北奥法律事務所

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不法投棄

AKB商法の拡大生産者責任

AKB48のCDを「総選挙の投票券」目当てに大量購入した関係者が、CDを持て余して山中に数百枚も不法投棄して摘発されたという事件が報道されていました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171017-OYT1T50037.html?from=ytop_main5

こうしたCDの大量廃棄やそのなれの果てとしての不法投棄は、AKB商法なるものが脚光を浴びるようになった頃から予測・危惧されていた事件ではないかと思いますが、環境法学では世界的な共通認識として、昔から「物を生産し流通させる者は、社会内で廃棄等による過剰・不当な負担・負荷が生じないよう適切な対処をとるべき義務(拡大生産者責任)」があるとされています。

残念ながら、我国の廃棄物処理法制では、それを具現化する規定が未整備なので「ボロ儲けした音楽業界の連中に廃棄費用を負担させるべき」と当然に言えるわけではありませんが、本来の用途(音楽鑑賞)を逸脱した大量購入・大量廃棄を必然的に招く商法に対しては、不法投棄の対処費用の負担だけでなく過剰販売そのものを禁圧する制度が必要ではと思っています。

日弁連廃棄物部会では、製品の無償引取(によるリサイクル)義務を製造者に課すよう求めており、販売禁止が無理なら速やかにその種の制度を導入して、メーカーにまとめて引き取っていただきたいものです。

また、AKBのCDに関しては、販売時にリサイクル料金を上乗せして購入者に支払わせるくらいの措置が必要ではと思わないでもありません。

投票券自体の販売はどうこう言うつもりはありませんが、そうした販売方法の規制についてメディアなどで提唱する方を拝見したことがないのは残念です。

少なくとも、処理施設での焼却であれ不法投棄の原状回復費用の貸倒(実行者からの回収不能)であれ、それらは税金の負担になるわけですから、環境面の負荷も含め、そうした事態を招来する行為は「華々しくもなんともない醜い営みだ」と抗議する声を上げていただきたいと思わざるを得ません。

日弁連廃棄物部会も、原発汚染廃棄物ばかりに取り組むのでなく、こうした点でも世間の目を引くような提言とかしてもよいのではと思ったりもしますが、万年実質ヒラ部会員の身には、望むべくもありません。

あなたの街の森友学園事件(後編)~全国に潜在する「購入した土地に潜み、いつか誰かが気づく埋設廃棄物」というババ抜き問題と対処策~

森友学園問題を通じて廃棄物処理法制のあり方を考える投稿の後編です。

この事件では一連の報道などを通じて様々な問題が世間に明らかになりましたが、仮に、これらの問題が露見しないまま校舎が建設され、その後、同学園が経営に行き詰まって倒産し、土地が競売となった場合を考えてみて下さい。

森友学園(競売の申立を受けた所有者)が「実は、この土地の地中に大量の埋設物があり撤去に本来は8億円も要するのに、1億円程度の工事しか実施しませんでした。今も7億円を要する廃棄物があります」などと裁判所の執行官(競売手続の主宰者)に申告すると思いますか?

また、旧所有者たる国の担当者が、その競売手続を聞きつけて、「その土地にはかつて大量の廃棄物が埋設されていた。森友はそれを全量撤去したか疑わしいので、きちんと調査して欲しい」などと執行官に通報すると思いますか?

そんなことが期待できるのなら、彼らは売買の際に原状回復をしているはずでしょう。特に後者(国の通報)については、当時の担当者の責任問題に直結する話ですので、自主的な対応が期待できるはずもありません。

かくして、競売手続では埋設の事実が露見しないまま、「不法投棄などの問題がない当たり前の土地の値段」で売却され、買受人が購入後に建物の建設のため土地を掘ってみたところ、あぁぁ、という事態が生じる可能性が十分にあるのです。

私は、昨年まで約2年半ほど、そのような展開を辿り、深刻な紛争に至った事件に携わっていました。

具体的には、10年以上前に大量の廃棄物が埋設された土地を事情を知らずに購入して撤去を余儀なくされたXが、その廃棄物を土地に埋めたと目される旧所有者Yらに賠償請求した訴訟を、X代理人として従事しました。

その件では、10年以上前に対象土地の所有者であったYが既存建物を解体し、Yが土地をAに売却→AがBに転売→Bが倒産して土地が競売→不動産業者Cが競落してXがCから購入→自宅の建築工事を開始したところ、最初に着手した地盤改良工事の際に地中の埋設が発覚→工事業者が調査し、Y側の埋設の疑いが濃厚と判明、という経過を辿りました。

廃棄物処理法の一般原則もさることながら、Xは自宅建築のための土地購入である上、地盤の問題などもありましたので、確認された埋設物(地中2.0~2.5m程度に埋められていました)の全量撤去を余儀なくされ、多額の工事費の負担を負う羽目になりました。

その後の調査で、Y社が建物の撤去を委託した地元の解体業者(既に倒産)が土地に不法投棄しYはそのことを知らずにAに売却したのではないかと推測され(知っていたら大問題ですが)、AもBも埋設の事実を知らず、当然ながら競売記録にも埋設の事実は表示されていませんでした。

以上を前提に、当方(X側)は、「本件埋設物はYが委託した解体業者が解体工事の際に埋設(不法投棄)したものである、Yは、解体業者に不法投棄をさせない監督義務(民法716条)を負っていたのに、それを果たさなかったのだから、不法投棄のためXが負った被害に対し、賠償責任を負う」と主張しました。

なお、埋設からは10年以上も経ていますが、被害者Xに発覚したのは最近ですので、時効(被害及び加害者を知ったときから3年)には該当せず、その点は争点にもなっていません。

Yは「当該埋設物はYの建物ではない(それ以前の所有者が埋設したものだ)」とか「仮にY建物の解体物を業者が埋設したのだとしても自分に賠償責任はない」、「X(が依頼した業者)が見積もった費用も過大だ」などと主張して徹底抗戦したため、様々な事情もあって裁判は長期化し、立証のため苦心惨憺の目に遭いましたが、裁判所から「まずまずの勝訴的和解」の勧告を受けてYも応諾し決着しました。

この件では、不法投棄の原因者(実行者)と目される者が倒産していましたが、委託者Yが大手企業でしたので「責任を負うべき者の全員が倒産し賠償金を回収できない」事態に陥ることは回避できました。

これに対し、その事件とは別に何年も前に相談を受けた例で、競売で某建設業者が使用していた土地を取得した一般の方が落札後に地中の調査をしたところ地中に大量の建築廃棄物の埋設があるのが判明したという相談を受けたことがあり、その件では、実行者が倒産していることなどから、上記のように賠償請求をするのは困難ではないかとお伝えしたことがあります。

また、私自身が管財人を担当した土木工事関係の企業で、会社の敷地建物を他社に売却できたものの、敷地内にコンクリート類を埋設していたという話があり、幸い、管財業務中に元従業員の方からその申告を受け、相応の調査を行って買主にも説明し、相当な調整をして売却したということもあります(10年ほど前の話なので記憶が判然としませんが、撤去を実施するなどして売却したはずで、放置した状態で委ねてはいないはずです)。

このような事案は、何も岩手に限った話ではなく、全国に膨大な件数が存在するはずです。その原因は、すでに述べたとおり、廃棄物処理法がかつてザル法と呼ばれ、建設関係や危険物・有害物質などを取り扱う事業者が、自社所有地への埋設をはじめ、かつて多くの不法投棄・不適正処理を行ってきた(それを阻止するだけの法制度ないし実務体制が整備されていなかった)点にこそ求められると思います。

根源的には、大地の尊厳を守るという我国の美点というべき基本的な意識が国民や企業に共有されていなかったことが強調されるべきなのかもしれませんし、それだけに、日本の伝統云々を強調する教育を標榜する学校が、廃棄物の埋設を平然と放置していることは、彼らの本質を言い当てているのではと思わざるを得ません。

以上を踏まえて、冒頭に述べたとおり、仮に、森友学園が校庭?に埋もれた大量の廃棄物について、埋設の事実を伏せて他者に売却した場合とか、撤去しない状態を続けたまま倒産→埋設の事実を報告せずに競売が行われた場合などを想定すれば、その後の取得者が撤去等の負担を不当に強いられることは優に予測されますし、その際に埋設の原因を作出した譲渡人=国が責任を回避できるのかという問題もあります。

とりわけ、前回も述べたとおり廃棄物は処理施設で法の基準に基づき適正処理を行うべきことが廃棄物処理法制により厳しく定められていますので、適正処理を行うべきことを知りながら完遂せずに放置した者は根こそぎ、その責任が問われてもおかしくありません

現在、問題の小学校が大阪府の認可を受けることができるのかという論点が生じているようですが、教育内容云々という点もさることながら、廃棄物の適正処理をしていない場所を教育の場として用いて良いのかという観点から問題提起をしていただければと思っていますし、直近の報道では、そうした理由で不認可などの対応がなされる可能性が高まっているように思われます。

だからこそ、こうした特異な事件で世間が騒いでおしまい、ではなく、前回に述べたような様々な論点を適切に対処したり同様の事態を繰り返さないための法制度が構築されるべきで、その点に関する認識や議論が深まればと願っています。

あなたの街の森友学園事件(前編)~埋設廃棄物を含む土地を撤去費用を差し引いて購入した者が撤去せず放置した場合に生じる法的問題と対処策~

本日現在、様々な疑惑や法的問題が噴出し益々ややこしい展開になりそうな森友学園事件ですが、処理費用の見積の適正とか政治家の介入とか教育理念・手法の適否や教育基本法との抵触などといった問題はさておき、廃棄物の処理のあり方という点に関しては、昨年までこれに類似する事件に携わり、悪戦苦闘した経験のある者として、色々と考えさせられる面があります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170216-00010000-bfj-soci

この事件の発端は、過去の様々な経緯で膨大?な廃棄物が埋設された土地を行政が取得し、そのまま放置していた点であり、廃棄物問題(環境問題)の観点からは、廃棄物が埋設されている土地を処理費用を買主が負担するとの前提で「本来の価格Aから、処理費用として見積もられた額Bを差し引いた金額C」をもって代金とすると合意して売却したのに、買主(森友学園)がこれを全部撤去(原状回復)せず一部(大半?)を放置したまま学校の建築を行ってしまったという点が、最大の問題だということができます。

この点について論点を整理するとすれば、次のようになるかと思います。

①廃棄物が埋設された土地を旧所有者(売主)が自ら適正処理することなく他者に売却して良いのか(代金から控除などという手法を採るくらいなら、その額を納付ないし適正な処理業者に支払わせ廃棄物の全面撤去を見届けてから売却すべきではなかったか)という問題

買主(新所有者)は適正処理をするとの前提で代金から処理費用を控除して購入したのに、直ちに処理をすることなく(売買時に負担すべき「代金」からの控除という観点からは、購入と同時に行うべきではないかと思われるのに)、除去をしないで土地を使用(校舎建築や校庭造成など)させてよいのか(そのような行為を規制=事前に廃棄物除去を義務づけなくてよいのか)という問題

③買主が本来の土地の評価額から控除対象とした「処理業者が作成した撤去費用の見積額」が適正なのかという問題

④仮に、買主が、このまま廃棄物の除去をしないまま倒産など「自ら廃棄物の除去をすることができない状態」に至った場合、土地に埋設された廃棄物は誰が、いつ、どのように除去するのか(費用を誰がどのように負担するのか、撤去はいつどのようにして実現されるのか)という問題

なお、前提として、このような問題を考える上では、その廃棄物がどのような原因で誰により埋設されたのか(誰の廃棄物なのか)という点も明らかにすべきですが、この点は、報道によれば、もとは民家などが建っていた土地を空港騒音対策の一環として買収した土地とのことで、買収時まで対象地を利用していた民間人(民家や工場など)が、何らかの事情で排出した物ではないかと推察されます。
https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/what-is-mizuhonokuni3?utm_term=.xj9Jra03m#.lv7RJDweV

或いは、買収の際に、騒音のため活用できない土地だと軽信して当時の所有者(元売主)側で埋設したのかもしれませんし購入側(行政)の委託で買収地の建造物の撤去などを受注した解体業者などが不法投棄したという可能性も考えられます。売主側で撤去する前提で買収がなされたのなら、売主から受注した解体業者が不法投棄したと考えられ、私の経験した事件との比較では、この可能性が最も高いのではと思わないこともありません。

ともあれ、廃棄物処理法では、産業廃棄物(事業活動に伴い生じる廃棄物の大半)であれ一般廃棄物(その他の廃棄物)であれ、廃棄物はすべて法定の基準に基づき処理されるべきものであって、それをせず許可された処分場でもない一般の土地の地下に埋設するのは基本的に不法投棄に他なりませんので、本来は、その状態が「生活環境の保全上の支障(廃棄物処理法19条の4、同5など)」が生じているものとして、一刻も早くその状態を是正(原状回復)する措置が講じられるべきです。

そのような観点からすれば、

①土地所有者たる国が、今回の森友学園への売却にあたり、自ら埋設廃棄物の撤去をせず、又は、買主側で撤去するというのであれば、「買主が全量撤去を終える(適正な原状回復をする)ことを条件とする売却」などという措置を講じることなく、漫然と「撤去工事費用相当額を代金から控除して、実際に撤去するかどうかは買主の対応に委ねた」ことは、廃棄物処理法の理念に悖るというべきですし、

②買主(森友学園)が、撤去工事を自ら行うことを条件に代金の値引を受けて購入したのであれば、特段の事情がない限り、直ちに撤去工事を行った上で土地を利用するとの前提で購入したものと見るべきで、それをせずに廃棄物が埋設された(それどころか埋め戻した?)状態で土地を利用しようなどというのは、廃棄物処理法の理念に悖るというべきですし、

③現在の売主・買主の責任を問う以前に、廃棄物の埋設を行った張本人や、そのことに監督責任がある者は、特段の事情がない限り、その廃棄物を撤去すべき責任があるというべきで、本来は、土地所有者たる国や、廃棄物処理に対する監督責任のある行政(大阪府など)が、その点に関する事実関係を明らかにして現時点でも何らかの形で投棄行為者の責任を問うたり自主撤去などの任意の対応が得られないか検討、交渉することができないか検討することが、廃棄物処理法の理念(ひいては措置命令など諸規定)から求められているというべきだと思います。

特に、③については、行為者(本来の加害者)などに責任を問うことができなければ、売主=国=税金の負担で撤去(又は今回のように撤去費用を控除した売却)せざるを得ないのですから、なおのこと、この問題を軽視、放置するのは適切ではありません。

また、仮に、森友学園が学校不認可などの事情で倒産に至った場合、地中の廃棄物を誰がどのように除去するのか(してくれるのか)という問題が生じますが、その点(所有者の倒産後の所有地に埋設等された廃棄物の撤去等の確保という問題)についても、現行の廃棄物処理法は十分な制度を設けているわけではありません。

だからこそ、世論には、政治家の関与云々とか処理費用の見積の適正などの不正の有無、森友学園の教育手法の問題などといった点に限らず、「廃棄物まみれの土地を、どのように適正に原状回復するか、その費用は誰がどのように負担するのが適切なのか」、さらには、「こうした問題を再発させないため、廃棄物処理法をどのように改善すべきなのか」という問題についても、真剣に考えていただきたいと思います。

上記に即して言えば、

①自己の所有地に廃棄物が埋設されていることを知った者は、土地の売却時に、少なくとも売得金の限度で当該廃棄物を撤去すべき義務を負い、それを優先的に実施する(買主にさせる)ことなく売却できないものとする。

②廃棄物が埋設等されている土地を購入しようとする者は当該廃棄物を除去して原状回復した上でなければ、土地を利用することができない。除去に要する費用については代金からの控除を求める(そのような意味で売主負担とする)ことができるが、除去費用が土地の対価を上回る場合は、一定の条件のもと、廃棄物処理センター(廃棄物処理法15条の5)などが運営する基金制度から相当な支援を受けることができるものとする。

③廃棄物の埋設などを行った者は、原状回復に関する私法上及び廃棄物処理法上の責任を永久に負うものとし、売買時に瑕疵担保責任の免除などの合意(豊洲新市場でも話題になってますが)をしても特段の事情がない限り無効とする。但し、埋設等の際にこれを正当化せざるを得ない特段の事情があれば、内容に応じて減免することができる。

④廃棄物行政と法務局が連携し、土地に埋設された廃棄物等についての情報を収集して登記事項に掲載し、除去がなされない限り埋設情報を抹消してはならないものとする。なお、所有者等が埋設情報を把握した場合は、所定の方法で行政に申告すべき義務を負う。

といった制度を設けるべきではないかと思います。

少なくとも、現行法上は、土地の性状(汚染や埋設物等の有無)の公示制度(所有者への調査義務などを含め)がありませんので、土地を購入する者は、購入した土地が不法投棄や汚染等の問題があるかどうか必ずしも知ることはできませんし、取得した土地に埋設等が発覚した場合に、所有者に原状回復を義務づける制度も十分ではありません。

だからこそ、本来なら率先して撤去をすべき国自身が、このように廃棄物の埋設(不法投棄)を継続させたまま他者に土地を譲渡して撤去の有無を無責任的に(売主側が責任を持つことなく)委ねてしまうという出鱈目な事態がまかり通ってしまい、国政の混乱と共に怪しげな出来事や税金や政治資源の浪費などを招いています。

廃棄物処理法は、かつて「ザル法の典型」と呼ばれ、平成以後は全国で頻発した大規模不法投棄事件なども踏まえて強化の一途を辿りましたが、現在も様々な「法の隙間ないし狭間」が存在しています。

だからこそ皆さんにも廃棄物処理法制や実務のあり方に関心を深めていただきたいと思わざるを得ません。

また、森友学園の一連の問題が現時点で露見せず、後日に埋設が発覚した場合を考えると、さらに厄介な問題が生じる可能性があります。そして、そのような問題(人知れず廃棄物の不適切な埋設=不法投棄が潜在している土地)は、実は、我が国には現在、潜在的には大量に存在しているのです(先日の築地市場を巡る報道も、そうした現実を示すものでしょう)

そのことは、私が現に扱った事件などを踏まえて次回に触れますので、次回もぜひご覧下さい。

平成27年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成27年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案のほか、過去には死亡事故や重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案も含め、幅広く取り扱っています。

また、学校で生じた生徒間の事故に伴う賠償事件など交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

他にも、福島第一原発の事故に基づく東京電力に対する賠償請求(県内の企業が受けた被害の賠償を求めるもの)を手掛ける機会あり、先般、原子力紛争解決センターに対するADRの申立を行っています。

現在のところ弁護士費用特約は保険料も低廉でご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

不動産の賃貸借(契約終了時の貸主の目的物返還請求、借主の保証金返還請求など)や金銭貸借に関する紛争、不動産の登記に関する訴訟に関する紛争などを取り扱う機会がありました。

また、後述の震災無料相談制度を通じ多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害近隣トラブル労働事件など日常的に生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じています。

本格訴訟としては、自宅建築目的で購入した土地で過去の所有者による不法投棄が判明し、証拠上、投棄への関与や監督責任があると認められる企業に賠償請求した事案を取り扱っています。相手企業側が強く争うことから投棄行為の立証のため様々な資料の提出を余儀なくされており、2年以上も続く難事件となっています。

その他にも、貸主側(貸主の相続人)の代理人として借主の賃料不払を理由に賃借物件の明渡請求をしたところ、借主側から、被相続人との間でその物件を購入する合意をしたとの反論があり、当否(売買契約の成否)が争われた事案(1審勝訴で相手方が控訴中)、数十年前に売買がなされた土地で、法務局に備え付けられている公図の表示などに問題があり、現在の登記などの状況では売却が困難であるため、当時の土地の使用状況や名義人の相続状況などを詳細に調査して取得時効による解決(移転登記請求)を図った事案(1審勝訴で完了)などを取り扱っています。

他にも、対人トラブルに起因する名誉毀損絡みの訴訟に関するご依頼もありました。

(以下、次号)

平成26年の業務実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成26年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を簡単ながらまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

取扱う事例も、物損のみで過失割合(事故態様を巡る事実関係)が争点となる事案から死亡事故や高位の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が論点となっている例まで、幅広く取り扱っています。

今も激しい医学論争が続いている「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)」の発症の有無などが争点となった事例を取り扱う機会もありました。その件は、本年3月まで在籍した辻弁護士が、依頼主(被害者)の主治医から詳細に事情を伺うなどして詳細な主張立証を行いました。

残念ながら、当該論点のハードルの高さ(主要な裁判所で大半は退けられています)もあり、和解協議段階で裁判所から難色を示されたものの、単なる頚椎捻挫事案とは異なるとの判断を前提に、一定の加算を受けることができましたので、そうした形で立証努力が考慮されました。

現在のところ、弁護士費用特約は保険料も低廉で、ご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

賃貸借(主として貸主側)、不動産売買学校生活(生徒側)に関する紛争などを取り扱う機会がありました。消費者側代理人として勧誘業者からの接触等の拒否を申し入れるなど、紛争に至る以前の対処についてご相談を受けることもあります。また、後述(次回)の震災無料相談制度を通じ、多数の方々にご来所いただき、日常的に生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じています。

本格訴訟としては、自宅建築目的で購入した土地で過去の所有者による不法投棄が判明し、証拠上、投棄の実行者又は責任者と思われる企業に賠償請求した事案を取り扱っており、相手企業側が強く争っているため、依頼主とも協力しながら投棄行為の立証のため様々な資料を提出すると共に、廃棄物処理法の知見なども生かして徹底的に闘っています(現在も訴訟が続いています)。

(以下、次号)

東京電力と「放射性廃棄物」の処理に関する措置命令

産廃処理ないし原発事故絡みの廃棄物処理に関心のある方向けの投稿です。

先日から、「福島の製材会社が、放射性汚染のため、東電の賠償金を原資として木くずの廃棄処理を業者に委託したところ、その業者が滋賀県などに不法投棄したという事案」のニュースが流れています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014040402000128.html

この点、廃棄物処理法の一般原則からは、不法投棄の実行者たる処理業者及びその関係者が撤去責任を負う(法19条の5。具体的には、投棄先の都道府県を管轄する知事等が撤去措置命令を行う)ことはもちろん、委託した排出事業者(製材業者)に、その処理業者が不法投棄を行うことについて過失がある(投棄を予測し得ただけの事情がある)場合には、その排出事業者も措置命令の対象となります(19条の6。但し、伝家の宝刀的な規定で、未だ発出例がありません)。

その上で、仮に、この事件で、製材業者ではなく(だけでなく)東電にも、処理業者が不法投棄を行うことについて過失が認められる場合(例えば、処理業者の選定などについて東電が深く関与し、かつその業者の処理対応能力について疑義を持ちうるだけの事情がある場合など)には、木くずを廃棄処理せざるを得ない原因を作り出した東電にこそ、法19条の6に基づく撤去責任を認めるべきではないかという立論が成り立つように思われます。

また、仮に、この廃棄物が「汚染対処特措法」の指定廃棄物(1㎏あたり8000ベクレル超)に該当するのであれば、廃棄物処理法ではなく同法の適用対象になるのではないか、その場合は、同法51条に基づき国(環境大臣)が東電その他に措置命令を出すのか(できるのか)など、さらなる論点が生じてきそうな気もします。

少し調べてみたところ、この件では、処理業者とは別の業者が撤去作業を実施したとのネット投稿を見かけたので(双方の関係などは不明です)、東電の責任云々の出番はなさそうですが、膨大な量の「放射性廃棄物」の発生に照らせば、今後も似たような事件が生じる可能性もあります。

私は、県境不法投棄事件をきっかけに、廃棄物処理法の措置命令について少し勉強したことがあったので、今後もこの種の問題の報道に関心をもって見守っていこうと思っています。