北奥法律事務所

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弁護士小保内義和のブログです。

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企業倒産の実務と経営者保証ガイドライン(盛岡北RC卓話)

先日、盛岡北RCの卓話を担当したので、時勢も踏まえ、企業倒産の実務を取り上げることにしました。

金融機関以外にはほとんど負債のない事業者であれば、経営者保証ガイドラインにより破産よりも遙かに良好な解決を得やすいのですが、世間一般には知られていませんので、同GLに力点を置いた説明にしました。

卓話で用いた事例とレジュメの目次を掲載しますので、事業者の方などは参考にしていただければ幸いです。

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小問1 

岩手県内で物販業(一般向けの生活用品の販売等)を営むA社の代表取締役Bは、長年に亘りA社の営業不振が続き、日々の運転資金の支払も銀行借入や各種債務の延滞などをしなければ困難な状況に陥り、現状では営業の継続は不可能と考えた。A社は、銀行3社(岩銀、北銀、みずほ銀)に計1億円(岩5000万円、北3000万円、み2000万円)、取引先20社に未払買掛金計2000万円(最大500万円、最小10万円)、未払公租公課(税金、社保料など)4庁・計500万円の債務があり、賃金も2ヶ月分・従業員10名計400万円が未払となっている。

他方、現時点の資産は、手持ち現金が50万円、未収売掛金が10箇所計300万円、商品在庫などが多数(定価どおりに販売できれば1000万円以上だが、販売目処の立たない老朽在庫も多い)となっている。

Bは、銀行3社(1億)と取引先も4社ほど(800万円)、連帯保証している。

A及びBの債務問題を解決するため現実的に可能な法的手続は何か、法的手続の概要や、受任弁護士が特に検討・対応すべき課題などを説明しなさい。

小問2

岩手県内で飲食店を営むC社の代表取締役Dは、先般から社会で生じた問題により数ヶ月売上の急減が続き、手持ち資金に余裕があるうちに、経営継続を断念することとした。Cの債務は、金融機関2社に計5000万円(東銀3000万円、公庫2000万円。D保証付き)のほかは、20万円以下の小口の買掛が数件あるのみである。他方、Cの営業資産は限られたものしかないが、現在300万円の現預金がある。Dは預金300万円のほか、数年前から住宅ローン返済中の自宅があり、Dは近々転職し給与収入で住宅ローンの支払を続けたい希望である。

C及びDにとって最も賢明な「店じまい」を実現するための法的手段は何か。また、実現にあたって特に検討すべき点を説明しなさい。

【目次】

第1 様々な債務を抱えながら資金枯渇した企業の倒産処理
1 企業の債務整理・倒産処理に関する法的制度
2 個人の債務整理・倒産処理に関する法的制度(参考)
3 東日本大震災で被害を受けた企業等を対象とする特例的な救済手続
4 新型ウイルス禍に伴う支援制度の紹介例や弁護士会等の取組み等

第2 小問1 多額・多様な債務を負う一方、現預金が足りない企業の場合
1 A社の手続の選択と初動対応
2 破産手続(申立後)の一般的な流れ
3 Bの手続

第3 小問2 ほぼ金融機関の債務だけの小規模事業者が早期撤退する場合
1 C及びDの置かれた状況と方針選択
2 経営者保証GLスキームに基づく会社債務の整理(換価・弁済)
3 経営者保証GLスキームに基づく保証債務の整理

第4 結語
かつてのように「生命保険で支払う」などは絶対にしない・させない

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以上の内容について、ご自身(の所属団体など)で話を聞いてみたいという方がおられれば、ご遠慮なくお声がけください。

JCのための憲法学ともう一つの憲法改正論~H30.11講義の雑感

1年半も前の話で恐縮ですが、平成30年11月に、以前に投稿した「岩手のJCの方々(日本JC岩手ブロック協議会)向けに憲法についてお伝えする企画」があり、1時間弱ほど、岩手の現役JCの大物の皆さんに、私なりの考えをお話させていただきました。

以前にも書いたとおり、「いわゆる護憲でも改憲でもなく、ノンポリ無党派層の立場から、党派色のある方々とは全く異なるアプローチで、憲法及び憲法改正について私の考えをお伝えする」ことは、長年、自分がなすべきと思いながら実践できずにいましたので、ささやかながらも、ようやく宿題の一つを実現できたと、お声がけいただいたことに大変感謝しています。

ただ、JCIクリードと日本国憲法の類似性に関する話に時間と労力を使いすぎ、それ以外の話をあまりできなかった点は、悔やまれるところですが・・

こんな機会は二度と無いでしょうから、後日にレジュメを公表するつもりでしたが、諸事に追われ、1年半を経過した今も、まだ着手できていません。その代わりといっては何ですが、さしあたり、今回は当日の雑感を少々述べます。

①JCの卒業時にT君達から頂戴したネクタイを着用して行ったところ、運良く?T君をお見かけしたので、冒頭に「これ、T君にいただいたネクタイなんです。私、JCに入会したとき、『弁護士なのにしゃべりイマイチだね』と言われた輩なんで、本日も上手く話せないと思いますが、T君に免じてご容赦下さい」と軽妙なトークができればと思ったのですが、口下手なので、やっぱり言えませんでした・・

②久しぶりにお会いしたN理事長さんに「この人、こんなに美人だったっけ?」とびっくり。長年、盛岡JCに多大な尽力をされた方なので、しかるべき立場についたオーラの影響もあったのかもしれません。

昔々、東北ゼミナールに出向させていただいた際、東北地区の会長さんだった「秋田の女傑」と呼ばれた方が放っていたオーラに通じるものを感じました。

で、そのことも「ツカミ」で話そうかと一瞬思いましたが、純朴な岩手の田舎者には無理な注文でした・・

③こんな機会は二度とないと思い、クライマックスの場面で、昔から一度は言ってみたかった「皆さん岩手の人間は、何度も時の中央政府と戦い続けた蝦夷の末裔、戦闘民族なんです。○イヤ人みたいなもんですよ!」と興奮気味?に話しました。

が、ネタ的にぶっとび過ぎたのか、笑いはいただけず、ポカ~ンといった感じの反応でした。

ちなみに、コレも間違いなく「憲法の話」です。たぶん。

④盛岡JC次期理事長のIさんから(私がたった一人で提唱する憲法改正案である)「万物の尊厳について、もっと熱く語って欲しい」と大変有り難い言葉をいただきました。

で、本来であれば、持ちネタである「縄文と弥生の結節点としての岩手(が有する未来への役割)」について熱いトークをしたかったのですが、あがり症なので、「私、ケチで貧乏なので食事を残すのが食べ物に申し訳なくて、いつも盛岡北RCの例会でYさんと一緒に2~3人分食べてるんです」といったレベルの話しかできませんでした・・

ともあれ、JCの方々に、司法試験受験生が学ぶようなごくオーソドックスな憲法学、憲法観をベースとしてJC活動の意義やあり方をお伝えするのは、私にとって現役時代にやり残したことの一つでしたので、今回、参加いただいた皆さんに(一部、かなりぶっとんだ話だったにもかかわらず)好意的に対応していただいたことも含め、大変ありがたく思っているところです。

お声掛けいただいたB君をはじめ、日本JC東北地区岩手ブロック協議会の皆さんに御礼申し上げると共に、個人の尊厳と国民主権をはじめとする憲法の価値を実現するためのJCの地道な活動の更なる深化を、心より祈念する次第です。

ちなみに、曲がりなりにもOBですので講演料はありませんが(交通費のみ)、代わりに?岩手のワインと日本酒を有り難く頂戴しました。

「10万円(特別定額給付金)」が家族を壊す?光景と、後先考えずに給付政策を推進する怖さ

安倍内閣が世論(マスコミ・公明党・野党など)の強い意向に応じ渋々?導入した「1人あたり10万円の給付政策」(特別定額給付金)について、受給した家庭内で世帯主がお金を独り占めするような行動に出るなど、家族間でトラブルが生じている、という報道が出ています。

私は、震災時の相談経験をもとに、10万円政策が採用されたときから、この点を危惧しており、4月21日にfacebook上で以下の投稿をしていました。

その投稿を、微修正の上でそのまま掲載しますので、ご自身のご家庭はもちろん、今後の政策(の支持など)の参考にしていただければ幸いです。

なお、引用したニュースで解説されている弁護士の方は、制度の解釈として「権利(財産)は世帯主に帰属し、構成員(家族)個人が世帯主に引渡請求権を有しない」との考え方を支持(採用)されています。

その当否を今、論じることはできかねますが、このような考え方=世帯主が正当な理由なく独り占め・浪費等しても何も言えないとの考え方が罷り通れば、当然ながら、全国の多くの家庭で不公平を強いられた側による何らかの爆発が生じることになるでしょう(ただでさえ、現下の情勢で高ストレスを感じて、はけ口を求めている方は多いでしょうし)。

そうであればこそ、そのような問題を抱えた(のかもしれない)制度が設計されたことや、そのようなリスクを看過して徒に熱狂?したこと自体、政府であれ国民であれ、反省を要するのではと感じています。

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(以下、4.21のFB投稿)

先日、すったもんだの末に決まった「10万円給付政策」は、報道によれば、世帯主が世帯全員の金額を申請し、しかも、世帯の構成員各人名義の口座に個別に送金するのではなく。世帯主の口座に全額がまとめて送金するのだそうです。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/414095

私は予言します。これにより、全国の膨大な数の家庭で給付金を巡り泥沼の紛争が生じ、潜在的な不和が拡大再生産されると。

岩手の方はご承知のとおり、先の震災では、義援金や支援金などの名目で、被災者・遺族の方々に多額の金員が支給されました。

私は震災直後から長年に亘り、1ヶ月に1回以上の頻度で県内沿岸部(被災地)各地の避難所を巡ったり臨時相談所を担当してきました。

震災から半年~2年頃の時点で私が受けた相談のうち最も多かったのが「義・支援金が、世帯主の口座に送金された後、(世帯主=受領主のキャラ等に問題があるとか従前から様々な形態の不和があるため)独り占めして家族に渡さないので困っている、という類の相談でした。

遊興費などに費消する類の話から、親族構成が複雑で、そもそも当該御仁が代表者として受け取ること自体に問題があると感じるケースが多かったように記憶しています。

ですので、私は「震災でどのような相談が多かったか」と聞かれるたびに、この話を持ち出して、法改正など=個人ベースで受領できるように改正するのが必要だと訴えていますが、岩手弁護士会きっての窓際三下野郎の悲哀のせいか?誰も相手にしていただけず、現在に至っています。

結局、今回もFBの片隅でこのように注意喚起するだけが精一杯ということになりそうですが、潜在リスクに不安を感じる方々は、例えば、送金先通帳を共同で管理するなど、現実的に可能な範囲の方策を講じていただければと思います。

余談ながら、平成28年11月に弁政連岩手支部と岩手県議さん達との懇談会の際にも、この話をしたことがありましたので、ご参考までにブログ記事を紹介します(岩手県議さん達の悪口を言う気はもちろんありませんが、この際も、いつもと同じく皆さんに聞き流されておしまい、というのがお恥ずかしい現実です)。

ちなみに、「一世帯で合計いくら」という、世帯内部で誰にどのような権利(資格)があるのか全く分からなかった義支援金は、分配を巡るルールがないという意味で、争いの種になりやすかったのですが、今回は、個人一人一人に受領する資格があるという形なので、義支援金に比べれば、自分にきちんと分けなさい、と内部で言いやすい(引渡などの請求権が認められやすい)とは思います。

大半の家庭では問題は生じないでしょうから、送金側の手間も考慮し申請・支給の原則は世帯単位でもやむを得ないとは思いますが、会内などでよく指摘されるDV絡みのように、世帯主が全員の利益を代表しているとは言えない事案で弊害が生じないよう、対策を講じるべきです。

例えば、申請にあたっては、受給者全員の署名捺印を原則必要としたり、世帯主に申請を任せられないと思う人は自ら申請して正当な理由があればなるべく簡易な審査で個別受領できるようにするとか、それらの問題がある世帯でなくとも、送金については受給者ごとの個別送金の希望があれば認めるなど、弊害防止等のための例外措置を定めておくべきではと思っています。

CMやネット広告で「任意整理」を宣伝する都会の弁護士等の仕事に接して感じた疑問について

震災の前後から、東京の弁護士や司法書士の事務所が、CMやらチラシやらで出張相談会と称して過払だ債務整理だと喧伝してきた光景には、「見飽きたよ」という方も多いだろうと思います。

過払に関しては、平成18年頃の法改正により我々「フツーの弁護士」には震災後間もなくご縁がほとんど無くなり、私も、2年ほど前に最後の大事件(若い弁護士さんの尻ぬぐいで、無用の大論点まで引き受けて僅かな報酬でメチャクチャな苦労を・・)、昨年は回収の難しい事件が一つあっただけで、恐らく、もう過払には基本的にご縁がないのだろうと思っています。

それなのに未だにCM等で派手に宣伝する人達がいることに「商売が成り立つのか?」と不思議に思っていたのですが、その理由(カラクリ?)が多少は分かってきたような気がします。

ここ最近、これらの事務所に「任意整理」(リスケジュール)を依頼した岩手県民の方が、依頼から半年前後で「息切れ」して自己破産又は民事個人再生に移行せざるを得なくなったところ、その事務所に「破産や再生はウチではやらない。地元の弁護士に頼んで」と言われ、HP経由で当事務所にアクセスしたという方が何人かおられました。

で、その方々が全員というわけではないものの「ありがちな話」として、東京の弁護士等の請求(報酬基準)により、任意整理の着手金を1件あたり5万円(税別。以下同じ)とし、毎月5~6万円ずつを弁護士の指定口座に送金した後、半年ほど(入金総額が30万円ほど)した時点で、本人が、従前どおりの返済は無理だと「息切れ」して、その弁護士等に相談しています。

すると、その弁護士等から上記の「破産や再生はウチではやらない」との説明があり、ご本人との間でそれまでの受領額を清算しているのですが、着手金(単価×業者数)の総額(また、その間に業者とリスケ合意の書面を交わしたことを理由とする解決報酬金(1社あたり2万円など)を含む場合もあります)を控除し、従前の送金額30万円前後の全部又は大半を弁護士等が受領した上で「あとはよろしく」と手を引く、というパターンが多いように感じるのです。

これは、悪く言えば、受任通知を送付し業者の督促を止めただけ(あと、引直計算や減額の交渉もない単なるリスケ合意書を交わした程度)で1件あたり5~7万円(30万円前後)の費用を取り、本人が支払困難となるや、面倒な作業は他の弁護士に頼めと言って放り投げる、という「ボロい商売」をしているように見えます。

言い換えれば、そのような「後で払えなくなっても知ったことか」との前提で、半年ほど通知1本で督促を止める程度だけの仕事をする代わりに、20~30万円程度を本人から得ることができれば(それだけを延々と全国で繰り返すなら)、「過払なき後」も十分な収益が得られるとして、今はそれが目当てで彼らは未だに宣伝をやってくるのではないか、との印象を拭えないのです。

そういえば、震災前後に「楽して儲かる大手相手の高額過払ばかり受任し、面倒な小規模業者への過払請求は受任拒否する(東京の)弁護士が一定数いる」との話を聞いたことがありますが、上記の話も、その延長線上なのかもしれません。

ちなみに、岩手では、平成17年頃(私が岩手に戻った直後)の消費者委員会の内部規制で、任意整理の費用は1件あたり2万3000円(うち3000円が引直計算の手数料)という低額規制が定められ、当事務所は当時から10年以上に亘り、この単価で受任してきました。

引直計算が消滅した現在は、1件あたり原則2万円となっていますが、引直のあり方を巡る激論などはなく、本人が履行可能な弁済計画の策定など作業の多くが練達の職員が対応できるため、さほど不満はありません。

言うまでもなく、2万円は1件ごとの総費用であり「和解成立時の成功報酬」なるものは請求していません。

儲かりはしないが、こんなものでしょ、という感覚ですし、依頼者側の支払能力(岩手の所得水準?)なども含め、それが任意整理(単なるリスケ)という仕事には相応しい単価だと思います。

だからこそ「通常の消費者金融に関するリスケだけの仕事で1件あたり総額7万円」などという、当方の3倍以上の単価設定は、私には全く理解できません(昔の東京弁護士会の基準は、3~4万円+減額報酬金だったような気もしますが、私は、東京時代から着手金のみで対応し減額報酬金は請求しませんでしたので、それを理由に他の弁護士でなく私に依頼してきた方もいました)。

当方は現在もこの単価設定で行っていますが、岩手でも、この単価で行っているのは、当時の消費者委員会の議論を知る人だけかもしれません。

多少の違いはありますが、これは、法テラス(低所得者向けの立替制度)の受任額と概ね同一(1件だけならこちらの方が割安)のものとなっており、私としては、岩手弁護士会(の役員の方など)が全国に働きかけ、この「岩手方式」を全国標準にしていただきたいのですが、残念ながら、そのような話を聞いたことはありません。

また、もう一つ大事な点として、当方では、最初から任意整理(リスケ)に無理があると感じる方は、可能な限り破産又は再生を選ぶよう説得するので、現在は任意整理の受任は滅多にありません(これに対し、彼らはそうした検討や説得などを伴わず、リスケ希望があれば上記の受任費用を前提にその受任を機械的に行う面が強いように見受けられます)。

ただ、諸般の事情からリスケを希望される方はいて、その方が、やむなく破産・再生に移行したときは、それまでの業務量も考慮の上で、移行後の受任費用を減額する(リスケ費用を後者の内金扱いとする)のが基本となります。

これに対し「うちは破産・再生はやらないから他に頼んで」となれば、当然ながら、費用の二重負担は避けられません(そもそも、そうであれば、最初から説得したり費用や業務のあり方なども検討すべきでしょう)。

その上、上記の経緯で当事務所にアクセスする方々の多くが、支払能力が限られ、法テラス対象者又はそれに準じる方なので、なおのこと「最初から破産・再生相当だと分かりきった方に、解決費用の名目で半年ほど毎月数万円を自分達に支払わせた後、自分達の費用の支払が済んだら放り出しているだけでは(それって、体のいい収奪なのでは)」とも見えてしまう彼らの仕事の仕方には、到底得心できないと感じてしまうのです。

もちろん、私のやり方は(費用相場が岩手と東京で違うという話を一応別とすれば)、珍しいことでも殊更に褒めるような話でもなく、自分が引き受けた依頼者は、合理的な費用や手法を前提に最後の解決までなるべく面倒を見る、という弁護士としてあまりにも当たり前のことを述べているに過ぎませんし、個人向けの破産・再生が原則として「債務整理の基本のきのき」であることも言うまでありません。

よって、破産・再生はウチでは受けないから他の弁護士に頼め、という彼らのやり方が私には理解できません(ただ、彼らが放り投げた結果として、当方が「おこぼれ的受任」を得た面は否定できず、彼らを悪く言える立場ではないのかもしれませんが)。

残念ながら、現在の弁護士業界の内規や法制度にはこのような「都会の弁護士さんの仕事のやり方」に(明確に)NGを出すことができる定めはありません。

このような「実質的な中途辞任ケース」では、和解報酬金は返還するとか、着手金総額も一定の上限を設けるなどという対応が必要なのでは、と感じています。

もちろん、私自身が、高額なリスケ費用を請求し「本人(依頼者)から取れるだけ取った後は放り出す」などという路線に宗旨替えすることは耐えられませんので、今後も「こんなことがまかり通ってよいのだろうか」と感じつつ、淡々と後始末を続けていくだけ、ということになるのかもしれませんが、こうした話にも光が当てられることがあればと実務の片隅で願っています。

もちろん、個別事案ごとに様々な事情があり、方針選択などについては相応の事情がある場合もありますので、彼らが殊更に依頼者の犠牲のもと私利を図っているなどと、当然に思っているわけではありません(思いたくもありません)。

が、「そうであれば、費用であれ方針であれ、その事情を配慮したやり方というものがあるだろう」と感じることが多く、全体として「それって費用の取り方がおかしくないか」と感じざるを得ない(ものの、現行規制では私的自治の原則に阻まれ、是正=返金等を求めるのも現実的でない)というケースを目にすることが複数あり、思わず投稿せずにはいられなくなった、というのが正直なところです。

それだけに、全国的な実態の把握や議論の深まりを期待したいものです。

私が拝見した例がすべてだと申すつもりはなく、業務・金額とも特段の問題がない(或いは、私よりも遙かに良い)というケースも十分ありうるでしょうから、CMやチラシなどをすべて否定するつもりはないのですが、こと、現在の弁護士業界に関しては、依頼前であれ後であれ、セカンドオピニオン等を考慮する必要があるのかもしれません。

少なくとも、感覚的に疑念を感じる点があれば、そうすべきですし、それに至らなくとも、ご自身の感覚自体が鈍磨しているケースもありうるでしょうから、ご自身の信頼に値する知人への相談なども含め、健全・常識的な感覚を大事にしていただければと思います。

ウイルス禍における賃料問題と廃業支援としての経営者保証ガイドライン

新型ウイルス禍で休業等を余儀なくされる飲食店などが休業期間中も賃料の負担を余儀なくされ廃業等に追い込まれる(ので支援を要する)という問題は、4月下旬頃から都道府県や国レベルで様々な救済策が検討・実施され、今も流動的な状況にあると思われます。

私自身は3月頃には賃料問題は今回の件で特に立法的解決が求められる問題ではないかと思っていましたので、この報道(論点)の行方には強い関心があります。

この種の事件を手がけておらず、込み入った検討はしていませんが、一般論として、ウイルス禍による休業を理由に貸主に賃料を請求する法律上の権利が借主にあるか(現行法上認められるか)と言われれば、貸主から使用停止を求められるなどという特段の事情がない限り、非常に厳しいのではと現時点では思っています。

他の先生のブログで、物件価値の大幅下落を前提とした賃料減額請求が検討されていましたが、その先生も、その場合は鑑定が必要になるなど現実的ではないと仰っていたと記憶しています。

他方、借主が望まぬ休業で契約上予定していた使用収益(による賃料原資の獲得)ができず、塗炭の苦しみを強いられているのに、貸主のみが何のリスクもなく契約どおりの賃料を支払え、というのは社会的公正ないし公平の観点から、相当に違和感があります。

その先生のブログでは、貸主側からの相談で、借主より強硬な減額要請を受け、やむなく応じているとの話を幾つも受けているとの記載があり、実際には貸主も大変な目に遭っている事案も多いのでしょうが、現行法でルールがないため「良心次第・交渉(大声)次第」という歪な状態になり、トータルで不公正な光景も相応に生じているのではと危惧されます。

結論として、疫病などで休業が不可避の状況にある場合は、一定の算式を作成して相応の減免等の請求を簡易に認めると共に、貸主(ひいては、その先にある銀行等)にも、相応の受益的措置(建設費などのローン支払猶予と利息停止や債務減額、固資税などの減免その他)を講じるような法的措置を早急に講じていただければと考えています。

話は少し変わりますが、厳しい経済情勢に伴い全国的には廃業や倒産の報道も増えてきましたが、当方に関しては、現時点でそのようなご相談はまだ全く受けていません。

小規模企業の債務整理に関しては、最後の選択肢である破産と、現状では金額面で利用困難な民事再生のほか、事案次第では利用でき、自宅の維持確保など破産などよりも遙かにメリットの大きい解決になりやすい「経営者保証ガイドライン」という、第3の選択肢があります。

田舎の町弁にはあまり接点のない(ので、岩手でも経験のある弁護士は多くはないはずの)手法なのですが、私は2年ほど前に小規模な福祉施設の店じまいの事案で活用しており、先般も、ウイルス禍が原因ではありませんが、店じまいをせざるを得ないという小さな地元企業さんで、GLで解決できる事案を受任し、現在、各種対応に追われています(2年ぶりで、これが実質2件目なので、試行錯誤的を交えつつではありますが)。

経営者保証ガイドラインは世間ではほとんど知られていない制度で、私が受任した案件でも、ご本人に「本件は、個人再生が無理な事案で、破産も自宅を手放さざるを得ない、GLなら自宅を守ることができるはず」とお伝えすると、そんな制度があるのかと驚き、強い安堵を示しておられました。

それだけに失敗は許されないとの姿勢で臨んでいますが、現下の情勢により店じまいを避けることができなくなった企業の方が、GLによる解決が可能であるのに知識不足や出会いに恵まれないことなどにより、残念な選択に至ってしまうことがなければと、願っているところです。