北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

〒020-0021 岩手県盛岡市中央通3-17-7 北星ビル3F

TEL.019-621-1771

中小企業法務

「物議を醸す施設」の建設阻止(営業妨害)と関係者の責任

行政が、周辺住民などが反対する企業の進出を阻止するため、風営法などの立地規制を利用しようとして、その企業と賠償問題などの紛争になることがあります。

先日、その一例として、「パチンコ業者Xの出店を阻止するため、国分寺市Yが風営法の立地規制を利用する目的で、市立図書館条例を改正して隣接地に図書館を開設して出店を断念させたため、XがYに賠償請求し、3億円強が認容された例」(東京地判H25.7.19判例地方自治386-46)を少し勉強しました。

解説では、個室付浴場や高層マンションの建設を阻止する目的でなされた行政等の措置に関する国賠請求が認容された前例などが紹介されています。

この種の出店妨害は、同業者がライバル業者の出店を阻止する目的で、土地を取得し社会福祉法人などに寄付する方法でなされることもあり、最高裁の判決があるほか、盛岡でもこの種の裁判が提訴され巨額の賠償が命じられた例があります。

パチンコ等の業態に対する社会的な評価はさておき、設置規制などを、設置反対者の利益を図る目的で、法の趣旨に即しない形で活用(悪用?)したと裁判所が評価した場合には、厳しい判断がなされる可能性が濃厚ですので、それらの施設の建設を阻止したいということであれば、急進的な手法は通用しない可能性が高いとの認識のもと、遠回りでも、良好な景観形成などに関し、文化的なものから法的なものまで地道かつ多様な努力を積み重ねていただくほかないのではないかと思います。

ところで、上記の判決の認定によれは、市が条例の制定にあたり、顧問弁護士などに法的リスクについて諮問し、「リスクがあるが、●●の展開になれば賠償紛争を避けられるかも」などと回答していたようです。この種の相談を受ける弁護士としては、リスクを強調して依頼者が行おうとする行動を極力防ぐ方向で回答すべきか、何らかの手段がありうるとして依頼者の希望に沿う方向で回答すべきか、悩ましい面が色々とあると思いますが、少なくとも、前例などを調査し紹介するなどして、依頼者が適切な判断をできるように努める必要があります。

この事案では、顧問弁護士が諮問を受けたのが平成18年とのことですが、パチンコの出店妨害問題を巡っては、平成19年に最高裁の判決がなされているものの、それ以前に最高裁の判決はないようですので、当然に顧問弁護士の判断を違法(業務水準違反)と言うべきではないでしょうが、その種の紛争に関する下級審裁判例はそれなりに出ていたそうなので、それらを調査し市に提供することが求められていたというべきかもしれません。

この点に関し、景観保全のためマンション建設を巡る紛争が生じた国立市では、業者が市に賠償請求して認められ、住民訴訟により市長個人の賠償責任が問われ、責任を認める判決がなされており(東京地判H22.12.22)、上記の国分寺市の事件でも、市長その他の責任が問われる事態もありうるかもしれません。

その場合、事案次第では、事前に関与した弁護士も相被告として提訴される可能性もないとは言えないのでしょうし、今後は、自治体の権限強化(地方分権)が叫ばれることで、自治体の権限行使の適法性を問うような紛争は増えてくると思われます。

「周辺住民等から反対運動が生じる施設の建設等の阻止を巡って賠償問題が生じる例」は、風営法を利用したパチンコ施設の出店妨害の問題に限らず、廃棄物処理施設などでも生じており、そうした事案への対処も含め、研鑽を積んでいかなければと思っています。

遠方の企業様からの顧問契約のお申し出について

ここ1年ほど、東京など遠方の都道府県の企業の方々から、顧問契約の問い合わせ(申込み)を受けることが何度かありました。サイト上に表示されているとおり、当事務所は平成23年から「月額3000円」という顧問料のコースを設けているため、いずれも、これを利用したいとのお申し出でした。

ただ、顧問契約も、弁護士としての業務受任の一形態に他なりませんので、面談原則を重視すべきで、ご来所いただき幾つかの事情を伺うなどして一定の信頼関係を築くことができると判断できなければ、お引き受けすることができませんし、「簡易なやりとりなら電話等で済ませるが、資料の確認や詳細な事情聴取が望ましい相応の問題の場合には直ちにお越しいただく」ことをコンセプトにしていますので、来所困難な方(或いは本格事件が生じても対処に関する面談や委任を予定していない方)と顧問契約を締結するのは適切ではないと考えます。

事件委任との関係では、セカンドオピニオン目的の2番手顧問という利用法もあるとは思いますが、大企業はいざ知らず、大半の中小企業では顧問という形をとらずとも個別相談で済ませればよいと思われますし、まして殊更に遠方の弁護士に依頼する必要性もないでしょう。

顧問契約も受任業務一般と同様に考えるべき話で、弁護士としては、互いに顔の見える関係でなければ仕事を請け負うべきではないし、依頼者サイドにとっても、「顧問」であれ何であれ、仕事は「会いに行けるアイドル」ならぬ、会いに行ける弁護士に頼むべきだということに尽きると思います。

もちろん、当方も、遠方にお住まいの方から訴訟等を受任し電話やメール等で連絡のやりとりすることは頻繁に行っていますが、それらは盛岡地裁等に係属する事件の受任が前提になっていますし、最初に面談し依頼主との信頼関係を確立することが必須であることは言うまでもありません。

そのため、残念ながら、遠方にお住まいの方からの顧問契約のお申し出は、その企業が岩手県内で経済活動をしているなど、敢えて岩手の弁護士に依頼すべき相応の理由を見出すことができる場合でなければ、お断りせざるを得ないと考えており、岩手に進出されたとき、ぜひもう一度お声掛け下さいと申し上げています。

逆に言えば、他の都道府県の弁護士さんも、同じような顧問契約のコースを設ければ、一定の需要はあると思いますので、業務開拓を希望する若手の方などは、積極的に試みてよいのではと思いますし、需要者(企業)サイドも、意中の若手弁護士の方に「岩手でこのような試みをしている弁護士がいる」などと、持ちかけていただいてもよいのではと思います。

ただ、肝心の私自身が、岩手の企業さんからは新規の顧問契約のお申し出にご縁のない状態が続いており、ネット経由でこの種のお話を頂戴することは容易でないとは分かっているものの、東京時代には契約書の作成や更正、業務上のトラブル等に関する相談など、その種の仕事に日常的に携わっていた身としては、顧問に限らず一般の相談や業務の受任を含め、企業法務的な仕事に従事できる機会を増やすことができればと、日々願っているところです。

破綻懸念先からの売掛金の回収に関する諸問題(設問)

地方都市で、地元の企業(特に、規模の大きい企業)にさしたる人脈もなく仕事をしていると、企業法務的なご相談、とりわけ財産法の分野に関する様々な知識、理解を横断的に問われるようなご質問を受けることは滅多にありません。

東京時代は、勤務弁護士(担当者)として、顧問先企業から様々なご相談を受けていたので、久方ぶりにその種のご相談をお受けすると、懐かしさはもちろん、事務所の埋もれた本や昔に培った勉強の成果が有効活用できるということで、喜々として調べたりすることがあります。

最近は、企業倒産件数の減少もあって、債務者サイドでの受任はもちろん、債権者サイドからご相談を受けることも滅多になくなっていますが、先日、その種のご相談を受けました。

企業取引に関するご相談は、私法上の論点が色々と入り組んだものであることが多く、司法試験の模試などに活用できそうなものも少なくありません。

そんなわけで、以前にお受けしたご相談について、念のための塩漬け期間も経過しましたので、事案を抽象化・修正した上で掲載してみることにしました(そんなに込み入った論点ではないので、口述試験レベルでしょうか)。

回答例を表示していませんが、破綻リスクのある取引先企業からの債権回収に関心のある方からご要望があれば、何らかの形でお伝えすることができればと思ったりもします。顧問先限定と言いたいところですが、敷居の高そうなことが言える恵まれた身分でもありませんし。

こうした投稿をご覧になった方で、「中小企業向けの債権回収等のセミナー」のご依頼でもいただければなぁと思わないでもありませんが、期待するだけ無駄なのでしょうね・・

《設問》

X社はY社と継続的な取引をしており、XはYに約1000万円の未収売掛金(受託業務の報酬請求権)を有している。いずれも期限到来済みで請求原因等に特段の争点はないが、Yには倒産のリスクがある。

Xは、YからY所有の商品を預かっており(700万円程度の換価価値がある模様)、中には、Xの受託業務とは関係ない理由で預かっているものもある。Xは、現時点ではYとの関係は良好で、取引を継続している等の理由から、強硬手段を取ることでYとの取引が断絶するのは、なるべく避けたい。

以上を前提に、以下の点について法律上の問題点を検討しつつ論じなさい。

①近日中にYが倒産した場合、Xは預かり品を売却して債権回収することができるか。

②仮に、現時点でXがYから任意に当該預かり品の代物弁済を受けた場合に、後日に当該代位弁済の効力を争われるケースとして、どのような事態が想定されるか、及びその際のXの反論とその当否を検討しなさい(売掛金と預り品の対価的均衡は確保していることを前提とする)。

③仮に、Xが強硬路線(強制的な手段)に切り替えた場合に、Xが取りうる手段と留意点等について説明しなさい。

契約書によって相手方に弁護士費用を負担させることは可能か

裁判のご依頼や相談を受ける際に、「自分が勝った場合に、自分が(私=受任弁護士に)支払う弁護士費用を、相手方に負担させることができないのか」という趣旨の質問を受けることが珍しくありません。これとは逆に、自分が負けた場合に、相手方が依頼した代理人(弁護士)の費用を自分が負担しなければならないのかという質問もしばしば受けます。

業界人にとっては常識ですが、現在の法制度には「弁護士費用の敗訴者負担制度」が存在しませんので、勝った側も負けた側も、ご自身が依頼する代理人(弁護士)の費用は自己負担というのが原則です。

ただ、不法行為(等)に基づく損害賠償請求については、他の損害(慰謝料、逸失利益など)の合計額の概ね1割相当の額を、加害者が負担すべき弁護士費用として被害者への賠償を命じるのが実務(判決)の通例ですので、その点は、全面的負担ではないとはいえ、一応の例外ということになります。

そのため、契約上のトラブル、例えば、売掛金の請求に関し、不払を続ける債務者に支払を求めるケースなどでは、自己負担を余儀なくされるわけですが、仮に、最初の契約時に、特約で「期限どおりに支払わない場合に、債権回収のため依頼した弁護士費用は、債務者が全面的に負担する」という趣旨の条項を契約書内に設けておけば、債権者は債務者に請求できるのではないかという話が出てくるのではないかと思われます。

この点は、私の知る限り、議論が深まっていない論点で、判例等もほとんど聞いたことがありません。ネットで少し検索しても、「敗訴者負担反対運動」が盛り上がった時期に、一部の弁護士会が、そのような定めを契約書に盛り込むべきでないなどと書いた意見書を公表した話が出てくる程度で、現在の実務の指針になるような解説を見つけることができませんでした。

ただ、先日、マンションの管理組合が管理費等を滞納した区分所有者に請求するにあたり、「弁護士費用を滞納者が負担する」との規約があることを理由に、滞納管理費とは別に、管理組合が依頼した代理人(弁護士)の委任費用を請求し、裁判所がこれを全面的に認めた例というのが掲載されていました(東京高判H26.4.16判時2226-26)。

この件では、未払管理費が約460万円、確定遅損金が約130万円で、それとは別に、管理組合の代理人費用(着手金・報酬金の合計)として100万円強を請求しており、1審は、代理人費用を50万円のみ認めましたが、控訴審は100万円強の全額を認めています。

判決は、規約に基づく「違約金としての弁護士費用」の法的性格について、区分所有者は当然に負担すべき管理費等の支払義務を怠っているのに対し、管理組合は、その当然の義務の履行を求めているに過ぎないから、組合側が債権回収にあたり弁護士費用等の自己負担を余儀なくされるのは衡平の観点から問題であり、不払を自ら招いた滞納者が全部負担するのが相当だとして、違約金の性格は違約罰と解し、組合が余儀なくされた費用の全額を滞納者が負担すべきだとしています。

解説によれば、標準管理規約(マンションに関し国交省が作成しているもの)に同趣旨の条項が設けられているとのことですので、この判決の理に従えば、同じ規約を用いている分譲マンションに居住している方は、管理費を滞納した場合、特段の事由がない限り、同様に、管理組合側の代理人費用まで負担しなければならないということになるかもしれません。

特に、この判決をなさった方が、弁護士費用をはじめ弁護士を巡る法律問題の泰斗とされている加藤新太郎判事なので、業界内での影響がありそうな気がします。

ところで、このように、規約に定めていれば弁護士費用を請求できるという判決が存在する以上、これはマンション限定と解釈しなければならない理由はなく、売買や請負(業務委託)、賃貸借など、他の契約でも、同様の特約を設けておけば、同様に契約に基づく代金や賃料等の支払を怠った側に請求をする際、弁護士費用を付して請求することができる可能性は十分にありうると思われます(判決はもちろん解説でも触れられていませんが)。

ただ、上記のように、「当然の義務を履行しない者のため、債権者が経費負担を余儀なくされるのが不当だという当事者の衡平」を重視するのであれば、議論の余地のない債務(一般的な賃料や、売掛金等の債権内容に争いがない場合)なら、債務者に負担させる特約が有効になりそうですが、相応の理由があって支払拒否に及ぶ場合などは、債務者に負担させることができないと判断される可能性があるかもしれません。

また、とりわけ事業者と消費者との契約に関しては、現時点では、そのような特約が消費者契約法違反として無効となる可能性は少なくないのではないかとも思われます。

ともあれ、経験上、支払義務に争いのない売掛金(特に、中小企業間の取引)について正当な理由のない支払拒否についてのご相談も多く接していますので、そうしたものについては、上記の判決の考え方からすれば、回収のため依頼した弁護士の費用を相手方(債務者)に請求する特約が有効と認められる可能性は大きいのではと思われます。

ですので、とりわけ、取引先からの売掛金の回収に日々苦労なさっている中小企業の方々などにおかれては、受注段階で適切な契約書を作成すると共に、正当な理由のない支払拒否のため弁護士への依頼を余儀なくされた場合には、その経費は債務者が負担する旨の特約を盛り込んでおくことを、強くお勧めしたいところです。

また、現在の我が国では非現実的かもしれませんが、将来的には、婚姻時に、「不貞など有責行為をしたため離婚を余儀なくされた場合には、財産分与その他の関連手続を含め、弁護士費用はすべて有責配偶者の負担とする」などという契約を締結し、離婚時に、その有効性や射程距離を法廷で争うようなご夫婦も登場するかもしれません。

ともあれ、この論点(契約に基づく弁護士費用の債務者負担やその程度)に関する議論(ひいては論点の知名度)がもっと深まってくれればと感じています。

 

外国人の研修生・技能実習生に関する労働問題

現在、生産年齢人口の減少などに起因して、外国人労働者の受入を促進すべきだという議論が活発化しており、最近では、安部首相が「外国人女性の家事労働への進出促進を」と述べた(で、批判された?)などという報道も見かけました。

外国人労働者を巡っては、何年も前から、研修制度の形で実質的には労働者と変わらない待遇で就労に従事させているという話があり、中には、工場で劣悪な条件で就労させているのではないかとして、問題になったケースも幾つかあったと記憶しています。

この点に関し、先般、「技能実習生(中国人女性)Xら5名が研修先のA社で就労していた件で、A社の役員がXらを劣悪な環境で就労させて様々な違法行為を行ったとして、A社及び役員のほか、A社を監督すべき立場にあった協同組合とその役員、Xら(実習生)のサポートを担当していた企業とその役員にも賠償責任を認めた例」を見かけました(長崎地判H25.3.4判時2207-99)。

中国人女性Xらは、H21出管法改正前の外国人研修・技能実習制度に基づき入国し、第一次受入機関たる雲仙アパレル協同組合Y3の傘下企業(第二次受入機関)であるA社で研修(縫製作業)をしていました。

が、Xらは、「A社(役員)は、長時間残業など労基法違反の環境でXらを就労させ、旅券・通帳等を違法に管理し、セクハラ・暴行をしており、その上、最低賃金法の定めを下回る賃金しか支払っていない」と主張して、関係者に賠償請求する趣旨の訴訟を起こしました。

法律構成としては、①A社役員Y1・Y2に対し、民法709条・同719条(共同不法行為)・会社法429条等(A社は審理中に破産)、②Y3と役員Y4に対し、民法719条・中小企業協同組合法38条の3(役員の賠償責任)・一般社団・財団法人法78条(法人の賠償責任)、③来日実習生のサポートを担当するY5社と役員Y6に対し、719・会社法429条(役員の賠償責任)・上記法人法78条、④公益財団法人国際研修協力機構Y7に対し、719条(調査義務違反)を理由に賠償請求しています。

裁判所は、Y7に対する請求のみ棄却し(Y7に義務違反にあたる事実なし)、他はすべて一部認容しており、金額はXら5名につき、一人あたり170~225万円ほどになっています。

判決では、Xらを労基法9条・最低賃金法の適用対象たる「労働者」と認め、Xら主張のY1・Y2による違法行為に加え、Y4・Y6がこれを幇助していたとの事実関係を認めたようです。また、破産手続済のY1に対する請求権は「悪意で加えた不法行為に基づく請求権」(破産法253条1項2号)に該当する非免責債権と認定しています。

この事件は長崎県の縫製工場を舞台としたもののようですが、岩手県北エリアも縫製工場が多いそうで(高級衣類を担当する質の高い縫製で評判らしいです)、現在と異なり企業倒産が非常に多かった10年近く前には、沿岸北部の縫製工場が倒産し、私が破産管財人を担当したことがあります。

幸い、その企業に関しては上記のような問題を耳にすることはありませんでしたが(未払賃金があったものの、労働者健康福祉機構による立替払+財団債権としての配当により、大部分をお支払いしたはずです。反面、それで原資が尽き、一般債権者には一切配当できませんでしたが)、申立以前に外国人の方(実習生?)も従事していたという話を聞いたような記憶があり、当時すでにこの問題が話題になっていたことから、そのような問題がなければと思ったことを覚えています。

好むと好まざるとに関わらず、被災地などの労働者(生産人口)不足に伴い、外国人労働者等の何らかの形での受入の増大は高まらざるを得ないのではと思われます。

このような事件が起こらないよう、また、職場でのトラブル等があれば、大事になる前に企業外部を含む関係者が早期に適切な対処ができるよう、このような判例などをもとに勉強したり、弁護士等のサポートを受けていただければと思っています。

 

フランチャイズ制度の現状と課題

今月(平成26年3月)の日弁連機関誌(自由と正義)に、フランチャイズ制度の特集記事が載っていました。大雑把な内容(項立て)としては、以下のようになっています。

①フランチャイズ制度に関する基本的な視点(学者の先生の講義)

②公正取引委員会のアンケート結果やフランチャイズ内部=本部と加盟店との各種紛争(本部の事前開示情報と実際との相違、本部の経営指導義務違反、加盟店の会計に対する拘束等、中途解約等、同一加盟店の近隣出店、違約金や保証人)の紹介と立法提言(加盟事業法)

③業界団体(本部側の団体である日本フランチャイズチェーン協会)の取組(相談センター等)と本部側からの加盟店紛争(諸論点)に対する考え方

④米国(フランチャイズ制度の発祥国)・韓国(日本に匹敵する普及国)の法制度や実情等

岩手でも、大規模店舗やロードサイドなどを中心に、私をはじめ一般住民が現に消費対象として利用する店舗の多くが、地元系列を含むフランチャイズ関連の店舗になっていますが、私個人に関しては、残念ながら、フランチャイズ・ビジネスに関する紛争(本部と加盟店との紛争)に関する相談や事件依頼等を受けたことはなく、加盟店や統括支部(サブフランチャイザー)をなさっている方から、業務等に絡んで何からの相談を受けた程度です。

私の「FB友達」にも、フランチャイズ・ビジネスに携わっている方は少なからずおられますが(JC関係者など。大半は加盟店側だと思います)、この種の記事をチラ見すると、訴訟までするかどうはか別としても、何らかの形で本部側に「過去の裁判例や現在の議論などを踏まえた待遇改善」を訴えてもよいのに、そのような論点等があること自体を知らず、不遇な待遇に甘んじている人もいるのではないか?と思わないこともありません。

労働者の場合、ご自身の所属企業と闘わなければならない事情がある場合には、企業内に労働組合がなくとも、いわゆる合同労組に加盟し、その支援を受けて企業に団交要求するなどの方法があるのですが、私の知る限り、フランチャイズ・ビジネスにはそのような制度等はないと思います。

少し調べたところ、加盟店側にも「全国FC加盟店協会」という、コンビニ経営者などを中心とする団体があるようですが、HPを見る限り、岩手支部は結成されていないようです(他に、同種の団体等があるかは分かりません)。
http://www.fcajapan.gr.jp/

合同労組のような強力な制度はまだしも、一定の地域内でフランチャイズ・ビジネスをしている方々(加盟店や小規模な統括支部など)が、勉強会や親睦会など緩やかな横のつながりを作って業務等の質を向上させる営みをなさってもよいのではと思いますし、そうしたものであれば、冒頭の論文などをネタ本にした簡単な勉強会等の形で、「フランチャイズ専門」などとはお世辞にも言えない地元の弁護士も、少しは物のお役に立てるのかもしれません。

 

同じ人物を取り上げた書籍で類似表現が使われた場合の著作権侵害の有無が問われた例

ノンフィクション文学作品に関する創作性の有無が争われた例(知財高判H22.7.14判タ1395-323)について、少し勉強しました。

X作品の著者であるXが、Y作品に対し、X作品の模倣・複製による著作権侵害を主張し、YがX作品に創作性がなく著作物でないと反論し、その当否が争われたというものです。

概要は以下のとおり。

当時、神奈川県知事であったXが「破天荒力」というノンフィクション作品(箱根富士屋ホテルの創業家などを取り上げた作品)を執筆して発表したところ、同じ人物を取り上げていた「箱根富士屋ホテル物語」という作品の著者Yが、Y作品に対する著作権侵害を主張するようになった。

そのため、XがYに差止請求権不存在確認請求訴訟を提起したところ、YがXに対し、X作品の差止や損害賠償請求の反訴を提起(本訴は取下)。

1審は、X作品のうち一箇所(「Aが結婚したのは最初から妻でなくホテルだったかもしれない」と書かれた部分)について、Y作品の複製権等に対する侵害を認め、Xに対し、Yに12万円の賠償と当該部分の削除を印刷等の条件する趣旨の判決をした。双方とも控訴。

二審判決(知財高裁)は、一審取消、Y請求を棄却(Y全部敗訴)。

判決は、問題となった上記の部分(比喩的表現)が、それ自体慣用的でありふれたものであり、元になった当事者に関する実際の事実の経過から、執筆者が上記の感想を抱くことはごく自然なもので、表現それ自体でない部分又はせいぜい表現上の創作性のない部分において同一性を有するに過ぎず、著作権法上の複製権等の侵害にあたらないとした。

ノンフィクション作品に関する著作権侵害の是非(対象作品に関する創作性=著作物性の有無)が問われた例としては、平成13年に最高裁判決(江差追分事件。ノンフィクション書籍(X作品)の記述をテレビ番組のナレーションが「翻案」したか否かが争われた例)があるとのことで、本件でも同判決の基準をもとに創作性の当否を判断しています。

解説では、言語の表現物の著作物性が問題となった事案に関する前例などを多数紹介しており、その種の紛争では参考になりそうです。

 

月額3000円(税別)の顧問契約に関するコンセプト

平成23年に月額3000円の顧問契約(Aコース)を設けた際に投稿した文章を微修正したものです。利用頻度に応じた顧問契約の定め方に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

***********************************

平成23年から、顧問契約に関する新機軸(Aコース)を打ち出すことにしました。個人・法人を問わず、月額3000円(消費税別)で顧問契約(顧問弁護士)を導入できるというもので、弁護士会の報酬会規の法人顧問料が月額5万円(岩手・盛岡では、月額3万円が多いとも聞いています)ですので、相場より大幅に値引きした価格ということになります。

以下、このコースの設定の経緯、意図等について、ここで概略を説明いたします。なお、金額の表示はすべて税抜としています。

1 Aコース設定の経緯

私は、零細企業経営者の子弟のはしくれであると共に、真っ当なビジネスをする企業が盛んに活動することが社会を成り立たせる基本と考えていますので、弁護士として中小・零細企業の経営を支援する仕事には相応の意欲を持って取り組んでいます。

東京時代には勤務先に様々な顧問先企業がありましたので、そうした意欲を充足できる多くの仕事に巡り会いましたが、岩手に戻った後は、私が盛岡に地縁・血縁がないに等しく、依頼事件の多くは弁護士会や市町村などの相談会でお会いする方々の個人的な問題ばかりで、企業活動をサポートする仕事をご依頼いただく機会はめっきり減ってしまいました。

幸い、全くご依頼がなかったわけではありませんが、多くは他の先生(弁護士など)から紹介いただいたり、弁護士会の相談センター等で偶然お会いした方ばかりで、企業の方が直接にアクセスされてきたことは、滅多になかったと感じています。

現在、当事務所と顧問契約を結んでいただいている企業さんの数も、恐らくは私と同等の実務経験(約20年)を有する弁護士の平均値を遥かに下回る数と言わざるを得ないでしょう(人脈云々以前に、カリスマ性の欠如が最大の要因かもしれませんが)。

JC(青年会議所)などで多少とも垣間見る限りの印象ですが、盛岡・岩手でも、少なからぬ企業さんが県内又は仙台・東京の弁護士と何らかの繋がりを持っていたり、弁護士の紹介を受けることができるルート・人脈等をお持ちのようで、インターネット(Webサイトを掲げる事務所)を弁護士探しの主たるツールとして活用しようという方は、あまり多くはないようです(意思決定を司っている社長さんなどが、ご高齢という事情もあるかもしれませんが)。

そのため、企業(とりわけ、地元に広範な人脈を持ち従前から弁護士を利用してきた企業)の方々から依頼を得ることは、岩手に戻って10年以上を経た今でも、容易ならざるという印象を受けています。

また、私のように地縁・血縁のない人間が異業種の方々との人脈を作るには、例えばJCのような様々な業界の方が集まる夜の会合などに参加する必要があるかとは思いますが、極度の残業体質の上、家庭の事情で夜間に身体を空けるのが難しいという事情もありました。

もちろん、純然たる個人向けの仕事が嫌というわけでは全くなく、今後も多くの力を注いでいくことは間違いありません。ただ、弁護士の活動を通じて地域社会の全体に貢献するとの初志からは、個人向けの仕事ばかりに比重が強くなるのは望ましくなく、個人向け・企業団体向け双方の業務をバランスよく受注できる事務所であるべきだと思っています。また、一方の仕事を経験することが他方の業務にも大いに生きてくることは当然です。

というわけで、夜の会合以外の方法で人脈を作ったりご依頼をいただく機会を作ることができないか模索してきましが、名案も浮かばず、「この弁護士は色々な仕事を手がけているから、話だけでも聞いてみようか」と関心を持って頂けるような内容にしようと、事務所サイトで「取扱実績」欄を増設するなどしていました。が、それを理由にに依頼いただくこともなく、暗中模索の日々が続きました。

そんな中、平成23年当時、たまたま手にしたビジネス誌で、東京の若い弁護士さん達が経営している事務所(ベリーベスト法律事務所)が「月額3980円(消費税込み)の顧問契約を導入した」として、大きく取り上げられていたのを目にしました。

私自身、以前から「実際のご利用があまり多くはない企業から月額で数万円の顧問料をいただくのは、弁護士の不労所得に等しく合理的ではないし、そのような契約は長続きしない。ただ、来所相談をする必要は滅多になくとも簡易な相談を気軽にできる顧問弁護士は欲しいというニーズはあるはずで、それに対応するサービスを提供できないだろうか」との思いがあり、当方も導入すべきと考えました。

以上の経緯で、従前から設定していた顧問契約とは別に「月額3000円+受任時の1割引」というプランを新設した次第です。

ネットでざっと調べた限りでは、平成23年当時、ベリーベスト法律事務所の「3980円」よりも低い単価で顧問契約を謳っている事務所はなく、当時「日本で一番安い値段で顧問契約を引き受ける弁護士」だったかもしれません(その後は調べていません)。

2 新コースの目的

新コースの主たる目的は、サイトに表示したように、たまには弁護士に電話やメールで聞きたいことがあるという方が、従前よりも安価な値段(顧問料)で気軽に問い合わせ等ができるようにしたいとのニーズにお応えする点にあります。

また、簡易なやりとりであっても、法的なアドバイスを通じて、本格的な弁護士の出番を要しない形で紛争を予防したり交渉相手からのアドバンテージの獲得につなげていただいたり、中には、ご自身が気づいていない問題を指摘し、すぐに本格的な事件として動き出すべきだ、とお伝えすべきこともあると思います。

早期のご相談→合理的タイミングでの事件依頼→手遅れの防止というサイクルで考えていますので、来所相談の必要がある場合に支障なくご来所いただける方(岩手の方や盛岡へのアクセスに難がない隣県などの方)を顧客層として想定しており、基本的に「全国展開」するようなサービスではないと考えています。

また、過去の経験等から「町弁の採算に関するデッドライン(基準単価)は時給2万円」と考えており、月額3000円(年額3万6000円)という価格は「年間2時間弱(月に平均1回、1回あたり電話・メール等で10分程度)のご利用」に相当すると位置づけています。そのため、それ以上のご利用が多く生じる場合、原則として追加料金をお願いするか他の契約類型への切替をお勧めすることになると思います。

この程度のご利用なら、普段なかなか弁護士に相談することはないという中小・零細企業や個人の方でも一定の実需はあるのではないかと考えての設定です。

3 伝統的な顧問契約との異同など

伝統的な顧問契約の相場よりも遥かに低い値段ですが、従前の顧問契約の価格破壊を目的とするものではありません。むしろ、来所相談等は割引とはいえ有料とさせていただきますので、「顧問先の相談は無料」という契約類型とは、異種のものと言えます(従来型の顧問契約もタイムチャージと組み合わせる方式でお引き受けしています)。

敢えて言えば、「毎月、数万円を払って顧問契約をしているが、さして利用がなく、契約に疑問を抱いている企業」にとっては、いざというときに弁護士への迅速なアクセスを確保するため顧問契約だけはしておきたいとのニーズをリーズナブルなコストで確保しうる点で、価格破壊的要素はあるかもしれません。

ただ、それは、従前の顧問契約(弁護士)に、実働を伴わない顧問により不労所得を得ている面があったこと自体が間違っているというだけのことであり、「あるべき価格を不当にダンピングする」という意味での安値競争とは異なるものです。

もとより、顧問契約を締結している多くの弁護士が不労所得を貪っているというわけではありません。ネット上で検索いただければすぐにお分かりのとおり、伝統的に、一般的な弁護士の顧問契約が「月数万円の顧問料を支払えば相談等の時間は原則として無制限」となっているため、相当量のご利用があれば元が取れるようになっており、そうした利用をされている方も沢山おられると思います。

しかし、この仕組みだと、盛んに利用(相談等)をした方とそうでない方とで実質的に大きな不公平が生じてしまいます。さりとて、伝統的にドンブリ勘定体質を持つ弁護士業界で「利用実績のない顧問先には顧問料を返金」などといった手法が普及するとも思えません。

毎月、帳簿類の精査という明確な実働が伴う税理士さんと異なり、弁護士の顧問業務は相談等の実需がないと機能しにくい面があることは否定できません。そのため、利用の有無に関係なく頂戴する顧問料の部分はなるべく減額し、それと共に、多くのご利用のある顧問先には顧問契約をせずに利用される依頼者よりもメリットがある(割引サービス)という形で顧問契約を再構成していくのが、これからの顧問弁護士に関する望ましい姿ではないかと考えます。

「定期的に顧問先企業を訪問して相談等を行う」など、顧問税理士のように定期的な実働を伴うケースなら、低額の顧問契約を導入しなくとも、実働に応じた相当の顧問料を定めればよいと思います。しかし、法務部門が各部門のリーガルリスク等を定期的にチェックし顧問弁護士に定期的に相談する仕組みを作りやすい大企業ならともかく、現在の我が国の中小・零細企業にはそうした実需は滅多にない(掘り起こしも難しい)という印象です。

また、Aコースのような顧問契約については、学校の同級生など個人的に親しい関係の弁護士がいるという方なら「ちょっとした相談程度なら、その弁護士に電話等でサクッと聞けばいいから敢えて顧問契約なんてする必要はない」ことになるかもしれません。

ただ、そうした人脈を持たない方や、あったとしても一種のフリーライダーになりたくないという方にとっては、簡易な相談を遠慮なく受け付けること自体を目的とした低額の顧問契約は相応に利用価値があると思われます。

私自身、今は概ね(至って?)健康のため必要はないものの、いずれ病気がちになった場合は、町医者の方に低料金で自分の身体に関する些細なことについて遠慮なく電話・メールで相談できる顧問契約のようなものがあればと思わないではありません。

個人的に、仕事上お世話になっている医師の先生や遠方の病院で活躍している高校の親友もいないわけではありませんが、逆に、おいそれとは相談できず、よほどの事情がなければと腰が引けてしまう面があり、料金のやりとりをするビジネスライク?な関わりの方が、案外、料金などの範囲内で遠慮無く物事を聞きやすいような気もします。

4 料金

月額3000円の設定の根拠は、3980円(消費税込み)のベリーベスト法律事務所(の方々)に比べ、経験年数では上回るものの規模では遥かに見劣りすることから、同事務所より若干低めの値段としたものです。

また、あまりに低くするのもどうかと思いましたので「今どきの顧問弁護士=高額なランチ一食分」と考え、「高級食材を扱うが、リーズナブルな価格で提供しているレストランで、ランチを月1回利用すればディナーが1割引になる」イメージで考えてみました。

ちなみに「無料」というのは、他の顧客等へのしわ寄せを不可避とするものですので、震災のように臨時的な場面以外は多用すべきでないと思っています。そうした理由で、私は巷で流行する「債務整理等の無料相談」はしていませんが、反面、直ちにお引き受けする場合などは相談料は頂戴しない(又は、相談料分を定額料金から差し引く)などの方法でバランスをとっています。

昔、ある大物弁護士の方が「社長さんに顧問弁護士(月5万円)を勧める際は、社長さんが月1回、高級料亭かクラブで飲食するのを控えれば済む値段ですよ、それで会社が守れるのだから、安いものではありませんかと説明している」と仰っている文章を読んだことがあります。

しかし、このご時世や現在の私の身分では、高級料亭やクラブに入り浸るような社長さんと接点を持つことは到底期待できません(イソ弁時代は少々お会いする機会もありましたが、今となっては昔のことです)。

他方「頑張った自分へのご褒美で、月に1回くらいは贅沢なランチを食べたい」という方なら、幾らでも知り合う機会はありそうですし、コストパフォーマンスを真剣に考えて選んでいただく方が、実りあるお付き合いになるのではないかという期待もあります。

月3000円という価格も実需のない方には十分に高額ですので(少なくとも私のような一般人から見れば)、「顧問弁護士」という一種のブランド価値をダンピングしているということも言えないでしょう。

5 見通し

ただ、「このコースが対象として想定している潜在顧客層」が、このような金額・コンセプトでの顧問契約に対する実需(利用価値があるとの理解を含め)がなければ、実際に申込みを受けることもないでしょう。

私自身は、弁護士が希少種である時代には「顧問弁護士」は金持ち企業のステイタスのようなものだったが、その時代は終わった。タイムチャージ等と組み合わせたリーズナブルな料金での契約が新しい時代に求められる町弁の顧問契約ではないか、と考えているのですが、皆さんのご意見をお尋ねしてみたいところです。

事務所サイトで小さく表示するだけの扱いですので、導入から2年半を経過した平成26年2月現在も、実際に申込を頂戴した企業様はごく数件に留まっています(もちろん、お申し込みいただいた皆様には大変有り難く思っています)

(追記・令和2年改定時には、幸い従前よりはかなり増えています。それでも十数社ですので、他の先生方に及ぶべくもありませんが・・)。

私自身が華やかな宣伝に向いている人間ではありませんので、サイトをご覧いただく方を別とすれば、個人的に聞かれた際「ウチではこういうこともやっています」とご説明する程度のことしかできないのだろうと思います。

まだ、このような顧問契約の新しいプラン(類型)を作ったことが成功と言えるのかそうでないのか、結論が出ていませんが、こうした試みが社会に受け入れていくのか否か、しばらくは様子を見てみたいと思います。

会社の再編を巡る裁判例と問題点(論文紹介)

判例タイムズ1394号に掲載されている裁判官による論文です。

会社再編とは、狭義には会社の合併及び分割、株式交換・移転を指し、広義には事業譲渡・組織変更も含めて捉えられる法的営為の総称です。

論文では、これらを巡って生じる紛争の類型ごとに、その類型(論点)に関して生じた近時(平成20~24年)の裁判例を整理し紹介しています。

紛争類型(論点)としては、①再編の効力が争われる場合、②会社と株主との紛争、③会社と取引先・労働者との紛争、④役員責任紛争に分けて整理しており、特に、再編に反対する株主等の買取請求と価格算定に関する裁判例が、近時では最も多い判決があったとして、多数紹介されています。

東京時代は、会社の経営陣(オーナー兄弟)の確執により生じた、会社支配権の争奪戦的な面の強い多数の訴訟に関わらせていただいたこともありましたが、地元の有力企業の方々へのツテも無いに等しい田舎の町弁をしていると、この種の紛争にはすっかり縁遠くなってしまいます。

少し前に法人内部の地位確認紛争や役員の責任追及に関する訴訟に携わったこともあり、会社法へのご縁が全く無くなったわけではありませんが、もっと中小企業向けの法的問題に関わる仕事や勉強の機会を持てればと残念に思っています。

たまに、この種の論文をチラ見したり裁判例をデータベースにまとめたりして、若干は近時の議論をフォローするようにはしていますが、事件とまではいかなくとも、例えば、この種の企業法務に関するショートセミナー等のご依頼でもあれば、論点や事例の基礎的な説明ができる程度に勉強する機会になりますので、そうしたことに関心のある方がおられれば、一声いただければなぁと願っています。

加工食肉の提供による食中毒事故と製造物責任(事例紹介)

盛岡にも進出しているステーキチェーン店で販売されたサイコロステーキについて生じたO157の食中毒事故に関し、チェーン店を展開しているフランチャイザー(本部)であるX社が、サイコロステーキの製造元Y社に対し、製造物責任等を理由に12億強を賠償請求したものの、棄却された例(東京地判H24.11.30判タ1393-335)です。

裁判所は、当該サイコロステーキ(生鮮品を加工した結着肉)について、 現在の食肉技術では内部にO157の混入を完全に防止するのは困難であり、中心部までよく加熱することを前提とした食材として、広く流通しているとの事実を認定し、それを重視し製造上の欠陥も指示説明・警告上の欠陥も認められないとしています。

流通実態やそれを支える法的規制の状況等を踏まえて欠陥の有無を判断するという点は、加工食品に限らず応用範囲が広いと思われ、製造物責任が問われる事案では参考になると思われます。