5年は順調に受任件数が増えていきました。
ところが、ほどなく事務局から、宮古市役所経由の破産等の方々は、せっかく手続を開始しても途中で音信不通になってしまう(ので申立の準備作業ができない)ケースが多い、と苦言を呈されるようになりました。
この種の話も「無料相談あるある」ですが、数年前に担当した紫波社協相談と比べても、若干その割合が多い感じがしました。
すると、不思議なもので、2年目になると債務整理であれ相続その他であれ受任希望のご相談が全く来なくなり、面談で必要十分の事案が7割、残念系相談が2割、委任希望か微妙な事案が1割くらい、という状態が最後まで続き、結局、ほとんど受任事案がないまま終わりました。
昨年は、私もさることながら事務局も前年に受任した良質・残念双方の債務整理事案などへの対処に追われ、一杯一杯気味になっていましたので、そうした状態になると、依頼のご相談・申出自体が来なくなる(今の仕事をこなさない限り次の仕事は来ない。そうした見えざる力が社会には働いている)のだなぁと改めて感じました。
ところで、先日、岩手弁護士会で犯罪被害者の支援に関する講義があり、ZOOMで拝聴していたところ、講師の先生(臨床心理士さん)が
統計では沿岸は内陸よりも子供の自殺率が高く、子供達が感じているストレスの度合いも沿岸の方が顕著に高い。それは震災直後に限らず現在まで延々と続いている。貧困(格差)をはじめ、沿岸の方が、子供達にとって高ストレスにならざるを得ない環境があるのではないか(その環境自体の抜本的改善こそが必要なのではないか)
と仰っていました。
そのこと(沿岸の子供たち=社会的弱者のストレス云々)と、当事務所が経験した「沿岸に残念系の相談者や音信不通などの対応をとる債務整理の依頼者(経済的弱者?)が多い」という事象の根底には、何か共通する「抜本治療(大手術?)や支援を要する社会の病」があるのかもしれません。
それは、沿岸に限ったことでも無いのでしょうが。
私自身は沿岸に赴く機会が当面無くなりましたが、沿岸と関わる仕事をなさっている方々は、そうしたことも視野に入れて、可能な限りの支援をなさっていただければと思います。
最後に、今後も宮古で生き続ける人々の幸せを願って一句。
ひとびとが織りなす線路はどこまでも