岩手における「政弁交流」と復興法制に関する議論の様子

岩手弁護士会では、数年前から年1回ほど?の頻度で地元選出の国会議員さんや県議さんとの懇談会を行っています。都合の付かない方などを別とすれば、毎回、全政党・党派の方々がいらしています。

私自身は下っ端の一人として末席で協議を拝見するだけなのですが、一応は主催団体(弁政連岩手支部)の会員である上、今回は震災絡みの話題が豊富であることや、政官ならぬ「政と弁」のコミュニケーション自体には関心がありますので、なるべく参加することにしています。

で、先日、その会合があったのですが、時間の大半を震災問題、とりわけ高台移転などの土地収用・区画整理の問題に費やしていました。例えば、「相続人が膨大で事務作業が進まない事案が多い」などといった、問題点の報告がなされていました。

ただ、まだ実務の動きが進まないせいか、具体的な処方箋(大量相続人の事案で、例えば、不動産の遺産分割手続を省略し、行政主導による相続分の換価供託で済ませるような特別法など)について、あまり議論が煮詰まっている印象は受けませんでした。

まあ、私自身が、その種の議論と縁が薄く、話の中身を理解できていないだけなのかもしれませんが。

個人的に、強く印象を受けたのは、被災地で執務する方(弁護士)の報告として、現在の仕組みは、被災地の復興を担う主力となるべき、ある程度の収入、稼働力、資力のある40代前後の世代に対し冷たい仕組みになっているという話でした。

具体的には、その類型にあたる人は、住宅等の被災でローンが残存しても、ある程度の高収入があるので私的整理GLで救済(減免)が拒否されてしまうとか、その世代は一刻も早く自宅を再建したいのに、前提というべき高台移転等が整わないので、建てたくとも建てられず、さらに生活再建支援法に基づく加算支援金の期限も迫っているなどの点が挙げられていました。

そして、要するに、現在の被災地に適用される法や実務スキームが、勤労の意欲と能力のある復興の主力担い手層に冷たい形になっており、これでは、この層が次々に内陸に移住せざるを得ないのではという指摘がなされていました。

また、ある議員さんから土地の境界問題の迅速解決の必要性が強く述べられていましたが、その点について、現在の状況や処方箋などを述べる方がいなかったことが、少し気になりました。

私は筆界特定制度が導入された10年近く前、少しだけ筆界調査委員をやらせていただいたことがあり、その際、筆界特定制度の有用性(境界確定訴訟と比べた使い勝手の良さ)を感じる一方、法務局の方々が多くの手間をかけて非常に厳密な調査をしており、これを大量にこなすことは無理だろうと感じたことがありました。

思いつきレベルですが、筆界特定に関する特区制度のようなものを設けて、法務局や筆界調査委員の主導で、通常よりも簡易迅速な方法で筆界を定めて、不服がある者は自己の費用負担で通常型の処理を申し立てることができるといった制度を設けてもよいのではと感じました。

これと上記の未分割不動産の簡易買取制度をセットにすれば、境界及び相続未確定の不動産の区画整理などは、ある程度、迅速に行えるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

この点は被災地における実務の実情を踏まえた判断になるでしょうから、詳しく調査、レポートする学者さん?などが登場いただければと思ったりもします。

ともあれ、このような政弁交流に限らず、ここ1、2年は、岩手弁護士会と県庁の方が協議することも頻繁に行われているそうで、これも震災前にはほとんど見られなかったことです。

私自身は、今や事務所の運転資金を稼ぐことに汲々とする身のため、そうした営みに参加する余力が乏しく、残念に思っているところですが、具体的に実働の出番が必要となれば、いつでも取り組めるようアンテナだけは張っておきたいと思っています。