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盛岡市

盛岡市長選の勝敗を決した分岐点と、夢が叶えられていく光景の役割

前回も投稿した盛岡市長選は、3度目の挑戦となった内舘茂氏が谷藤市長を破って悲願の初当選を果たしましたが、今回の件は、ウイルス禍の最中に内舘さんが大通の居酒屋救済の弁当祭りを企画し盛り上がったことが節目になったと思っています。

当時、谷藤市長が住民や地元企業などのため何か特別な尽力をしているという報道等はなされておらず、盛岡市は全国でもワクチン接種が非常に遅れているとのニュースと相俟って、

住民等が困っているときに、助けようと汗をかいているのはどちらなのか

という点で明暗が分かれたことが、勝敗を分けた最大の要因ではというのが、さしあたっての感想です。

少なくとも、あの光景がなければ、この結果は絶対になかったと思います。

ただ、それだけで勝敗が決まるとは私も思ってはおらず、むしろ、最近はあまり市長選が盛り上がっていない(住民の関心が高くない)ように感じたので(事実、投票率は低かった)、多数の市議さんや伝統勢力の支持を擁する谷藤市長が優位なのではとの印象もあり、私自身は最後まで結果が予測できず、大きな票差が付いたことにも驚かされました。

1年ほど前、若い世代の同業者の方から

「内舘さんは(かつて市長選に何度も立候補して落選を繰り返し、得票率等から泡沫候補扱いとなっていた)Aさんのようなものでしょ」

と言われたことがあり、その認識は絶対に間違いだ、次はいい勝負になると思う、と少し気色ばんで反論したことがありました。

彼は谷藤市長の支持者だったのかもしれませんが、改めて、弁護士には選挙のことは分からないものだと痛感しました。

市議選も、当然に当選されると思っていた方(色々考えた末、結論として、私はその方に投票しています)が当選できなかったこともあり、選挙とは、実に恐ろしいものだと改めて思いました。

私は祖父が岩手県議を1期つとめたものの、2期目で落選し、関係者の落武者狩りと実家存続の危機がオマケで付いてきたので、「政治に関わるな」が亡父の家訓ですが、反面、少し離れた距離から政治に関わる方々を拝見等するのが好きで、政治学を勉強したくて政治学科に進み、才能さえあれば、大学の政治学の先生になりたかったという気持ちも少しだけありました。

谷藤陣営の支援者の方々の中にも、この方が出ていれば内舘市長は誕生できなかったのでは?と感じている方もおり、次回の選挙がどうなるのか分かりませんが、まずは、今回、内舘さんが行動で示されたように、現に困っている住民や地元企業などを支援するような地道な活動とPRにつとめていただければと思います。

ともあれ、県政最大の大物である谷藤市長と闘い続け艱難辛苦の末に当選された内舘新市長の偉業は、多くの市民・県民にとって、

「自分も(各自の夢について)やればできるかも」

という形で非常に分かりやすい希望を示したことは間違いありませんし、それは政治に携わるリーダーに最も求められていることの一つである(とりわけ、現在の日本社会では)ことは議論の余地がないと思います。

恥ずかしながら、18年前のJCご卒業時には

内舘さんは、将来、市長選に出たいのだろうと思うけど、かなり難しいのでは?

と感じていた「その他大勢」のJC関係者の1人として、不明を恥じ、内舘さんに心より祝意を申し上げ、新市政へのご尽力をお願いすると共に、当落に関係なく、恐ろしい世界に身を投じて民主政治を支えておられる全ての方に、改めて敬意と感謝を示したいと思います。

 

NYタイムズを巡る報道や反応と、見落とされた幾つもの視点

先般から、NYタイムズで盛岡市が紹介されたとの記事で報道やSNSが賑わっており、今後も観光等への波及効果が期待されます。
ニューヨーク・タイムズ「行くべきは盛岡」 世界2番目の旅先に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

この記事では、「2位だ」と歓喜する文章を拝見することが多いですが、掲載直後にFBで紹介されていた本文(英文)をチラ見した限り、番号は紹介順であり順位を示したものではないのではと感じました。

もちろん、2番目に紹介されること自体、順位に匹敵するほど優先的に注目されることを意図して掲載したのだろうとは思いますが。

また、本文(英文)では盛岡城を紹介する下りが「ancient castle」になっており、これは適切ではない(medieval castle=中世の城が正しい)と思います。

鶴ヶ池の写真を用いながら志波城を推奨しているわけではないでしょうし。

記事賛美も結構ですが、地元民がそうした点をきちんと指摘し来訪者などに伝える力を持つ方が、記事自身が期待していることではと思います。

ともあれ、私自身は、盛岡は昔から、パリのような街だ(旧市街たる河南周辺=盛岡城以西と新市街たる大通など=盛岡城以東に分かれている)と思っており、双方(旧市街・新市街)の特色が際立つように整備・開発すれば良いのにと思ってきました。

が、市民は旧市街の保全や新市街への現代建築の集約にさほど熱心とはいえず、新市街側の開発がさほど進まない一方で、旧市街に次々とマンション等が立ち並んでいたのを残念に感じていました。

今回の件が、そうした傾向に歯止めをかけることができるなら、それ自体は望ましいとは思っています。

他にも、このブログでも過去に触れてきた「まつろわぬ者(蝦夷など)たちの本拠地」という歴史的な観点も含め、記事で言及されていない多くの特色が見直されるきっかけになればと願っています。

(R05.4.1追記)

先般、盛岡市の「みそ、つゆ・たれ、ホウレンソウ、ワカメ、中華麺」の購入額が全国1位だとのニュースがありましたが、豆腐が2位(昔は1位)などという話も踏まえて、盛岡駅の看板も、

大豆をダイズにスてます 緑あふれる麺都もりおか

などと書き換えた方が、NYタイムズに続き、さらに世間の注目を得られるかもしれません。