北奥法律事務所

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憲法13条

万物の尊厳を志し、何もできずにはや8年

本日は憲法記念日です。

8年ほど前、人にあらざる存在の尊厳(万物の尊厳)を日本国憲法に取り入れたい(現行憲法に新設13条の2を追加する改正案)と思い立ち、FB上で何度か投稿してきました。

いつかはそれを世間に問う本を出版してみたいと思いつつ、仕事と諸事に追われ何もできずに時間を徒過し、そのまま寿命を迎えてしまいそうです。

先日の世論調査でも、与野党・国民全体が幅広く合意できる、未来に希望を示す憲法改正を国民が望んでいることが示されており、万物の尊厳の新設こそがそれに相応しいと確信しています。

以前に掲載した引用の投稿なども読み返し、今年こそは原稿を書き始めてみたいと願うばかりです。

万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から(前編) | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から(後編) | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
司馬遼太郎氏も語っていた「万物の尊厳」 | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
憲法記念日に考える「万物の尊厳」と書籍出版を夢見る日々 | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
万物の尊厳を掲げる憲法を世に問えるのはいつの日か | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
憲法記念日が来るたび、万物の尊厳を掲げる憲法を願って | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)

東京五輪の「違法な弁当大量廃棄」と食品ロス削減推進法などの改善を求めて | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
アイヌとイスラムの異同を踏まえて日本と人類の未来を論ぜよ~函館北方民族資料館の呼ぶ声~ | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)
人が関わる生き物の尊厳ともう一つの憲法改正論 | 北奥法律事務所 (hokuolaw.com)

憲法記念日に考える「万物の尊厳」と書籍出版を夢見る日々

本日は憲法記念日ということで、多少は憲法を取り上げた記事を見かけますが、新コロ禍に遭遇後の社会では憲法論議は盛り上がらず、中国等との軍事的緊張により9条改正論にジワジワと賛意が広がりつつあるのかな、でも、それって日本人にとって望ましい憲法論なのかな、と残念に感じているところです。

私は数年前から「人にあらざる存在すべてに対する各々の特質に応じた尊重(万物の尊厳)」を個人の尊厳(13条。日本国憲法の最高原理)と共に憲法に書き込むこと(13条の2の創設)こそが、この国が最初に経験すべき憲法改正ではないかと感じ、2年前に岩手日報に投稿したのをはじめ、何度かこのテーマに関する投稿をしています。

内容自体、現代日本そして世界に必要と感じているだけでなく、日本が最初に経験すべき憲法改正は、日本の固有の精神性に根ざすのに憲法制定時に見落とされた価値で、これを宣言することが世界に歓迎・祝福されるものであるべきだと思っており、万物の尊厳は、その要請に合致すると確信しています。

本日のNHKのニュースで、公明党の山口代表が「加憲」を強調していましたが、万物の尊厳は、加憲の具体例の一つと言えるかもしれません(私は創価学会さんとはご縁がなく同党の支持者でもありませんが、自身が帰属した社会で与党内野党的な立ち位置になりやすい面はあり、何らかの近接性があるのかもしれません)。

1年以上前から、できれば、このテーマで1冊の本を書いて世に問いたいと夢見ており、1冊分の自費出版の費用なら、どうにか捻出できないわけではありませんが(家族には浪費だと目の敵にされるでしょうけど)、雑多な対応を余儀なくされる日々に追われ、夢のまた夢の状態が延々続いています。

今年のGWも、仕事が若干一区切りついた反面、未読の日経新聞が1年以上溜まっており、たった今から速読するか、起案を優先するか、悩んでいる有様です。

田舎の零細自営業者には「採算を問わず、出逢った仕事群に立ち向かう自由」と「それを断って立ち行かなくなる自由」しかありませんが、20年もこの仕事をしているのに、仕事を手短に賢くこなす(立ち回る)能力が今もロクに身につかず、一杯一杯のときに少し「まあ、これでいいや」的な対応をした途端に泣きを見る有様ばかりで、今も目眩を覚えないでもありません。

せめて、同じ志を共有して下さる方との出逢いに恵まれればと願いつつ、そうした時間を得るためにも、まずは目先の仕事に悔いの無い対応をしたいと思います。

万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から(前編)

先日、訳あって10年以上?ぶりに岩手日報の投稿欄(日報論壇)に投稿メールを送ったところ、数日後(11月8日)に無事に掲載されました。

ただ、本文は私の作成文章がほとんどそのまま掲載されているものの、私が投稿フォームから送信したタイトル(「万物の尊厳を掲げる憲法改正を岩手から」)が全面書き換えになっており、この言葉(万物の尊厳)が今回の投稿のキーワードでしたので、その点は少し残念でした。

私は、日報論壇の投稿フォームには常に自作のタイトルを付けて送信しているのですが、どういうわけか毎度、全面的に書き換えられてしまいます。

字数の都合もあるかとは思いますが、表題は投稿の趣旨や読み手への訴求力など色々なことを考えた上で決めていますので、いっそ日報論壇の投稿フォーム自体にタイトル欄を設けて字数も告知していただければ有り難いと感じているところです。

ともあれ、今回は私が送信した内容をそのまま掲載し、次回に投稿の経緯について少し触れることにします。

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安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記する憲法改正を切望しており、今後は国会発議などの実現に強い働きかけを行うものと予想されます。

私自身は、自衛「権」はまだしも国家組織の一部門としての自衛隊を憲法に明記するのが適切か、また、初めての改正が自衛隊の明文化というのは社会に無用の誤解などを招くのではと感じており、現時点で賛成する考えはありません。

但し、制定から70年以上を経た今、改めて憲法のあり方を巡り様々な議論がなされるべきであること自体は間違いありません。

日本国憲法は大戦の惨禍を踏まえ、誰もが不当な抑圧の被害を受けたり加害者に陥ることの無いよう人間の個人としての尊厳が保たれるべきだと13条で掲げており、これが憲法の究極的な目的と考えられています。

現在、人格や文化の多様性の尊重が様々な場面で叫ばれていますが、それらも憲法の掲げる価値を実現する営みの一つと言えるでしょう。

ただ、「人間」だけの尊厳を掲げるのは、果たして日本人に相応しいことなのでしょうか。私達は日本列島を取り巻く様々な自然の恵みと脅威に感謝と畏れを抱きながら暮らしてきたのであり、今も自然ひいては万物に見えざる力を感じ、それを大切にして生きているのだと思います。

他方、力を持ちすぎた人類の活動により国内はもちろん世界中でかけがえのない自然が損なわれる一方、時には復讐の刃が人々に襲いかかる光景も目にしています。

岩手や北東北には太古からこの地で自然と共に生きた縄文人や蝦夷の血が色濃く受け継がれ、先人の文学作品などにもそうした思想が表現されてきました。

日本国憲法は国家のあり方や国民との関係を語るのみで、人にあらざる存在について何ら語っていませんが、そうであればこそ、人に限らず自然ひいては万物の尊厳も憲法に掲げるべきと私達が声を上げていくことは、大いに意義があるのではないでしょうか。

主権や統治機構、人権などの定めに限らず、日本人とは何者で、どこから来て、どこに行くべきかを語ることもまた憲法そして私達に託された使命であり、太古から現代そして未来圏までの複雑で多様な営みを見据えた憲法論の深化を願っています。