北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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顧問弁護士

久方ぶりの知財相談と田舎の顧問弁護士の未来像

先日、ある顧問先から商標権侵害に関する問題のご相談を受けました。さほど紛糾した問題ではなく一応の方針が出ている案件で、確認のための照会ということでしたので、私なりに検討した結果をお知らせして一旦終了となりました。

地域の大企業などに接点の乏しい田舎のしがない町弁をしていると、東京時代は相応にお話をいただいていた「企業法務」的なご相談にはめっきりご縁が薄くなってしまいますが、知財関係はその代表格のようなもので、商標権に関するご相談なんて最後に受けたのは一体何年前だろう?という感もあります。

もちろん、だからといってご相談に対応できないという訳ではありません。過去の経験もさることながら、商標であれ特許であれ著作権であれ、基礎的な勉強は多少はしていますので、常に「模範解答の即答」ができるわけではないにせよ、若干のお時間をいただければ、実務水準としては概ね問題ないレベルの回答ができることが多いだろうと自負しています。

私の場合、購読している判例雑誌について、地道な勉強の習慣として要旨のデータベース作りをしていますし、知財に限らず様々な分野の本を購入して積ん読状態になっていますので、判例を少し勉強した程度の分野のご相談を受けると、勉強したことをようやく生かせるとか、数年前に購入した本達の出番がようやく来たということで、机に本を山積みにして喜々として調べるという面もあります。

今回も、顧問先からメールで関連資料や事情説明に関する書面の送信を受け、電話では簡単なご説明をした上で、文献や判例なども踏まえ、自身の勉強も兼ねて、ある程度、詳しい内容の文章を書いてお送りしました。

当事務所サイトでも表示している「月額3000円」(税別)の顧問先ですので、滅多にご相談を受ける機会もないとはいえ、さほど売上や収益のある業務ではありません(所定時間を超えると別料金をお願いするルールですが、単なる勉強時間について加算するのは難しいですし)。

それでも、こうした形で様々な分野を手掛けることができれば、田舎の町弁をしていると時折襲ってくる「取り残され感」から少しは解放されるような思いもあって、有り難く思っています。

岩手に戻って間もない頃には、盛岡市内の企業さんから著作権侵害に関する賠償問題について受任したこともあったのですが、知財については悲しいほどご縁が薄く、東京時代の独立直前の頃、商標や著作権絡みの訴状を書いたのが懐かしい思い出という有様です。

2、3年前までは日弁連の主導?で作った「弁護士知財ネット」にも加入していたのですが、ご相談等も全くない状態が続いたため、経費削減の必要から辞めてしまいました(倒産ネットは今も続けていますが)。

こうした有様と対照的に、ここ数年は、個人間(親族や知人など)の積年のドロドロした感情のぶつかり合いの果てに訴訟に至る事件のご依頼が多く、時に、当事者の強烈な負の感情やそこに至る残念な物語が私自身の身体にヘドロのように流れ込み、のたうち回るような思いに駆られながら書面を書くことも珍しくありません。

それだけに、感情的な対立が希薄で、相応の勉強を重ねれば一定の答えが出せるような「ライトな企業法務」のご相談に、清涼剤に接するような感じもあって、今後も「相談して良かった、また頼もう」と思っていただけるよう精進を重ねていきたいと思っています。

ところで、ネットで少し調べると、最近は当事務所と同様に月3000円程度の顧問契約を宣伝する法律事務所も増えているようです。当事務所に関しては、5年ほど前にこの方針を打ち出した際、当初は有り難いことに数件のご依頼をいただいたものの、ここ2、3年は新規のお話をいただけておらず、悲哀を託っているというのが正直なところです。

そもそも、顧問弁護士という存在ないし方式自体が、廃れゆく文化なのかもしれないと感じる面はありますが、メール・電話のみでのご相談を受け付けるのは顧問先のみというのが一般的でしょうし、冒頭のご相談をいただいた顧問先も、盛岡から遠く離れた自治体に所在する企業さんであり、来所せずに済ませるという点(ご担当の時間の節約など)でも、意義があると思います。

そうした「頻繁ではないが時折メールや電話で相談をしたい」という需要がある企業さんにとっては、それなりに利用価値のある方法だと思いますし、時に、聞かれたことだけでなく、事案に即して他の点も留意して下さいねとお伝えすることもあります(それだけに、顧問先の方々には、問題が起きてからご相談というだけでなく、返答や検討の有無に関わらず、現在携わっておられる業務に関する様々な情報・資料などを随時、ご提供いただければという気持ちもあります)。

それらのリスク対策やセカンドオピニオンなども含め、地方の小規模な企業・団体さんなどにも、弁護士の活用のあり方について前向きに考えていただきたいところですし、普及し始めた「少額の顧問契約」というスタイルは、それを支えるインフラとして、意義があるのではと感じています。

もちろん、私自身が、実力と磁力の双方を身につけることが先決というべきでしょうから、今は「ドロドロ系の事件」をご依頼いただいている方々に感謝し、のたうちまわりながら研鑽を積みたいと思います。

遠方の企業様からの顧問契約のお申し出について

ここ1年ほど、東京など遠方の都道府県の企業の方々から、顧問契約の問い合わせ(申込み)を受けることが何度かありました。サイト上に表示されているとおり、当事務所は平成23年から「月額3000円」という顧問料のコースを設けているため、いずれも、これを利用したいとのお申し出でした。

ただ、顧問契約も、弁護士としての業務受任の一形態に他なりませんので、面談原則を重視すべきで、ご来所いただき幾つかの事情を伺うなどして一定の信頼関係を築くことができると判断できなければ、お引き受けすることができませんし、「簡易なやりとりなら電話等で済ませるが、資料の確認や詳細な事情聴取が望ましい相応の問題の場合には直ちにお越しいただく」ことをコンセプトにしていますので、来所困難な方(或いは本格事件が生じても対処に関する面談や委任を予定していない方)と顧問契約を締結するのは適切ではないと考えます。

事件委任との関係では、セカンドオピニオン目的の2番手顧問という利用法もあるとは思いますが、大企業はいざ知らず、大半の中小企業では顧問という形をとらずとも個別相談で済ませればよいと思われますし、まして殊更に遠方の弁護士に依頼する必要性もないでしょう。

顧問契約も受任業務一般と同様に考えるべき話で、弁護士としては、互いに顔の見える関係でなければ仕事を請け負うべきではないし、依頼者サイドにとっても、「顧問」であれ何であれ、仕事は「会いに行けるアイドル」ならぬ、会いに行ける弁護士に頼むべきだということに尽きると思います。

もちろん、当方も、遠方にお住まいの方から訴訟等を受任し電話やメール等で連絡のやりとりすることは頻繁に行っていますが、それらは盛岡地裁等に係属する事件の受任が前提になっていますし、最初に面談し依頼主との信頼関係を確立することが必須であることは言うまでもありません。

そのため、残念ながら、遠方にお住まいの方からの顧問契約のお申し出は、その企業が岩手県内で経済活動をしているなど、敢えて岩手の弁護士に依頼すべき相応の理由を見出すことができる場合でなければ、お断りせざるを得ないと考えており、岩手に進出されたとき、ぜひもう一度お声掛け下さいと申し上げています。

逆に言えば、他の都道府県の弁護士さんも、同じような顧問契約のコースを設ければ、一定の需要はあると思いますので、業務開拓を希望する若手の方などは、積極的に試みてよいのではと思いますし、需要者(企業)サイドも、意中の若手弁護士の方に「岩手でこのような試みをしている弁護士がいる」などと、持ちかけていただいてもよいのではと思います。

ただ、肝心の私自身が、岩手の企業さんからは新規の顧問契約のお申し出にご縁のない状態が続いており、ネット経由でこの種のお話を頂戴することは容易でないとは分かっているものの、東京時代には契約書の作成や更正、業務上のトラブル等に関する相談など、その種の仕事に日常的に携わっていた身としては、顧問に限らず一般の相談や業務の受任を含め、企業法務的な仕事に従事できる機会を増やすことができればと、日々願っているところです。

月額3000円(税別)の顧問契約に関するコンセプト

平成23年に月額3000円の顧問契約(Aコース)を設けた際に投稿した文章を微修正したものです。利用頻度に応じた顧問契約の定め方に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

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平成23年から、顧問契約に関する新機軸(Aコース)を打ち出すことにしました。個人・法人を問わず、月額3000円(消費税別)で顧問契約(顧問弁護士)を導入できるというもので、弁護士会の報酬会規の法人顧問料が月額5万円(岩手・盛岡では、月額3万円が多いとも聞いています)ですので、相場より大幅に値引きした価格ということになります。

以下、このコースの設定の経緯、意図等について、ここで概略を説明いたします。なお、金額の表示はすべて税抜としています。

1 Aコース設定の経緯

私は、零細企業経営者の子弟のはしくれであると共に、真っ当なビジネスをする企業が盛んに活動することが社会を成り立たせる基本と考えていますので、弁護士として中小・零細企業の経営を支援する仕事には相応の意欲を持って取り組んでいます。

東京時代には勤務先に様々な顧問先企業がありましたので、そうした意欲を充足できる多くの仕事に巡り会いましたが、岩手に戻った後は、私が盛岡に地縁・血縁がないに等しく、依頼事件の多くは弁護士会や市町村などの相談会でお会いする方々の個人的な問題ばかりで、企業活動をサポートする仕事をご依頼いただく機会はめっきり減ってしまいました。

幸い、全くご依頼がなかったわけではありませんが、多くは他の先生(弁護士など)から紹介いただいたり、弁護士会の相談センター等で偶然お会いした方ばかりで、企業の方が直接にアクセスされてきたことは、滅多になかったと感じています。

現在、当事務所と顧問契約を結んでいただいている企業さんの数も、恐らくは私と同等の実務経験(約20年)を有する弁護士の平均値を遥かに下回る数と言わざるを得ないでしょう(人脈云々以前に、カリスマ性の欠如が最大の要因かもしれませんが)。

JC(青年会議所)などで多少とも垣間見る限りの印象ですが、盛岡・岩手でも、少なからぬ企業さんが県内又は仙台・東京の弁護士と何らかの繋がりを持っていたり、弁護士の紹介を受けることができるルート・人脈等をお持ちのようで、インターネット(Webサイトを掲げる事務所)を弁護士探しの主たるツールとして活用しようという方は、あまり多くはないようです(意思決定を司っている社長さんなどが、ご高齢という事情もあるかもしれませんが)。

そのため、企業(とりわけ、地元に広範な人脈を持ち従前から弁護士を利用してきた企業)の方々から依頼を得ることは、岩手に戻って10年以上を経た今でも、容易ならざるという印象を受けています。

また、私のように地縁・血縁のない人間が異業種の方々との人脈を作るには、例えばJCのような様々な業界の方が集まる夜の会合などに参加する必要があるかとは思いますが、極度の残業体質の上、家庭の事情で夜間に身体を空けるのが難しいという事情もありました。

もちろん、純然たる個人向けの仕事が嫌というわけでは全くなく、今後も多くの力を注いでいくことは間違いありません。ただ、弁護士の活動を通じて地域社会の全体に貢献するとの初志からは、個人向けの仕事ばかりに比重が強くなるのは望ましくなく、個人向け・企業団体向け双方の業務をバランスよく受注できる事務所であるべきだと思っています。また、一方の仕事を経験することが他方の業務にも大いに生きてくることは当然です。

というわけで、夜の会合以外の方法で人脈を作ったりご依頼をいただく機会を作ることができないか模索してきましが、名案も浮かばず、「この弁護士は色々な仕事を手がけているから、話だけでも聞いてみようか」と関心を持って頂けるような内容にしようと、事務所サイトで「取扱実績」欄を増設するなどしていました。が、それを理由にに依頼いただくこともなく、暗中模索の日々が続きました。

そんな中、平成23年当時、たまたま手にしたビジネス誌で、東京の若い弁護士さん達が経営している事務所(ベリーベスト法律事務所)が「月額3980円(消費税込み)の顧問契約を導入した」として、大きく取り上げられていたのを目にしました。

私自身、以前から「実際のご利用があまり多くはない企業から月額で数万円の顧問料をいただくのは、弁護士の不労所得に等しく合理的ではないし、そのような契約は長続きしない。ただ、来所相談をする必要は滅多になくとも簡易な相談を気軽にできる顧問弁護士は欲しいというニーズはあるはずで、それに対応するサービスを提供できないだろうか」との思いがあり、当方も導入すべきと考えました。

以上の経緯で、従前から設定していた顧問契約とは別に「月額3000円+受任時の1割引」というプランを新設した次第です。

ネットでざっと調べた限りでは、平成23年当時、ベリーベスト法律事務所の「3980円」よりも低い単価で顧問契約を謳っている事務所はなく、当時「日本で一番安い値段で顧問契約を引き受ける弁護士」だったかもしれません(その後は調べていません)。

2 新コースの目的

新コースの主たる目的は、サイトに表示したように、たまには弁護士に電話やメールで聞きたいことがあるという方が、従前よりも安価な値段(顧問料)で気軽に問い合わせ等ができるようにしたいとのニーズにお応えする点にあります。

また、簡易なやりとりであっても、法的なアドバイスを通じて、本格的な弁護士の出番を要しない形で紛争を予防したり交渉相手からのアドバンテージの獲得につなげていただいたり、中には、ご自身が気づいていない問題を指摘し、すぐに本格的な事件として動き出すべきだ、とお伝えすべきこともあると思います。

早期のご相談→合理的タイミングでの事件依頼→手遅れの防止というサイクルで考えていますので、来所相談の必要がある場合に支障なくご来所いただける方(岩手の方や盛岡へのアクセスに難がない隣県などの方)を顧客層として想定しており、基本的に「全国展開」するようなサービスではないと考えています。

また、過去の経験等から「町弁の採算に関するデッドライン(基準単価)は時給2万円」と考えており、月額3000円(年額3万6000円)という価格は「年間2時間弱(月に平均1回、1回あたり電話・メール等で10分程度)のご利用」に相当すると位置づけています。そのため、それ以上のご利用が多く生じる場合、原則として追加料金をお願いするか他の契約類型への切替をお勧めすることになると思います。

この程度のご利用なら、普段なかなか弁護士に相談することはないという中小・零細企業や個人の方でも一定の実需はあるのではないかと考えての設定です。

3 伝統的な顧問契約との異同など

伝統的な顧問契約の相場よりも遥かに低い値段ですが、従前の顧問契約の価格破壊を目的とするものではありません。むしろ、来所相談等は割引とはいえ有料とさせていただきますので、「顧問先の相談は無料」という契約類型とは、異種のものと言えます(従来型の顧問契約もタイムチャージと組み合わせる方式でお引き受けしています)。

敢えて言えば、「毎月、数万円を払って顧問契約をしているが、さして利用がなく、契約に疑問を抱いている企業」にとっては、いざというときに弁護士への迅速なアクセスを確保するため顧問契約だけはしておきたいとのニーズをリーズナブルなコストで確保しうる点で、価格破壊的要素はあるかもしれません。

ただ、それは、従前の顧問契約(弁護士)に、実働を伴わない顧問により不労所得を得ている面があったこと自体が間違っているというだけのことであり、「あるべき価格を不当にダンピングする」という意味での安値競争とは異なるものです。

もとより、顧問契約を締結している多くの弁護士が不労所得を貪っているというわけではありません。ネット上で検索いただければすぐにお分かりのとおり、伝統的に、一般的な弁護士の顧問契約が「月数万円の顧問料を支払えば相談等の時間は原則として無制限」となっているため、相当量のご利用があれば元が取れるようになっており、そうした利用をされている方も沢山おられると思います。

しかし、この仕組みだと、盛んに利用(相談等)をした方とそうでない方とで実質的に大きな不公平が生じてしまいます。さりとて、伝統的にドンブリ勘定体質を持つ弁護士業界で「利用実績のない顧問先には顧問料を返金」などといった手法が普及するとも思えません。

毎月、帳簿類の精査という明確な実働が伴う税理士さんと異なり、弁護士の顧問業務は相談等の実需がないと機能しにくい面があることは否定できません。そのため、利用の有無に関係なく頂戴する顧問料の部分はなるべく減額し、それと共に、多くのご利用のある顧問先には顧問契約をせずに利用される依頼者よりもメリットがある(割引サービス)という形で顧問契約を再構成していくのが、これからの顧問弁護士に関する望ましい姿ではないかと考えます。

「定期的に顧問先企業を訪問して相談等を行う」など、顧問税理士のように定期的な実働を伴うケースなら、低額の顧問契約を導入しなくとも、実働に応じた相当の顧問料を定めればよいと思います。しかし、法務部門が各部門のリーガルリスク等を定期的にチェックし顧問弁護士に定期的に相談する仕組みを作りやすい大企業ならともかく、現在の我が国の中小・零細企業にはそうした実需は滅多にない(掘り起こしも難しい)という印象です。

また、Aコースのような顧問契約については、学校の同級生など個人的に親しい関係の弁護士がいるという方なら「ちょっとした相談程度なら、その弁護士に電話等でサクッと聞けばいいから敢えて顧問契約なんてする必要はない」ことになるかもしれません。

ただ、そうした人脈を持たない方や、あったとしても一種のフリーライダーになりたくないという方にとっては、簡易な相談を遠慮なく受け付けること自体を目的とした低額の顧問契約は相応に利用価値があると思われます。

私自身、今は概ね(至って?)健康のため必要はないものの、いずれ病気がちになった場合は、町医者の方に低料金で自分の身体に関する些細なことについて遠慮なく電話・メールで相談できる顧問契約のようなものがあればと思わないではありません。

個人的に、仕事上お世話になっている医師の先生や遠方の病院で活躍している高校の親友もいないわけではありませんが、逆に、おいそれとは相談できず、よほどの事情がなければと腰が引けてしまう面があり、料金のやりとりをするビジネスライク?な関わりの方が、案外、料金などの範囲内で遠慮無く物事を聞きやすいような気もします。

4 料金

月額3000円の設定の根拠は、3980円(消費税込み)のベリーベスト法律事務所(の方々)に比べ、経験年数では上回るものの規模では遥かに見劣りすることから、同事務所より若干低めの値段としたものです。

また、あまりに低くするのもどうかと思いましたので「今どきの顧問弁護士=高額なランチ一食分」と考え、「高級食材を扱うが、リーズナブルな価格で提供しているレストランで、ランチを月1回利用すればディナーが1割引になる」イメージで考えてみました。

ちなみに「無料」というのは、他の顧客等へのしわ寄せを不可避とするものですので、震災のように臨時的な場面以外は多用すべきでないと思っています。そうした理由で、私は巷で流行する「債務整理等の無料相談」はしていませんが、反面、直ちにお引き受けする場合などは相談料は頂戴しない(又は、相談料分を定額料金から差し引く)などの方法でバランスをとっています。

昔、ある大物弁護士の方が「社長さんに顧問弁護士(月5万円)を勧める際は、社長さんが月1回、高級料亭かクラブで飲食するのを控えれば済む値段ですよ、それで会社が守れるのだから、安いものではありませんかと説明している」と仰っている文章を読んだことがあります。

しかし、このご時世や現在の私の身分では、高級料亭やクラブに入り浸るような社長さんと接点を持つことは到底期待できません(イソ弁時代は少々お会いする機会もありましたが、今となっては昔のことです)。

他方「頑張った自分へのご褒美で、月に1回くらいは贅沢なランチを食べたい」という方なら、幾らでも知り合う機会はありそうですし、コストパフォーマンスを真剣に考えて選んでいただく方が、実りあるお付き合いになるのではないかという期待もあります。

月3000円という価格も実需のない方には十分に高額ですので(少なくとも私のような一般人から見れば)、「顧問弁護士」という一種のブランド価値をダンピングしているということも言えないでしょう。

5 見通し

ただ、「このコースが対象として想定している潜在顧客層」が、このような金額・コンセプトでの顧問契約に対する実需(利用価値があるとの理解を含め)がなければ、実際に申込みを受けることもないでしょう。

私自身は、弁護士が希少種である時代には「顧問弁護士」は金持ち企業のステイタスのようなものだったが、その時代は終わった。タイムチャージ等と組み合わせたリーズナブルな料金での契約が新しい時代に求められる町弁の顧問契約ではないか、と考えているのですが、皆さんのご意見をお尋ねしてみたいところです。

事務所サイトで小さく表示するだけの扱いですので、導入から2年半を経過した平成26年2月現在も、実際に申込を頂戴した企業様はごく数件に留まっています(もちろん、お申し込みいただいた皆様には大変有り難く思っています)

(追記・令和2年改定時には、幸い従前よりはかなり増えています。それでも十数社ですので、他の先生方に及ぶべくもありませんが・・)。

私自身が華やかな宣伝に向いている人間ではありませんので、サイトをご覧いただく方を別とすれば、個人的に聞かれた際「ウチではこういうこともやっています」とご説明する程度のことしかできないのだろうと思います。

まだ、このような顧問契約の新しいプラン(類型)を作ったことが成功と言えるのかそうでないのか、結論が出ていませんが、こうした試みが社会に受け入れていくのか否か、しばらくは様子を見てみたいと思います。

顧問弁護士と監査役等の兼任と両者の役割の違いについて

先日、ある法人から「顧問弁護士に監査役(社会福祉法人などでは監事)を任せてよいか」という趣旨のご相談を受けました。

以前、双方の兼任は避けるべきとの話を聞いたことがあり、改めて調べたところ、やはり消極的な意見が有力とのことだったので、そのようにお伝えしました。

聞くところでは、小規模な企業では、顧問弁護士に監査役を依頼し兼任している例が珍しくないようですが、両者は本質的には相容れません。

監査役(監事)の本質的な業務は、取締役(理事)の業務執行(企業経営)が適正・適法に行われているか(法人からの委任の趣旨に合致しているか、企業を取り巻く様々な法令の趣旨に適合する経営がなされているか)を積極的に監視、監督する点にあります。

他方、顧問弁護士の業務は、主として業務執行者たる取締役等のご相談、ご依頼により、企業に関する様々な対内的・対外的な法律問題に関し、助言又は処理等するというものです。

もちろん、顧問弁護士の業務には、企業経営の中で法の趣旨に抵触すると思われる点が見られた場合に、その改善について勧告したり、役員等と一緒に改善策(措置)を検討し執行を補助するなども含まれますので、顧問弁護士と監査役等の業務は、一部、重複する面がないわけではありません。

しかし、顧問弁護士の場合、取締役等の職務執行(企業経営)に法律上の問題(不正等)があると感じた場合には、改善を勧告し、それが聞き入れられないときは辞任等の形で態度を表明することができるに止まるのに対し、監査役等の場合、勧告が聞き入れられないとき(或いは、勧告をするまでもないほど事態が深刻な場合)には、賠償請求をはじめ取締役等の責任を追及するため、法律上、期待されている措置を講じなければならない義務を負います。

そのため、取締役等と監査役等とは「日常的には互いの法人のため協力し合う関係にあるが、いざとなれば対決することを余儀なくされる宿命にある者同士」と言うことができます。

また、顧問弁護士の業務は、性質上、取締役等の業務執行を支援することが契約内容の中核をなすことが多く、「取締役等の職務が適法か否か」という問題が生じた場合、争いがあれば、なるべく適法なものと認定、解釈されるべきという立場で執務しなければならない可能性が高く、その点でも、両者は相容れない面が生じます。

誤解を恐れずに言えば、上記の監査役等の役割に照らせば、「万が一、経営陣が道を大きく踏み外し後戻りできない状態になってしまった場合に、経営陣に引導を渡すのに相応しい人(そのような場合に、経営陣がその人の言うことなら聞けるというだけの重みを備えた方)」に就任していただくのが賢明ではないかと考えます。

逆に言えば、そうした重鎮としての役割を果たすことができるのであれば、顧問弁護士であっても監査役等を兼任してもよいのかもしれません。

もちろん、今の私には、そのような「重み」は荷が重すぎますので、顧問弁護士等の形で日常的な企業経営の法的適正を確保する仕事に従事し、伝家の宝刀というべき監査役等の出番がないようにする、という方向で、役割を与えていただければと思っています。

以上から、顧問弁護士が監査役等を兼任することは、原則として適切ではないと考えますが、実務の実情を必ずしも把握しているわけではありませんので、この点をご教示いただける方がおられれば幸いです。

ところで、何年も前に、岩手県の関係機関から、社会福祉法人の新任理事・監事向けの講義を依頼されたことがあり、自分なりに、理事と監事の役割、それぞれの違い、さらには株式会社と社会福祉法人の違い(評議員会などの存在意義)などを考え、裁判例なども交えてご説明したことがあります。

その際のレジュメを読み返してみましたが、社会福祉法人に限らず、医療法人、財団法人、一般社団法人など、理事・監事という組織形態をとる他の類型の法人について考える際も応用が利きそうな事柄が書いてあり、もし、勉強会を行いたい等の話がありましたら、一声かけていただければ幸いです。