当事者として申し立てる、はじめての原発ADR

先般、当方が破産管財人をお引き受けしている企業さんについて、福島原発事故に基づく被害があるものの賠償問題が未解決ということで、一旦は東電に請求したものの芳しい対応が得られなかったので、現在、原発ADR(損害賠償紛争解決センター)の申立を準備している案件があります。

単なる賠償に止まらない色々な論点がある一方で、会社のご担当がご年配とか他の問題でそれどころでなかった等の事情で、当方の関与時まであまり話を進めることができないまま今年に至ったようです。

平成25年春頃、岩手県の企業も風評被害の賠償請求ができるという第三次追補が出されたことや弁護士会の公害環境委員会が相談窓口を仰せつかったことをきっかけに、当時、県内の事業者の方などから多くのご相談をいただいたのですが、ADR等の手続を私に依頼したいという方には残念ながらお会いする機会がなく、その後は、岩手でも被害対策弁護団が立ち上がり、運営を他の先生方にお任せしたことなどもあって、原発被害問題からはすっかり遠ざかってしまいました(この点は、今年の1月に書いた別の投稿もご覧いただければ幸いです)。

そのため、福島からの避難者の方なども含め、この手続にご縁がない状態が続いていたのですが、まさかこんな形で原発賠償問題にご縁ができ、当時収集した資料に出番がくるとはということで、不思議に思っています。

さきほど、センターの和解解決例を久々に見たところ、当時ご相談を受けた会社さんが申立人と思われる事案を見つけ(ご相談の内容に特徴があり、すぐ分かりました)、ご相談の際に仰っていた希望も採用されたという趣旨の解説が付されていました。

その件の注釈を見ると弁護士費用の計上がされていないので、恐らく(私がイヤで他の先生に頼んだという類ではなく)ご担当の方が自ら作成して申立をなさったのだと思いますし、お会いした際のご担当の方の事務処理能力が高かったことも覚えていますので、その件ではそれがベストの対応だったのだと思います。

ただ、企業さんによっては、自ら申立書を作成するのが困難であるとか、作成はしたものの内容について確認を受けた方が望ましいという例もあるでしょうから、そうした方々は、適宜、原発被害向けの無料相談制度などをご利用いただければと思います(個人も企業も利用可能です)。

さすがに事故(震災)から4年以上を過ぎて、少なくとも「風評」に関しては通常であれば新たな被害は考えにくそうですし、私自身、ご縁がないまま終わると思っていた矢先に、こうした事案の配点を受けて驚いているというのが正直なところですが、冒頭の会社さんのように、何らかの事情で先送りの状態が続いている方もおられるかもしれませんので、そうした方には、上記の制度などをお伝えいただければ幸いです。

その事件は、損害賠償以外にも岩手でその問題に詳しいのは私を含めごく少数という特別な論点(詳細は差し控えますが、地域や公の利害にも関わります)が潜んでいる事案ということもあり、久々に「呼ばれた」という感覚を禁じ得ませんでしたが、ADRを成功させないと先に進むこともできませんので、まずは優しい仲介委員や調査官の方に配点していただけるよう、精一杯お祈りしようと思います。