北奥法律事務所

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会社分割に関する基礎知識

会社分割に関する基礎知識


先日、ある会社さんから、会社分割を検討しているので、基本的な知識ないし枠組みなどを教えて欲しいとのご相談を受けました。

会社分割は、倒産絡み(詐害行為問題)など幾つかの裁判例の勉強を通じて関心を持っていましたが、仕事上お付き合いさせていただいている「規模の大きい企業さん」の数が多いとは言えない田舎の町弁の悲しさで、これまで会社分割に仕事で関わることが皆無に等しく、数年前に購入した実務書も埃を被った状態でした。そこで、貴重な勉強の機会を頂戴したと受け止め、書籍のうちご相談に関係する部分を一通り読んでご説明したところ、必要に応じて改めてご相談いただくというご返事をいただき終了しました。

会社分割は、大きく分けて、他社による吸収合併等が伴う「吸収分割」と、それが伴わない「新設分割」の2つの類型があり、そのご相談は、新設分割を目的とするものでした。

新設分割をする場合、おおまかな手続としては、
①会社法所定の分割計画書等を作成し、取締役会や株主総会の承認を得ること
②労働者に関し、新設会社への雇用承継や分割会社(本体)への残留者が生じることなどから、労働者(組合又は代表者)と協議する(了解を得る)こと
(会社分割に関する労働契約承継法に基づく通知等の手続を要します)
③債権者や株主のための公告等
などを行った後、分割に関する登記(新会社の設立登記)を申請することになります。

なお、上場企業など企業規模が大きい場合には、独禁法絡みの手続があります。また、新設会社の承継資産が分割会社の資産の1/5未満であれば、株主総会の承認を要しないとする手続もあります。

会社分割に関して紛争が生じる典型例は、次の2つではないかと思われます(少なくとも、会社分割に絡む裁判例は、この2類型に集中しています)。

①経営が行き詰まった企業が、不採算部門を分割会社に切り離して(或いは、優良資産を新設会社に移して)債権者に無断で不良債権処理しようとする(その結果、債権者=金融機関から様々な訴訟を提訴され紛争となる)ケース(紛争予防のためには、不採算部門の整理などを含む事業再生などについて金融機関と十分に協議をする必要があるとされています)

②労働問題(労使紛争など)を抱えた企業が、解雇等を希望する従業員を、解雇可能性の高い不採算部門に承継又は残留させたため、不満のある従業員から地位確認等請求訴訟などを起こされるケース

裏を返せば、そうした問題を特段抱えているのでなければ、粛々と手続を進めることができるのではないかと思いますが、実際に手続を進めて行くにあたっては、分割の目的を明確化させると共に、分割という手段ないし手続が、その目的に合致しているか(阻害していないか)について、多角的分析する姿勢が、担当する弁護士等はもちろん、経営者側にも強く求められるのではないかと思います。

冒頭記載のとおり、私自身に会社分割に携わった経験がなく、また、県内の弁護士で、この手続に関与した経験がある方が多いとも思えませんので、スムーズに手続を進行する上では、弁護士に限らず、適切な経験のある方(紛争性のない一般的な分割案件であれば、登記の関係で関与した経験のある司法書士の方は県内におられるのではと思います)に相談いただいてもよいかと思われます。

もちろん、当方も、文献等に基づいて、分割計画書のベースなど、一定の書面の作成や手続に関するご説明などをすることは可能ですので、会社分割に限らず、必要に応じ、ご相談、ご連絡いただければ幸いです。

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