北奥法律事務所

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環境問題

いわゆる「放射性廃棄物」の処理の現在と悲しきウラシマ感(原発編その2)

前回に引き続き、福島第一原発の事故により原発周辺で生じている廃棄物などの問題に関する視察調査の2日目です。

今回の視察では、楢葉町(第二原発の南側にある町)の天神岬という景勝地に設けられた「しおかぜ荘」という温泉地に宿泊させていただきました。

朝は松と大海原を眺めながら露天風呂を堪能できる有り難い温泉で、周囲の雰囲気が浄土ヶ浜の近くにある休暇村陸中宮古に似ています。入口には安倍首相や小池知事の来訪写真もありましたが、双葉郡で宿泊するならここが一番かもしれません。

朝には皆で岬の展望台に立ち寄りましたが、海岸線の北側には北三陸(田野畑村)の鵜の巣断崖を思わせるような崖の連なりがありました。

この名も知らぬ崖を越えたすぐ先に福島第二、そして第一原発があり、可能なら、あの崖の突端まで行き原発の姿を見てみたいものだと思いました。

反対側は原発ではなく広野火力発電所と楢葉町の海岸です。外洋には洋上風力発電の実験施設も設置されており肉眼や望遠鏡で確認できます。

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前日は、双葉町一帯を「中間貯蔵施設」予定地(10万Bq超の被曝汚染廃棄物などを30年保管するための場所。第一原発を取り囲む広大な土地に予定)とされた場所を中心に拝見しましたが、この日は「8000Bq~10万Bqまでの廃棄物の埋立のために設けられた最終処分場」「除染作業時に除去した被曝土壌の再利用に関する実験施設」の2ヶ所を訪ねました。

最終処分場(特定廃棄物埋立処分施設)は南東北から東関東の6県に各県1箇所の設置が予定されていますが、現時点で稼働しているのは福島だけで(既存の管理型処分場を国有化したことで迅速な開設に至ったもの)、他は候補指定地(市町村)の強硬な反対により用地確保の目処すら立っていません。

現地は常磐道の目と鼻の先の場所にあり、車窓からも全容を確認できると思われます。処分場内では、絶え間なく次々と大型ダンプの出入りがあり、運び込まれたフレコンバッグ状の大型の格納容器(高濃度の焼却灰などが格納されているもの)を、巨大なクレーンで持ち上げては所定の場所に埋設するという作業が繰り返されていました。

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再利用実験施設は、南相馬市の最南部、津波で被災した田畑を国が買収して確保した広大な除染廃棄物の仮置場の一角に設けられており、現在は、盛土の作業が終了して、浸出水の安全性を確認するだけの状態になっていました。

この「処理土壌の実用化の実証実験」は飯舘村でも計画され、村内の園芸栽培用の土壌造成(基本的に根の届かない地下数m部分)への利用が検討されています。

私自身は、廃棄物処理やリサイクルなどを巡る技術的な問題には全く明るくありませんので(本業で携わる機会に全く恵まれません)、率直なところよく分からなかったのですが、翌日の部会の会議では「あのような簡易な方法で実用性が検証できたと言えるのか、仮に土壌の再活用を実施するなら実験の数百倍の規模で行うのだろうから、それによる放射性物質の周辺水域への影響なども検討すべきでは」などと述べる方もいました。

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私は、諸事情から最後の「双葉町役場の方々との懇談」には参加せず中座し南相馬の無人駅から一人で常磐線を北上し帰宅したのですが、7年前が閉じ込められた相双から、あまりにも普段どおりの都会的日常が広がる仙台駅の人混みに降り立つと、強烈なウラシマ感が沸き上がります。

そして、そのウラシマ感は決して心地よいものではなく「(相双という)残念な光景が今も続いているのにそのことが完全に他人事になっている大都市の大量消費・大量廃棄などの光景」、そして私自身も「そちら側の人間であること」への気持ち悪さ、居心地の悪さという形で感じるものでした。

そうした「別世界に来たような、何となく嫌な感じ」は震災直後の4月に所用で花巻から飛行機で東京に行った際も受けたことがありますが、ともあれ、それを体感できるだけでも人々が「相双のいま」を訪れる意味があるのではと思いました。

私は、平成25年頃にも廃棄物部会の視察で南相馬や飯舘に訪れたことがあり、その際に請戸漁港の浜から第一原発方面を見たことがあります。当時は浪江~小高も手つかずの状態で、海岸近くの原野などに漁船や車両などが大量に放置され被災家屋が残存している光景に愕然とした記憶があります。

そうした「取り残され感」を何年も強いられてきた地域そして人々にとって、一番必要なのは「希望」でしょうから、現在、様々な形で復旧・復興や帰還が取り上げられること自体は、今も一定の放射線被害(物質)が残存するのだとしても、前向きに見るべき面は強いのでしょうし、多様な関係者が抱えた様々な事情と現実にも配慮する必要があろうかと思います。

原発事故という事象は一つでも、それにより生じた各人の不幸の形は人の数だけあることは間違いありません。だからこそ、各人が自分の立場で何をできるか、すべきかを、この地は今も問い続けているのだと思います。

追伸 遅まきながら、大阪北部地震で被災された皆様に、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

福島県双葉町の止まった時間と変わりゆくもの、そして責任のいま(原発編その1)

6月17日から18日にかけて、福島県双葉町など、福島第一原発の周辺地域に行ってきました。

日弁連廃棄物部会では、ここ数年、福島第一原発の事故で飛散した放射性物質汚染の被害を受けた廃棄物の処理に関する制度や実務のあり方を検討しており、現在は、原発周辺の避難区域(立入・居住の禁止区域)に膨大な面積を買収等して設置が進められている「汚染廃棄物の中間貯蔵施設」などについて、調べたり関係者の方から話を伺うなどしてきました。

そして、現地を確認すべきということになり、主に双葉町の現状を見せていただくことになったものです。

今回は17日の昼にいわき駅で集合し、施設の設置予定地や一定の施工がなされたエリアをはじめとする双葉町内の様々な場所に、町役場のご担当で頭髪に強いベッカム愛を感じるHさんに案内いただき拝見してきました。

まず、常磐富岡ICを下りてすぐの待ち合わせ場所から国道6号を北上して大熊町から双葉町に向かいました。国道は走行が自由にできますが、一帯はすでに帰還困難区域として立入が原則禁止とされ、道路に面する建物には、すべてバリケードが設けられている異様な光景が広がっています。

国道から中心部に向かう道路には柵が設けられてガードマンが立ち、住民や事前に許可を受けた者のみが立入可能となっており、我々も身分証明(免許証)を提示して立入が認められました。

そして、車内でHさんの説明を色々と伺いつつ最初に町役場に到着し、5階建の役場の屋上に行きました。

役場の周辺は灌木の生い茂る原野が広がっていますが、Hさんによればこれらはすべて田圃であり、震災後、一切人の手が入らない状態が続いたため、7年の間に田畑の中に灌木が次々に育ったのだそうです。

刮目せよ、ニッポン!忘れるな、大東京!
これが、あなた方、そして私たちが奪った、誰もいない双葉町の今だ。

人の姿も車の通行も人間の活動がすべて停止した状態にある光景を見ていると、そのように叫びたいものが込み上げてきたように思います。

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そして、引き続いて役場内や町内の名勝・双葉海岸(日本の海岸百選)の「海の家」の施設なども案内いただきました。

役場の時計は地震の発生時を、海の家の時計も津波の到達時を指していました。彼らの時間は、今も、あのときから止まったままです。

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役場には、震災直後に第一原発から役場に提供された様々な情報を掲示板に貼っていたときの状況が、そのまま残されていました(視察の際に、当時の状態を伝えるため、保存しているのだそうです)。

Hさんは「念のため(制御不能の危険がある旨を東電から役場に伝える)」という連絡は、原発の維持管理上はあり得ない、非常に異常な伝達なのだと強く述べていました。

当時の役場の方々にしてみれば、自分達に到底対処困難で誰も予測・準備していなかった極限状況を突如として突きつけられても困惑・狼狽するほかなく、そうした気持ちが、その言葉へのこだわりとなって表れているのではないかと感じました。

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双葉海岸に海の家として設置された施設は、三角の形状が、どことなく陸前高田の道の駅に似ているように感じますが、立入OK(自己責任で?)とのことで、中も案内していただきました。こちらの津波は十数mとのことで、屋上の展望台までは大丈夫だったようです。

また、建物の周囲を見渡すと、陸前高田と異なり松林が若干ながら存在しています。この施設の背後の林は建物のお陰かもしれませんが、Hさんによれば、南側に岬状の崖地があり、津波が南側から来たので崖地に守られたのではないかとのことでした。

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双葉町の中心部にも案内いただきましたが、こちらも倒壊した家屋群が手つかずの状態のまま残っていました。

役場の方針では、双葉駅周辺は、数年内の常磐線の再開に合わせて(すでに線量はかなり低下しているので)町有地化して再開発するが、このエリアは民間の自主努力に委ねるそうです。そのため、多くの人が「今は被災を理由に固定資産税が免除されているが、建物を解体すると、街の再生の構想も描かれていない中で土地の利活用もできないのに固定資産税ばかりが再課税されるのではないか」などの不安があるため、解体・再開発などに尻込みしているとのことでした。

翌日に垣間見た浪江や小高(南相馬南部)などは曲がりなりにも街の再始動が始まっていましたが、この街の「止まった時」が動き出すのはいつの日になるのか、まだまだ難しい状況が続くのかもしれません。

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Hさんは、自宅も実家も中間貯蔵施設の予定地となったとのことで、その周辺を案内していただきました。ご実家の周辺は昔からの居住者が多い小さな集落(里山エリア)で、神社には、先人が心の拠り所として崇めたこの鎮守神を末代まで受け継ぐと書かれた平成28年建立の碑がありました。

ご自宅は、町内で近年に開発された振興住宅地で、Hさんも多額の住宅ローンを抱えた状態で被災しており、中には入居から2週間しか経っていないという方もいたのだそうです。岩手でも、完成後で鍵の引渡未了の状態で自宅建物が被災したケースについて相談を受けたことが震災直後にあったことを思い出しました。

自宅内部も案内していただいたのですが、震災当日の新聞がそのまま置かれており、双葉は6強ということで、割れた食器類なども散乱していました。

突然の避難の後、長期を経て一時帰宅が認められた際もごく僅かな貴重品(一人あたり一袋だけ)しか持ち出すことが認められなかったとのことで、自宅内には当時まだ幼児だったお子さんのオモチャが散乱していました。

一時帰宅の際は、自宅内に放射性物質が浸潤しオモチャ自体が被曝しているため持ち出しは断念したのだそうで、私のように「万物に魂が宿る」の感覚の人間が見ると、悲惨な運命を強いられた動物達と同様、オモチャ達も悲鳴を上げているのではないかと思わずにはいられませんでした。

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説明をすっ飛ばしていましたが、中間貯蔵施設とは、10万ベクレル超のため処分場に埋立できない(と特措法で定められた)汚染廃棄物などを30年保管するための場所であり、第一原発が立地している双葉町・大熊町内の原発を取り囲む広大なエリアに設置が予定されています。

Hさんの実家周辺は第一原発から北西3~4㎞程度の距離にあるため周囲にはすでに買収等された土地も多く、高濃度廃棄物の保管や除染土壌の分別・減容などを目的とする施設の整備が進んでいました(地上権設定による賃貸をしている方もいますが大半は売却したとのこと。もちろん頑強に拒否している方もかなりの数に上るようです)。

もちろん「あのとき」まで、そこには過疎なりとはいえのどかな人々、田畑、里山の光景があったわけで、相応の補償がなされたのだとしても、ダムに沈められた村を見ているような印象は否めませんでした。

「ナウシカ」の冒頭で旅の賢者が握った幼女を象った人形が掌で崩れていくシーンがあったと記憶していますが、或いは、この地域(一つの小さな村)は今、人が作り出した腐海に沈もうとしているのかもしれません。

汚染拡散被害には避けて通れない話かもしれませんが、Hさんからも、道路などを挟んで中間処理施設(買収等)の対象になるか否かが分かれたので、隣同士で「お金が払われる人、そうでない人」がいて、人間関係に影を落としたり、土地の買収等に関しても、速やかに手放して県外で生きていく人もいれば、地元には十数代続く家も珍しくなく、先祖代々の土地を自分の代で手放すことはできないとして頑なに拒否する人もおり、そうした個々人の置かれた状況の違いに十分な配慮がなされていないのは残念だ、といった説明がありました。

そして、一番言いたいこととして「このような状況は自分達が望んだことではない、でも、自分達が(中間貯蔵施設などを)引き受けないと他の人々に迷惑がかかると思って、自分達が犠牲を引き受けている、そのことは全国の人々に知って欲しい」と強く述べていました。

私は平成15年から日弁連の廃棄物部会に所属していますが、部会の当時からの一貫したテーマは「大量消費・大量廃棄社会の脱却・克服によるゴミゼロ社会(ゼロエミッション)の実現」でした。

原発は敗戦国ニッポンが米国(GE社)から購入を強要されたものだ、などと言う人もいるようですが、基本的には、大量生産・消費そして廃棄の社会を作った大東京(首都圏)が、その基盤としての電力供給のため作ったものであり、膨大な電力の生産と浪費は「大量廃棄社会の震源地」と言えないこともありません。

そうであればこそ、当時(一時期、日弁連の地球温暖化PTにも所属していました)から、「脱電力社会こそが掲げられるべきでは(とりあえず、日弁連もクーラー付けすぎを止めることから始めよ)」と思っていたのですが、そうした気運が盛り上がることもないまま、震災=原発事故に至り、その後も多少の改善はあったにせよ「再生エネルギー(代替電力)推進」などに比べれば「脱電力」という声はごく僅かなものに止まっています。

出口(廃棄)を減らすには、循環利用もさることながら、自分達が使い切れないものは最初から作らない、作るからには責任をもって(作られたものに感謝して)「モノ」としての命を使い切るべきではないかと思います。

そのような意味で、電力という「命」を無駄遣いし続けたからこそ電力が自然の力を借りて人に復讐をしたのではないか、と思わないでもありません(復讐すべき相手を間違えているのではないかという点はさておき)。

ともあれ、結果としてこの地は今、キジやシカ、イノシシの楽園となっているようです(シカとイノシシは一頭ずつしか見つけることができませんでしたが、キジは町鳥だそうであちこちにいました)。

そんな、生き物たちの手に取り戻されたと言えないこともない光景を、海は静かに見守り続けています。

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人からコンクリートへ、被災地から刑務所へ?

すでに報道などで目にした方も多いでしょうが、現在、沿岸被災地の各地では防潮堤建設が大きく進んでおり、海岸線に沿って長大な壁に囲まれた状態になっている街も珍しくありません。

1月の法テラス気仙の担当日に大船渡で撮影した写真を末尾に貼り付けますが、率直に言って刑務所の壁を想起せざるを得ず、収容所群島などとマイナスな言葉ばかり浮かんでしまいます。

せめて、人目につくところは都会の打ちっ放しのコンクリート建物のようにデザイン性を意識した作りにしようなどと提言する方はおられなかったのでしょうか?

さすがに近年ではこうした防潮堤のあり方に批判の声が多く上がっていますが、今さら撤去しても誰が喜ぶのか、何が失われるのかを考えると、そのようなお気持ちがあるなら着工前にもっと声を上げていただきたかったと思わないでもありません。

言うなれば、

震災直後→人命を守るため防潮堤を作れ!→景観・自然破壊の懸念は少数派のため相手にされず

着工決定=大手建設業者ワー→財政悪化?福祉カット?

数年後、防潮堤の完成に目処が立つ=大手建設業者の仕事がなくなりそう・・

与党サイドの有力者「やっぱり防潮堤は景観破壊で良くない!」(今ココ?)

できて間もなく撤去工事=大手建設業者ワー→財政悪化?福祉カット?

作れと言った人の責任は問われないの?→たぶん・・(原資は国税だし政権交代の見込もないし着工決めたの民主党政権だし?住民訴訟ならぬ国民訴訟もないし)

なんて展開になったりするんでしょうかね・・・せめて、これを教訓に沿岸の自然景観などや政策決定過程や税金の使用に関する責任のあり方について議論が深まればと思いますが。

ちょうど、何かと話題の安倍首相夫人が防潮堤反対の発言をされている記事を拝見しましたが、昭恵夫人ご自身のお気持ちは真っ当なものだろうと思う反面(今に始まったことではなく以前からそうした発言はなさっていたようですし)、上記の理由から利権的なものに利用されてしまうのではないかなどと残念な印象を感じてしまう面もあります。
http://jp.reuters.com/article/idJP2017031201001189

この記事の昭恵夫人の写真は、例の件で心労が溜まっておられるのか、とても疲れ気味に感じられ、講演先が西和賀町というのも総選挙対策で関係者に頼まれてということなのかもしれませんが、ご自身の健康を第一にしていただければと思います。

ともあれ、今後、防潮堤問題については、撤去等を掲げる声が高まることが予測される反面、本日の岩手日報でも「防潮堤の整備が終われば建設業者の仕事は減るだろう」との国交省幹部の発言なるものが掲載されており、誰がどのような立場・動機から撤去等を求めているのか、見定める必要があるのではと思われます。

防潮堤を単純に悪者視するつもりはありませんが、人(特に若者)が海を見るとき、遠く離れた先に自分の可能性が広がっているように感じるのでは無いかと思いますが、壁に囲まれた暮らしをしていると、自分が閉じ込められ、限られた人生の選択肢しか与えられていないような閉塞感に囚われるのではないかと思います。

景観や自然破壊云々もさることながら、そうした形で「被災地はろくでもないところ(だからさっさと離れた方がよい)」というメッセージをこの光景が地域の若者や全世界に発信することにならないか危惧しますし、それだけに「地域住民が秀でたものとして愛し、世界の人が見に来たくなるような防潮堤のあり方」について、災害先進国?に相応しい叡智を結集していただきたいと思わずにはいられません。

ちなみに、岩手弁護士会・公害対策環境保全委員会は、防潮堤問題について何かせねばとは思いつつ諸般の理由から何もやっていないと言わざるを得ない状態ですが、仙台弁護士会では視察調査などを行っているそうです。

先般それに関する記事を頂戴したので、その種の問題に取り組んでいる県内の方などがご覧になりたいとのことでしたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

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「環境の日・くらしの法律相談会」(6月3日)のお知らせ

岩手弁護士会の公害対策・環境保全委員会では、6月3日(金)に、弁護士会(の法律相談センター。サンビル2階)において、標題の企画名で無料相談会を行うことになりました。

私も担当者の一人として、昼過ぎから午後3時まで弁護士会で待機します。

詳細は下記のとおりですので、相談すべき事柄のある方、関心のある方などは、ぜひご利用いただければと思います。弁護士会のHP(お知らせ)にも一応載っています。
http://www.iwateba.jp/

正直なところ、ほとんど宣伝ツールを利用できておらず(聞くところでは、弁護士会の相談事業について県庁・市役所の広報に依頼しても載せてくれないのだそうです。民間業者の自主企画扱いだからでしょうか・・)、来客はほとんど期待できないのではと覚悟していますので、冷やかしでも問い合わせをいただければ幸いです。

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環 境 の 日 ・ く ら し の 法 律 相 談 会

6月5日は,環境基本法で「環境の日」と定められています。岩手弁護士会では,下記のとおり,「環境の日・くらしの法律相談会」として無料法律相談を実施します(ただし,電話相談の場合,通話料金は相談者の負担となります。)。

「環境の日・くらしの法律相談会」では,騒音,振動,悪臭,大気汚染,土壌汚染,水質汚染,地盤沈下という典型的な公害問題に関する相談をはじめとして,不法投棄,景観の悪化,日照に関する被害,原発事故に伴う被害の問題など,県民の暮らしに影響のある環境などの法律問題について,幅広く相談を受け付けます。

また,個人の方からのご相談に限らず,公害・環境の被害の問題に直面している方であれば,事業者・法人などのご相談も広く受け付けます。

相談方法は,面談もしくは電話(専用回線)です。当日,盛岡市にお越しになれない方は,ぜひ電話相談をご活用ください。

事前の予約は不要です。

日  時:平成28年6月3日午前10時~午後3時

面談場所:岩手弁護士会

盛岡市大通一丁目2番1号

岩手県産業会館本館(サンビル)2階

相談電話:019-622-1751

問合せ先:岩手弁護士会(019-651-5095)

 

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑥質問事項その5(アセス、地球温暖化、行政連携など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目(最終回)として、県に提出した質問事項のうち、ILCに関するものなどを掲載します。

第7 その他、環境法全般(公害紛争、アセス、教育ほか)について

◎ 国際リニアコライダー(ILC)とアセスメント等について

本県及び宮城県が誘致に向けて盛んに活動している国際リニアコライダー(ILC)を巡っては、地下が主とはいえ巨大な施設であり高度で未知の研究の実践を伴うことから、ILCが建設された場合の建設中や操業時、稼働終了後に地域の環境に何らかの深刻な負の影響が生じる虞もあるのではと危惧する声も見られますが、それに対する対処については、報道などでもほとんど取り上げられることがないように感じております。

この点、大規模な公共工事などについては、環境に及ぼす影響を事前に調査・公表し住民に意見表明の機会を提供する制度として、環境影響評価法に基づく環境アセスメント制度がありますが、ILCは同法の対象事業には含まれておらず、ILCの設置が決まった後に、設置主体たる国際機関がアセスメントを実施するとか、それに先立ち貴庁が環境の影響に関する何らかの事前調査を行うとの報道を見かけるに止まっています。

実施されるアセスメントが、環境影響評価法に定めるアセスメントと同等以上のものであるか、県のものは岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントを実施するのか、住民には参加・関与の機会が与えられているのか、そもそも(設置するか否かの判断の前ではなく)設置が決まった後にアセスメントを行うということ自体が適切と言えるのか(この点は同法についても同様で、しばしば批判される点と認識しています)、推進の立場を強く表明している貴庁が実施するアセスメントに実効性があるのかなど、幾つかの素朴な疑問を感じないこともありません。

アセスメントに限らず、ILCにつき県民なかんずく建設予定地の周辺住民の理解のもと生活環境上の不適切な影響ないしリスクの発生を防止し安全な設置や運営を確保するにあたり、貴庁において特に課題として取り組んでいることや現行の法規制に関し改善を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第8 地球温暖化問題について

○ 各種バイオマスエネルギーの普及などについて

地球温暖化問題が本格的に取り上げられるようになった十数年ほど前から、バイオマスエネルギーが注目され、近時も藻谷浩介氏の著書「里山資本主義」で国内外の取り組みが紹介されるなどしていますが、現在のところ代替エネルギーとしての利用等は僅かな比率に止まっているように思われ、昨年は木質ペレット製造等を営む県内の企業が破産を余儀なくされる事態も生じています。

広い山林を擁する本県における各種バイオマスエネルギーの普及などに関し法的な課題として貴庁が感じていることなどがありましたら、ご教示下さい。

○ 民生部門のCO2排出減の対策としての規制的手法について

地球温暖化問題については、これが盛んに取り上げられていた時期(震災前など)には、経済的手法(ガス発生抑制による事業者の受益など)のほか、規制的手法(店舗の深夜営業規制をはじめ何らかの電力利用規制をするもの)についても議論があったと思われます。

現在も民生家庭部門と民生業務部門で排出量の増加が顕著とのことですが(当県平成26年環境報告書8頁)、規制的手法の導入やそれに類する自主的取組みなどに関する県内世論の把握ないし貴庁のお考えについてご教示下さい。

第9 公害・環境問題などに関する当委員会ないし当会と県との協働などについて

◎ 公害・環境に関する県組織と弁護士会(当委員会)との連携について

県民生活の向上などを目的とした貴庁と当会との協働に関しては、例えば、岩手県民生活センターと当会消費者問題対策委員会、岩手県福祉総合相談センターと当会高齢者・障害者支援センター委員会などが連携して各種相談事業を行うなどの取り組みが代表例として指摘できると思われますが、公害・環境に関する分野(生活環境上の被害などを含む)については、これまでそのような取り組みは特段なされていなかったと思われます。

当該分野に関し、貴庁と当会が消費者分野や福祉分野のような何らかの連携・協働関係(例えば、公害・環境・生活被害に関する相談企画ないしその支援、規制基準などの照会対応・調査の協力など)を持つことができるか、仮に持ちうるとすれば、その窓口となる部署はどちらになるか(環境生活部か、岩手県環境保健研究センターか、各広域振興局か、それ以外か)、実施にあたり生じうる課題など、この点に関する貴庁のご意見をお聞かせ下さい。

◎ 県の審議会などへの委嘱について

現在、公害・環境分野に関する貴庁から当会会員への各種役職の委嘱については、公害審査会の委員として選任されている会員がおりますが、他には(当委員会としては)把握できておりません。

弁護士大増員政策の影響などから、本県で活動する弁護士の多くが公害・環境分野に限らず従前に弁護士の関与が乏しかったとされる様々な分野への従事を希望していますが、公害・環境分野における貴庁の業務ないし活動との関連で、弁護士の関与や就任などが望ましいと感じているものがあれば、お聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑤質問事項その4(湿地・自然災害・ダム、化学物質など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目として、県に提出した質問事項のうち水環境に関するものなどを掲載します。

第5 水環境・需給政策などについて

○ 湿地・湿原の保全について

現在、県内の幾つかの湿地・湿原が面積減少ないし消滅の問題を抱えていると言われており、近時の報道では、山田町の船越半島にある小谷鳥湿地の農場(圃場)造成による消滅(岩手日報平成26年4月9日論壇)、春子谷地湿原の土砂流入による面積半減(朝日新聞本年1月8日)などが指摘されています。

湿地・湿原については、生物多様性をはじめ生活環境の保全等の見地から多くの重要な機能を営むものとして、ラムサール条約をはじめ世界的に保全を重視する傾向が見られ、沖縄県の泡瀬干潟のように開発を巡って訴訟が生じる例もありますが、本件では全国的に著名な湿原などが見られないせいか、湿地の保全や利活用等について話題になることは少なく、上記のように僅かに残る小規模な湿地群も多くが消滅等の危機に瀕しているように思われます。

湿地保護・保全に関する貴庁の対策に関し特に紹介できるものや法的な検討を要する論点などがありましたら、ご教示下さい。

○ 豪雨被害などに関する原因や対策について(開発行為などの問題)

平成25年夏に県央部で大規模な豪雨災害が生じるなど、近時は他県を含め、内陸部でも水に関する自然災害が生じていますが、平成26年に広島市で生じた土砂災害のように、もともと災害リスクが高い土地に宅地開発がなされたこと自体に問題があったのではと感じる例も見受けられ、訴訟等に至る例も生じるのではないかと思われます。

豪雨災害に限らず、先の震災を含む自然災害による被害に関し、開発行為などがなされたことで被害が拡大したと見られる例や、そのことを通じて開発行為の規制(による既存の自然環境などの保全)の必要性を感じた例、現に今、その教訓を生かして取り組んでいる例などがありましたら、ご教示下さい。

○ ダム開発(脱ダム問題など)について

我が国ではダム開発を巡り数十年に亘り多くの反対運動などが生じ、近年では八ッ場ダム建設などを巡って事業の不要性や公金支出の違法性を主張する住民訴訟が生じたほか、一部の県知事や民主党政権が「脱ダム」を唱えて中止等に及ぶ例もありました。

他方、本県ではそうした動きはほとんど見られず、気仙川流域の津付ダムが平成26年に中止の発表がされたのを除き、胆沢ダムや現在も工事中の簗川ダムなど、大きな反対運動や訴訟等が生じることなく粛々と開発や建設が進んだ(進んでいる)ように見受けられます。

他県と本県とでそうした違いが生じた原因・背景のほか、ダムをはじめとする周辺の自然環境などに大きな影響を生じさせる大規模な公共事業に関する現在の法制度について特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第6 化学物質・食品安全などについて 

○ 科学技術の発展に伴う新種の公害・環境被害について

かつて社会問題として注目されたシックウハウス症候群やアスベスト問題、近年に注目されている電磁波問題(携帯基地局周辺の被害申出)、風力発電やエコキュートなどに関し言及されている低周波騒音、農薬及び遺伝子組み換え食品など、科学技術の進展に伴い新たに開発される、化学物質をはじめとする身体に有害な影響を及ぼしうる物質等の利用に関して、県内で顕著な被害申告などが寄せられる例がありましたら、貴庁等で行われている対処、対策なども含めてご教示下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題④質問事項その3(自然保護、景観など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の4回目として、県に提出した質問事項のうち、自然保護、景観に関するものなどを掲載します。

第3 自然保護(自然・生物保護、生態系、自然公園等、森林等の保全)について

○ シカ等の食害対策について

近時、五葉山や早池峰山などのシカ等の食害(農地や稀少植物の被害)が頻繁に報道され、狩猟従事者の減少や気候変化などが原因として指摘されているように見受けられます。野生生物保護と生態系や農林業被害の防止などの両立という観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第4 大気・都市環境・生活環境・アメニティなどについて

○ 防潮堤建設による弊害(景観の毀損など)について

現在、本県沿岸被災地の各所で高さ十数メートル規模のコンクリート製防潮堤の建設が進んでいますが、防災等の実効性の存否や海岸が視界から外れることなどによる弊害(防災意識、漁業関係者の不都合、生態系などへの影響のほか地元民の海と共に生きる意識の減衰など)、景観問題などについて住民等の議論や関心が喚起され、政策形成等における住民参加のあり方や、急ピッチで建設が進んでいることの原因の一つとされる国の補助金支出のあり方なども問われているように思われます。

防潮堤の建設問題に関する環境生活部の関わりと、防潮堤の建設等に関して環境の保全(環境基本法)や良好な景観形成の促進(景観法)などの観点から現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ まち並みや農山漁村の景観等の保全について

近年、城下町・宿場町・門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存や復元などが注目され、現在は農山漁村の自然及び文化的景観を含め、地域の文化的アイデンティティへの貢献や外国人観光者・移住者なども視野に入れた地域固有の景観等の保全や利活用が求められていますが、他方で、地域内の著名建築物などが道路開発により失われたりマンション等に建て替わるなど、個々の地域内では保全よりも喪失に関する話題も珍しくなく、被災地の防潮堤も同様の問題を孕んでいるように思われます。

まち並みや農山漁村の景観等の保全或いはこれと私権とを調整する観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ 生活環境に関する新種の被害・紛争について

昨年は、大都市圏では住宅密集地に保育所を建設し近隣住民から騒音問題の苦情が出るなど、生活環境に関する紛争に関し、従前とは異なる新たな問題が取り上げられるようになってきたと思われます。

各種の生活環境(騒音、振動、悪臭、水質汚濁など水利用、土壌汚染など土地・地盤の利用ほか)に関し、ここ数年の貴庁の業務などを通じ、本県内で特に問題が生じていると感じる事項(分野・紛争類型)や現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

 

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題③質問事項その2(廃棄物関連など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の3回目として、県に提出した廃棄物関連などの質問事項を掲載します。

第2 資源循環・リサイクル・廃棄物関連について

○ 新クリーンセンターについて

昨年、いわてクリーンセンターの後継となる県の関与に基づく産業廃棄物最終処分場の設置について、八幡平市平舘地区を候補地とすることが定まったとのことですが、操業開始までに必要となる作業や権利関係の調整などに関し、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 軽米町の産業廃棄物最終処分場問題について

軽米町で建設が計画され地元住民などの反対運動がなされている産業廃棄物最終処分場について、報道によれば、昨年末、事業者が貴庁に施設の設置許可の申請書を提出したととされています。

報道では、反対住民側は予定地が河川に隣接することなどを理由に設置又は維持管理に関する基準を満たさないと主張しているように見受けられますが、当該問題で貴庁が把握されている争点の概要などをご教示下さい。

○ 廃棄食品の転売問題と予防策について

先般、愛知県の産廃中間処理業者が大手カレーチェーン店から処理を受託した廃棄カツ類を処理せず他社に有価物と称して転売していたとされる事件が発覚していますが、本県内では同種事案を防ぐため実効性ある特別な取り組みがなされているのでしょうか。未然防止はもちろん、排出・生産抑制も含め、導入の必要があると考える制度などがありましたら、お聞かせ下さい。

この点に関し、日弁連では平成22年に本県で開催した人権擁護大会において、電子マニフェストを通じて廃棄物処理情報を追跡・把握するシステムの導入を提言していますが、そうした制度があれば、相当の期間内の最終処分業者への焼却灰の埋立委託の有無を委託主である排出事業者に報告する作業などを通じ、この種の偽装・横流し事件を防止できた可能性もあると思われます。併せてご意見をいただければ幸いです。

○ 処理未了の腐敗廃棄物を残して倒産する企業への対策について

平成26年に県内で家畜の死骸や動物性残渣などの処理を行っていた企業(東北油化㈱)が自己破産を申請し、事業所に残置されていた廃棄物の処理が問題となりました。報道によれば平成27年中に完了したとのことですが、仮に、処理費用を自ら賄うことができなかった場合、事業所の悪臭問題等の事情から行政代執行を余儀なくされる事態もあり得たのではないかと思われます(報道によれば、当初は、廃棄物処理の費用の捻出が可能かも危ぶまれていたように見受けられます)。

同種の問題の予防のほか処理業者の倒産による原状回復の公費転嫁の問題の対処として、現在、貴庁が取り組んでいることや制度或いは事業者側の実務の改善などを求めている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 県境不法投棄事件の総括と跡地利用について

県境不法投棄事件については、廃棄物及び汚染土壌の撤去等については作業の大半を終えているとのことですが、産廃特措法に基づく特定支障除去事業の開始から現在まで、原状回復事業の遂行にあたり、法制度面で特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

また、排出事業者への責任追及など同事件に関してこの10年強の間に貴庁が取り組まれてきたことで、現行法の不備ないし限界として特に改善を希望する点などがありましたら、お知らせ下さい。

また、不法投棄現場の跡地利活用については青森県では同県サイトや地元紙などで植樹祭などが紹介されているのに対し、当県では報道などで取り上げられることがほとんどないように思われます。この点に関し貴庁の方針や従前の取組みなどで、特筆すべき点がありましたらご教示下さい。

○ 震災(大津波)に伴う災害廃棄物の処理と広域移動について

東日本大震災津波により生じた災害廃棄物については、国の支援により仮設焼却炉が設置されたほか、一部の廃棄物が遠方に搬出される(広域処理)こともありました。他方、広域処理については、受入側の住民に原発被害に付随する非難のほか処理費用そのものも割高ではないかとか仮設焼却炉についても短期間で稼働を終了させることなどに税金の無駄ではないかと主張する意見もあったように思われます。

一連の作業などを通じ、貴庁において特に制度改善を要すると感じた点、仮に同種災害が生じた場合に異なった運用を要すると感じた点などがありましたら、ご教示下さい。

○ リサイクル分野などに関する近時の論点について

その他、廃棄物処理、発生抑制、リサイクルなどの分野に関する県内の事業者の活動などについて、特に問題があると感じている例などがありましたら、お聞かせ下さい。近年は、食品廃棄物や家畜排泄物などからバイオマス発電等を行う事業なども開始されていますが、環境分野の法令との関係で問題となる事例や現行法制に改善を要すると感じる点などがあるようでしたら、併せてお聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題②質問事項その1(エネルギー、原発事故被害など)

前回の投稿に続けて今回から県庁との懇談会で使用した質問事項を掲載します(少し表現を修正しています)。

質問事項は、当委員会で今後の課題として取組みを検討・希望している事項の一覧を列挙したものですが、当日の懇談事項として特に優先させたものにつき、◎を付しています。

今回の目的は、県庁の特定の活動に疑問等を呈して議論を挑むことではなく、現在の様々な課題に関する県の取り組みを拝聴しつつ、現行の法制度の内容や運用に関する問題意識(改善を要する点やそのあり方)を質問するということに重きを置きましたので、問いの仕方もそうしたコンセプトに基づくものとなっています。

ですので、個々の質問内容については、食いつきが足りないというご批判もあるかもしれませんが、それはそれとして、県内で公害・環境などの分野に関心を持って取り組んでおられる方々に参考にしていただき、弁護士会との連携なども検討していただければ幸いです。

第1 エネルギー問題と原発事故被害(汚染廃棄物問題を含む)

◎ 自治体の原子力紛争解決センターに対する賠償請求

原発事故の被害について、貴庁及び県内自治体が原子力紛争解決センターにこれまで申し立てたADRについて、損害発生や因果関係の認定に関し、特に問題となった点(東京電力が強く争ったものの和解案で認められたものや貴庁が強く勝ち取りたかったものの退けられた点など)がありましたら、ご教示下さい。

◎ 岩手県内の民間被害などに関する実情と県の把握

原発事故の被害については、平成25年に原子力損害賠償紛争審査会から風評被害に関する第三次追補が公表された際、貴庁の主催などにより県内の事業者向けの風評被害の賠償請求に関する説明会も開催されたものの、その後は賠償請求の問題については貴庁らのADRを除き報道で取り上げられることがほとんどなく、被害及び賠償請求等に関する実情を掴みかねるところがあります。

当会内でも、当委員会や被害対策弁護団などが窓口となって無料相談事業や事件受任を行っていますが、件数としては大きなものとなっていません。

被害状況や賠償等の実情の把握に関する貴庁の取り組みや今後の課題などに関し特筆すべき点がありましたら、お聞かせ下さい。また、県内の民間被害(事業者・個人、県民・避難者などを問わず)の把握に関し、何らかの調査(アンケート等を含む)を行っている場合は、その結果などをご教示下さい。

○ 汚染廃棄物の処理や保管について

放射性物質に汚染された廃棄物の処理などに関する問題について。本県では8000Bq/kgを超える指定廃棄物の量は環境省サイトによれば475t(焼却灰が200t弱、その他275t)とされ、宮城県などと異なり最終処分場の設置も予定されていません。他方、焼却時に8000Bq/kgを超えると見込まれる汚染稲わら、牧草について、他の廃棄物と混合焼却して焼却灰を埋め立てているとの報道がありますが、混焼については有害物質の拡散であるとして焼却も含めて批判し、線量減衰まで焼却せず長期保管すべきとの意見もあると聞いています。

また、日弁連の平成27年の報告資料(人権擁護大会第三分科会の基調報告書156頁)によれば、宮城県では8000Bq/kg超の稲わらでも指定廃棄物の指定申請をせず県が厳重に管理するものがある一方、基礎自治体が国の委託で保管している指定廃棄物についてビニールハウス内で仕切り板等のない状態で置かれている例もあるとされています。他にも、埼玉県は指定申請をせず全て県が保管しているとの報道(日経新聞平成26年9月29日)もあります。

県内における指定廃棄物の処理(埋立)や混焼、焼却前の汚染廃棄物の保管などに関し、以上を踏まえ、貴庁の取り組みとして特筆すべき点や法的な課題として把握・認識されている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 太陽光や風力による発電施設の設置や維持管理について

現在、県内各地で太陽光発電施設(メガソーラー)の建築が進むほか、風力についても県北や北上高地などで大規模な設置計画が構想されているとの報道を多く目にします。他方、これらについては、安全面の不安や運営企業が倒産等した場合の将来の撤去等の確保、景観・反射光・低周波音など周辺環境及び近隣住民との調和など様々な課題も述べられるようになってきたと思われます。

当方もまだ不勉強ですが、これらの構築物に関し廃棄物処理法のような詳細な設置及び維持管理の規制があるのか(設けなくてよいのか)など様々な課題が未整備ではないかと感じているところです(Webで検索する限りでは、一定面積を超える施設につき自治体への許可申請を要する条例があるとか、山梨県が設置に関するガイドラインを策定したなどの記事を見かけます)。

メガソーラーや風力発電施設の設置や維持などに関する法的な課題として、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 地熱発電に関する施設の設置について

地熱発電については、盛岡市繋地区や雫石町(八幡平エリア)などで発電所の設置が検討されているとのことですが、周辺環境の保全ないし乱開発などに伴う被害の防止、温泉業者をはじめとする利害関係人との権利関係の調整など、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題①前置など

先日、私が委員長をつとめている岩手弁護士会の公害対策環境保全委員会(以下「当委員会」といいます。)の企画で、岩手県庁(環境生活部)との懇談会を行いました。

県庁との初めての懇談企画ということもあり、岩手県内の様々な公害・環境問題などを中心に叩き台となる質問事項を作りましたが、私の準備不足等もさることながら1時間足らずの会合ということもあり、さほどの協議はできておらず、その点は残念でした。

せっかく作ったこともありますので、次回から計5回に分けて質問事項を掲載しますので、県内の公害・環境問題に関心のある方は、参考にしていただければ幸いです。

今回の企画は、当委員会の活動の一環として県内で生じている各種の公害・環境問題に関する実情やそれを行政がどのように把握しているかを調査し今後の具体的な活動の検討材料にする目的で行ったもので、特定の事件についての調査や提言などを目的としたものではありません。

また、当委員会は数年前に設置されたのですが、深刻な公害問題の発生や弁護士の関与が長年ほとんどなかった岩手の実情もあって、公害・環境問題が絡む訴訟を本格的に手掛けた者が委員にもほとんどなく、活動としては今も手探りの状態が続いています。

岩手弁護士会では、消費者問題や高齢者・障碍者対策の委員会は、県民生活センターや県の福祉センターと幅広い連携(相談会などを含む)をしており、私も相談担当などでお世話になっているのですが、公害・環境分野に関しては、行政に限らず各種団体との繋がりが今も皆無といって良い有様です。

そのため、活動の幅を拡げるための「挨拶廻り」の意味合いも兼ねて、まずは県庁(環境生活部)との意見交換の場を設けるべきではないかという話になったものです。

「懇談」の叩き台として質問事項書を作ることにしましたが、平成26年の県の環境報告書などを参考に県内の公害・環境に関する分野、問題を広く取り上げつつも個別テーマごとに突っ込んだ検討はせず、ざっくばらんな懇談のための素材として作成しました。

質問事項の構成は、県の報告書のほか日弁連の同系列の委員会の活動を参考に次のとおりとしました。

第1 エネルギー問題と原発事故被害
第2 資源循環・リサイクル・廃棄物関連
第3 自然保護(自然・生物保護、生態系、自然公園等、森林等の保全)
第4 大気・都市環境・生活環境・アメニティなど
第5 水環境・需給政策など
第6 化学物質・食品安全など
第7 その他、環境法全般(公害紛争、アセス、教育ほか)
第8 地球温暖化問題
第9 その他、環境が関連する問題(低周波騒音、対外関係、ILCなど)

個々の質問事項は次回に紹介しますが、当日は予定時間が1時間程度ということもあり、最初の質問項目である原発絡みで時間の半分以上を費やし、あとは廃棄物絡みの論点や県と弁護士会との連携のあり方について、幹部の方(県境不法投棄事件の発覚段階などで重要な役割を果たした方でした)からの要点的なご説明を踏まえ若干の懇談をしたという程度に止まりました。

内容面でも、原発被害に関する県庁の取り組みに関するご担当の説明を拝聴しているうちに時間切れになったという面は否めず、その点は説明を遮ってでも論点に切り込み議論すべきということで、当方の力不足も否めないとは思います。

それでも、地元の弁護士が、公害・環境に関する問題に幅広い関心を持ち県民ないし地域社会に役立とうとする意識を持っていることについて相応の理解は得られたと思われ、「公害・環境分野の人権保障等に関する弁護士会と行政との連携」について、今後に繋がる点はあったと思いたいところです。

次回から掲載する質問事項も、岩手の現在の公害・環境問題に関するちょっとした論点整理集という形で多少は参考していただけるのではと思いますし、この投稿のような形で対外的に発表して様々な方の関心を喚起したいという面も含め、そうしたものを今後に生かしていければと思っています。