北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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自己破産

平成28年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。例年、1月か2月頃に業務実績を顧問先にお送りして、その後にブログに掲載することとしていますが、諸事に追われブログへの掲載の方がかなり遅くなりました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

平成28年も、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などについて、様々な分野の紛争解決や法的処理のご依頼をいただきました。

全般的には、①②は件数も多く論点も様々で、③④⑤は件数こそ多くないものの作業量や問題となる点が多い大型案件の解決に力を注いだ1年になりました。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

①旧所有者による廃棄物の不法投棄に伴う撤去費用を請求した事件

A氏が建物の建築目的で岩手県内の某土地を不動産業者Bから購入しC社に建築工事を発注したものの、着工後まもなく土地の地下にコンクリートガラや廃材などの廃棄物が埋設されているのが発覚したのでC社が調査したところ、10年以上前に同土地でD社がコンクリート製の建物を建築して営業しており建物解体の際に不法投棄された疑いが濃厚だとして、D社の責任を求めたいという相談を、C社(A氏から相談を受けて被害解決の窓口役を担当)から受けたという事件があります。

直接の被害者はA氏ですが、瑕疵担保責任などの事情からA氏に土地を売却したB社にも被害が生じ、最終的にC社にも様々な損失が生じるおそれがあった事案で、実質的にはB・C社vsD社側の様相を呈しました。

様々な検討の結果、D社側に賠償責任を問うべき案件として請求したところ、D社は「残置物は自分達の建物の解体物ではなく埋設もしていない」などと全面的に争ってきたため、D社側を相手に賠償請求しました。

D社側が全面対決の姿勢を示し「埋設された物はどこから来たのか、どうしてその土地の地下にあるのか、個別の埋設物とD社建物との結びつきはどうか」などの様々な問題について広範な主張立証を余儀なくされたほか、撤去費用の相当性なども争点になり、2年以上を経てようやく裁判所から和解勧告が出て、完全な満足ではないものの埋設物がD社建物から生じたものであるとの前提でD社側が相当の費用(解決金)を支払うという当方の主張を十分に酌んだ内容の勧告をいただき、協議がまとまりました。

膨大な労力を投入せざるを得ず、消耗の大きい事件でもありましたが、不法投棄問題に関しては日弁連の活動を通じ廃棄物処理法のルールを多少は存じており、その知見を活かすこともできたので、その点は何よりでした。

②業務委託契約で途中で問題が発覚し頓挫した後、報酬や損害の負担が争われた例

A社がB社から受注した業務の委託料などを請求する訴訟をA社代理人として対応し、当方の請求を認める判決をいただき無事に回収して終了したものがあります。

受注した事業に関する行政手続上の不備(Aが事業のため用意した設備に関するもの)で事業が途中で頓挫したため、Bは「契約時のAの説明に問題があった」と主張して支払義務を争い、Aに賠償請求しましたが、契約の締結から事業の破綻までにいたる事実経過を丹念に説明し、双方の尋問結果も踏まえ、Aの対応に特段の問題はなかったとして、Bの主張が退けられました。

ただ、A側も事業の準備のため多額の経費を投じたものの経費を賄うだけの売上を得られたわけではなく、両社痛み分けに終わった面もないわけではありません(A側にも見通しの甘さなどの反省点はあったと思います)。

この件のように受発注の対象となった事業の継続性に何らかのリスクが内在する場合は、リスクの発現時に責任の所在を巡り泥沼的な紛争が生じることが非常に多くあります。

事前にリスクを予め検討して明確化すると共に、そのリスクが現実化した場合の負担を誰がどのような形で負うのかを予め契約書などで明示しておくことで、裁判等による紛争の長期化、高負担化を避けることができます。

契約前にそれらのリスクや不安を具体的に弁護士に説明いただければ、それに見合った文言などを整備し紛争に備えると共に、問題が生じる可能性や生じた場合の帰結を互いに意識しておくことで、リスク発生を防ぐよう互いに努力する契機とすることもできますので、事業者の方々におかれては、「ご自身が従事する事業に内在するリスクの確認と対処(弁護士への相談を含め)のあり方」を強く留意いたきたいところです。

③その他の紛争としては、「Bビルに入居していたA社が短期間でCビルに転居した際に、Bビルの入居時に差し入れた敷金の返還(破損部分の修繕を除いた残金)を求めたところ、AB間の契約書に壁紙やカーペットなども全面的に取り替える趣旨の特約(通常損耗負担特約)が含まれていたため、Bがそれらの交換費用等を理由に敷金全部の返還を拒否し、Aが納得できないとして返還請求した訴訟」をA代理人として対応しています。

事業者間の紛争であるため消費者契約法が適用されないものの、敷金に関し過去に積み上げられた議論や最高裁判決の趣旨などを踏まえ、本件では通常損耗を借主に負担させる合意は成立していないと主張し、それを前提とした勝訴的な和解勧告をいただき解決しています。

他に、中小企業庁が行う「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者の不当対応についてご相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は数年前に比べて僅かなものとなっていますが、近時は、「総債務額が極端に大きな額ではない(100~200万円未満)ものの、僅かな収入しかない又は無収入ゆえ自己破産をせざるを得ない方(生活保護の方を含め)」からの依頼が増えており、社会で広く言われている格差や貧困の問題を実感させるものとなっています。

企業倒産(破産申立)に関しては、約10年前に民事再生の手続の依頼を受けていた会社さんが様々な事情から法律上の問題が顕在化し、それらの整理・解決のため本年になって自己破産の申立を余儀なくされたという事案があります。

企業に関する破産管財業務では、平成27年に管財人に就任した製造業を営む会社に関し、訴訟や原発ADR、原状回復作業などの事務処理や法的手続が必要となり、本年に受任した建設関係の会社についても多数の不動産の任意売却や賃借関係の処理、労働債権の対応など様々な法的対応に負われました。

また、金融機関に巨額の債務がある一方で、それ以外にほとんど負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)から廃業支援の依頼を受けて、金融機関に一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で認められた額(99万円)よりも多い個人資産を手元に残した状態で破産せずに債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)による解決を実現すべく、現在も交渉している案件があります。

他に、個人の方の破産管財人を受任した事案で、破産手続前に親族への無償譲渡行為があり、否認権を行使すると共に、債権者への配当原資の確保のため様々な工夫を行ったケースなどがあります。

(以下、次号)

平成27年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。1月には昨年(平成27年)の業務実績を顧問先にお送りしていますが、遅まきながらブログでも掲載することにしました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し3回に分けて掲載します。

(1) 全体的な傾向など

平成27年も、①交通事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争、③企業・団体の事業や内部事務に関する紛争の3分野が業務の中心を占めました。特に、家族・親族間の紛争や権利関係の処理に関する業務が増加傾向にあります。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

A社がB社から受注した業務の委託料などを請求する訴訟をA社代理人として受任しています。受注した事業に関する行政手続上の不備で事業が頓挫しており、AB双方とも「契約時の相手方の説明に問題があった」と主張して賠償請求したという事件で、現在も訴訟が続いています。

このように、受発注の対象となった事業に何らかのリスクが内在する場合には、そのリスクが顕在化した場合の負担を誰がどのような形で負うのかという点を予め契約書などで明示しておかないと、リスクの発現時に責任の所在を巡り泥沼的な紛争が生じる可能性が高くなりますので、リスクを予め確認し責任の所在を明確化すること(弁護士の活用も含め)にご留意下さい。

内部紛争の例としては、ある協同組合の内部で問題を起こした組合員に対し組合が除名処分をしたところ、組合員が処分の無効を求めた訴訟について、組合側代理人として担当し当方(組合)の主張が全面的に認められて勝訴・確定したという例があります。

また、ある財産がA法人とB法人のどちらに属するかなどを中心に様々な法律上の争点が生じて複数の訴訟が係属している事件、転職した従業員が元の勤務先の顧客情報を転職後の営業活動に使用したとして賠償請求された事件などを手掛けています。

昨年も、中小企業庁が行っている「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者の支払拒否や取引中止への対応などの相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は僅かなものとなっており、「高利業者との取引に基づく過払金請求」も法改正等の影響でほとんど無くなりました。

企業倒産に関しては、数年前は倒産分野の多数を占めた建設業界に代わって、IT関連のサービスを展開する企業高齢者向けの弁当配達事業を行う企業の方から破産申立のご依頼があったほか、「燃料等に用いる木製ペレット等の製造・販売を営む会社」の破産管財人に選任され、企業施設の譲渡や債権回収など様々な論点・事務の対応に従事しています。

近年、「金融機関以外には負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)向けに、一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で認められた額(99万円)よりも多い額を手元に残した状態で破産せず債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)」が導入されており、これによる解決が可能か模索するご相談を受けたこともあります。

個人の債務整理については、昨年同様に過払金請求のご相談が若干あったほか、かつての「多数の高利業者から数百万円の借入がある多重債務事案」に代わり、債務額・件数は多くなく生活保護やそれに準じる低所得の方や、住宅ローンの支払が諸事情で頓挫し破産等を余儀なくされた方からの自己破産のご依頼が幾つか見られます。中堅所得者の方からの個人再生のご依頼(住宅ローンを維持して他の負債を減縮することを含む)も幾つか見られます。

破産管財人を担当した方では、親族の保証人となった関係で破産を余儀なくされ、所有不動産の処理(売却。関係者の支援を含む)などの問題が生じたケースや、小規模な個人商店を営んでいた方が親御さんの代から長年続いていた高額な負債や事業不振などの問題を解決するに至らず倒産のやむなきに至ったという事案などを担当しています。

(以下、次号)

奨学金に関する残念な相談事例と改善策

奨学金制度については、近時、利用者たる若者が高額な借入金(学費)の返済を継続することができず、過酷な負担を強いられている方も一定数あるとして、日弁連などが制度の改善などを求めています。

さきほど、制度の運用に従事する支援機構の理事長の方への取材記事(上の双方)が載せられていましたので、過去に相談を受けたことなども思い返しながら拝見しました。

5年ほど前、「奨学金が200万円、他の借入が200万円(高利融資なし)」という20代の方の相談を受けたことがあり、破産又は再生をお勧めしたのですが、「奨学金は父が連帯保証をしており、父に督促等が生じる事態は絶対に嫌」ということで、あれこれお話したものの、残念ながら任意整理も含めて受任に至らなかったということがありました。

その際は、連帯保証絡みの通例として「(お父さんも含めた債務整理という事案でなければ)奨学金はお父さんが機構に返済しつつ、ご自分でお父さんに返済するという方法で、解決してはどうか」といったことなど(或いは、その上で機構にもリスケジュールなどを提案すること)を説明したのではないかと思いますが、とにかく、お父さんとトラブルになることを非常に忌避しており、奨学金に関しイレギュラーな事態が生じることをひどく恐れている様子が感じられました。

奨学金制度について軽々に批判するつもりはありませんが、他にも、自分は進学後すぐに中退してしまったが、親に無理を言って連帯保証人になって貰ったので、どうしても自力で返済しなければならない(ので債務整理的な解決は望まない)と仰る方のお話を聞いたこともあり、若い世代に残念な負荷が生じる例が一定程度あることは確かなのだろうと思います。

そして、それらの事案から感じられるのは、様々な事情があるにせよ、親御さんから学費の面倒を見て貰うことができず、奨学金の連帯保証という形ですら絶対に迷惑はかけられないと感じ、結果として自身が強い負荷を引き受けている若い世代が一定程度いるという事実であり、軽々に親御さんを批判するのは適切でないにせよ、家族内の「自助」が適切に機能していない面があることは、間違いないはずです。

連帯保証の当否という問題(親族ではない良質な民間事業者による低利の連帯保証制度の導入とか、住宅ローン特則類似の制度の導入なども視野に入れて)もさることながら、貸手責任(機構側)や融資金の利用者責任(学校側)という観点(審査等の強化や問題事案での返金や債務カットなど)も含めて、借主たる若者にばかりしわ寄せをさせないような適正な融資及び債権管理などの仕組みが検討されるべきではないかと感じました。

記事の末尾にあるように、奨学金制度に助けられて人生を切り開き、制度に強く感謝している方も沢山おられるでしょうから、それだけに運用の杜撰さ?で生じる弊害を除去するための仕組みについても真剣に考えていただきたいところだと思います。

時折、独居状態など日常的には身寄りのない質素な生活をしていた高齢の方が、ご自身の有意義な目的に使うこともないまま、数十年以上に亘って預金を続けていたであろう高額な金融資産を遺して亡くなられ、近親者などの間で紛争などが生じるケースについて相談を受けたり受任することがあり、中には被相続人と何の接点も無かったり義絶状態にあるような方のところに高額な相続財産が転がり込んでくる例も拝見することがあります。

そうした事案を拝見するたび、我が国にも不合理な形での冨の偏在が相応にあり、果たしてそのままでよいのかと思わずにはいられない面があります。

余談ながら、ちょうど、日銀が「民間銀行が日銀に預入する場合は手数料を取る」というマイナス金利政策が報道されていましたが、上記のような「遊休資産」を抱える銀行の多くが、有意義な形で預金を生かすことをしていないのであれば、良質な形でリスクに挑んだり、そうした営みを通じて善良な若い世代に適切な資金が行き渡るような流れができてくれるのであれば、望ましいことではないかと思いました。

平成26年の業務実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から、毎年1回、前年度の業務実績の概要をブログで公表しています。昨年(平成26年)の業務実績は、顧問先には1月頃にお送りしたのですが、多忙等を言い訳に、ブログに掲載するのが遅れてしまいました。

長文ということもあり、今回は、3回に分けて掲載します。分類については、当事務所HPの「取扱業務」に基づいています。

(1) 全体的な傾向など

平成26年も、①交通事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚相続など家族・親族間の紛争、③企業・団体の商取引や内部事務に関する紛争の3点が、受任業務の中心を占めました。特に、家族・親族間の紛争や権利関係の処理に関する業務が増加傾向にあります。

反面、本年も債務整理・倒産等の業務は、全国的な傾向と同様、数年前と比べて大幅に減少しています。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

食品製造委託取引を受注した企業Xが、発注者だと認識するY1社に代金請求したところ、Y1が「発注者はY1ではなく(XにY1社を紹介後、事業停止となった)Y2社だ」と主張してきたため、Y1が発注者(債務者)だと主張して支払を求めた事件で、無事に当方の主張が認められ、Y1から支払を受けたという例がありました。

複数の企業が発注側に介在する場合には、「誰が代金債務を負担するか(誰が発注者か)を巡る争い(支払責任をなすりつけ合う紛争)」は頻繁に生じますので、そのような取引に関与される際は、責任の所在を明らかにさせるよう、強くご留意いただきたいところです。

また、経営者が交替した法人で新経営陣が旧経営者に不正行為があると主張して訴えた事件で、旧経営者の依頼で役員欄に押印(名義貸し)した法人とは無関係の方が巻き添え的に提訴され、ご依頼を受けた事件があり、事実経過や相手方の主張の問題点を詳細に主張したところ、相手方(原告)が当方に責任がないことを認めて和解で終了したという事件もありました。

当方の主張が認められたとはいえ、名義貸しは多くのリスクを伴いますので、名義貸しの要請を受けた場合には、極力、拒否いただき、一定の形が不可避といことであれば、後難を避けるための適切な措置を講ずるなど(弁護士に相談いただくべきでしょう)、ご留意願います。

その他、特殊な工事の代金請求に関する紛争(当方は受注者側。相手方が、当方の責任で工事が頓挫したと主張し支払拒否しているため、責任の所在が争われているもの)、採用後ほどなく退職した元従業員の方が申し立てた労働審判(企業側代理人として担当)、協同組合の内部で問題を起こした組合員の処分の当否を巡る訴訟(組合側代理人として担当)などを手掛けています。

中小企業庁が行っている「下請かけこみ寺」事業に基づき、小規模な下請業者の方から発注者の支払拒否や取引中止への対応などの相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は僅かなものとなっていますが、企業倒産に関しては、かつて多数を占めた建設業界に代わって、福祉やITなど広義のサービス業に携わる企業の方からご依頼がありました。

個人の債務整理については、昨年同様、「完済後の過払金請求」のご相談が若干あったほか、かつての「多数の高利業者から数百万円の借入がある多重債務事案」に代わり、債務額・件数は多くはないものの、生活保護ないしそれに準じる低所得の方や、住宅ローンの支払が諸事情で頓挫し破産等を余儀なくされた方からのご依頼が増加傾向にあります。

破産管財人を担当した方で、多数の農地等を有するものの市場性が乏しく売却に困難を来したり(様々な手法をとることで、一定の農地を売却できたこともあります)、保険契約などで名義貸し(実際の保険料を親族が支払っている事案)が関係する例(原則として名義人の財産として換価対象となりますので、ご家族の名義でご自身が保険料を支払って契約をなさっている方はご留意下さい)などがありました。

管財手続が終了した後の会社の権利関係の処理(放棄された不動産の売買など)に従事することも何度かありました。

(以下、次号)

東北油化の倒産と周辺環境の原状回復

先月頃から、奥州市江刺区にある東北油化という家畜の死骸処理を行う会社が周辺に悪臭等を生じさせたとして行政処分を受け、程なく自己破産申立をしたとの報道がなされています。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20141012_3

私自身は(少なくとも現時点で)この事件には全く関わっていませんので、報道されている以上の事実関係は知りませんが、岩手県から水濁法や条例に基づき汚水や悪臭の是正措置を命じられていた中で破産申立がなされたということは、一般論としては、法令に適合する是正措置を講ずるだけの資力がないのではと危惧されます。

当然、破産したからといって会社に是正措置を講ずべき義務が無くなるわけではありませんし、会社施設の原状回復(特に、周辺環境に著しい悪影響を生じさせるような有害物質等の除去)は、破産手続=管財人の業務上も優先性の高い事務とされています。

ただ、破産手続は、換価・回収可能な会社財産(破産財団)の範囲内で会社の財産の管理や配当を行う手続ですので、もし、同社が当該措置(水質などの原状回復工事)を行うに足る金融資産等を有するのなら、管財人が早急に当該措置に着手するでしょうが、それを賄うに足る資産がない場合は、管財人としては手の施しようがありません。

この場合、有害性の強い物質が拡散するなど周辺環境への悪影響が看過できないもので、税金を投入してでも原状回復をすべきだと判断されるときは、岩手県知事は、行政代執行により一定の除去工事を行う可能性があります(廃棄物処理法19条の8)。

仮に、上記の事情が認められるのに県が代執行を行わない場合には、住民は、豊島事件のように公害調停を申し立てることで、県に代執行を行うよう働きかけることが、方法としては考えられます(行政代執行の義務づけ訴訟という手段も考え得るかもしれませんが、ハードルはかなり高いと思われます)。

ただ、岩手県庁(環境部局)は、県境不法投棄で全量撤去を早期決定するなどの前例がありますので、現在の制度上、代執行の必要性が高い案件であれば、そのような手続を経ずとも、率先して一定の除去工事を行うことは期待できるのではないかと思われます。

なお、管財人(破産財団)が自ら実施できるにせよ、税金を投入(代執行)せざるを得ないにせよ、債権者や納税者の犠牲のもとに高額な原状回復工事を余儀なくされる場合には、そうした事態を招いた会社役員など主要関係者の個人責任を厳しく追及すべきではないかという問題があるかと思います。

水濁法は仕事上関わったことがないため詳しくは存じませんが、事案次第では、廃棄物処理法を含め、何らかの刑事罰の適用がありうるかもしれません。また、刑事罰に至らなくとも、会社等に対する民事上の賠償責任(特に会社法に基づく役員の賠償責任)は十分にありうるところです。

この事件が、そうしたスケールの大きい事件なのか、さほど除去工事に費用を要せず管財人が簡単に実施できるレベルなのか分かりませんが、周辺環境に禍根を残すような形にはならないよう、住民や報道関係者などは、今後も成り行きを注視していただければと思います。

また、報道によれば、同社は県内で牛の死骸の処理ができる唯一の施設で、県内の畜産農家への影響が懸念されるとのことですが、そのような企業であれば、経営破綻になる前に、行政が経営の健全性を何らかの形で調査したり、経営困難な事情が生じた場合には、破綻になる前に事業譲渡など混乱回避の措置を講じる仕組みづくりが必要ではないかと思われます。

そうしたことも含めて、一連の経過を検証し今後に繋げるような取り組みがなされることを期待しています。

中小企業の経営再建と弁護士の需要

中小企業庁の「経営革新等支援機関」という制度に登録している関係で、先日「いわて企業支援ネットワーク会議」という会合に参加してきました。

経営革新等支援機関とは、中小企業金融円滑化法の終了に伴い、金融機関の格付けが落ちて融資の返済要求を受け、これに耐えられず倒産する企業が多数生ずるのを防ぐため、必要な支援を行うことを目的に設けられた制度です。

具体的には、リスケジュールや様々な経営改善計画の策定や経営指導等を通じ、格付け低下=融資引き揚げを防ぐと共に、経営内容や収益を改善させていくことを内容としています。

上記の会議は今回が4回目だそうで、これまでも通知は受けていたのですが、制度の運用状況として、あまり弁護士の出番がなさそうな展開になっていることもあり、参加を見合わせていたものの、一度くらいは出てみたいということで、今回が初めての参加になりました。

で、予想どおり、弁護士で参加したのは私だけで、ほとんどの参加者(認定支援機関)は税理士さん又はその事務所の方でした。

また、会議の構成団体等として国の出先機関や中小企業再生支援協議会、県内の主要金融機関の方などが参加しており、現在の運用状況の説明などがありました。

それによれば、岩手県は、統計上は200社が対象になるはずだが、現時点で支援事業に対する相談は20件弱、申請がなされたのは6件のみということで、役所側にとっては、見通しを大きく下回る状況とのことでした。

岩手では、平成23年頃から自己破産等の申立も非常に少ない状況が続いており、建設業などの震災特需が影響しているのかもしれません。

報告によれば、全国的にも件数が多くはないほか、支援事業に従事しているのは税理士が5割、コンサル会社や金融機関が3割強で、弁護士が従事した案件は、全体の僅か1%しかなかったそうです。

これでは、やっぱり弁護士には関係の乏しい制度なのかな(ひいては、経営再建の分野そのものが、弁護士に関しては、企業再生で有名な村松先生のようなごく一部の方だけの専業分野に止まらざるを得ないのかな)、と思わざるを得ません。

ただ、それでも敢えて、支援機関に登録したり、たまに会合や研修に参加しているのは、私の場合、出自などの事情で、昔から中小企業を支援する類の仕事に強い関心があるということもありますが、経営再建の問題を抱えた企業は、法律問題の「るつぼ」であることが多いという点があります。

例えば、経営不振の原因が経営者の資質によるものであれば、そこに経営陣内部(ご家族などを含めた)の不和の問題があるかもしれませんし、取引先との関係にあるのであれば、契約内容や売掛金の回収などを巡って、様々な法的論点があるかもしれません。

過剰な人件費によるものであれば、解雇問題に直面するかもしれません。過剰施設の閉鎖等にあたっても、法的紛争が生じることもあります。

少なくとも、民事再生の手続をとった場合には、それらの問題が一挙に噴出し、債務者企業の代理人である弁護士がてんやわんやの対応に追われることは珍しくありません。

企業再生に関する相談は、資金繰りに関するものから始まるため、弁護士よりは金融機関や税理士さんの方に話が行きやすいでしょうが、先に相談を受けた他の専門家の方が、ご本人が気づいていない法的論点などを見出した場合には、弁護士への相談や対処をご紹介いただければと思っており、その一助になればと思って登録しているというのが、正直なところです。

ただ、ざっと拝見する限りでは、認定支援機関の主たる業務(合実計画・実抜計画の策定等)は、金融機関が交渉相手ということもあってか、被災地で用いられている「個人版私的整理ガイドライン」にやや感覚が近い面があるかもと感じています。

脇役だけでなく、認定支援機関としての主たる業務でも、お役に立てる機会があれば幸いです。